久田恵のレビュー一覧
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家族のドタバタ劇が期待以上に面白かった。
母は子供や自分の祖母や弟の、祖母は娘や孫の。孫は夫や婚家や実家の。
みんな誰かの家族を巻き込み巻き込まれ、家族って本当に濃くて面倒だなーと思うが、その顔がニヤニヤしてしまう。
娘は母とやり合って、母を一度ボロ雑巾のようにするものだというくだりと、
男って必要なことも家族に話さないというくだりに深く同意。
自分の家族を顧みて、私も我が家のドタバタの主役の1人じゃん!と気づく。ドタバタを初めて前向きに捉えられた気がする。
年末年始恒例の、義理実家・我が家が、義理姉一家に振り回される件がなんだか楽しみになってきた?! -
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小説は久しぶりだった。小説は読みやすいかそうでないかが顕著に表れる。書き手の傾向とか読み手の読解力にも関係する。この小説について言えば前者!非常に読みやすかった。疾走するように読めた。面白い2時間ドラマのようだった。読んでいて情景が浮かぶ。主人公のキャラクターに負うところもあるが、やはり作者の力量だろう。主人公は59歳の主婦「悦子」さんを中心に、定年間近の夫65歳、シングルマザーの娘、バラサイトの息子の4人家族。ほかに一人暮らしの老母に年下の恋人、最近離婚してきた57歳の弟が織りなす物語だ。
普通の家庭、どこにでもいるような家族に訪れるリアルな波乱の日々、深刻なのになぜか笑える「こういうことっ -
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「面白かった!」というのが素直な最初の感想。初めての作家さんだったし、失礼な言い方をすれば「あまり期待していなかった」だけに余計に楽しめたように思う(変な期待を抱いてガッカリということがないので)。まあ、ツッコむとすればタイトルと違うよね!っていう。タイトルからは「悦子さん」に何かあったのかと読み取れるけれど、どちらかと言えば母、弟、夫、娘、息子と周りの人に様々な出来事が起きて、「悦子さんが予期できないような日々」が展開されている・・・むしろ、悦子さんは蚊帳の外っていう(笑)まあ、ある意味それも予期せぬ日々なのか・・・。楽しく読み終えたのをなんやかと説明されたくなかったので解説までは読みません
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70歳を過ぎたシングルマザーのカヤノが、終の住処と決めたのは過疎地の高齢者住宅「サ高住」。
老親介護をしている間に子ども二人は自立して家を出て行ったものの、介護の末に見送った両親のあとにひとり暮らしして10年。
フリーターの38歳の息子が同居するようになり、その後42歳の娘まで実家に戻ってくる。
実家に住むにあたり家賃・光熱費も分担して支払うというので、それと年金とで自由を生きる権利を得たカヤノが手に入れたのが「サ高住」なのだ。
自由で何にも縛られずに好きに生きていけるというのは理想的だ。
時折、子どものことでちょっと心配するときもあるのだが、そうは言っても子どもたちもそれなりの年齢。
い -
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福祉事務所で生活保護の給付を担当する、ケースワーカーの人々の苦悩を書いたノンフィクション。単行本は1994年発行なので、ちょうど20年前に書かれた本。
嘘をついたり、酒におぼれてたり、暴れたりと、一筋縄ではいかない人達を相手にする大変さは、想像するにあまりある。かなり過酷な仕事で、従事されてる方たちには頭が下がる思いがした。
何か事件があるごとに、大して実情を調べもせず福祉事務所をたたくマスコミのどうしようもなさも、とても印象深かった。ほとんどの人たちは、情報を鵜呑みにして本質を知ろうとしない。 マスコミを疑う気持ちはとても大切だと思う。
普段触れる事のないケースワーカーの仕事を知れる、 -
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この本が出版されたのは1994年。とても福祉事務所のケースワーカーをケースワーカーの視点から考察する本は、当時としては特に珍しかったのではないかと思います。
完全ノンフィクションではなくて、細かいやり取りや心情などは、ところどころ筆者のフィクションが混じっているのだと思います。それでも、当時も今も数少ないタイプの本なので、貴重です。
ちょっと前のケースワーカーは結構大胆なことをやっていたんだなぁと思いました。保護費の日割り渡しなんて、今やったら確実に問題になりますしね。それに、ケースの人とパーティーするとか、にわかには考え難い。でも、それをそれなりに情熱を持って取り組んでいた人たちが、確 -
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ネタバレ人生は自分の思う通りにはならない。
どちらかというと、巻き込まれる形で進んでいく。
自分が30代に入り、家族・親戚の中で、病気する人・亡くなる人・新しい家族が生まれた人・お金がなくなった人・社会復帰して仕事を始めた人などなど、いろんな人生の分岐点が生まれるようになった。
さらには、ひとつの出来事がきっかけとなっていろいろな人の人生が連動して動き出すのを目の当たりにしていたので、本作の「母さん、人生って勝手に展開していくのね。…」(p179)という一言がとても刺さった。
親戚まわりのやり取りって面倒だなぁと思うことも多いけど、誰かの一大事の時にこんな風にみんなで団結していけるのはちょっとうら