エリック・ブリニョルフソンのレビュー一覧
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テクノロジーは雇用を破壊する。
コンピューターは雇用に影響を与えず、近年低迷しているのではないか、と言われていたが、むしろ逆だ。発展が早すぎて人類が進化に追いつけていない。
コンピューターの発展は雇用体系を大きく変え、失業を起こしている。
労働力を節約する手段が、その労働力の新たな活用先を見つけるペースを上回ることで、失業率が高くなっている。
技術の発展の恩恵は存在がするが、誰もが技術の恩恵にあずかれるという保証はどこにもない。むしろ大半の人が恩恵を得られるかどうかという法則すら存在しない。
現にアメリカの平均賃金に変化はなくとも、中央値は下がっている。テクノロジーの発展により格差が広がり、富めるものは富み、貧しきものはより貧しくなる。
富めるものと貧しきものの差は何かが言及されている。
・スキルの高い労働者 ↔︎ スキルの低い労働者
これからの時代を生きぬくにはSTEAM ( Science , Technology , Engineering, Art , Mathematics )らしい。
仕事を奪われると嘆く人は、コンピューターにもできる仕事しかしていない。
・スーパースター ↔︎ 一般人
コンピューターの発展により誰でも世界に発信できることや、様々なもののコピー可能なことが大きな影響を与えている。
現在 ( 2007) の アメリカの0.01%の人間が、アメリカの6%の資産を持っている。
・投資家 ↔︎ 労働者
労働者は機械に変わるが、投資家は変わらない。投資家は労働者の賃金ではなく機械に投資するようになる。
これから我々はどうするべきか、筆者は提案している
・教育
1.とりあえず先生の報酬を増やし、よりよい人材にとって訴求力の高いものとす2.る。
2.教師の終身在職権を剥奪し、裁量制とする。
3.学生の指導と、試験・資格認定を切り離す。学校は学生の募集や評判や社会的地位向上を考えるのでなく、教育を重視するべき。
4.義務教育の時間を増やす。(そして経営学やプログラミングなどを学ぶ)
5.スキルを持つ移民の積極的な受け入れ行う。
・企業家精神
6.全ての高等機関で企業と経営の基礎を教え、起業家層を育成する
7.起業家ビザを作り、企業家精神の発展に努める
8.起業の手間を簡略化。意見交換の場も揃える。
投資
9.通信、輸送インフラの強化に投資する(アメリカはインフラが弱いらしい)
10.基礎研究や、政府の重要な研究機関への予算を増やし、無形資産や組織改革を新たな研究対象に設置する。
法規制
11.労働市場の流動性を保つ。解雇が処罰されるとなれば、企業にとっては雇うことがリスクになる。
12.技術の導入より人間の雇用の方が相対的な魅力になるような状況を作り出す(これは雇用の観点なので、僕としては懐疑的である)
13.福利厚生と企業を切り離し、市場の流動性を高める。医療保険やその他の福利厚生が雇用に義務付けられていると、転職や起業がしづらくなる。企業を考えていても、医療保険がなくなるかと思うと踏み切れないように。
14.新しいネットワークの規制はゆっくり行う。実験段階の、とりわけ新しいプラットフォーム作りに関しては、最大限試行錯誤や実験ができるようにするべき。
16.金融サービスに対して供給されている補助金を削減する。「金融機関が大きすぎて潰せない」と政府に存続を保障されることで、金融サービスに多くの優秀な人材とテクノロジーが吸われてしまう。
17.特許制度を改革し、審査官を増やす。
18.著作権の保護期間は伸ばすべきではない。新しいアイディアは既存のアイディアの掛け合わせで生まれるから。
日本はアメリカを目指してすらいないが
日本より教育が進んでるとされているアメリカでも、教育に関して問われているのだ。今こそ改革の時、ということなのだろう。 -
Posted by ブクログ
蒸気機関の登場がザ・ファースト・マシン・エイジであり、まさに訪れようとするシンギュラリティがザ・セカンド・マシン・エイジである。冒頭のグーグルカーのくだり、GDPの形骸化の指摘は視座に富む。
しかし後半の提言は意外に基本に忠実で現実的なもの。経済学の王道をゆくものだ。ベーシックインカムに対する労働の真価の議論は興味深いながらも、未知の時代の対応策がこれでよいのか、多少の疑問は残る。
どういった時代が訪れるのか概観する中盤まではよく現状がまとめられている。その答えは、筆者は一つの考え方を提示しているものの、我々自身がこれから模索していくことになるのだろう。 -
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人工知能の実用化など、IT革命が”シンギュラリティ”に入りつつある今日を、18世紀の産業革命に続く「第二機械時代」と位置づけ、そこに内在する”機会と脅威”を解き明かした一冊。
「第二機械時代」では、「ムーアの法則」に従って指数関数的に進化するコンピュータ技術と、低コストで無限に複製可能なデジタル技術がネットワークを通じて融合し、これまでにない高度で多様な組み合わせ型イノベーションが生み出され、社会に新たな価値をもたらすが、それらは情報経済や非貨幣経済といった従来のGDPだけでは捉えきれない動きでもあり、また高スキル労働者や資本家などに富が集中する「勝者総取り」によって、格差を助長する構造を孕んでいるという。
