牧のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「俺の一生を貴様にくれてやると言っているんだ!」
もうこれ…
プロポーズじゃないか!!ちくしょー!(キュンし過ぎて怒り出した)
1945シリーズの第二弾が復刊!ロスっていた私にはなんとも有難い話であります!
今回もペアのお話。『蒼穹のローレライ』以降は2人がずっと同じ艦内にいるし部屋(と言うより兵舎)も一緒だし安堵感が増しますね。
とは言っても、今回はかの問題児『彗星』に搭乗する2人。トラブル必至で私は心配…。
婚約者に逃げられて居場所が無くなり南方のラバウルへ志願してやって来た操縦員の藤十郎と、訳あって左遷のような形でラバウルに送られて来た偵察員の伊魚。
この伊魚が左遷された理由も実際に有りそうで悲しすぎたのですが、とにかくこの2人がペアになります。
結果的に伊魚が後ろに乗る事にはなるのですが、前のペアが最悪で思うように戦果も挙げられなかった藤十郎は、戦闘機の乗り換えを機に今度こそはと有能な厚谷とペアを組みたいと必死になって厚谷を口説こうと探し回っていました。
そう、『碧のかたみ』の主人公、厚谷です。
厚谷と琴平ペアはシリーズ中最も登場回数が多いので、読者人気が高いのか尾上さんのお気に入りなのか、どちらにせよシリーズを追っている読者には嬉しい限りです。
整備員の秋山もよく出て来ますが、そんな事より本作の2人の出会い方がもう、いきなりロマンティックが止まらない案件、この後保ちますか?!(保ちました)
突然のスコールの中、彗星の傍で帆布を傘変わりにして佇む伊魚の美しさよ。挿し絵があったので余計にそう思ったのかも知れませんが、とにかくシリーズ中で1番ドラマティックな出会い方でした。期待が高まります!
他シリーズと同様に、初めはペアとして上手くやって行けるか不安になる藤十郎。伊魚は有能だけどクールで誰ともつるまず、命を預ける相手なのだからと絆を深める為に飲みに誘っても全く応じず何を考えているかも分からない。
こんな相手に命を預ける事ができるのか?
確かにこれは大問題です。空の上では2人きり、伴侶以上に心を通わせねば正に命取り。
このシリーズの良さの一つがここです。特殊な状況下なのでお互いが次第になくてはならない存在になって行く過程がスムーズ。
だからと言って、吊り橋理論で終戦後に冷める訳ではなくちゃんと愛を育てて行く。
こういう設定はともすればくっ付けたいだけの為に使われたように思われる危険性もある所を、尾上さんはきちんと文学の一部として盛り込んでらっしゃる。
もうね…
良いわ!!良い!!ロマンティックは止まらなくて良い!!(語彙力が死んだ)
彗星はやはり手のかかる子なので、故障してあわや墜落かと言うシーンもあります。冷や冷やしましたがお陰で藤十郎の中で伊魚に対する印象が変わるきっかけに。
本作の私が最も好きなシーンは、タイトルにもなっている彩雲を2人で彗星から見る所。
見られる確率が低い虹色の雲。冒頭に牧さんのカラーイラストで描かれているのですが、読み終えた後に見直すともう…止まらない!!(Rで始まる例のアレが)
今回の2人は藤十郎が明るく、伊魚が意外と天然なので笑わせて貰う事も多く、ハラハラ感もいつもよりは少なかったです。
全く詳しくない私でも、伊魚の俳句が凄い事が分かってしまう。(色んな意味で)
なのに、この俳句に終盤で泣かされるとは…。使い方が上手いな、ちくしょー。(また怒り出した)
とはいえですね、今回もやはり来るんです。敗戦濃厚という暗い影…。
彗星は空に出れば速度も出るし軽やかで優秀な機体ですが、一度不調を起こすと爆撃機としては致命傷になり一気に役立たずになってしまいます。
そんな機体と共に、2人一緒に散って彩雲の城で再会しようと誓う2人。この時に再度、厚谷と琴平ペアが出てくるのですが、2人は藤十郎から見れば共に生きる為に飛ぼうとしているように見えています。比べて自分たちは死ぬ為に飛ぼうとしているのか…。
この辺りから涙腺がやばくなって来た私、電車のど真ん中で必死に堪えていたのですが、2人が待ち合わせの場所を決めている会話のくだりで遂に陥落。
やめてちょうだいよ…。そんな、よりにも寄ってそこで待ち合わせるとか…。いや、知ってるんだよハッピーエンドって事は。
でもさ、もし私の買った本だけ別ルートだったらどうすんの?!
