小林正のレビュー一覧

  • 赤と黒(上)

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    ナポ1敗北。ルイ18復古王政。シャルル10、王党派貴族を優遇。昔の絶対王政・貴族の息苦しい時代に逆戻り▼貧しい若い男ジュリアン。身分は低いが、いつか出世したい。頭はいい。町長の家に家庭教師として雇ってもらい、そこの夫人と不倫。「高貴で美しい女を手に入れた」▼家庭教師を辞めさせられたジュリアンは神学校に入学。そこの神父の紹介でパリの侯爵の秘書になる。侯爵の娘と結婚の流れに。玉の輿成功かと思われたが、町長の夫人(前の愛人)が侯爵に「こいつはひどい男」だと告げ口。「彼は、うわべはいかにも無欲な顔をしながら、か弱い不幸な女を誘惑し、一家の財産を手に入れようとする偽善者です」。結婚の話はなくなる。ジュリアンは夫人に発砲する。ジュリアン逮捕▼裁判。ジュリアン「陪審員の皆さん、あなたたち上流階級は、下層階級で貧困に苦しみながら教育を受けて上流階級の社交界に入り込もうとする若者の気力をくじこうとしている」。毅然とした態度を示すジュリアン。陪審員たちの心象を害し、死刑に。享年23歳▼身分の低い者が身分社会に挑戦して破滅。赤は共和主義/貧しい男、黒は復古王政/貴族。スタンダールStendhal『赤と黒--1830年年代記』1830 ※「スタンダール」はペンネーム、本名マリ=アンリ・ベール
    〇ジュリアン・ソレル。男。20歳。貧しい家に生まれる。出自が卑しい。父は材木屋。美貌と才知。ラテン語が読める。野心家。ナポレオンを崇拝。貴族に反感・劣等感。タルテュフ(偽善者)を自称。
    ●レナール。男。町長。王党派。平民・ジャコバン派が嫌い。
    〇レナール夫人。30歳。美人。貞淑・無垢。ジュリアンと不倫。ジュリアンに発砲されるも、一命を取り留める。ジュリアン処刑の3日後に死去。
    ●ヴァルノ。レナールのライバル。
    〇エリザ。レナール家の召使。ジュリアンに恋心。
    〇フーケ。ジュリアンの親友。材木商。
    〇ピラール神父。神学校の校長。キリスト教異端派。
    ●ラ・モール。侯爵。パリの貴族。大地主。ジュリアンを秘書として雇う。
    〇マチルド。ラ・モール侯爵の娘。美人。プライドが高い。ジュリアンと恋に落ち、ジュリアンの子を身ごもる。

    ファブリス。青年。ナポレオンを崇拝し、ワーテルローの戦い(1815)に参加するが、活躍できず負傷。これを反ナポレオンの兄に告発され、逃亡。叔母のコネで、僧侶になる。ある日、ファブリスは旅の劇団の女優に恋。しかしその女には男がおり、争いになってファブリスは男を刺し殺してしまい、パルムの監獄に収監される▼ファブリスは監獄長官の娘クレリヤに恋。パルム公国で新大公が就任すると、ファブリスは罪を免除され、出所、高位聖職者になる。ファブリスはクレリヤ(既婚)と密会を続け、クレリヤとの間に子供ができるが、子供は死んでしまい、クレリヤは不倫の罪に苛まれ死亡、ファブリスも絶望の中、僧院に隠遁するが、まもなく死亡。スタンダールStendhal『パルムの僧院』1839
    〇ジーナ。ファブリスの叔母。パルム公国のサンセヴェリナ侯爵夫人。甥のファブリスに愛情。
    ●パルム大公。サンセヴェリナに言い寄るがフラれる。ファブリスへの嫉妬から、ファブリスの刑を不当に重くする。牢獄にいるファブリスを助けようとサンセヴェリナはパルム大公を暗殺させる。
    ※自分の無知の断片を盾にして、現実に抗議するのはよくない。

