久保俊治のレビュー一覧

  • 羆撃ち

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    今年の8月に北海道の羅臼でヒグマに襲われ亡くなった方がいたが、本書に出てくる標津はその近くである。札幌市内でもヒグマの目撃談がある中、他方で外野からは熊を撃ち殺すのは残酷だとか、人間と熊の関係性を改めて問われている。

    対話がないノンフィクションの本。いや、正確には自己対話、自然、犬との対話はあるが、人間同士の対話はほとんどない。その分、狩に集中するその緊張感のひとコマひとコマがまるで熊が踏みしめた雪の軋む音まで聞こえるような静けさと臨場感として伝わってくるのだ。

    狩で生計を立てる男。著者自身の話で、著者は令和の最近まで生きていたが、亡くなった。いつ、熊に殺められても仕方ない覚悟だったと、そ

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    2025年10月04日
  • 羆撃ち

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    山中の香りや湿度、獣の息づかい、火薬と血の匂い。羆猟を追体験する。かっこいい本だ。こんな風に生きられる人間を心から羨ましく思う。
    節目の読書だった。

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    2025年06月11日
  • 羆撃ち久保俊治 狩猟教書

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    "はじめに"からして、名文。
    猟師としての久保俊治氏のこれまでの歩みが余すところなく凝縮された一冊であろうという確信が、既にここで得られる。

    従来の動物図鑑にもある最大公約数的な情報に加え、長年に渡り山を歩き観察し続けた実地経験が重ねられた、リアルな野生動物の生態解説。
    時に机上で語られる通説を否定し、異なる見解を示されるが、おそらくはそれこそが正確な分析なのだろうと思う。

    猟師としての行動哲学は、"人間という特異な存在でありながら、いかに自然の中に違和感なく溶け込むか"、これに尽きる。
    服装や所持品など、具体的な装備面でも、常にその視点が最優先され

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    2022年04月03日
  • 羆撃ち

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    ネタバレ

    いやいやいや。
    これは面白かった。
    久々に一気読み。

    猟だけで暮らしたい。
    そんな作者が
    猟だけで暮らし、
    猟犬を育て、
    アメリカで学び、
    牧場を営む。

    一つの夢を叶え、また次の夢に向かって歩む
    その作者の心意気がとても素敵な作品。
    猟で得た獲物を大切にし、
    綺麗に分けて無駄の出ないよう最大限に生かす姿勢も本当にかっこいい。

    男なら、こんな生活に憧れるんでしょうね。

    でも、それだけでなく、
    アメリカに渡って本場を見、自分の生きていく道を決めたところも人間らしいし、
    もう一頭犬を飼い、その結果自分の甘さに気づき
    深い後悔を背負うところにも
    共感できる作品。

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    2020年12月29日
  • 羆撃ち

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    日本で唯一の羆ハンターである著者の自叙伝。北海道に住み、大学を卒業してから40年間、最初は一人で、数年後からは猟犬「フチ」とともに羆、鹿をはじめとする動物と闘う日々を過ごす。また、狩猟の本場アメリカにも修行に出かけ高い評価を受けている。若い時の著者は専業プロハンターのため、自然動物に近い繊細な感性を持っている。その著者が表現する北海道の大自然の風景、気象状況、動物の動きの描写は絶妙で、犬とともに雪をかき分け羆を追いかける風景がありありと浮かんでくる。マタギと同じく、斃した動物たちに感謝し、皮、肉、内臓に至まで、そのほとんどすべてを無駄にすることなく活用するといった自然とのつきあい方にも感銘を受

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    2018年12月08日
  • 羆撃ち

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    ネタバレ

    幼少の頃から実父に猟の手ほどきを受けた著者は、大学卒業後、猟
    だけで食べていくことを決意して、山での生活を始めます。獲物の
    肉や皮を換金して生計を立てる暮し。ウサギ、キツネ、シカなど何
    でも獲りますが、一番の狙いは羆。著者が目指したのは、タイトル
    の通り「羆撃ち」だったのです。