と、迷走し始める位に涙で文字が歪んでしまった。周りはスマホに夢中で見てないからもうええわい!と開き直って読書再開。
最後の出撃に飛び立つ2人。与えられた任務はせめて遂行したいと必死に彗星を操る藤十郎。それを後ろから支え続ける伊魚。彗星はよく頑張った…。
ここから、本当に私のだけ別ルートになるのでは?!と不安が蘇る展開が続きましたがそんな特例は無く、最後には安堵の溜息を吐きつつ盛大に天を仰ぎました。(クライマックスは落ち着いて自宅で読みました)
シリーズも5作目ですが、どのペアも個性的で魅力的。これも本シリーズの良いところ。今回の伊魚もクールだけど天然で、でも自分を汚い存在だと思い込んで藤十郎を不器用に避けてしまう繊細な所もある放っておけないキャラクター。養子に出されてばかりいたせいもあり居場所を探していた彼にとって、ずっと居たいと思った場所が藤十郎の傍って…
あー、もう…止ま(強制終了)
復刊のお楽しみの一つ、書き下ろし作品も藤十郎と伊魚らしくて良かったです。
ここでも懐かしのキャラが1人登場してくれてサービス満点!元気そうで嬉しかった!
それにしても毎回思うんですが、尾上さんのラバウルの空の描写のバリエーションが凄いんです。
特に南国特有の美しさと禍々しさが同時に感じられる夕暮れの描写には溜息が出るほど。
おびのりさんも書かれていましたが、自分がこの作品の素晴らしさを体感出来れば満足だし、無理に読ませたりもしたくは無いのですが、男同士の恋愛という点も含めたとしても世間的に広く高く評価されてもおかしく無い作品だと思います。
アレが無ければ何かしらの賞も夢ではないのでは、というおびのりさんのご意見に激しく同意です。
次回作が今から待ち切れませんが今月発売という事で全裸待機をしようと思います。
そして読む度に『蒼穹のローレライ』をざっと読み返してしまうんだよなあ。これに関しては私のだけ別ルートになってくれても良いのに…涙。
よーし、気を取り直して、私もモールス信号を覚えるぞ!!
いつの日か、ロマンティックな告白が出来るように!!(絶対に伝わらない) -
Posted by ブクログ
1945シリーズ第4弾です。ついに第1弾がこれにて終了。寂しく思っていましたが、みんみんさんとおびのりさんに第2弾も再販決定という嬉しいニュースを頂きました。やったね!
本作は今までの中で1番戦闘シーンが生々しく、命を懸けた飛行機乗りが尋常ではない精神力と体力を必要としていた事が窺えます。
お食事中の方には申し訳ないのですが、そりゃあ空戦なんかしたら吐くよね…。
私なら吐く。それはもうマーライオンのようになって二度と乗らない…
とも出来ないのか…。
特に本作の主人公、千歳はラバウルしか居場所の無い青年なので出撃しては艦爆して逃げ帰るしかない。
改めてラバウルで戦って下さった方々には尊敬の念を禁じ得ませんが、それにしても今回は九九式艦爆ですか…。
寄りにもよってただでさえ航空機に乗るのが怖い華族のお坊ちゃまが棺桶に乗るのですか…!!尾上さん、すげぇ!!