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    ゴリオ。男。老人。元パスタの製麺職人。安アパートで質素に暮らしている。同じ安アパートに住む貧乏学生ラスティニャック。今は貧しいが、いつか出世して華やかな上流社会の仲間入りをしたい▼ゴリオには金持ちの男と結婚した2人の娘がいる。きらびやかなパリの社交界で生きる娘たち。何かとお金がいる。普段はゴリオに冷たい娘たちだが、金に困ると父ゴリオを訪ねて、おべっかを使い、金をねだる。娘たちを溺愛するゴリオは、娘たちの願いならと、金を工面し続けていた。やがて金が尽き、それを2人の娘に伝える▼ある日、ゴリオが心臓発作で倒れる。死の淵をさ迷うが、娘2人は見舞いにも来ない。ゴリオ「忙しいのだろうか、眠っているのだろうか、あの子たちが来ない。いや、あの子たちが来るわけがない。そんなことはずっと前からわかっていた。ただ信じたくなかったんだ」。ゴリオは涙で両目がいっぱいになる。ゴリオ、息を引き取る▼ゴリオと同じアパートに住む貧乏学生ラスティニャックは、役所にゴリオの死亡届を提出、粗末な棺を格安で手に入れる。ミサはお金がかかるので、司祭に安価な祈りをしてもらうことに。ゴリオは埋葬された。娘たちは来ない。代理の使用人が来ていた。司祭が貰った金額の分だけ、ゴリオに短い祈りを唱え終ると、使用人とともに姿を消した。墓掘り人がゴリオの棺にシャベルで土をかけると、「チップをくれよ」と言ってきた。貧乏学生ラスティニャックはポケットを探ったが、空っぽだった。猛烈な悲しみが込み上げてくる。辺りはすでに暗く、高台からパリを見下ろすと、街の灯がきらきらしている。社交界が息づいている。ぶんぶんうなりをあげるミツバチの巣のような世界。ラスティニャックは叫ぶ「今度はおれが相手だ」。オノレ・ド・バルザックBalzac『ゴリオ爺さん』1834
    ※メゾン・ヴォケール。ゴリオの住む安アパート。
    ※悲劇の父親ゴリオ。リア王との比較。
    〇ラスティニャック。貧乏学生。安アパートの住人。ゴリオの次女デルフィーヌ(人妻)に恋。
    ●アナスタジー。ゴリオの長女。夫の所有する宝石を売って、金を自分の愛人に貢いでいる。
    ●デルフィーヌ。ゴリオの次女。派手好き。浪費家。
    〇ヴィクトリーヌ。ラスティニャックに恋。資産家の娘。兄がいる。
    ●ヴォートラン。悪党。脱獄犯。金がほしい。目的のためには手段を選ばない。ラスティニャックを悪の道に引込もうとする。資産家の娘ヴィクトリーヌの兄を殺し、財産をヴィクトリーヌに相続させ、奪い取ろうと画策するが失敗・逮捕。

    アンリエット。伯爵夫人。ある日、舞踏会で若い青年フェリックスに出会い、次第に惹かれていく。しかし、アンリエットは夫と子供がある身、情熱よりも貞節・徳を優先。成就しない恋に思い悩みながら病死する。オノレ・ド・バルザックBalzac『谷間の百合(ゆり)』1835
    ※うち解けすぎると尊敬を失い、気安くしすぎると馬鹿にされ、むやみに熱意を見せると食い物にされる。
    *バルザック。登場人物を別作品で再登場させる手法。

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    エマ。貧しい農家の娘。贅沢な暮らしや情熱的な恋に憧れている。エマはシャルル・ボヴァリーというさえない開業医の男と出会い、結婚・出産。しかし、シャルルは平凡な男。結婚生活は退屈。憂鬱な日々。刺激がほしい。恋愛小説のような恋がしたい。他人が作った物語やイメージを自分の人生として生きようとするエマ▼ある日、将来有望そうなレオンという男子学生に出会い、惹かれていく。が、レオンは勉学のため、パリへと引っ越してしまう。しばらくすると、エマはロドルフという女好きの金持ち男に出会い、肉体関係をもつ。エマは男に「一緒に駆け落ちしてほしい」と言うが、断られてしまい、男からフラれてしまう。ある日、エマはオペラを見に行くと、偶然、昔好きだった男子学生レオンに再会。エマは夫や娘をほったらかして、レオンと頻繁に会うようになる。さらに、贅沢品や高価な服を買うために借金を重ね、ついに首が回らなくなる。何をやっても満たされない。わたしは不幸な女。絶望の中、エマはヒ素を飲んで自殺▼エマの死後、夫シャルルは妻にロドルフという男がいたことを知り、呆気にとられ立ち尽くす。ある日、町でばったり妻の不倫相手ロドルフに会ったシャルル。シャルルの顔は紅潮し、小鼻は素早くひくつき、唇は震え、暗い激怒をたたえながらロドルフをにらむ。が、やがてシャルルの顔は陰気で無気力な表情を見せ、ロドルフに言う。「あなたを恨んではいません」。シャルルは、エマを心底愛していた。彼女はもういない。ある日、シャルルの娘がシャルルを夕食に呼びに行くと、シャルルが地面に倒れている。息をしていない。その手には、エマの遺髪が握られていた。ギュスターヴ・フロベールFlaubert『ボヴァリー夫人』1857
    ・最高の口づけが唇に残すものは、さらなる逸楽を求める叶わぬ欲望。
    ・偶像に触れてはならない。金箔がはげて手に残る。

