A.J.ジェイコブズのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは、ユダヤ人だけどほとんどユダヤ人らしく育たなかったリベラルなニューヨーカーのライターが、聖書に書いてあることを実践していく体験本である。
本書にあるように、聖書とか宗教って知りたいけど近づきすぎたら怖い感じだ。
宗教に異常にはまっちゃって、誰でも彼でも勧誘するようになっちゃったらちょっといやだと考える著者の感覚はよくわかる。
その聖書を言葉通りに実践しようとするのだが、現代のニューヨークという最も進んだ都市では困難がいっぱいだ。聖書に書かれる無理難題をゲームのようにクリアしている様子はとても面白い。
興味深かったのは、かなり保守的な人たちへのインタビューだ。
たとえば、進化論を信じず、聖書の創世記をそのまま信じ、博物館を作っている人たちが、一方では、人種差別をしないというのは意外だった。神は人間を作っただけだから人種の優劣などはないのだというのだ。
そういえば、進化論って確かに優性劣性という考え方も持ち込んだといえることに気づかされる。
また、過激な発言でしられる宗教家の教会に行ってみても、その日は特に過激な発言はなく、ありきたりな説教を聞かされるだけだったりして拍子抜けしたりしている。
著者は、自分と相容れないだれかを聖書や宗教を理由に否定する考えに、嫌悪を示しながら、一方で、先入観で保守的な人々をとらえていた自分の考えと、議論が巻き起こっていること(同性愛とか)以外のところでは、同じような考えをもっていることを知って驚きをみせ、読者(多分著者と同じようなリベラルな人が多い)もその驚きを同じようにうけるようにしている。
好きなシーンは、ユダヤ教のお祭りをやってみて、そこに招いた親戚が、自分の子供の頃のそのお祭りのことを書いてきて、朗読するシーンだ。お母さんが大きな魚を買ってきて、浴槽に入れ、お祭りのときに調理して、一族みんなで食べるのだ。
その祭りには宗教心はもちろんあるが、基盤には、家族であったり母親であったり人と人との結びつきが描かれている。ユダヤ教徒でない私も懐かしい気持ちをもつし、暖かい心になる。
宗教がクローズアップされるが、現代社会では、本当は、著者のように宗教から遠ざかっている人のほうが増加しているのではないだろうか。
だから宗教に基づいて何か言われると、違和感をもったり怖かったり、狂信的だと思ってしまうのだろう。昔はもっと宗教は身近で、よく信じている人もそうでない人も、自分はどう信じるのかを考えていた。
今は、前よりも、先入観をもって判断するだけになってしまい、信じる人の言い分と自分たちとは相容れないものとしてすましてしまうのではないだろうか。
信じない側の人も、まずは、著者のように訪れてみる、聞いてみることをしてみると、本当の危険や相容れないものとをつかむきっかけになるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
文藝春秋でみつけて、この本を購入。
A・Jは、世俗的なユダヤ教徒で、奥さんと一人の子持ち。ジャーナリストで本をだすネタとして、旧約新約聖書の教えてをまもって生活して、その日記で一冊の本を書いた。
聖書のどっかにひげを切ってはいけないとかいてあるらしく、その顔がひげに覆われていく写真が一こまずつのっている。
それだけでもおかしい。しかし著者はしごくまじめに悩みながら旧約、新約聖書のきまりをまもろうと努める。
でも、だんだん著者が敬虔な思想の持ち主にかわっていくプロセスがみえておもしろい。また、著者が納得していく聖書の言葉は、よんでいて自分も納得できる。
①コヘレトの言葉の第六章第二節「短く空しい人生の日々を、影のように過ごす人間にとって、幸福とは何かを誰が知ろう。人間、その一生の後はどうなるのか教えてくれるものは、太陽の下にはいない。」(p412)
②個人主義をやみくもに崇拝するのはやめて、むかしに戻るべきかもしれない。いいことじゃないかな。なんだかんだいって徹底的な個人主義の時代は終わりに近づいている。(p391)
③神意は測りがたく、望んでも無駄。善い人間にも悪いことは起こる。愚か者も賢者も、聖人も罪人も人は皆死ぬ。ぼくたににできるのはせいぜい神に与えられた恵み、食べ物、飲み物、誠実に働く喜びを大切にすることぐらい。(p217)
だんだん、普通の世俗的なユダヤ人が聖書的になっていきます。
キリスト教国であるアメリカでこういう本がうれるというのは、やはり、戒律への疑問とか、宗教への回帰とかいろいろな要素があるのかと思う。
あまりにも厚い本で手でもって読みにくいのが玉に瑕だが、表紙をながめるだけでも楽しい本。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ体にいいとされているあらゆることを実践する体験ルポ。
これだけなら、試してがってん系の良くあるネタなんだけど、著者の微妙な拘り具合が絶妙な味付けになっていて、なかなか面白く読める。
「適度な運動+適切な食事」×継続
個人的にはこれが一番の健康法と考えているのだけど、この著者も種々実践している中で運動習慣と適切な栄養摂取には色々取り組んでいる。
特にトライアスロンに挑戦するくだりと、トレッドミルデスク(この本歩きながら原稿をタイプしているのだ)に対するこだわりは読みどころだと思う。
俺もやってみようかとかなり真剣に検討してしまった。
ちょっと相容れない部分もあったり(ノイズキャンセルヘッドフォンをつけて日常生活を送るとか)するが、そこは著者も書いている通り合わないものは採用しなけりゃいいわけで、良さそうなとこは取り入れてみようかと思っている。
参考書のように読むのもいいけど、長生きしているおじいさん、エキセントリックな叔母さんとの交流部分が、この本の味わいを醸し出していると思うので、できたら最初は通しで読んだほうがオモロいだろうな