あらすじ
道に佇む不気味な人物をきっかけにしてナンパに成功した「僕」。相手の女性と雑談をするうちに故郷の話になる。そこは若狭のとある港町で、奇妙な人魚伝説があるのだ。そのまま「僕」は高校時代を思い出し、並外れた美しさで目立っていた水嶋という女子生徒のことを語る。彼女はある日、秘密を「僕」に明かした。「私、人魚かもしれん」幼い頃に〈何か〉の血を飲んだことで、大病が治り、さらには顔の造りが美しく変化したのだと――。
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導入部こそガツンとした恐怖物語なのかと思わせてくれたが、その後にやって来たのは古来から続く呪いと宿命の物語だった。だからと言って本作が退屈かと問われれば答えは否、終章まで余すところなく楽しんだ。
怖い話ではあるが、「女」を巡る話でもある。美醜も出てくればねっとりとした執念の話もある。果たしてこれは現実なのか、あるいは誰かの妄想か危険な異界か。悪夢のメリーゴーランドはゆっくり、ただしひたすらにグルグルと回り続けるのだ。
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第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞を福井県出身の方が受賞したというのでさっそく読んでみました。人魚をテーマに4編の作品がつながっているオムニパス形式を取った1冊。これが面白い設定で一気に読みました。ミステリもホラーもそう感じることはなかったですが、設定そのものがなんとなくホラーかな。リトルマーメイドに比べたらホラーぽいかもしれません笑
3章が面白く4章で人魚の過去が分かる構成もよかったので、次回作にも期待したいところです。
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読み進めやすく面白かった。
この話のジャンルは何?ミステリー?ホラー?ファンタジー…ではないな。
他の方の感想で4話目は賛否あるだろうと書かれていたが、わたしは好きだ。好きというと語弊があるかもしれないが、話としてしっくりきた。
1.あぶくの娘
2.にんぎょにんぎょう
3.へしむれる
4.鏡の穴
結局 神田先輩はいい人だったんだろうか…
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人魚の話と聞いて興味が湧いて、手に取りました。
人魚伝説のある、とある港町。人魚の肉を食べると美人になれる?人間の美醜についての話が多くて、まぁ確かに美しい方が得だよなと思った。人魚伝説ではあるが実際に人間と同じように生きている人魚が登場してファンタジーのような、でもホラーというかサスペンスというか。四つのお話だけど、少しずつ繋がっていて最後まで読むと人魚伝説が何なのかわかる。言葉で説明するのは難しいけど面白い視点の本だった。
人魚は美しい。その美しい人魚の肉を食べると美しくなれるという。しかし実際には自分が美しくなるのではなく、その人魚に自分の体を乗っ取られてしまうのだ。人魚は次から次へと人間の体を変えて生きていく。
何だか怖いなーと思いながらも読むのがやめられないような一冊でした。
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短編だけど登場人物が繋がってて面白かった
最後の話はなんか切なかったしかなり好きな話だった
ホラーだけど恐怖ってよりは切なくなった
女性の美醜について書かれてたから、女性が読んだ方が面白いのかも。
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誰もが美人と誉めそやす謎の美女夕海子は『わたしは美人の国をつくりたいのです』と言う。その真意は──
第45回 横溝正史ミステリ&ホラー大賞の大賞作品。
人魚伝説を元にしたホラー小説です。
歳を取らない美しい人魚を通して、ルッキズムにまつわる女性への呪縛について描かれた作品でした。
とても面白かったです。
連作短編集なのですが、2話の『にんぎょにんぎょう』と3話の『へしむれる』が好きでした。
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王様のブランチで特集されていて衝動買い。
オムニバス形式で、前のストーリーの伏線を想像しながら読むのが楽しい。
語り部の怪しさ・不安定さにハラハラ。
人魚・へしむれる、等の奇妙や設定が異世界感。
長い時間スケールで「見た目」に焦点を当ててる。
薄紅の娘が作りあげたい世界の続きが気になる。
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初めてのホラー小説
章毎に別の話かと思いきや、登場人物がそれぞれ繋がってて「因果応報」が一つのキーワードだった
嫉妬のコントロールが利かなくなった時、自分はどう行動してしまうだろうか。悪口の一つや二つ、陰湿な嫌がらせをしてしまわないだろうか。他人の不幸を喜んでないか、他人を下に見るような振舞いになってないか。
いつも仲良くしてくれる人ほどそういうところをよく見てるし、その人の素性が本当に出る部分だと思った。
ホラー = 幽霊や妖怪の怖い話というイメージだったが、今回の話は人の感情に焦点があてられて進んでいき、読み手にも実体験を回帰させるような話の流れが自分にとっては一番怖さを感じた。あれ、人魚も妖怪か?笑
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伊藤潤二氏の富江を優しくしたホラーという感じ。
汚くなりそうな描写もなんだか美しく、引き込まれました。
ルッキズムの加害者は人間。暴力をふるうのも人間。人魚は美しいだけ。
「人間よりも人魚の方が情がある」そんな感じの本でした。
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さらっと読める。
内容も難しくなく、びっくりさせられるようなトリックがあるわけでもない。
なのに物足りなさもなく面白かった。
あとにじんわり残る気味の悪さや哀しさになんだか甘い味がついているような気がする。
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第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞〈大賞〉受賞作。
王様のブランチでも紹介されていたので…
不気味なおばあさんをダシにナンパに成功した僕。相手の女性と雑談しているうちに人魚の言い伝えの話になり、高校時代の同級生・水嶋のことを思い出す。「わたし、人魚かもしれん」 幼い頃、体が弱かった水嶋は何か血のようなものを飲まされた後、病気がすっかり治り、顔が美しくなったという…
人魚伝説をテーマにした4話からなる連作短編集。全体を通してどこか奇妙で不気味な雰囲気が漂っている。世にも奇妙な物語的なテイストかな?
登場人物の多くが人として破綻していて、個人的にはあまり共感できなかった。読後はちょっと切ない…
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る、ルッキズム怖い……!となる小説。いや、出てくる男は総じてクズだし、読んでいる最中は色んなところに思考が飛んでそこまで思わなかったんですが、読み終わった後にふと人魚のことを考えると、「……会話が出来て人の形をしている存在を食べるって、よっぽどでは?」とそっちに薄ら寒くなってました。美貌への嫉妬や恨みとかは薄らと理解できるけど、そこからどういう思考を踏まえるとカニバリズムに発展するんだろうか。人魚がここまで生き長らえてきた影で、誰かを殺して食らいたいと思った人間達がいるんだよな……。
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美人をナンパした男の話は、故郷の人魚伝説に展開していく。
人魚にまつわる連作短編集。
第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞「大賞」、「カクヨム賞」をダブル受賞。
最近のブームだからか応募作はホラーばかりだった模様。
少しずつ関連性が明かされていく過程が上手い。
ルッキズムに囚われている。人間も人魚も。
美人になれるとして、どれだけの人間が人魚を食べるのでしょうね…
Posted by ブクログ
人魚にまつわる不思議な話
序盤に登場した謎の人物も最後には誰か判明し、変に思わせぶりで謎なまま終わることもなくてよかったが、全体的に設定がファンタジーなので没入感は薄い