菊池寛のレビュー一覧
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コロナ禍にある2020年の発行であることから、100年前に同じように猛威を振るったスペイン風邪の流行を扱った短編集が編まれることになったのかと推測する。
「マスク」はコロナ禍あるあるが満載されている。マスクをしないで混雑の中に出かけるのは、勇気ではなく蛮行である。
他に、流行性感冒にかかった友人や、流行性感冒で亡くなった同僚に対する周囲の対応を描いた作品が続く。
「船医の立場」は、流行性感冒がテーマではないものの、感染病と正義をテーマにしている。
「忠直卿行状記」は歴史物。他は、幕末から明治にかけての人々を描く。
どれも人間心理の描写が鋭く細やかで、考えさせられる。特に「仇討禁止令」に描かれる -
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再就職に有利
封建的儒教的な「忠孝」とある意味近代的な「公共の福祉」の対比 対立の物語である。近代人である作者菊池寛はある意味当然のことながら「公共の福祉」の方へ軍配を上げている。ただ江戸時代の「忠孝」の中には、敵討ちに成功したら再就職に有利 という下心があるとのことであるが それはどうだか。
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菊池寛、寛忌。
大正9年「大阪毎日新聞」「東京日々新聞」連載。
大正華族の没落「通俗小説」
20年前の文庫帯が残っていて、
日本小説史上の大傑作、復刊‼︎
美しき男爵令嬢を襲った残酷な運命
当時、テレビドラマ化されているらしい。
だって、昼メロの匂いがする。
そして、菊池寛文学全集からとなるが、解説が川端康成。菊池寛について、他の作品にも触れて語っている。
まず、プロローグ部分が惹きつける。
たまたま、当時はまだ贅沢なタクシーに同乗した美しい青年の事故死。彼の残した大学ノート。
遺言は、ノートは、海へ捨ててください。
腕時計を“るりこ”に返してください。
同じタクシーに乗り看取った男は -
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ネタバレ⚫︎受け取ったメッセージ
表題「マスク」より、人はいつでも自分本位…でもそこが人間らしさ。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)➕ネタバレ注意
スペイン風邪が猛威をふるった100年前。作家の菊池寛は恰幅が良くて丈夫に見えるが、実は人一倍体が弱かった。そこでうがいやマスクで感染予防を徹底。その様子はコロナ禍の現在となんら変わらない。スペイン風邪流行下の実体験をもとに描かれた短編「マスク」ほか8篇、心のひだを丹念に描き出す傑作小説集。解説・辻仁成
【収録作品「マスク」】
見かけは頑健に思われているが、実は心臓も肺も、胃腸も弱い。そんな自分に医者は「流行性感冒にかかったら、助かりっこありません」と -
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ドラマチックな冒頭の話は、裏カバーのあらすじとはまったく合っていないので、最初のところは戸惑ったが、読み進めていきながらなんとなく、あらすじを読まなかったほうが、面白いかもしれないと思いはじめました。先入観を持たずに信一郎とともに「瑠璃子」の謎を解いていくことができるかもしれません。
でも、あらすじを読むと面白さが減るというわけではありません。「それからどうなるか」「信一郎は夫人に魅惑されるか」「夫人は果たして何のつもりなのか」「痛ましい美奈子の初恋の行方は?」「夫人の運命は?」等々、予想しやすい部分もありますが、引き込まれてその先を知りたくてたまりません。読み始めたら止まらないくらい。ベス -
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詮索しすぎない
品のいい芥川さんでなければもっと生きていただろう…という感じがわかってよかったです。
煙草と悪魔ーなどすばらしいお話をもっと読みたかったと思います。 -
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副題は「スペイン風邪をめぐる小説集」でありながら、パンデミックにかかわる話は前の三作だけ、残りの五作は現代(大正時代)や歴史小説です。
で、その「スペイン風邪」というのは今回の文庫本の目玉になるところだと思いましたが、確かに出版された当時の2020年末は、コロナのせいで生活が一変した一年を顧みることができる時期でした。しかし有り体に言えば、二年も経った現在ともなると、マスクをしつつ、「もううんざりだよ」「もう情報を聞きたくない」というイライラした気持ちが多いです。
この小説集の中に一番好きなのは「仇討禁止令」です。結末は少し弱いが、なんか私はそういう激動した時代の愛憎劇に惹かれやすい傾向が -
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ネタバレ目次
・マスク
・神の如く弱し
・簡単な死去
・船医の立場
・身投げ救助業
・島原心中
・忠直卿行状記
・仇討禁止令
・私の日常道徳
コロナ禍だからこそ出版された、菊池寛の短編集。
とはいえ、スペイン風邪をめぐる小説集というのは言い過ぎ。
表題作は、心臓の具合がよろしくないと言われた死を身近に感じておびえていた頃、流行性感冒が流行り始めてからの著者の行動が、全く現在のコロナかと被って面白かった。
”自分は、極力外出しないようにした。妻も女中も、成るべく外出させないようにした。そして朝夕には過酸化水素水で、含漱(うがい)をした。止むを得ない用事で、外出する時には、ガーゼを沢山詰めたマスクを -
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マスクはワクチン普及前のコロナ禍とかなり感染症対策が重なっていることに驚かされる(極力外出しない、常に手を洗う、でかけるときはマスクでがっちりガード)マスクをしないで外出する他人を見て憎悪を感じたというエピソードもあり。
一緒に収録された作品の中では、黒船に乗り込もうとした吉田松陰を皮膚病のゆえに乗船拒否したことをのちに悔やんだ船医の立場、張合やプライドを無くしてしまうと行動の生き甲斐がなくなるという身投げ救助業、検事の思い込みを強引に被疑者から誘導した経緯を詳細に説明したために高瀬舟よりも安楽死への追及に関する深みはなくなってしまった島原心中、部下のお追従にある日気づいてからは何も信じられ -
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「マスク」
大正時代にスペイン風邪が大流行したとき
その予防法として、やはりマスク着用が推奨されたらしい
しかし第一波の疲れが出て
第二派の到来するころには、もはや誰もマスクをつけなかった
そんなおり、筆者は野球場でマスクをつけた選手に出会い
なぜか不快さを感じる
「神の如く弱し」
師匠の娘に振られたことを根に持ち
小説のなかでさんざんにこき下ろしたりしたものの
スペイン風邪にやられて寝込んでしまったとき
師匠の家から親切な言葉をかけられ
それでやっぱり泣いてしまう
そんな男の、天然ダブルスタンダードを前にしては
情けなさよりも、むしろ恐怖が先に来るのだった
久米正雄がモデルの話だろう
師匠 -
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短編集で「スペイン風邪をめぐる小説集」を集めたもので
「100年前の日本人は、疫病とどう戦ったのか?」
というこんなご時世柄、文春文庫さんが文庫オリジナル版を編みなさったわけ。
「マスク」「神の如く弱し」「簡単な死去」「船医の立場」「身投げ救助業」「島原心中」「忠直卿行状記」「仇討禁止令」「私の日常道徳」
「マスク」
見かけは太っていて頑健そうに見えるが、実は弱いからだなんだ、と菊池寛らしい主人公は言う。何ですか、太っていたら成人病予備軍だよ、と突っ込みたくなるが100年前はね、栄養を取るのも大変だったでしょうからね、みんなガラガラにやせていたし、美味しいもの好きの主人公、ガッチリ美食 -
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漢字タイトルだと印象も変わる
児童書の大定番、みにくいアヒルの子。漢字だと随分イメージが変わるものですね。翻訳の言葉も大人向けのような気がしました。色々な鳥が出てくるんですね。