いや、零戦も怖いけど、ともかく前作に引き続きペアの搭乗員のお話です。
貧乏な畳屋の息子である一(カズイ)は、海軍で戦績をあげて出世をし、家族の為にも金と名声を手にする為に飛行機乗りになりました。第一線であるラバウルに配属されてやる気十分、さっさと活躍して内地に戻って内勤がしたい。
ところがペアに任命された相手の操縦士は見た目もひ弱で飛行機が怖いとハッキリ言い切る華族の出のお坊ちゃま。
出撃の度に怖がり、空の上では悲鳴をあげて帰還した後は必ず吐いてしまいぶっ倒れる。
ただでさえ過酷な飛行機乗りがこれでは出世どころか自分の命も危ないとペアの解消を決めた一ですが、実はこのひ弱な坊ちゃん、千歳は天才的な技術の持ち主でした。
絶対に海に落ちたくない、絶対に敵に撃たれたくない、絶対に後ろに乗る偵察員を無事に帰還させたい。
一部を除いて上官からも見放され、他の搭乗員からも馬鹿にされている千歳ですが、実は彼なりの信念を持っていて、臆病が故に素晴らしい飛行技術に繋がっているんですよね。ここが凄い!
何処にも居場所の無い千歳の拠り所となってくれたカズイ、ありがとう。そりゃあ好きになるわ…(以前も書いた気がするけど)
いや、好きとか超越するわ。
今回の千歳が見ていて1番ハラハラしましたが、毎回違うタイプの主人公に、家柄に事情。どれだけ引き出しがあるんだと舌を巻きました。
おびのりさんが迂闊にもうっとりしてしまう、と書かれていましたが同意です。
特に千歳のお家事情は時代背景も相まって切ない…。本人に何の説明もなく死ねとばかりにラバウルに放り込まれ救いの手も差し伸べない。千歳の父ちゃんこんちくしょう!と思っていたのですが最後にうっかり泣かせてくる!悔しい!
それに、空の色の表現のバリエーションも毎回凄い。手に取るように分かりますし、夕暮れも美しかったり禍々しかったり、2人の心境とシンクロしているのかな。
このシリーズで毎回楽しみにしているのが、映画顔負けのロマンティックなシーン。今回は表題のプルメリアと輝く南十字星。
ベタだけど花の使い方としては満点でしょう!死ぬまでに一度やってみたい!(気持ち悪がられる事間違い無し)
カズイがやって来る前は唯一心の拠り所としていた、とあるお守りをなくしてしまった千歳に、あれを代わりにしろと南十字星を指さすカズイ。
ちくしょー軍人がそんな事言ったらロマンティックが止まらないじゃないかっっ!!そんなんなくても、もうカズイが居ればええわい!!
と、悶えていましたがやっぱり来るんですよ、敗戦の色濃い影が。
真珠湾攻撃では活躍した九九式艦爆はこの頃になるとすぐ撃ち落とされるので、棺桶と呼ばれていました。
シリーズ中よく登場する有能整備士、秋山にもこれ以上の改良は不可能だと告げられます。そもそもの設計に無茶があるのでこれは整備士が悪いんじゃないんですよね。九九式を改良しようとなると結局は後に出る彗星になる、という訳ですが、まあ戦闘機の話は置いておいて。
最後まで千歳はカズイだけは生きて内地に戻そうと必死に飛びます。戦力差が圧倒的に開いて来た空を、怖さをカズイを守る強さに変えて…。千歳よ…涙
毎回そうなのですが、この辺りは読んでいるこちらまで緊張するのでずっと溜息。
早く爆弾落として帰って!早く!と願いつつ読み進めて行くのですが…
一度頭を抱えそうになる展開が来て、少し安心したと思ったらまた予想外のトラブル!
神よ!!
