軽部謙介のレビュー一覧

  • アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのか

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    軽部さんのアベノミクス三部作完結編。
    長らく所期の目的を達することができなかった金融緩和だが、安倍元首相の退陣と前後して、円安や原油高によって物価上昇率が2%を超えるようになってきた。
    普通に考えると、金融緩和というよりは、主として国外の事情が物価上昇の原因であるように思われ、アベノミクスそのものについてもいまだ評価を確定できない状況ではあるが、安倍元首相が亡くなるまでの間に、政治の世界や官僚の世界(また、その相互関係)の中で、誰がどのようなことをしてきたかを丁寧に記録してきたことに、本シリーズの意義があるように思う。

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    2024年05月26日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    「2%の物価上昇」を掲げてスタートしたアベノミクスが、日銀を皮切りに財務省、経団連、そして時には米国政府などとも軋轢を生みながら展開していった様子が描かれています。
    終盤に活写される為替介入の場面では、やはり金融緩和は(お題目はともかくとして)通貨安誘導に軸足が移っていったことが分かります。
    当初は岩田先生がいうように「まずデフレを止めよ」ということで始まったのでしょうが、結局、政府がほしがったのは株高と雇用の改善だったというわけです。

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    2024年05月07日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    いわゆる内幕物であり、結果は知ってはいるものの、先が気になってサクサクと読めた。
    安倍自民党が圧勝してから、余勢を駆って厚労省に押し付けられた政策(GPIFのリスク資産比率の増加)もあったと知る。

    個人としては、当時、金融緩和については是非ともやるべきという意見だったが、いわばカンフル剤であり、長く続けるようなものではないと思っていた。
    その意味では、最後の方に出てくる木内審議委員の意見に近い。
    黒田総裁末期、10年やって成果が出ない政策を続けることに合理性は見当たらなかった。
    ただ、それはまた後の話である。

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    2024年04月16日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    本書の続編とも言える『ドキュメント 強権の経済政策 ー官僚たちのアベノミクス2』と併せて読みたい。
    第二次安倍晋三政権が成立してから始まった目玉政策『アベノミクス』がどのようにして作られていったかを、
    詳細に書いた本。

    情報量が妙に多いので、読み通すとかなり疲れる。

    つくづく思うのは、日本は官僚主導で動く国家であり、官僚をうまく使いこなせないと政権の維持が難しいのだな、ということであった、
    官僚達がが完全に国民への分配政策よりも成長重視な人間ばかりで、そこに成長戦略を強力に打ち出した安倍政権は、実に相性が良かったという事か。

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    2021年11月15日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    【混沌からの落穂】2012年の総理就任と同時に,安倍政権の目玉政策となったアベノミクス。その政策の成立過程を追いながら,現代日本の政治システムの内側を垣間見た作品です。著者は。時事通信社で解説委員等を歴任した軽部謙介。

    これは名著。政策決定プロセスを考える上でももちろん有益ですが,特に後半に描かれる,政権と日銀の距離感に関する記述と考察が白眉です。新書というとコンパクトかつ軽めの媒体という印象も与えられてしまいがちですが,本書は日本政府の内側にぐりぐりと迫った力作だと感じました。

    〜政権がつくられるとき,その政党は特定の政策を実施しようとする。そして,その政策をつくるという意思は,首相→各

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    2018年06月04日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    アベノミクスの形成過程がよくわかる良書。アベノミクスとはつまりは円高と株価対策であったということか。本書において成長戦略が語られないことは、極めて象徴的に思われます。

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    2018年04月06日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    アベノミックスが成功だったのか失敗だったのかは、これから検証されていくことだろうが、第二次安倍政権発足当時は日本を良くしようと火の玉になって働いていた安倍首相がよくわかった。

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    2024年02月06日
  • アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのか

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    アベノミクスの政治的な変遷を時系列で追った1冊。賛否両論ありながら進み、やがて財政政策へシフトしていく様子が分かります。

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    2023年03月05日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    金融政策主体のアベノミクス立ち上げ当時の具体的な経緯が描かれている。それを推進する人々の高揚感のようなものが伝わってくる。ただそれが日本社会にとって本当によかったのかどうかがはっきりするのはこれからだ。アベノミクスが日本社会にとって罪であったとしても、その罪を贖うことになるのは、アベノミクスを推進した面々でも、それにより短期的な恩恵を得た面々でもなく、いわゆる庶民、特に貧困層だろう。今後のためにも、アベノミクスがどのような経緯で始められたのかを、多くの人がきちんと知る必要があると思う。

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    2022年08月21日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    大変興味深く、一読に値する良書だ。前作ほどの明瞭さはないことについては、著者も触れているが、公的な成果検証と世論の評価いずれも曖昧なままにコロナ禍に突入してしまったことが一因かもしれない。

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    2021年08月25日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    ノンフィクション小説のような出来だ。基本的に、筆者のいうとおりアクター(それも政財界エリートの個々人)中心の分析・描写。よくここまで細部にわたり取材しストーリー状に上手く繋ぎ合わせたものだ、と脱帽してしまった。
    前半は凋落の日々を送る民主党政権と、その下で「裏切る」官僚たち、彼らと取引する自民党幹部。中盤以降は、アベノミクス(の「2年で名目物価上昇2%」)に抵抗する最期の砦たる日銀と、前線で戦う財務省。財務省の持ち帰った妥協を睨む内閣府や政権上層部…。本書には登場しないけど、個人的には当時の日経一面の「白から黒へ」見出しを懐かしく思い出した。後半では、陥落した日銀の次に厚労省が登場。年金基金を

