町田尚子のレビュー一覧
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本作品は、上野瞭さんの名作長編小説(1982年発行)で、宮部みゆきさんが「児童文学の極北」と紹介しています。1984年に人形劇としてNHKで放送、最近舞台化にもなっているようです。
本書は2023年に発行された三分冊の新装版。3冊並べると1枚の絵が完成する町田尚子さんの装丁画が魅力的です。
さて上巻(はじまりの巻)です。記憶喪失のヨゴロウザが、猫の集落「ナナツカマツカ」に辿り着くところから始まります。理想を掲げる片目に拾われて相棒となり、勝手気ままに暮らす猫集団のリーダーに祭り上げられていきます。
ヨゴロウザは思慮深く、リーダーは必然だったのか? 仕向けた片目は何者なのか? 記憶喪 -
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589ページ
10月5日〜10月20日
ヨゴロウザは、気づいたときには池の縁にいた。そこで片目と出会い、犬たちとの縄張り争いに巻き込まれる。時には片目の相棒として、時には猫たちのリーダーとして、そして一匹の猫として自分の弱さと向き合うヨゴロウザ。犬たちとの闘いを制したあとに訪れたのものは…
読み応えがあった。絵本だと思って予約したのに、分厚い文学書が予約本の棚にあるのを見つけた時には、何かの間違いかと思った。猫の描写がかわいらしくて、それでいてケンカやケガの様子が生々しく描かれてもいた。少しずつ物語に引き込まれていった。なぜヨゴロウザが記憶をなくしていたのかがラストでわかり、エピローグでは -
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3巻を通して思ったのは、「これ、児童文学⁈」
騙し騙され、隠し事やはかりごとはあるし、リーダーという責の孤独さからマタタビに酔い潰れたり、とそのまま人間社会に当てはめてもいいような内容。片目の最後はこれでよかったのかと、消化不良のような思いもあるが、ひょっとすると片目は、ヨゴロウザが記憶喪失になった原因を知っていたのかもしれないと言う考えも捨てきれない。我が家にも猫がいるが、時々、こいつはなんでもわかっているんじゃないのか?と思う時がある。いつもは寝てばかりだけども。
本編とは別に、犬と猫の習性の対比も面白かった。猫は、やっぱり犬とは相当違う生き物だ。