    一人で山に入った著者は、あらゆる兆候を手がかりに何日もかけて
    獲物を追いつめて行きます。執念深く獲物を追うその行為は、獲物
    を倒すことよりも、獲物と同化することを目指しているかのようで
    す。実際、殺気が出ると獲物に感づかれてしまうため、できるだけ
    獲物のことを考えないようにして、間合いを詰めていくのです。

    獲物が何

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    2013年02月12日
  • 羆撃ち

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    北海道の「本物の」猟師による半生記。
    猟師としてのドキュメントに加え、
    「優れた羆猟犬には一生涯に一度めぐり会えるかどうか」と
    いわれる程難しい、羆猟犬とのエピソード。
    さらにはハンティングの本場アメリカへの
    単身修行記と、ただでさえ魅力的な題材の数々を、
    見事な文章で表現に昇華させている。

    やはり何かに秀でた人の文章というのは
    巧拙をこえて心に迫るものがある。

    久しぶりに良い文章を読んだ、という気がした。

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    2012年08月10日
  • 羆撃ち

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    北海道でプロの猟師だった著者の半生が書かれた本。
    狩猟生活について、作者のの実体験がとても興味深くて新鮮だった。
    探し追いつめていく過程、研ぎすまされていく感覚におどろく。
    その鋭さを持っての観察力と予測はほんとうに見事で感動する。

    大自然を深く知る作者の経験からあふれ出てくるような自然の描写がとても良い。誰かの書評で森の中にいるようだと言っていたそうだけれど、とてもよくわかる。
    そして五感を働かせひたすら目標に向かっていく猟をする作者がうらやましいような憧れるような気持ちになった。

    羆は多くの人にとってはあまり縁がないが、おそるべき自然の驚異だと思う。
    土饅頭のくだりは本当に怖かった。

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    2012年02月24日
  • 羆撃ち

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    北海道にただ一人の熊撃ち(マタギ)
    雪深い山の中で、わずかな兆候を探り
    熊と対峙する主人公は、アイヌのように
    自然を尊ぶ姿勢で好感がもてます
    木々が風にゆれ、小さな雪塊が転がる
    様子が文章から伝わり、kitanoも幼少の
    ころさんざん彷徨った「山」の世界に
    誘われました

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    2012年03月17日
  • 羆撃ち

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    自分の命をみつめるということは
    他者の命もきちんとみつめることなんだと思わされた

    例えそれが獣や草木だとしても、何かの命を奪っていること
    そのことを忘れてただ奪っていては、自らの命さえみつめられない

    自分の命をしっかりみつめられれば、他者のいのちをみつめられる
    そして生態系から外れることはない

    と思った

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    2011年08月31日
  • 羆撃ち

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    小さな頃から父に連れられて猟に出ていた私は
    成人を迎えてすぐに銃のライセンスを取り
    大学卒業後は故郷の北海道でプロの猟師になった。
    雪の中にテントを構えビバークを繰り返しながら
    何日もかけて羆やシカたちを追う。
    猟師になって2年後に猟の方法を掴んだ私は
    猟犬を育てるという夢を実現するため犬探しをし
    生れたばかりの雌の北海道犬、フチと出会った。
    賢く忍耐強いフチはすぐに追い鳴き、止め鳴きを覚え
    頼もしいパートナーとして成長する。
    次にもうひとつの夢、ハンティングの本場アメリカで
    腕試しをするためにプロハンター養成学校への留学を決意する。
    フチを置いていかなければならなかったが
    5週間に及ぶ集中講

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    2010年12月26日
  • 羆撃ち

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    私の親世代

    大学を卒業後
    職業ハンターとなり
    猟だけで生活を送る

    獲るもの、捕らえるもの
    との間には
    一瞬の隙も許さない
    「気」があり

    研ぎ澄まされた感覚をいっぱいに広げ
    全人格で対峙する尊厳
    が必要なのだ

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    2010年12月02日
  • 羆撃ち

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    簡潔な文章で分かりやすく、その類い稀なる経験に圧倒される想いがした。命に対する畏れ、大切さ、そしてフチとの絆、筆者のタンタンとした語りにあふれている。