思わず祈りながら早く2人が地上で幸せになる姿を見ないと心が折れる!!と勢いよくページを捲っていく私。恐らく凄い顔をしていたと思われます。
その分、最後が本当に良かった…。
私も大根作りたくなるよ!(畑には天敵が住んでいるので絶対に無理だけど)
良かった、本当に…。ハッピーエンドだと分かってはいるんですが毎回冷や冷やするんですよね。
千歳の過去がずっと軽くしか出てきていなかったので、カズイの前にペアを組んでいた相手の事もちゃんとは分かっていませんでした。
最後に一章を使ってちゃんと深堀りされるのですが、これが何とも…良い…。(これしか言ってない)
おびのりさんの書かれていたうっとりパートです。
話自体は辛いのですが、この過去があるからこそカズイという居場所がより奇跡のように思えるんですよね。
隣人の隣人を愛すれば、愛はどこからか巡り巡ってやって来る。でも愛する相手すらいない時はどうすれば良かったのか。
カズイ!本当にありがとう!!!(急に感極まる)
今回も『碧のかたみ』の恒、六郎ペアが登場しますが結構出てくれます。
恒が千歳の腕を絶賛した事から両ペアが仲良くなるのですが、千歳に楽しい時間が出来て嬉しかった。恒と六郎も相変わらず可愛くてほっこりする。
書き下ろしの『ちぃちゃんせんせい』は、とにかく幸せに2人で暮らしている様子が見れてようやく安堵の溜息が出た。ご褒美ありがとうございます、尾上さん。
いつまでもお幸せに…!!
千歳は心配で見守りたくなる飛行機乗りで、カズイは見ていて気持ちの良い真っ直ぐな好青年でした。
本当に誰一人として設定がかぶらないので毎回楽しみなんですが、次はどんなペアになるのかな?
さて、今回も短編ばりに長くなってしまいました。長いわ!(゚Д゚)クワッ!と言われる事は確定ですが、第1期シリーズ終わりのスペシャル回だから許して下さい。(いつも長いだろ、という突っ込みも飲み込んで下さい)
最後に、第1期シリーズの個人的に好きだったランキングを書いて終わりたいと思います。
どれも良いんですが、好みで言うとこんな感じ。好きな攻めランキングと受けランキングもBL初心者の癖にやりたい所なのですが、これ以上長いと中編に突入しますので割愛しますが、攻め1位はブッチギリの資紀坊ちゃんです。(言うんかい)
1位『蒼穹のローレライ』
2位『天球儀の海』
3位『碧のかたみ』
4位『プルメリアのころ』
あれ…?
発売順じゃないかっっ!!! -
ネタバレ 購入済み
心臓の強さが必要
絶版となりネットでは高額で売買されていて読むことは諦めていましたが奇跡の復刻。
再版にあたり、この物語の取り扱いに慎重を期して、手を掛け再び人目に触れることになった旨をあとがきで教えてくれた先生のポリシーにも感動しました。本当にしっかり調べて書いたことがわかる機体の描写など時代物としても重厚でした。
どうしたって悲しい1945シリーズ。
読むまでに勇気がいりますが、戦況と共に読みきるのも勇気が要ります。この題材な限り仕方ないですが人との出会いと別れが鮮明で細やかな幸せを慈しむ描写に胸が締め付けられます。後にシリーズはまだ続きますが、現代パロで妄想ハッピーエンドでもしないと連続は到底無理そうです……
。本当に復刻してくださって、読めて良かった。 -
Posted by ブクログ
沼落ちシリーズの筆頭、1945シリーズの復刻第3弾です。
舞台は再びラバウル基地。前作『天球儀の海』の主人公、希の兄である恒が主人公です。今回は複座で2人乗りの夜間偵察機、月光にペアとして搭乗する2人のお話。
みんみんさん情報によると本作がシリーズ中最も売れたとの事ですが、なるほど納得!
