作者の代表作の一つらしい。
前に読んだ『神州纐纈城』は未完で驚いたので、これもそうではないかとドキドキだったが、ちゃんと完結していた。しかし伝奇小説は未完である方がよいという説もあるし、そういう意味ではこじんまりまとまっている方なのかもしれない。
一人の姫をめぐった兄弟の戦い、その末裔の山窩族と水狐
...続きを読む族の戦いを背景に鏡葉之助という青年の波乱万丈な運命を描いた話だが、この主人公も内面に善と悪を抱え込んだ人間で、「それでいいのか」と突っ込みたくなることもしばしば。種族と種族の戦いで盛り上がるところも、そんな昔の因縁は忘れて仲良くしろよはた迷惑な、と思ってしまう。伝奇小説には向いてないのかも。
それでも読んでいる間は、次はどうなるのというワクワク感でどんどん読み進んでしまった。豪華絢爛な物語。