綿原芹のレビュー一覧
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ホラーよりだと思っていたけれど、人魚のはなし。
人魚の肉を食べれば不老不死になるってどんなところからはじまった伝説なんやろうと思う。
みんな美人になる美人の国を作ると決めた夕海子と本物のナユの言っていた見てくれを気にしない国が根底ではルッキズム批判になっているのだと思えた。
ルッキズムルッキズム言うわりに世界は見てくれがいちばん幅をきかせてるし、結局なにも変わらないたとえ1000年たっても変わらないから薄紅は年老いて死んでへしむれるになって完全に海に帰って、濃紅がへしむれるになっても娘のいた海に戻ってきたみたいに薄紅も夕海子=ナユのいる場所に戻ってこようとするのかもしれない。
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Posted by ブクログ
これは……新しいホラーの形だ。
ホラー好きなら誰もが一度は通ってきた<因習村>と、
令和の<タワマン文学>。
このふたつが融合すると、
こんなにも異質で歪な恐怖が生まれるのか……!
『ぬひんさまの塔』綿原芹
〈ひとりホラー祭り〉第4弾。
ホラー小説の舞台といえば、
田舎の一戸建てだったり、古びたアパートだったり。
ところがこの小説の舞台は、
なんと都心のタワーマンション!!
「え……タワマンってそんなに怖いの?」
と、若干斜に構えながら手に取った本書だったけれど、
なるほど、こうきたか!!
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主人公は、
外資系銀行に勤めるアラサー独身女性・清那。
美人で、努力家で、高学歴。
そんな彼女が、念願だったタワマンを
ローンで購入するところから物語は始まる。
ところが、このマンションがとにかく奇妙なのだ。
入居前には、理事長との面接がある。
外部の人間を敷地内へ入れてはいけない。
マンション内にある謎の祠へ、当番制でお参りする。
ベランダには必ず「風車」を設置しなければならない。
……などなど。
令和のタワマンなのに、
やっていることは完全に因習村なのよ。
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ちなみに本書は、3つの章から構成されている。
第一章「低層」
第二章「中層」
第三章「高層」
そこには、なんともわかりやすいヒエラルキーが存在する。
「低層」の住人は、
「中層」「高層」の住人に話しかけてはいけない。
清那は「低層」に入居するのだけれど、
初日から上階に住む主婦たちに
あからさまに無視される。
ただ、この清那がなかなか強気な女性で、
決してやられっぱなしにならない。
そこがまた、小気味よくていい。
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階層による格差。
承認欲求。
住民同士のマウント。
そんな、いかにも<タワマン文学>らしい要素と、
夜中に響く下駄の音。
誰もいないはずの部屋に感じる気配。
そして、マンションに根づいた奇妙なしきたり。
こうしたホラー要素が絶妙に混ざり合い、
なんとも奇妙で、歪で、気持ち悪い世界が出来上がっている。
個人的に、「怖さ」だけでいえば
第一章がいちばん怖かった。
安心できるはずの自分の部屋ってね、
聖域なのよ……
そこに「何か」がいるかもしれないと思った瞬間、
もう逃げ場がない。
あと、夜中のドアスコープは
絶対に覗いちゃだめ。
これはホラーの鉄則です。笑
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中盤以降はミステリ要素が強くなっていくので、
震えるほどの恐怖という感じではなかったけれど、
これはもう、設定勝ち。
因習村とタワマンという、
一見まったく相容れないものを組み合わせたことで、
逆にその異様さが際立っていた。
面白かったです。 -
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ネタバレ面白かった!
福井の嶺南に伝わる人魚伝説。私は知らなかったが、西洋の人形伝説とかなり違う。
ちいかわの映画はこの日本の人魚伝説を元にしているのだな…!
エイジング、ルッキズムについての話であるだろう。エイジング要素は少し弱めかな?