恒とペアである六郎の明るくて可愛いキャラクターのお陰か、常に一緒に飛んでいるからなのか、他の2作品よりは少し安心して読む事が出来ました。
みんみんさんにペアで飛ぶとお聞きした時に、まさかあのいつ壊れてもおかしくない、ボッロボロの無理やり2人乗りにした零戦に乗るの?!と驚いたのですが、月光を忘れてました。しかしこれが実は当たらずとも遠からずで1番冷や冷やした終盤のシーンに少し出てくるのですが、これも上手く物語に取り入れていて尾上さんの熱意を感じました。
とは言え、基本はずっと安心の(でもないけど、零戦よりは)月光で唯一無二の夫婦以上の絆で飛ぶ2人です。
天球儀の海でも言われていましたが、恒はまだ19歳なのに天才的な零戦乗りで『ラバウルの五連星』と渾名が付くほどの戦果を挙げていました。お陰で他の搭乗員から妬まれて嫌がらせを受ける日々。
一方、六郎は操縦も、操縦士の後ろで計器を読んだりする偵察も出来る有能な青年。本来は花火師を目指していたのですが、花火などに火薬を使うなという事で実家の花火屋は休業、六郎の花火師修行も頓挫してしまっています。
恒の乗っていた零戦が破壊され、代わりの零戦も中々投入されない為、代わりに新たに投入された月光のパイロットとして任命された恒ですがペアになる偵察員が決まらない。そこでラバウルに着任したばかりの六郎に恒とペアになるよう命令が下り2人は共に飛ぶ事となります。
恒は気が強いので売られた喧嘩は全て買ってしまい、懲罰もものともせず殴り合いを始め、それを必死に止めたり、諦めて傍観したりする六郎。そんな2人の姿が可愛くて戦時中なのを忘れる位にほっこりしてしまいます。
ですが、ほっこりばかりでは無いのがこのシリーズ。
弟の希は当時まだ海軍の予科練で訓練中。その弟が戦場に出る前に少しでも多くの敵機を撃墜して戦争を終わらせたい恒。家族のいる内地を守りたいと六郎の前で思わず吐露する姿に切なくなる…。
希はもうすぐ資紀の為に特攻隊に志願するのか…とそちらにも思いを馳せてしまい更に切なさ増し増し…。
しかしこんなに恒が希ちゃんラブだとは思っていなかったので、写真を見てデレデレしている姿には笑ってしまいました。今回は明るい2人なのでブロマンスとしても楽しめるのですが、ちゃんとね、本作にもあるんですよロマンティックが止まらない案件!
尾上さんは驚く程に自然に、さらりと友情から愛情に変化させるのがお上手すぎて、毎回「恋はするものじゃなくて落ちるもの」というどこかで聞いたフレーズを思い出しては、この事か、と納得してしまう。
やっぱり星空が好きな恒が、六郎にラバウルの美しい星空を見せる為に月光で雲の上に上昇。
それはもう見た事のない銀河が広がっているのに、六郎にとってはそれすら叶わない美しいものを見つけてしまっている。
六郎の方は花火を恒に見せる為にこっそり火薬を盗んで即席の線香花火を作り、帰国したら恒の為に花火を打ち上げると心に決める。
3作品全てキャラ設定が違うのに、ちゃんとそれぞれの特性を生かした美しいシーンが用意されてあるのですが、本作のロマンティックが止まらないはやはり他と比べてどこか希望のある安心感もありました。今までは美しさと切なさが同時に押し寄せて、説明し難い気持ちになったのですが、純粋に2人の幸せだけを願える良いシーンでした!
でも…
悲しいけど、これ戦争なのよね…(私のレビューで何度も出てくるロウ中尉の名言)
ラバウルの終戦間際の悲惨さは有名な話ですが、希が予科練の間に終わらせたかった戦争は泥沼化。間に合いませんでした。
敵国の圧倒的物量と科学力で日本は劣勢の一途を辿ります。一生を番として生きる決意をしている2人は、共にラバウルの空に散る覚悟を決めて勝つ見込みのない戦場へ…。
やっぱりこうなるんだよ、簡単に幸せにはしてくれないのが1945シリーズ!!
終盤に六郎が命を懸けてとった行動に、ただただ感動…。
それで良い、それで良いんだよ六郎!
日本軍人の当時の規範から言えば完全に非国民かも知れないけれど、愛する者を守る1人の男として立派だよ六郎!!
今回もラバウルの美しさと戦場の対比が見事で、大いに切なくさせてくれました。
途中、恒に因縁を付けていた斎藤のくだりは本当に切なかったな…。
そして書下ろしは安定の幸せ満載で、ご褒美感があります。
恒のお父さんがかなり可愛い。
全く予想していなかった希の話も載っており、相変わらずの資紀ぼっちゃんのイケメンさに痺れる。
かっこよすぎるて、貴方…。
攻めの中ではシリーズ中1番好きかな。
実は3作品の中で飛び抜けて好きなのが『蒼穹のローレライ』でして、また読みたくなりざっと読み返したのですが、恒と六郎ペアも登場してたのを何故かまるっと忘れてました。
本作を読み終えてこのシーンを読むと、塁はこの時も単独で撃墜数を挙げていたんだなあ、と感慨深いものがありました。塁よ…涙
まだシリーズが残っているらしいのですが、今後再販の予定はあるのかな。
出してくれないと、うっかり中古を探して買っちゃうよ!!早く!!
