ヨハン・テオリンのレビュー一覧

  • 夏に凍える舟

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    北欧スウェーデン、エーランド島の四季四部作の四作目。最終巻。
    夏のエーランド島はスウェーデン各地から避暑客が訪れ、リゾート地と化す。
    夏のエーランド島に君臨する、リゾートホテルを経営するクロス一族と、様々な想いと因縁を抱いてエーランド島に集う人々。

    照りつける陽光の中に、厳寒の旧ソビエト連邦の話が入り組む。
    スターリンの粛清の恐ろしさに震えた後の真夏のエーランド島。
    心の気温変化が激しいのよ・・・。

    これまでの三作と違って伝説の生物や幻想的な某が出ては来ないが、これでもっての最終巻!
    しめくくりに相応しい傑作だった。

    ああ、終わっちゃった・・・読みおわっちゃった・・・
    このシリーズ、おも

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    2025年03月14日
  • 赤く微笑む春

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    北欧スウェーデン、エーランド島の四季四部作の三作目。
    エーランド島に春が来る。
    やっぱり家がいいと老人ホームから戻って来たイェルロフ。
    シングルファザーファミリーのペール・メルネルと双子たち。
    共依存夫婦のヴェンデラ・ラーションとマックス・ラーション。

    物語はシングルファザー、ペールにセックス産業を生業としていたペールの父から「迎えに来てくれ」と電話が来ることから動き出す。
    前作の冬はオカルト(死者・霊)で寂とした気持ちの悪い雰囲気だったのだが、今作はエルフやトロール、ヴァルプルギスの夜が幻想的かつ神秘的で、エーランド島の春の訪れを見ることができる。

    そして「性に奔放な国スウェーデン」のイ

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    2025年01月27日
  • 赤く微笑む春

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    ネタバレ

    エールランド島4部作もいよいよ3作目。長い冬を終え、春に突入…とはいえ、あったかポカポカ気持ち良い弛緩といかないところが、ヨハン・テオリンの作品。

    本作の主人公は2人、元ポルノ映画製作者、現在認知症を患う父と重篤なガン患者の娘を持つ、若干冴えない男ペール。
    もう一人は、元エールランド島の住人で、強圧的な夫に振りまわされて心が疲れている婦人ヴェンデラ。

    二人がエールランド島、シリーズ通しての主人公イェルロフ(83歳になり死に場所を求めて老人ホームを自発的に退所する)の近所に越してきたところから物語がギシギシと動き出す。氷河が溶けだして河口へ向かうように、ジワジワとでも確実に。

    今回も全2作

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    2020年03月21日
  • 冬の灯台が語るとき

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    ネタバレ

    なんとも、地っ味ぃ~な話(笑)
    もちろん誉め言葉。それも最大限!

    北欧ミステリーは前に何冊か読んだけど、どれもイマイチで。
    読んでる時はそこそこ面白いんだけど、読み終わった途端「あぁー、つまんなかった」と、なぜか口から出ちゃう昨今のハリウッド映画みたいだなーと、すっかり敬遠していたのだが、これは逆転満塁ホームランだった。
    とにかく地っ味ぃ~に、少しずつ少しずつ話が進んでいくところがよかったんだろうなぁー。
    最期の「なんだよ、それ?」的な明後日の方から飛んでくるような変化球が全然気にならないくらい、というより世の中の事件なんてまぁそんなもんだよなぁーと思えるのは、やっぱり地味なストーリーの一つ

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    2019年04月28日
  • 黄昏に眠る秋

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    スウェーデンの新鋭のデビュー作。
    哀切という言葉が似合う傑作です。

    20数年前、霧深いエーランド島の平原で、イェンスという5歳の男の子が行方不明になった。
    母のユリアは立ち直れないまま。
    少年の祖父イェルロフは元船長だが80歳を過ぎ、老人ホームに入っている。
    その父からユリアに電話があり、イェンスが当時履いていたらしいサンダルが送りつけられてきたという。
    今頃、誰が何のために‥?
    あれ以来、ユリアは父と疎遠になり、父さんと呼ぶこともなくなっていた。
    だが父が気になっている手がかりを追って、二人は島で聞き込みを始める。
    疑いをかけられた一人のニルス・カントは、事件当時既に死んでいるはずだった‥

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    2015年01月24日
  • 赤く微笑む春

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    エーランド島シリーズ第3弾。『冬の灯台が語るとき』の存在を忘れていて飛ばして読んでしまったけど、独立したストーリーなので問題なし。