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    2010年01月04日
  • 羆撃ち

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    大学卒業後、プロのハンターになった若者の半生記。北海道、アメリカンロッキーを駆け巡る。狩猟犬「フチ」との関係が愛おしい。

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    2009年10月04日
  • 羆撃ち

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    2009年4月25日 初版弟1刷発行(5月中に増刷決定)

    うまく文字にできず、読後ずいぶんたってしまった。
    理由は二つ。ひとを食うヒグマの恐ろしさに怯えたことと、作者の文章がうますぎること。
    ノンフィクションなのに小説を読むように感じてしまったからだ。

    熊は世界では7種いて日本にはツキノワグマとヒグマ。ヒグマのほうが大きくて獰猛。
    ディズニーの黄色いクマのプーさんは7種にはいっていない。

    タイトルの「羆」はヒグマと読む。
    吉村昭氏に「熊撃ち」という同タイトルのノンフィクションがあるので、あえて羆(ひぐま)という漢字を使ったのかもしれない。北海道のクマはヒグマだから、羆撃ちなのかもしれない

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    2009年10月07日
  • 羆撃ち

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    「くまうち」を読んでいると思っていて,よくよく見ると「ひぐまうち」:1947年生まれの現在は牧場主兼羆撃ち猟師でローマ字を読んで「くまうち」と読ませると再認識〜小樽に生まれ,銃猟が好きだった父の影響で大学生の時に免許を取り,山での暮らしを選択した。小樽周辺では鹿を撃ち,標津に羆が出没すると聞いて勇んで行く。アイヌ犬のフツを手に入れて,訓練を施してからは楽になったが,犬と離れるのは引き裂かれる思いだが,アメリカのハンタースクールで,優秀な成績を残して,ガイドの資格と仕事を得たが,戻る約束をしてビザが切れて北海道に帰ると,犬と共に獲物を求めるのが本当の猟師の姿だと認識を新たにし,標津に空き牧場があ

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    2012年02月21日
  • 羆撃ち

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    昨今、熊の出没が多発し様々な被害が伝えられている所(熊多発出没県)で生活している自分であるが、久保氏の熊と対峙するハンターしてのビリビリとした緊張感から、自然との距離の取り方・味方につけさせ方等々を考えさせられた気がする。自分のいまの生活とはかけ離れている久保氏の狩猟人生ではあるが、自分中に眠っていただろう動物的な喜びや何ともいえない爽快感を感じる瞬間があった。

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    2025年12月03日
  • 羆撃ち久保俊治 狩猟教書

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    半分は狩猟など山の恵みをいただくための実用書。
    もう半分は著者の考え方、生き方をまとめた哲学書。
    山で感覚を磨いた者にしか理解出来ないであろう、感覚的な内容も多いが、それも込みで本書の魅力と感じた。
    街中に住む人がすぐに役立つ、ためになるような本ではないが、物事の考え方の幅を広げる本であった。

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    2021年05月05日
  • 羆撃ち

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    実話である、ということが更に感動します。フチというアイヌ犬との出会い、羆を倒すその1点にかけて過ごす日々。自然への畏敬、自然の一部としての自分。今となっては望むべくもありませんが、あこがれの生き方です。

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    2013年03月28日
  • 羆撃ち

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    長年にわたり羆撃ちとして活躍してきた作者の狩猟生活の記録。
    北海道での数々の狩猟やアメリカでの修行、そして猟犬との生活について記されています。
    作者の純粋な狩猟者としての、狩猟や生命との向き合い方を知ることができ、深く考えさせられる内容になっています。

    ちょっと長いですが、読みやすく非常に面白い本です。自分なりの生命との向き合い方を狩猟の中で見つけたい、と強く思わせてくれる素晴らしい一冊でした。(三井)

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    2011年10月04日