そういえば本作はコミカライズも進行中らしく、1箇所だけ突然コミックの数ページが挿絵代わりに挟まれていました。突然でびっくりしましたが、それほど本作は人気だったんですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ文庫化にて再読。
読んでるからわかってるけど!
戦後一人で塁の事をひたすら思い続ける三上の話から始まるから死んじゃうのはわかってるけど!!
悲しすぎる。゚(゚´Д`゚)゚。
天球儀のユキが健気受けなら塁はツンデレ♪
もう野良猫が自分だけに懐くって…可愛い♡
零戦と共に消息不明になる塁
塁の死を受け入れられずに生きる三上が切なくて泣ける…
ラストで号泣ですよ(꒦ິ⌑︎꒦ີ)
書き下ろしは可愛いお話でした♪
このシリーズで一番好きかもしれない…
次はなんだ?碧のかたみ?
ユキの兄ちゃんの話ですね〜o(*'▽︎'*)/☆゚︎'パチパチ
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Posted by ブクログ
危なかった…
みんみんさんとおびのりさんにハッピーエンドとお聞きしていなかったら心がブチ折れて、呆然と夜空を見上げてシリウスを探す所だった…
本棚が濃すぎると愛すべき先輩方に心配(?)されたので、BLの金字塔で薄めて行きますよ!(あれ、薄まっていない…?)
以前にオススメ頂いた1945年シリーズ『蒼穹のローレライ』に続いて再販で刊行された2作目です。(前も書きましたが本来は刊行順が違うそうです)
今回は前作と違い、戦争が起こっているとは思えない平和に思える大分でのお話。
見えると言っても実際は戦争の火の手はじわじわとにじり寄っており、主人公の希はいつ出動命令が出るか分からない特攻隊の志願兵として覚悟を決めて、今か今かとその時を待っています。
それも憧れの坊ちゃん、資紀の代わりに死ぬ為に…
幼少の頃に希の命を救ってくれた資紀は名家の嫡男でただ1人の息子です。父親は海軍中佐で大地主。資紀も跡を継いで立派な海軍大尉になっています。
一方希は天文学者の父親の息子で四男、優秀で兄弟からも学者になるべきだと言われていましたが、いつかは資紀の下で飛びたいと航空学校に進み、立派な戦闘機乗りの資格を得ています。
もうこの頃には物資、燃料不足なので練習で飛ぶ事も出来ず、一億総攻撃の風潮の中で特攻隊が編成されていました。
資紀も本来ならば特攻隊に選ばれる可能性がある所を、父親の徳紀はたった1人の跡継ぎを死地に送る事を避けたく、ですが名士である成重家ともあろうものが息子を出さないと言うのも世間体が悪くなるので養子を迎えて代わりに特攻隊に出そうと言うのです。その白羽の矢が立ったのが希です。
改めて凄い時代だと痛感します。
「日本人は何人生き残れるのだろう」という台詞が作中で出て来ますが、もしもあのまま降伏していなければ、日本は正に焦土と化していたかも知れません。
希の願いは坊ちゃんの為に自分が飛び、彼が暮らす日本を守る為に敵艦を落とす事。
この話にはむしろ嬉々として乗ります。奇跡が起こったと喜ぶ位。
なんという…なんという健気さ…。
希の兄の恒もラバウル航空隊のエリートパイロットとして飛んでいるのですが、気になり調べた所、次回発売の『碧のかたみ』に登場するようなので楽しみな限り。
ですが希の方は飛べずに、身代わりになっているのがバレない為にずっと成重家の離れで隠れ住んでいます。幼い頃に資紀から貰った青い綺麗なトンボ玉を握り締めて、憧れの人の気配を近くに感じながらその人の為に死ぬ事だけを願って。
なんという…なんという(強制終了)
ローレライでは抜けるような南の空が印象的でしたが、今回は希の手の甲にオリオン座の形の黒子がある為に美しい夜空が効果的に描かれます。