    病気の娘と、放蕩を尽した末、年老いた父親というふたつの悩みを抱えた男と、横暴な夫を持つ女という二つのストーリーが絡む展開。

    事件そのものは少々とっちらかった印象だが、背景に漂う諦観と微かな喜びが物語に深みを与えていて、とてもよかった。

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    2013年08月30日
  • 黄昏に眠る秋

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    北欧ミステリの、これは傑作と呼んでいいのではなかろうか。派手なアクションもないし、大いなる陰謀もなく、かっこいい刑事も美人助手も出て来ない。事件にかかわった人びとの人生を丁寧に、哀切に描いて行く。ミステリのくくりで終わってしまうのはちょっと勿体ないくらい。おじいちゃんのイェロフがかっこよすぎです。

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    2013年07月21日
  • 黄昏に眠る秋

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    スウェーデン エーランド島が舞台
    約20年前の少年失踪事件を解決しようとする母親と祖父
    事件を調査する内に30年程前に死んだ男が実は生きていた…?
    調査パートと死んだ男の過去パートが交互に書かれ真相が判明するタイプのミステリー。

    ・感想
    息子が行方不明になってから立ち直れないままのユリアと、老人ホームに入り手足も満足に動かせないイェルロフが探偵役。
    舞台となる場所(霧深い閑村)や季節(秋冬)、登場人物も老人ばかりなので展開も遅め。
    終始物静かで寒々しい印象があるけどエピローグでは事件解決とともに囚われていた彼らの苦しみが昇華されて、それが季節が春になり霧が晴れる事で描写されていい

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    2024年03月02日
  • 冬の灯台が語るとき

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    エーランド島シリーズ2作目。
    エーランド島東北部、ウナギ岬にある19世紀に建てられた灯台守の屋敷が舞台。
    屋敷に越してきたヴェスティン一家に起こった事件とそこで暮らしてきた人々の歴史、幽霊話と追悼と思い出話が本筋。
    そこに空き巣三人組とエーランド島に赴任してきた新人女性警官の3組のエピソードが交錯し後半で収束していく。

    ・感想
    ミステリー要素はメインではなく、厳しい環境の中人々の営みを支え続けてきた屋敷とその土地で過去生きていた人々、そして現在生きている人々の苦悩や自然への畏怖が描かれてた。
    屋敷に刻まれた悲しみの記憶とそこに生きていた人々に想いを馳せ、そして連綿と続き交差してき

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    2024年02月23日
  • 赤く微笑む春

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    ネタバレ

    エーランド島4部作の3作目。

    高齢者施設で過ごす元船長でシリーズ主人公のイェルロフが、友人の死をきっかけに自身の死期も遠くないことを正面から受け止め、施設を退所し、かつての自分のコテージで余生を過ごす決意をするところに始まる。
    コテージの周辺は、いまや春、夏の暖かい季節だけ都会から人が訪れる別荘村の様相となっており、定住する者はほとんどいない。

    数少ない定住者の一人がかつての仕事仲間ヨン・ハーグマン。
    そこに加わる、新たな都会からの隣人達。
    ペールは、イェルロフのかつての友人で石工のエルンストの甥にあたり、石切り場の縁に立つコテージを相続し、この春は別れた妻との間の双子の息子、娘達と余暇を

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    2023年07月22日
  • 黄昏に眠る秋

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    スウェーデンの作家「ヨハン・テオリン」の長篇ミステリ作品『黄昏に眠る秋(原題:Skumtimmen、英題:Echoes from the Dead (The Oland Quartet))』を読みました。

    「ヨナス・ヨナソン」、「ミカエル・ヨート」と「ハンス・ローセンフェルト」の共著に続き、スウェーデン作家の作品です… 北欧ミステリが続いています。

    -----story-------------
    行方不明の少年を探す母がたどりついた真相とは。
    北欧の新鋭による傑作感動ミステリ!