    フレデリック・モロー。青年。人妻マリー・アルヌーに一目惚れ。求愛するも失敗し、夢破れる。ギュスターヴ・フロベールFlaubert『感情教育』1869

    このくだらない世の中で、笑いほど真面目なものはない。フロベール

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    レベッカ・シャープ。通称ベッキー。女。身分が低く、貧しい。才知。色んな男に言い寄り、肉体関係をもち、社交界でのし上がっていく。が、最終的にすべてを失い破滅。サッカレー Thackeray『虚栄の市きょえいのいち』
    *世界は鏡。しかめ面をすれば、それはこちらをにらみつける。笑いかければ、こちらに笑いかけてくる▼成功は滅多になく、ゆっくりと訪れる。破滅はたやすく、あっという間に訪れる。

    上機嫌は社交界に着ていける一級品のドレスである。サッカレー『洋服仕立てと化粧について』

    難しいのは信仰のために死ぬことではない。信仰に従って生きることだ。サッカレー『ヘンリ・エズモンド』

    笑い方を知らない人は尊大で自負心が強い。サッカレー

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    ※救貧法改正(1834, イギリス)。それまで行われていた現金や食料の支給(院外救済)は大幅に制限され、生活に困窮した人は救貧院(workhouse)に収容された。労働・厳格な生活・最低限の食事。

    オリヴァー・ツイスト。少年。ある上流階級の男が不倫してできた子。母は出産後に死亡。孤児。9歳。地方の孤児院でいじめられている。ある日、孤児院を逃げ出し、ロンドンへ。優しい紳士ブラウンローに出会い、引き取られ、幸せに暮らす。チャールズ・ディケンズDickens『オリヴァー・ツイスト』1838
    ●フェイギン。ロンドンの泥棒。おっさん。貧しい少年たちを集めて窃盗団を組織。オリヴァーを誘拐し、悪の道に引込む。狡猾。猜疑心。シャイロック(『ベニスの商人』)と同じユダヤ人。絞首刑に。
    ●アートフル・ドジャー。少年。スリの天才。フェイギンの窃盗団の一員。
    ●サイクス。プロの強盗。おっさん。フェイギンの仲間。いつも犬(ブルズアイ)をつれている。裏切ったナンシーを撲殺し、警察に追われている途中に事故死。
    〇ナンシー。サイクスの女。娼婦。フェイギンの下で働く。良心の人。オリヴァー誘拐に加担したことを悔やみ、紳士ブラウンローにフェイギンやサイクスの悪事を密告。それを知ったサイクスにより「裏切り者」として棍棒で殴り殺される。
    ※背表紙や表紙のほうがはるかに優れている。そんな本がある。

    エベニーザ・スクルージ。老人。金貸し。ケチ。貧乏人に1ペニーも寄付したくない。口癖Bah! Humbug!(ばかばかしい)」。クリスマス前夜、精霊が現れて、スクルージの過去、現在、未来を見せる。愛よりも金を優先して最愛の人を失った過去。貧しいながらも生きる人々の姿(現在)。自らの悲惨な未来。スクルージは改心する。チャールズ・ディケンズDickens『クリスマス・キャロル』1843
    ※ロンドンの下町
    〇ジェイコブ・マーレイ。昔、スクルージが一緒に会社を経営していた男。7年前に死亡。(鎖につながれた)亡霊としてスクルージの前に現れる。
    〇ボブ・クラチット。スクルージの会社の事務員。薄給で働いている。
    ※映画「ミッキーのクリスマス・キャロル」(1983)

