【感想・ネタバレ】アフター・アベノミクス 異形の経済政策はいかに変質したのかのレビュー

あらすじ

水面下で大きく構造転換していたアベノミクス.金融政策から財政政策へのシフトは,いつ,どのように起きたのか.日銀は何を考えていたのか.財政当局はどう動いたのか.財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手,さらに内部資料,各種証言などを材料に立案過程を詳らかにし,毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する.

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Posted by ブクログ

軽部さんのアベノミクス三部作完結編。
長らく所期の目的を達することができなかった金融緩和だが、安倍元首相の退陣と前後して、円安や原油高によって物価上昇率が2%を超えるようになってきた。
普通に考えると、金融緩和というよりは、主として国外の事情が物価上昇の原因であるように思われ、アベノミクスそのものについてもいまだ評価を確定できない状況ではあるが、安倍元首相が亡くなるまでの間に、政治の世界や官僚の世界(また、その相互関係)の中で、誰がどのようなことをしてきたかを丁寧に記録してきたことに、本シリーズの意義があるように思う。

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2024年05月26日

Posted by ブクログ

アベノミクスの政治的な変遷を時系列で追った1冊。賛否両論ありながら進み、やがて財政政策へシフトしていく様子が分かります。

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2023年03月05日

Posted by ブクログ

本書は2022年12月発行なので、既に安倍元首相は退陣していたばかりではなく、凶弾に倒れ、亡くなられていたタイミングでの発行である。本の内容は、アベノミクスを振り返り、それが、途中で変質したとし、その背景を探ったものである。本書は、下記のように紹介されている。
【引用】
水面下で大きく構造転換していたアベノミクス。金融政策から財政政策へのシフトは、いつ、どのように起きたのか。日銀は何を考え、財政当局はどのように動いたのか。財政再建特命委員会や財政政策検討本部の全議事録を独自に入手、内部資料、各種証言なども材料に立案過程を詳らかにし、毀誉褒貶激しい政策を徹底検証する。
【引用終わり】

第二次安倍政権は、「三本の矢」という政策を軸に運営を開始した。「三本の矢」は、「大胆な金融政策(異次元の金融緩和)」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」である。政権当初、安倍元首相はリフレ派ではなく、どちらかと言えば、財政規律派であると少なくとも私は理解していたし、また、「成長戦略」も、これといったものは打ち出されずに、政策の中心は「異次元の金融緩和」であり、本書を読んでも、金融政策だけで、脱デフレが可能であると、政権に近い人たちは考えていたようである。
しかし、「異次元の金融緩和」は、うまくは機能しなかった。脱デフレが達成できたかどうかは、物価上昇率2%が達成できたかどうかで判断することと理解されていたが、それは、いつまで経っても達成されなかった。そのような中、「金融政策では」あるいは「金融政策だけでは」、脱デフレは達成できないと安倍元首相は考えるようになり、財政政策に舵を切ろうとしていた、その経緯と実際の動きを描こうとしたのが本書である。
安倍元首相は、「財政規律派」というよりは、「小さな政府派」だったのだと思う。それでも、増大する社会保障費用をまかなうために、2度に渡り、消費税増税を行った。「金融緩和」によって、お金をマーケットに余らせてインフレを起こそうとしたのであるが、財政は緊縮のまま、更には消費増税まで行ったため、消費が冷えてしまい、マネーに対しての需要が起こらず、景気は冷え切ったままだったというのが、「アベノミクス」の結果だったのではないだろうか。
コロナになり、ようやく財政出動を大幅に増やしたが、それも緊急避難的な対策であり、今では元に戻りつつある。
本書を読んでいて、安倍元首相が、もう少し早く財政を緩めるアクションを起こしてくれていたら、日本経済の姿も、少し違ったものになっていたのではないかな、と思ってしまう。

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2025年03月02日

Posted by ブクログ

安倍元首相の進めてきた、アベノミクスの変遷と、今後の懸念が示される。
強引な手法で、周りをイエスマンで固めて進めてきたアベノミクスの出口戦略はあるのか、クラッシュしない事を願う。

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2023年04月25日

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