薮中三十二のレビュー一覧
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六カ国協議の日本代表をとりまとめたアジア大洋州局長であり,最終的には外務事務次官であった藪中氏。
その外交の実質トップが退任してすぐに書く外交の本なのだから,おもしろくないはずがない。
普段,「外務省は・・・」と否定的に捉えることが多かったが,その外務省が実はどのように活躍していたか,活躍していなかったかがわかった。国際政治のバランスのようなものも感じ取ることができる。おもしろい。
日本的外交は非常に敏感。例えば,オバマ大統領の一般教書演説に日本の名前が出るかどうかなどは,本来,日本としてはそれほど気にする必要がない事項。にもかかわらず,とくにマスコミが先導して,相手の反応を過大に感じ取りすぎ -
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元外務事務次官の藪中さんの実録。
外交、という交渉事の最上級ステージをどのようにとりしきるか、については自信の経験をもとに非常に示唆にとんだ解説だった。国家を背負っている立場から、最初は高めのたまを投げる。その上で各省の実情を把握して振り幅を決めて、最終的に60vs40になるように交渉をすすめる。このへんのノウハウは日常にも活かせるものだろう。
それと、非常に共感したのが日本における最大の問題はデモグラフィー(人口動態)であるということ。少子高齢化、というが高齢化はよい、世界に誇って良い。少子化、がまずい。労働力人口の減少は、どんなすばらしい経済成長にも変えられない。これを止めるためには、出生 -
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小泉政権時に外務省の事務次官を担当した薮中氏の著書。元官僚が政治や現役官僚をバッシングするような今はやりの内容ではなく、外交交渉における交渉のポイントを平易な言葉で現実の案件を例示しながら記している。非常に読みやすい。
元事務次官ということで外交関係の秘密や暴露は一切なし。ポイントも外交交渉において求められる人間と人間の関係とは、ということを中心に書かれているので具体的な事案の内容を知りたい読者には物足りないと思う。その意味で記録ではなく、ビジネススキルに近い内容である。
しかし、本書を読むと、外交とは国のエゴのぶつかりあいだとか、政治家のパフォーマンスだとか昨今いわれるが、そうではなく、自国 -
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良く言われる話であるが、日本は欧米という目標に追いついた後、方向性を見失った。著者の言葉「日本人は、戦後、何はともわれアメリカの言うとおりにしよう。それが間違いの無い道だ。という単純な思考パターンになったのではないか。」 外交の交渉担当のトップでもあった氏は、日本の政治家/官僚は米国の要求をいかに応えるか、のみに神経と思考を巡らし、どのように相手を攻撃(オフェンス)するかの思考が欠けている述べている。
外交に限らず、仕事でも顧客様の要求に如何に応えるかが大事なポイントであることが多い。しかし、この思考パターンは、極めて日本的であるのだろう。ビジネスであれ、外交であれ相互依存関係が必ず成立する。 -
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日本の国際貢献の在り方について、光を投げ掛ける書。
自衛隊派遣でもなくお金だけでもない、世界的にも評価されている日本外交の一側面を、もっと報道してほしいと思いました。
少子化については、フランスで出生率を2以上に押し上げた政策を挙げながら、外国人労働者受け入れ体制の強化もうたう。うーん?と思わせて、その心は、語学教育などのサポートや安定した地位の確立によって、外国人による社会問題を防ぐことにある。(国内では介護は賄えないとのご意見)
若者の内向きについては、留学生の少なさを挙げ(が、人口に対する割合は同程度だし、今に始まった話だろうか?)発言の少なさを嘆く(恥の文化もあるが、欧米のように子