    デイヴィッド。男。色々な経験をして、作家として成功するまでの話。母が再婚(しかもやな男と)、大好きな母が死亡、学校で体罰を受ける、待遇の悪いバイト、旅の途中で身ぐるみを剥がれる、結婚した妻が早世。チャールズ・ディケンズDickens『デイヴィッド・コパフィールド』1849

    テレーズ・ドファルジュ。パリで酒場を経営する中年の女。小さい頃、姉を貴族に殺され、貴族に深い恨みを持っている。やがて、フランス革命が始まり、民衆による貴族階級への集団リンチ("報復")が始まった。テレーズの姉を殺した貴族を叔父にもつチャールズ・ダーニーは、外国(英)に移住("逃亡")したとして逮捕・裁判にかけられた。テレーズは法廷でダーニーの叔父が農民の娘を誘拐して強姦した証拠をつきつける。判決の結果、ダーニーは翌日の午後にギロチン処刑されることに。テレーズはさらに、ダーニーの妻ルーシーとその幼い娘も殺そうと画策し始める▼それを聞きつけたシドニー・カートン(ルーシーに片想いする酒浸りの英の弁護士)は、ルーシーにすぐに仏から英へ逃げるよう伝える。さらにカートンはダーニーが収容されている独房に行き、ダーニーを独房から逃がすと、身代わりとしてダーニーになりすます。ギロチンで処刑される直前、カートンはつぶやく「ルーシーとその夫が人生の旅を終え、土のベッドで並んで横たわる姿が見える。これから行くところは素晴らしい安らぎの地だ」。チャールズ・ディケンズDickens『二都物語』1859
    ※旧体制を壊してのし上がった新たな抑圧者たちは、報復の刑具(ギロチン)で滅び去るだろう。

    家族愛の中に祖国愛が芽生える。ディケンズ『骨董品』

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    ラインハルト・ヴェルナー。男。大好きだった幼馴染の娘エリザベートが、別の男と結婚してしまう。エリザベートは2度断ったが、母から結婚を強くすすめられ、仕方なく結婚したらしい。ラインハルトは、エリザベート夫婦から新居の家に招待される。そこで、過ぎ去った幼い日々の思い出を詩にする。湖のほとりを2人で歩いたこと。テオドール・シュトルム『みずうみ』1849 ※ドイツ
    *誌的リアリズム
    *トマス・マンのトニオ・クレーガーに影響を与える

    マーク・トウェインTwain『トム・ソーヤの冒険』1876
    〇トム・ソーヤ。少年。やんちゃ。好奇心旺盛、知恵と勇気。母を亡くし、叔母のポリーと暮らしている。
    〇ハックルベリー・フィン。少年。浮浪児。ボロボロの服。自由奔放。大人は「ハックと一緒に遊ぶな」と言う。
    〇ベッキー。トムが好き。おさげ髪。
    〇マフ・ポッター。老人。酔っ払い。殺人の罪を擦り付けられる。
    ●インジャン・ジョー。夜の墓場で人を殺し、ポッターに罪をなすりつける。悪事をはたらき、大金を洞窟に隠している。耳が聞こえない。

    ハックルベリー・フィン。浮浪児。才知。良心。同情心。黒人奴隷ジムと共に、自由を求めてミシシッピ川をいかだで北上、カナダを目指す。黒人奴隷を助けるのは罪になるが、ジムとの友情を優先。ジムマーク・トウェインTwain『ハックルベリー・フィンの冒険』1885

    それは穏やかで平安に満ちた夏の風景だった。夢のように美しく、日曜日のようにもの寂しくひっそりとしていた。マーク・トウェインTwain『アーサー王宮廷のコネチカット・ヤンキー』1889

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    ※写実主義(リアリズム)文学。日常生活。普通の市民。心理描写。社会を客観的に観察。道徳的・心理的な葛藤。

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    2026年05月22日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    恋愛と社会階級のふたつの側面からそれぞれに注目しながら読むと楽しめるかもしれません。なんなら2回読むのもありでしょう。

    筆者は「恋愛論」なんて本も書いている方であるため、解説等にもあるように恋愛を分析した描写はかなりひきつけられます。
    社会階級に関しては、主人公がよく喋るためにそこまで理解し難いものでもなく、対立構造は難なく読みとけます。当時の雰囲気が伝わってくるため、世界観に入り込みやすいと思います。

    私は上下巻で1ヶ月ほど時間をかけて読みました。
    個人的にですが、もっと一気に読み進めればまた違った感想になったのかなと思います。
    またいつか読みたいものです…。