黒子は星座と逆なので海に写すと完成するという、どうしたらこんなロマンティックが止まらない発想が出来るのか。
前回も思いましたが尾上さんの透き通るような表現のお陰で、冒頭の希が夜空を見上げるシーンや、資紀が縁に座って1人で星を見上げているシーンが非常に美しく、当時は空襲の為に灯りも消していたのでさぞかし空だけは美しさを保っていたのだろうなと切なくなりました。
資紀は軍人としての誇りを持っているので、恐らく自分が特攻隊として飛べず代わりに行く希に腹を立てているのだと希は思っています。
この辺りが平和な時代に育っている私には信じられない価値観なのですが、実際に資紀は希の事を覚えてはいたものの、憮然とした態度です。
それがどんどん冷たくなり、とある時期から辛く当たられるようになり…
私も読んでいて希と同じように「なんで?!なんでこここまで?!どうしたん?!」と困惑していたのですが、不思議となんだこのクソヤロー!とならないのが資紀の凄い所。
しかし終盤の方で資紀がとった行動には衝撃過ぎて一度本を下ろして「えぇっ?!ちょっと待って?!」と声を挙げてしまいました。
ですが、ここで気付いてしまうのです。彼が何故ここまでするのか。勿論、最後に希もちゃんと気付きます。
ここまでしないと愛する者を守れない時代…
はい、例の如く涙腺崩壊。今回はベッドの上だったので人目を憚らず浸ることが出来ましたよ。
本を読んでる時は泣いたって良いじゃない!!
誰に言い訳してるのか分かりませんがとにかく最後の方は「マジか…マジかよ…」と1人でブツブツ呟きながら読んでる怪しい私でした。
書庫とかランタンとか星空とか、今回もロマンティックなシチュエーションが盛り沢山でしたが、ローレライの時よりも見ていて切なかったです。
いや、ローレライも切ないけど…。
その分、本作の書き下ろしは本当にほっこりしました。もう良かった…。ただ、ただ良かった…。
雑貨店の店主には2人に代わりお礼を申し上げたい。
おびのりさんも仰ってますが、毎回このシリーズはBLとか超越して文学ですね。
みんみんさんのレビューで拝見したのですが、戦争をテーマにする事に批判的な意見もあるようです。ですが個人的に戦争史を勉強している身としては全く問題無いと思っています。
きちんと戦時中の女性の逞しさや悲哀なども描かれていますし、確かに少しファンタジー色も足されてはいますが、それは読み物として仕方の無い事だと思いますし、当時の国民の意識もちゃんと表現されています。
個人的にはお洒落が出来ない女性たちが、せめてもの慰めに花言葉に思いを馳せているというくだりが良かったです。
女中の告白の仕方も良かったなあ…。あれをやられたらちょっと好きになるかも。
次回作も楽しみです! -
Posted by ブクログ
尾上与一 1945シリーズ
待望の復刻再販。書下ろし掌編付
みんみん、再販教えてくれてありがと。
4作連続刊行第一作。
時代設定は、太平洋戦争中期
舞台は、ラバウル航空隊
家族の辛い過去を背負い、戦績を上げることで、家族の名誉まで回復する為だけに飛び立つ戦闘パイロット、塁。
彼の専属整備員となり、心身共に支える三上。
二人は、徐々に認め合い、自分の死をも厭わなかった塁に戦争後の人生の夢を持たせる。
ローレライと呼ばれた果敢なパイロット塁が、初めて自分の感情に素直になれた時、彼の零戦は静かに海を漂う。
想像していた以上に文学だった。キャラ文庫なのに!
書下ろしSS「面影」は、塁が三上の写真をどうにか手に入れようとするお話で、きちんと時代設定と相まって、程よくBL心をくすぐります。
あとがきで、日時と人物が特定されやすいジャンルでの架空性を大切にしたとありました。
架空であっても 現実の厳しい戦地で何かしらの支えがあって欲しく思いました。