    霧深いスウェーデンのエーランド島で、幼い少年が消えた。
    母「ユリア」をはじめ、残された家族は自分を責めながら生

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    2023年04月07日
  • 夏に凍える舟

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    エ-ランド島に行って見たくなります。
    情景描写が緻密で、作品の中に入り込んでしまいました。

    話は独立しているけれど、1作目から読むのをお勧めしますよ。

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    2023年03月14日
  • 夏に凍える舟

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    エーランド島最終章。
    犯人は20世紀初頭、義父と真天地を求めてソビエトに発った老人だ。極寒のシベリアや暗いKGB時代と、夏の賑わいをみせるリゾート地での出来事が交互に語られる。イエルロフの鋭くも愛のある眼差しが、事件を少しずつ紐解いてゆく。

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    2022年05月05日
  • 黄昏に眠る秋

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    スウェーデン、エーランド島で霧の深いある日、少年が行方不明となる。祖父である元船長のイェルロフが事件の謎を解く。高齢の祖父のゆったりとした時間の流れとエーランド島の自然がマッチし、物語が丁寧に進められて行く。終盤は悲しい結末へと向かうが、イェルロフの覚悟と落ち着きと共に、静かに受容できる境地となる。

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    2022年03月08日
  • 夏に凍える舟

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    何か読んだことがあると思ったら、シリーズ作で2作品を読んでいた。ミステリー度もあるが、かつての北欧が関わった歴史をよくしることが出来たし、年老いた人間の心情にも深く触れた。スターリンの恐怖政治、知ることが出来た。

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    2021年09月29日
  • 夏に凍える舟

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    エーランド島ミステリー四部作の最終話「夏」

    シリーズ中最も賑やかなエーランド島で、舞台となるリゾート地もにぎやか。

    対照的に描かれるのは、20世紀に出現した「ソビエト連邦」という国の内情。
    希望と絶望の果てにひたすら「帰る」ことを夢見てきた一人の男の物語は、シリーズ中最も重い。
    あんなに強大だったのに既に歴史地図にしか載らない「過去の国」。
    でも、そこで行われた史実は、関わった人の記憶と共に生きている。

    人にとって「帰るべき所」とはなんだろう。
    終盤で、エーランド島から離れる船を前に娘は「父さん帰ろう」と言う。父にとっては「帰ってきた」場所から再び離れることになるのに……。

    ラスト、イ

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    2021年08月23日
  • 赤く微笑む春

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    エーランド島四部作「春」を読む。

    「春」は「過去に残したもの」

    石切場の小屋を相続したペール。彼が「過去から確執のあった父親の周りで起こる事件」を追うのが、今回の主要線。その他に「現在抱えるペールの家族の問題」「新たな隣人ヴェンデルの過去」「イェスロフの妻の残した日記」の四つの物語が程よい章分けで淡々と語られる。

    「春」になり、荒涼とした石灰台地にも草木や花が色めき、鳥は朗らかに囀る。
    人々は外に出て楽しみ、冬は次第に影を潜めていく。
    ただ……春霞に覆われて焦点の定まらないアンニュイな状態は、どことなく不安を募らせる。

    新緑の中の不思議な場所とエルフの気配
    誰もいなくなった白い石切場と

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    2021年04月22日
  • 夏に凍える舟

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    ネタバレ

    エーランド島四部作完結編(うっかり三作目を飛ばしてしまった。。)。

    老齢探偵イェルロフの遠い昔、少年時代の恐怖体験に始まり、現代の少年の幽霊船との遭遇、意味深な男のきなくさい帰郷。
    序盤は物語がどこへ向かっているのかわからず、遅々とした展開。

    次第に動き出す物語にいつしか引き込まれている自分に気づく。スウェーデンとロシアの関係性、大戦中の悲劇を重低音として現代で繰り広げられる復讐劇。
    帰郷した男アーロンの人生を時間をかけて振り返り、人物像を積み上げていく過程が肝と感じた。

    ちょっと地味だけど、どこか没入させられる静かな典型的な北欧ミステリ。
    嫌いじゃないです。

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    2020年11月01日
  • 赤く微笑む春

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    エーランド島シリーズの3作目。
    季節は春になりつつあるが、北欧の寒くて寂しい雰囲気は健在。
    この舞台設定とトロールやエルフの言い伝えが非常に合っていて良い!本を読んだだけでその国の空気感を味わえるのは楽しい。
    イェルロフおじいちゃんが強い。

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    2019年01月24日
  • 赤く微笑む春

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    厳しい気候と荒涼とした海岸、さびれた村を思わせるエーランド島を舞台に、人生の冬を迎える元船長イェルロフが謎を解くシリーズ。

    過去と現在を交合に織り交ぜて、伏線をたくさん張り巡らし見事に回収。エルフやトロルなど 北欧ならではの土着的な香りがして、どこの外国でもない
    北欧のミステリーを読んでいるのだという実感がずっと感じられた。

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    2018年07月13日