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    2022年10月07日
  • 赤と黒(下)

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    フランス文学は恋愛、心理、自己嫌悪、嫉妬等生々しい感情がストレートに表れると感じた。共和主義と自由主義との階級対立という背景が掴めないと分かりにくい。レーナル婦人、ジュリヤンソレル、アマンダ、マチルダ嬢、クロワズノフ伯爵、舞踏会、自殺等人間の心理的描写がよく分かった。

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    2021年12月31日
  • 赤と黒(下)

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    読書会のプレゼント企画でいただいた一冊。学生時代以来、約20年ぶりの再読になる。物語の大半はフランスの貴族階級における恋の駆け引きの描写に費やされる。ただそれも興味深いシーンが多くて、引き込まれるものがあった。ラストはあっけない印象が残るも、それが返ってよかったように思う。末尾にある訳者解説から、モデルとなる実際の事件があることがわかるけれども、それを知らなくとも十分楽しめる。

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    2019年08月02日
  • 赤と黒(上)

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    読書会のプレゼント企画でいただいた一冊。学生時代以来、約20年ぶりの再読になる。ナポレオンに憧れて立身出世の野心に燃える青年が主人公なのだが、ページのほとんどを地方の名士の奥様である人妻相手に恋愛の駆け引きを楽しむ描写で費やしている。心理描写らしいモノが皆無に近い現代日本の小説に慣れていると、心内文の長い本作に面食らうかもしれないが、今でも一読の価値があると思う。

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    2019年07月19日
  • 赤と黒(上)

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    ジュリアンとレナール夫人、ジュリアンとマチルダの恋愛が描かれるが、3人3様の心理が面白さの焦点。レナール夫人は子供が複数いるのに恋愛には初心で3人の中では一番純粋に相手を愛することができる人。マチルダは地位と金、若さと美しさ全てを持っているが退屈で持ってないのは幸せだけ、という人で、恋愛を人生ドラマの道具立てにして自分の中で盛り上がる人。ジュリアンは貧乏な平民の生まれのコンプレックスから自尊心を満たすために高いポジションの女性を征服することが動機となっているが、その時々で相手を愛する気持ちが生じて揺れ動く。200年近く前に書かれた小説としては、ジュリアンとマチルダの心理戦がきめ細かく描かれていて、ジュリアンが最期に冷めていくところなど古さを感じさせない。
    赤と黒のタイトルについて。情熱の赤と人間を欲望で操作する力の黒、と私は思った。

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    2019年05月25日
  • 赤と黒(下)

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    前編のレーナル夫人との関係のあとに、
    後編ではマルチド・ド・ラ・モールとつきあいだすが、
    マルチドとの関係がようやくうまくいきそうな調子になってきたところに、
    別のルートから、レーナル夫人の手紙が二人を危機におとし、
    激昂した主人公ジュリアンはレーナル夫人をピストルで撃ってしまう。

    ジュリアンは捕まったが、レーナル夫人は死なず、
    逆にジュリアンと仲を深めていくー・・

    最後に、綺麗に終わりたかったのか、死ぬ描写がないのはちょっと驚いた。

    ラ・モール嬢を誘惑するために、わざとつれなくするという恋愛論が、当時は新鮮だったとか。

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    2018年12月01日
  • 赤と黒(上)

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    ナポレオンをひそかに敬愛する出世欲と潔癖さと情熱の溢れる若者の話。
    スタンダールは名言集などでよく見かけたので読んでみた。
    やはり最初のほうは取っ付きにくいが、後になって登場人物がへってきてからはスラスラ読めだす。
    あっさりした描写だったけどたった一年で教え子に忘れられたジュリアンがなんかリアルでいやw

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    2018年12月01日
  • 赤と黒(上)

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    (上下巻通しての感想です)

    読みやすいか読みにくいかと問われれば、個人的には読みにくいほうの部類に入る作品です。
    中盤以降のジュリヤンとマチルドのやり取りは読んでいて正直かったるかったですし、肝心な場面の描写がさらりと書き流されていたり、逆に似たような心理描写の延々記述が繰り返されていたりして、もしかすると現代の小説に読み慣れてしまっているせいかもしれませんが、読み手に対する配慮やサービス精神に欠ける印象を持ちました。
    比較するのもアレですが、同時代のフランス人作家デュマの作品は相当読みやすかったなあと今更ながら感心しました。