一章で出てきた、容姿だけの女には見向きもしない、みんなに優しいヒーローのような神田先輩が、3章でまた登場する。一番面白くて一番ゾッとする章だ。
まず、3章でも神田はブスと付き合っている。自信のない彼女を心底可愛いと思っている。どうやらヒステリックな彼女らしい。ブスで自信がなくてヒステリックな彼女。そんな彼女を大事にする神田は善人だ。
神田の職場で怪異現象が起き始め、ある日、ブスな彼女が超絶美人を殺してしまう…隠蔽を手伝った神田。だがらブスな彼女がだんだん美しくなっていく。
なんと善人の神田はブスゆえに自分を卑下し縋り付いてくる女が好きなだけだった。しかもDV男。
各章、結局人間が一番怖いと思い知らされる。
面白かった! -
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道に佇む不気味な人物をきっかけにしてナンパに成功した「僕」。相手の女性と雑談をするうちに故郷の話になる。そこは若狭のとある港町で、奇妙な人魚伝説があるのだ。そのまま「僕」は高校時代を思い出し、並外れた美しさで目立っていた水嶋という女子生徒のことを語る。彼女はある日、秘密を「僕」に明かした。「私、人魚かもしれん」幼い頃に〈何か〉の血を飲んだことで、大病が治り、さらには顔の造りが美しく変化したのだと――。
第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈大賞〉受賞作とのことで手に取った作品です。ホラーというよりダークファンタジーのように感じましたが、面白かったです。デビュー作とのことなので、次作も楽しみな作家さんです。 -
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病気が治り、美人になれるという血肉… 煩悩だらけの弱い人間を描いたホラーミステリー #うたかたの娘
■きっと読みたくなるレビュー
人魚を扱った連作ホラーミステリー。装画イラストの美人を見て下さい、不気味さを感じながらも魅了されてしまいますよね~
そう、本作はルッキズムがテーマのひとつ。みんな美人やイケメンに弱いよねー、だって人間だもん。きれいな花が咲いていると、ついつい近寄ってしまうという人間の性を描いています。
そしてもうひとつのテーマ「生命」。人魚と言えば八百比丘尼伝説、人魚を食べると不老不死になるってやつ。
これまでも多くの作品で扱われてきた題材だと思うけど、本作ならではの文脈で書かれていて読み応えがありました。手塚治虫の「火の鳥」や高橋留美子の「人魚シリーズ」なんかを思い出しましたね。
■各短編の簡単レビュー
●あぶくの娘
学生の僕は美人の友達がいた。彼女は幼い頃は病弱だったが、祖父からもらった飲み物で回復したという。彼女のことが気になってる僕は…
透明感のある青春ラブロマンスホラーですねーと思いきや、全然違うところに着地します。思った以上に色んな要素が詰め込まれた作品で、最後まで目が離せませんでした。
●にんぎょにんぎょう
いつも上司に叱られてばかりの会社勤めしている女性。理不尽な思いばかりで、上司に殺意を抱いていた。ある日、街で出会った老婆から呪いの人形をもらう。それを使えば人を殺せるというのだが…
特にこのお話に出てくる奴らはクズばっかり。そしてクズのまわりにはクズが集まってくるっていう良い見本ですね。
ぜんぜん関係ないけど「茗荷谷」って興味深い名前ですよね。初見では絶対読めない。東京に存在する地名でもあり、都内に住んでるときに茗荷谷周辺をよく散歩してたことを思い出しました。
●へしむれる
恋人の自宅を訪れると、そこには死体があった。殺されていたのは最近職場の水族館に来ていた美人の女性。狼狽する彼女と共に死体を隠す算段をするのだが…
まず思ったこと「彼女、めんどくさっ」
しかし物語の登場人物としては魅力的で「人間の弱さ」を凝縮したような女の子。現実に居たら絶対に近づきたくない。終盤に明かされる真相が強烈で、これまでの物語全体の枠組みが見えてくるキーとなる一話でした。
●鏡の穴
ラストのお話は人魚の目線で描かれる、内容は読んでのお楽しみです。伏線、関係性も一気に回収されて、まとまりとしては悪くないと思いました。
そして最終話もひたすら愚かな人間を堪能することになる、何のために生きてんだよと腹が立って仕方がない。いつの時代も誰であっても、強く生きるってのは難しいよね。
■ぜっさん推しポイント
煩悩の根本は執着だと言われます、本作に出てくる人間どもは執着だらけのダメっぷりなんです。自分の欲望が大きくなると、どんな手段をつかっても実現したくなっちゃうよね。
できるだけ心穏やかな生活を送ることができれば、こういった煩悩も収まってくるのではないかと思いました。