組織が自動化できる仕事を全て機械に任せた後の個人は、豊かな発想力やパターン認識、複雑なコミュニケーションといった人間固有の能力を活かして「機械と共存する」ことが求められる。同時に税制や教育によって格差拡大を防止することも重要であり、様々な政策が提言される。前著「機械との競争」と同様、著者の目線は基本的に「楽観論」であるが、そのための”条件”は厳しい。「運命を決めるのはテクノロジーではない、私たちだ」という結びの一文が、重たく響く。 -
Posted by ブクログ
『とくに注目すべきは、従来人間にしかできないとされてきた知的な仕事をデジタル技術がこなし始めたことである。
汎用コンピューターは、労働人口のうち情報処理的な仕事に携わる60%に直接的影響をおよぼすだけでなく、残りの40%も次第に侵食しつつある。
チェス盤の残り半分を進むにつれて、テクノロジーのパワーは倍々ゲームで強化され、その用途は飛躍的に拡大し、職業や雇用に影響を与えずにはおかない。
したがって、スキルの面でも、社会制度や産業の面でも、遅れを取り戻すべく努力しなければならない。さもないと、この先もっと多くの労働者がテクノロジー失業に直面することになるだろう。』
簡潔で分かりやすい問題提起的な作品。
我々としては、機械で出来ることは最大限機械で行って、機械では出来ない部分をいかに強みとして人間に働いてもらうのかを真剣に考えることが大事なんだろうなぁ〜。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「機械との競争」とほぼ同じ内容ではあるが大幅に加筆されており読みやすい。読むべき価値のある本だし、今選ぶならこちらだろう。
・産業革命は機械の力を生産に利用するためのファーストマシンエイジの幕開けであった。今、時代はセカントマシンエイジの入り口にある。
セカンドマシンエイジには指数関数的な高性能化、デジタル化、組み合わせ型イノベーションという特徴がある。
指数関数的な高性能化はムーアの法則に代表されるが、CPUのみならず記憶装置やネットワークなど全てがそう。これまでこのような増加を続けた分野はない(飛行機の速度や小麦の収穫量などが18ヶ月ごとに倍になることはなかった)。イノベーションは全く新しいことを発明するのでなく、既存のものの新しい組み合わせであるが、デジタル化はこれを容易にする。
・今後は物的資本を蓄積してきたもの(資本家)、人的資本を蓄積してきたもの(高スキルの労働者)、スーパースター(特別な才能に恵まれたもの)に勝ちがかたよる
・定型的な仕事は機械にとってかわられるだろう。非定型な仕事は肉体労働も非肉体労働も今後とも需要は堅調だろう。ただし、非定型な仕事であったも介護職や庭師など肉体労働の分野には機械に職を奪われた層が移動してくる。そのため、人間同士の争いが熾烈になる。
・これまでの市場では輸送コストや供給面の制約から、最高の商品といえども市場の一部しか満足させられなかったが、デジタル化により複製が容易になったため、セカンドベストはお呼びでなくなった。価格も大幅に下るため「ちょっと質は落ちるが安い」という手も使えなくなる。ベストの者が限りなくゼロに近い限界費用を活かし、勝者総取りになるの傾向が強まった。ネットワーク化もこれに拍車をかけている。フェイスブックを使っている人が多ければ、新しくSNSを始める人もフェイスブックを選ぶ。
・世の中の所得分布はこれまでのように正規分布から外れてきて、べき分布になっている。とりわけ高所得層の世界はべき分布によく当てはまる。正規分布の時代には少しでも能力差があれば、少しでも給与の違いとして反映されたが、べき分布の時代には教育だけで違いを生み出すことはできない。
機械が高度に発展した時代には、必ずしも人間が仕事をする必要はないのかもしれない。と、いうことでベーシック・インカムについても検討されているが、これはヴォルテールのことばにある「労働は、人間を人生の三悪、すなわち退屈、悪徳、困窮から救ってくれる」という中の困窮には効果があるが、他には効き目がない。おそれくこれは人間を怠惰にし、治安を悪くさせるだろう、ということで負の所得税が勧められている。 -
Posted by ブクログ
MIT教授らによる、IT革命がもたらした"影"の部分、すなわち雇用喪失や格差拡大といった、社会に対する「負の影響」のマクロ経済的な分析と、それらの課題に対する提言をまとめた一冊。
過去の産業革命では、蒸気機関等の革命的技術が衰退産業を上回る規模の雇用を創出したため、失業が社会問題化することはなかったが、「ムーアの法則」に象徴される今日の技術革新スピードは速すぎて人や組織が着いていけず、「雇用喪失>雇用創出」の状態に陥っており、格差を助長する要因にもなっているという。
この状況を打開するには「技術を味方につける」ための組織革新や人的投資が不可欠であるとして、「新たな組み合わせによるイノベーション」を、足し算ではなく"かけ算"で行うことができる組織・人材開発の必要性を主張する後半は「フリー」以降の文脈にも通じており、「ITによって仕事が奪われる」という危機感を逆に原動力にして、前向きに未来を切り開こうという"楽観論"は納得感が高い。