    ま、世界的名作らしいので、きっと私が読解できていない美点がわんさかあるのでしょうが、ひとつ間違いなく言えるのは、恋愛小説の体裁を纏った社会批評としてはなかなかよくできているという点です。
    貧しい出自であるジュリヤンが、様々な駆け引きや誘惑、そしてありったけの情熱によって、レーナル氏やラ・モール侯爵から妻や娘を奪い取ってしまうところは、堕落した旧来の支配階層に対する痛烈な皮肉であり、一方であまりにも自由すぎたジュリヤンの最後は、過剰な自由主義の行き着く先を暗示しているように思えたのでした。

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    2018年09月30日
  • 赤と黒(下)

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    才と野心、自尊心に溢れた百姓出の若者の最後。

    最後の章、ジュリアン青年を、レーナル夫人やマチルドが思うようにいとおしく思ったよ。

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    2017年11月27日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    上巻までの流れで我が身を滅ぼしそうな雰囲気を存分に出していた主人公のジュリアン。やはりというかなんというか、予想通りに転落人生を送ることになります。こういう悲劇的な展開はフランス文学としてはある種のお家芸という印象です。

    序盤から終盤まで、とにかく一貫して各登場人物が自分の気持ちを語り尽くすというフランス文学王道の展開で、一度に読み進めるのは結構キツいです。それぞれが命を懸けてぶつけてくる想いを受け止めるには、読み手側にもそれなりの心構えが必要です。

    主人公はジュリアンなのですが、この作品はジュリアンを取り巻く二人の女性、ラモール嬢とレーナル夫人の心の揺らぎとジュリアンを巡る確執なくしては成立しません。その意味で、三人の主人公が舞台を転換させながら進む戯曲であるとも言えるでしょう。

    各登場人物がなぜ、このような行動を取るのか?なぜ、このような発言をするのか?なぜ、このような愛憎入り混じる人間関係になってしまうのか?
    このあたりは、21世紀の日本に生きる身としては理解しがたい部分があります。この作品を読んで、即「傑作だ」という感想も持てません。ただ、ナポレオンが生きた時代のフランスでは、こうした人生観を持ち、愛と恨みとの間で揺れながら生きた人たちがいたのだ、ということを知ることができるという意味で、この小説は今の時代に独特の存在感をもって生き残っているのだと思います。

    読みやすいとは言いませんが、当時の愛憎を知るための教養として、読んでみるのもいいかもしれません。

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    2017年11月12日
  • 赤と黒(下)

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    レーナル夫人との不貞関係は限界を迎え
    ジュリヤン・ソレルもいよいよ身体ひとつで社会の荒波に飛び込んでいく
    神学校をドロップアウトして侯爵家の秘書になり
    社交界デビューを果たした彼は
    貴族社会の、とりすまして陰険な暗黙のしきたりにも順応していった
    ジュリヤンは頑張っていた
    父親のように導きをくれる人々との出会いがあり
    自由主義者たちとのつながりが生まれ
    さんざん虐待された実の父親にも孝行をくれてやった
    最後はナポレオン同様の軍人になり、ますます躍進する人生だった
    しかし
    昔の女の嫉妬?が、彼の足を引っ張った

    すべてはジュリヤンの、世界に対する憎しみから始まった
    生きることに不満を抱えていた女たちにとって
    ジュリヤンの存在は希望の扉を開く鍵に見えていたのだと思う
    その扉とは、結局のところギロチンにほかならなかったが

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    2017年09月24日
  • 赤と黒(上)

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    フランス王政復古時代
    ナポレオンの倒れた直後で
    革命以来、ふたたび貴族が息を吹き返していた頃の話
    製材小屋の息子ジュリアン・ソレルは
    片田舎の少年にしてはかなりの美貌の持ち主であったが
    末の息子であるゆえに、絶えず父親からの虐待を受けていた
    しかし非常に読書家だった
    ひとり学問を養いつつ、ひそかにナポレオンを崇拝していた
    才能だけでのしあがる夢を見ていたのである
    そんな彼にチャンスのめぐってきたのは18だか19のころ
    町長レーナルの家に、住み込みの家庭教師として雇われるのだが
    そこの夫人と恋におちたことで
    街を訪れた国王の
    臨時警備隊員に推薦してもらえる運びになったのだった

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    2017年09月07日
  • 赤と黒(上)

