軽部謙介のレビュー一覧
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【混沌からの落穂】2012年の総理就任と同時に,安倍政権の目玉政策となったアベノミクス。その政策の成立過程を追いながら,現代日本の政治システムの内側を垣間見た作品です。著者は。時事通信社で解説委員等を歴任した軽部謙介。
これは名著。政策決定プロセスを考える上でももちろん有益ですが,特に後半に描かれる,政権と日銀の距離感に関する記述と考察が白眉です。新書というとコンパクトかつ軽めの媒体という印象も与えられてしまいがちですが,本書は日本政府の内側にぐりぐりと迫った力作だと感じました。
〜政権がつくられるとき,その政党は特定の政策を実施しようとする。そして,その政策をつくるという意思は,首相→各 -
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ノンフィクション小説のような出来だ。基本的に、筆者のいうとおりアクター(それも政財界エリートの個々人)中心の分析・描写。よくここまで細部にわたり取材しストーリー状に上手く繋ぎ合わせたものだ、と脱帽してしまった。
前半は凋落の日々を送る民主党政権と、その下で「裏切る」官僚たち、彼らと取引する自民党幹部。中盤以降は、アベノミクス(の「2年で名目物価上昇2%」)に抵抗する最期の砦たる日銀と、前線で戦う財務省。財務省の持ち帰った妥協を睨む内閣府や政権上層部…。本書には登場しないけど、個人的には当時の日経一面の「白から黒へ」見出しを懐かしく思い出した。後半では、陥落した日銀の次に厚労省が登場。年金基金を -
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安倍政権が終わり、今まで表に出すことが出来なかった政権の内実がいろいろと表に出てきているが、それらの中でも、本書は詳細さと読みやすさともに秀逸である。
「官製春闘」についても、連合と経団連の戸惑いと動き、内閣府と官僚の思惑など、当時の新聞で知り得なかったことが息づかいまで分かるように思えた。
それにしても国家と経済の運営というものは、実に巨大システムであるがゆえに単純ではなく難しいものであると思った。
結果的に官製春闘では賃上げは微々たるものに終わったわけだが、賃上げの必要性は認識していたということなのだろう。政権後半では賃上げに言及することもなくなっていたと記憶しているが、本書の「政策が選挙 -
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「アベノミクス」という経済政策がどのようなプロセスで形成されたのかを克明な取材により明らかにした『官僚たちのアベノミクス』の続編であり、2013年半ば以降の「その後のアベノミクス」の軌跡をたどっている。具体的には、政府による賃上げ介入、内閣人事局の設置、消費税増税の延期、為替市場への介入未遂などについて取り上げている。
前作に引き続き、第2次以降の安倍内閣の経済政策がどのように形成されているのか、その舞台裏を垣間見ることができる貴重な一冊である。本来、黒衣でありなかなか表に出てこない官僚(特に財務官僚)や日銀職員の動きを具体的に知ることができたのはとても興味深かった。
本書は、内容が克明であり -
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周囲に本好きの人は多いが、N先輩はその中でも群を抜いている。
どんな本を読まれるのかお聞きしたら、歴史から医学、財政、福祉、ノンフィクションまで、幅の広さに圧倒されてしまった。「面白そうだから読んでるだけ」と謙遜されるが、忙しい職にあっても新しい本に挑戦される姿勢は見習いたいものだ。
N先輩からご紹介いただいた1冊。
安倍内閣の経済政策アベノミクスは大胆な金融緩和、機動的な財政出動、成長戦略の3本の矢からなる。本書は、第一の矢である金融緩和が、自民党の選挙公約から日銀の政策となっていく過程を、2012年9月の自民党総裁選から翌13年3月の日銀総裁辞任まで辿ったノンフィクションだ。
印象的な -
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アベノミクスの開始から5年。やっとインフレ2%目標の旗を下ろした。マネーの流れを変えるだけではデフレを抑えるのは無理だった。
残されたのは日銀の大量の国債の保有、国の大借金。景気は少し良くなったかもしれないが、富の集中が進み、庶民の大半は景気の改善の実感がない。
確かに失業率は改善されたが、非正規雇用者が拡大しただけ。この低所得者層は何の蓄えも無く、将来の生活保護受給者予備軍でもある。
特定秘密保護法や安保法などの悪法が推進され、オマケに安倍は憲法改悪を掲げ、総裁3選が確実視されている。
こんな安倍に国民の多くは消極的な支持をしている。もっと真剣に日本の将来を一人一人が考えないといけない。 -
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金融政策を政党の、そして政府の最重要課題に明記したという点で異形の政策である「アベノミクス」。本書は、時事通信のジャーナリストである著者が、延べ約120人へのインタビュー、公文書、議事録、メモ、日記、備忘録など様々なソースを駆使して、「アベノミクス」という政策について、いつ、どこで、誰によって形成されていったのかの原点を記録しておこうという試みである。
安倍内閣を陰で操っているとも言われる今井尚哉秘書官の影がほとんど見えないなど、安倍内閣の政策決定過程の全てを明らかにできているとは思えなかったが、実力あるジャーナリストらしく、安倍内閣における政策決定の舞台裏を多角的かつ克明に描き出しているとい