トマス・リゴッティのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本邦初単行本となるトマス・リゴッティの短編集。
日本ではなかなか名前が知られていない(自分もそうだった)トマス・リゴッティだが、本国アメリカではカルトホラー作家として名高いベテランで、ブラム・ストーカー賞を4度受賞している。更に驚くのがペンギン・ブックスの古典シリーズであるペンギン・クラシックスにトマス・リゴッティの作品が名を連ねている。
この『悪夢工場』で自分も初めて触れるのだが、決して読みやすいわけでもわかりやすい恐怖が描かれているわけでもないのに妙に印象に残る作品が多かった。
何なら描かれている出来事を理解できなかったり、呑み込めなかったり、わからなかったり、怖くなかったりする人も結構な割合でいそうではあるのだが、一部の層には強烈な影響を残しそうでもあった。
正直、この短編集だけでは物足りない。もっとくれよ、もっとこの世界に浸らせてくれ、という気持ちになった。
次の作品が出ることに期待。 -
Posted by ブクログ
最初の「戯れ」でセンセーショナルに見せつけられ、あとはじわじわドキドキ。
難解で哲学的で芸術的で、なかなか理解できず読み返すこともしばしば。はっきり理解したいけど、それができるようになってしまったら、もう引き返せない気がする。終始不気味で薄気味悪い。曖昧で退廃的。
もみくちゃで意味わかんなくて、この世の終わりって感じ。
感想を言おうとしたらぼんやりした言葉しか出てこない。読解力がないせいかも。
道化師の最後の祭り、魔力、ツァラルが印象深かった。
赤塔はまさにこの本の自己紹介って感じ。
あとがきで、リゴッティが評価され第二集第三集と続いてくれたらと書かれており、同じく私もそれを期待してます。 -
Posted by ブクログ
赤の背景に黒文字という装丁の強いコントラストに惹かれ、手に取った。ホラー小説を好んで読むことはこれまでなかったが、本作では、良くないことが起こりそうな予兆や理屈の通らない現実、物語全体に漂う不穏で不明瞭な感覚を味わうことができた。
未知の世界に足を踏み入れるようで刺激的であり、不穏さそのものを楽しむこともできた。しかし、ラストに読んだ「赤塔」は苦しかった。読み進めながら、どこかで理解することを拒んでいた。嫌悪ではないけれど、これ以上は踏み込めないという感覚があった。それは恐怖だったのかもしれないし、世界そのものが歪んでいるという感覚に耐えきれなかったのかもしれない。
あとがきによれば、リゴッティは精神疾患を抱えながら創作を続けてきたという。作品群は、その苦悩の昇華として生まれたのだろうか。 -
Posted by ブクログ
この悪夢感のある装丁、アングラ的でいいですねえ。トマス・リゴッティはブラムストーカー賞を4度も受賞している作家で、期待して私も初めて読みました。
9つの短編からなる短編集です。最初の短編「戯れ」。刑務所の精神科医になったドクターが連続殺人鬼の囚人と面会する。彼は殺人だけでなく脱獄の前科もあり、おかしなことを言う。ドクターは囚人の精神科治療の改善を訴えて赴任してきたが、この囚人と話すうちに途轍もない不安に取り憑かれ、帰宅して幼い娘を寝かしつけたあと妻に仕事を辞めることついて話すが…。気が狂いそうになる結末。読んでいて小さな不安が頭の中に生まれ、杞憂だったかとほっと胸を撫で下ろしたところで急に床が抜ける。あの感じです。アンドレ・ド・ロルドの「ロルドの恐怖劇場」の悪夢を思い出します。
「道化師の最後の祭り」など多くはラヴクラフト的コズミックホラーです。明らかにその影響で書かれています。街の雰囲気、様子のおかしい人々、グロテスクなクリーチャー、終わらない悪夢、いいですねえ。
この作家、不安障害やパニック障害で苦しんでるそうで、病気が良い意味でも悪い意味でも小説世界に影響を与えているようです。ホラーというよりも文学的な匂いも感じさせ、広いジャンルで評価されています。ただ翻訳が少し読みづらい。白石朗や宮脇孝雄の訳した話は頭の中に入りやすいですが、若島正の訳はイメージが湧きにくい。また別の本も読んでみたい作家です。
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Posted by ブクログ
悪夢の中を彷徨っているのか…? 物の怪に襲われるような感覚に浸れる幻想&ホラー作品集 #悪夢工場
■きっと読みたくなるレビュー
タイトル通り、悪夢の中を彷徨っているような体験をさせてくれる幻想&ホラー作品集。
数行読み進めるたびに理解が追い付かなくなるという魔の小説。たぶん読書力がどれだけあっても全部を解釈できる人はいないんじゃなの? というほど難解。ただ決してつまらない訳ではなく、むしろ物語に吸い込まれてしまうように、むさぼって読んじゃうんすよねー
誰しも一度は存在意義ってのを考えてしまうけど、こういった虚無感と超現実に満ちた物語に浸っていると、モノノケに襲われるような気分になるんすよ。何が書いてあるのか、さっぱりわからんってのを如何に楽しむかがポイントですね。たぶん何度も何度も読んで、写経くらいしてみると理解できるかもしれないと思いました。
■お気に入り作品の簡単レビュー
●戯れ
刑務所のある街にきた精神科医の物語、妻との仕事の愚痴をこぼすが…
比較的分かりやすい作品で導入には良いですね。終始ずっと不愉快な気分にさせてくれる、そして終盤は命を奪われていくような恐怖が味わえます。
●道化師の最後の祭り
人類学の教師がミロコーという街の奇妙な祭りを体験する物語。その奇祭の道化師とは何なのか?
この街や祭りが不気味なんすよ、暑苦しいというか、むさくるしいというか、いやーな臭いが漂ってくる。道化師をどう解釈するのかなんだけど、人間の不愉快さしか伝わってこない。
●ツァラル
骸骨町と呼ばれる廃墟に人が集まってくるところから始まる…
何が起きているのかよくわかんないんだけど、やたら陰鬱な群像劇、なのか?途中時系列が変わったり、生きる意味なんてねーよと否定されているような気がしながらも、結局は判然としない。ラストはひたすら後味が悪い。
●赤塔
廃墟と化した赤色の工場、操業停止になった理由は…
相変わらず、ずっとネガティブが文字で埋め尽くされる。結局、何を作っている工場やねんっという疑問はあたりまえのように理解はできない。ただ他の作品よりは生命力、前向きさを感じる作品ではありました。
■ぜっさん推しポイント
この本の装丁ですよ。カバー、見返し、天、血、小口など、すべてが「真っ赤」。赤って恐怖や不穏な興奮を感じさせる色ですよねー、本作の性癖が伝わってきました。悪夢を見ているような不条理さと狂気性を楽しみましょう~