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    2021年06月29日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    阿部の強気の経済政策ができていく過程が描かれていて、政治の裏側がよく分かった。
    社会事情や政治家、官僚、日銀の思惑が、今日までを作ったんだなぁと思った。

    どんな組織でも長期の弊害が出ると思う。
    また、政治家が自分で集めた情報と頭で考える政治の限界があるような気がする。感情の政治かな。

    論理の政治とうまくバランスして、国民のための政治がされてくことを期待します。

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    2020年10月20日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    安倍政権が終わり、今まで表に出すことが出来なかった政権の内実がいろいろと表に出てきているが、それらの中でも、本書は詳細さと読みやすさともに秀逸である。
    「官製春闘」についても、連合と経団連の戸惑いと動き、内閣府と官僚の思惑など、当時の新聞で知り得なかったことが息づかいまで分かるように思えた。
    それにしても国家と経済の運営というものは、実に巨大システムであるがゆえに単純ではなく難しいものであると思った。
    結果的に官製春闘では賃上げは微々たるものに終わったわけだが、賃上げの必要性は認識していたということなのだろう。政権後半では賃上げに言及することもなくなっていたと記憶しているが、本書の「政策が選挙

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    2020年10月02日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    2012年12月に総選挙の結果、民主党から自民党に政権が移り、安倍首相がデフレ脱却を目的にインフレターゲット2%を目指そうとした。それに至るまでの財務省、経済産業省などの官僚及び政治家、日銀に関係する人々の動きが緻密に描かれている。それぞれが抱える組織のロジックがぶつかり、日本という巨船はこのようにして動いていたのかととても興味深く読んだ。

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    2020年09月12日
  • ドキュメント 強権の経済政策 官僚たちのアベノミクス2

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    「アベノミクス」という経済政策がどのようなプロセスで形成されたのかを克明な取材により明らかにした『官僚たちのアベノミクス』の続編であり、2013年半ば以降の「その後のアベノミクス」の軌跡をたどっている。具体的には、政府による賃上げ介入、内閣人事局の設置、消費税増税の延期、為替市場への介入未遂などについて取り上げている。
    前作に引き続き、第2次以降の安倍内閣の経済政策がどのように形成されているのか、その舞台裏を垣間見ることができる貴重な一冊である。本来、黒衣でありなかなか表に出てこない官僚(特に財務官僚)や日銀職員の動きを具体的に知ることができたのはとても興味深かった。
    本書は、内容が克明であり

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    2020年08月16日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    政策過程論の学術的な話ではない。ジャーナリストの取材とアンテナによって触診された「アベノミクス」の外形の型取りのようなものと思う。真実は安倍、麻生、甘利、白川にだって全貌としてはわかるまい。彼らだって自分たちの主観と行動を覚えているだけで、全体の力関係がすべて見えていたわけではないだろうから。

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    2019年03月14日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    周囲に本好きの人は多いが、N先輩はその中でも群を抜いている。
    どんな本を読まれるのかお聞きしたら、歴史から医学、財政、福祉、ノンフィクションまで、幅の広さに圧倒されてしまった。「面白そうだから読んでるだけ」と謙遜されるが、忙しい職にあっても新しい本に挑戦される姿勢は見習いたいものだ。

    N先輩からご紹介いただいた1冊。
    安倍内閣の経済政策アベノミクスは大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の3本の矢からなる。本書は、第一の矢である金融緩和が、自民党の選挙公約から日銀の政策となっていく過程を、2012年9月の自民党総裁選から翌13年3月の日銀総裁辞任まで辿ったノンフィクションだ。

    印象的な

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    2018年08月22日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    アベノミクスの開始から5年。やっとインフレ2%目標の旗を下ろした。マネーの流れを変えるだけではデフレを抑えるのは無理だった。
    残されたのは日銀の大量の国債の保有、国の大借金。景気は少し良くなったかもしれないが、富の集中が進み、庶民の大半は景気の改善の実感がない。
    確かに失業率は改善されたが、非正規雇用者が拡大しただけ。この低所得者層は何の蓄えも無く、将来の生活保護受給者予備軍でもある。
    特定秘密保護法や安保法などの悪法が推進され、オマケに安倍は憲法改悪を掲げ、総裁3選が確実視されている。
    こんな安倍に国民の多くは消極的な支持をしている。もっと真剣に日本の将来を一人一人が考えないといけない。

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    2018年07月29日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    第二次安倍政権の誕生とともに金融政策が大きく変わったが、それに至った政治、役所、日銀の攻防が非常に丁寧に、かつドラマティックに描かれていた。当時を知る資料として価値が高いと思う。

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    2018年06月06日
  • 官僚たちのアベノミクス 異形の経済政策はいかに作られたか

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    金融政策を政党の、そして政府の最重要課題に明記したという点で異形の政策である「アベノミクス」。本書は、時事通信のジャーナリストである著者が、延べ約120人へのインタビュー、公文書、議事録、メモ、日記、備忘録など様々なソースを駆使して、「アベノミクス」という政策について、いつ、どこで、誰によって形成されていったのかの原点を記録しておこうという試みである。
    安倍内閣を陰で操っているとも言われる今井尚哉秘書官の影がほとんど見えないなど、安倍内閣の政策決定過程の全てを明らかにできているとは思えなかったが、実力あるジャーナリストらしく、安倍内閣における政策決定の舞台裏を多角的かつ克明に描き出しているとい

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    2018年05月16日