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    大分時間がかかりましたが、やっと読み終わりました。自尊心が異常に膨れ上がった天才肌の美青年ジュリアンが、色恋とその自尊の狭間で命をすり減らし、最終的には自尊心が恋に優り、それゆえに犯した罪の元斬首される話。こんな書き方は全くあらすじではないですが、巻末にある当代の評論家がかいたその批評が、著者スタンダールの執筆意図をしっかりと言い当てています。
     フランス革命の前後において、全く変わってしまったフランスの時代的情緒を描いた作品だということです。私個人としてはフランス革命を手放しで称賛することはできない立場ですから、大革命を前後したフランスの時代を描写した本作は、とても大きな印象を私に残しました。
     もう一度じっくり読み返してみたいです。人間描写の巧みといいましょうか、それも含めて時代描写の傑作であると思います。

    15.07.23 - 15.10.18

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    2017年03月04日
  • 赤と黒(上)

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    名前は知ってるけど読んだことのない本がたくさんある。これもその中の一冊。父や兄から虐待され、暗い日々を過ごしていたジュリヤン。野心を内に秘め、町長レーナル家の家庭教師として潜り込み、僧侶となって出世しようと目論む。レーナル夫人を誘惑し、恋に落ち、愛と野心の間で揺れる主人公。途中から続きが気になりどんどんページが進む。読まれ続ける名作にはやっぱりそれだけの意味があるんだな。2012/369

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    2015年04月16日
  • 赤と黒(下)

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    ピカレスク青春恋愛成り上がり社会派小説。
    盛りだくさんで、古典とされているが読みやすく、抑圧された時代背景も鑑みて読めば深みも感じられる。
    さすが世界の十大小説。

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    2015年02月24日
  • 赤と黒(下)

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    ネタバレ

    「ー」

    名誉を重んじたジュリアン。名誉なんてくだらないと考える人もいるかもしれない。しかし、彼にとっては名誉を得、守ることこそが大事なのであった。

    ジュリアンを好きになることで自分が他よりも高貴であると考えたマチルド。ジュリアンのために奔走する姿をあえて他人に見せつけることで、自分が英雄的であると表現した。

    ジュリアンの犯した罪は、レーナル夫人に対して銃を撃ったことだ。しかし、裁判にかけられている本当の罪は、卑しい階級から抜け出し社交界に出られるまでに出世したことだ。故に、死刑。

    彼は穏やかにギロチンへ向かった。

    名誉ある生き方をせねば、と深く感動した。自分の名誉を傷つけられて場合には、なんとしてでも挽回しなければならない、と。

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    2014年12月21日
  • 赤と黒(上)

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    ネタバレ

    「だが、真の情熱は利己的である。」


    製材小屋の子である主人公は、そのひ弱な肉体ゆえに父、兄からいじめられていた。しかし、その心には傲慢な野心が隠されており、いずれはナポレオンのもとで出世をしたいと願っていた。

    ひょんなことから家庭教師として村長の家に住むようになり、その夫人を誘惑する。結果、踏み台のはずの夫人にはまり、神学校で学ぶことを余儀なくされた。出世のため、と言いつつ、最後まで冷静、冷徹でいられない主人公のもろさが、土壇場でその成功への近道を断つ。

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    2014年11月27日
  • 赤と黒(下)

    Posted by ブクログ

    なにしろ、中身のしっかりした小説であったと言えるだろう。
    時代や立場を反映した人々の内面描写が素晴らしくて、その瞬間の風俗、思想をつまびらかにするものであると同時に、それゆえに、掛け値無しの心の入った恋愛小説にもなっている。
    小説的な作られたドラマの妙というよりはむしろ小説よりも奇たりえる現実の面白さ、時代の空気によって当然引き起こされるような天然のドラマの興奮、と言ったものが味わえる。良かった。

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    2013年11月16日
  • 赤と黒(上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    なんとも複雑な心理描写。
    なかなか、主人公に感情移入できない。
    以前から気になっていた本ではあるけど、今の自分が読んで良かったのかも。
    誘惑される夫人の気持ちはわかるから。
    身分制度のない時代に生きているので、それがもたらす人格の歪みがイマイチ理解できないけど。
    以前、修道院の話を読んだので、神学校のくだりはすんなり入ってきた。
    貴族に対する僻みみたいな曲がった根性から、悩まされるハメになったレーナル夫人が気の毒だな。

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    2013年01月06日