朝宮夕のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
納棺師、それも損壊が激しい遺体の修復を手掛けるだなんて凄いなと頭が下がる思いだった。
自分自身は人の死とは今のところは縁遠いが、保護猫活動で猫の死に触れる機会はこれまで多くあった。遺体というのは生きて眠っている状態とは明らかに様子が違っていて、遺体というそれだけでも強烈な物悲しさを発揮し、例えよく知らない子でも涙を誘う。死因や年齢も様々で、幼く理不尽な非業の死ともなると悲しみに胸を鷲掴みにされる。簡単に慣れてしまえるものではない。激しい感情の波は心身を容易く疲弊させてしまう。
だから長く納棺師の仕事を続けられるというのは本当に凄いことだと思う。そして死が常に傍にあるからだろうか。登場人物達はお -
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった。
重さやテーマは違うけれど、佐藤正午さん『熟柿』に似た印象を思わせる作品だった。
しかし、これがデビュー作とは恐ろしい。
次回作以降にも、とても期待。
p.196-197
「時間によって、色も明るさも、名前も変わる。同じようで、同じではない。人生もすごく果てしない時間を過ごしているようで、本当は一瞬の出来事なんです。辛く暗い日々も、幸福に溢れた時間も、全て含めてほんの僅かな時間です。(中略)一度たりとも、同じ空はありません。ましてや薄明なんて、毎日訪れるけど、見ようとしなければ見られない景色です。そういう、だった一瞬の出来事を紡いでいくことで、ひとつの人生になる。今しか見られないも -
Posted by ブクログ
ネタバレ様々なきっかけで心を痛めた納棺師の人たちの立ち直りまでのストーリーと言っていい。この近くにあるのにまるで知らない業界のリアル、いや、人の死のリアルを感じることができて良かった。私たちは自分たちが死ぬことは漠然と理解はしている。ただ、それは理想の死であって、この作中のご遺体のような、いわゆる理想や一般的な死に方から外れた形をほぼ想像しない。綺麗な形でみんなに見送られるなり、病院で死ぬ。そんなふうに自然に思っていた。そういった一般的な理想の死に方から、溢れ落ちてしまったご遺体がある。それを救ってご遺族に対面させてあげる仕事が納棺師なんだと知った。なんて、優しい職業なんだろうと思った。当然その仕事を
-
Posted by ブクログ
納棺師たちの仕事と、彼らが抱える闇についての物語。
これが著者初めての小説だって。本当すごすぎる!
描写が細かくてエグいのはそうなんだけれども、それはそれと置いておけるほど、何より二課の人たちが温かすぎて、もうみんな好きすぎる。
過酷な職種ではあるけど、一方で、こんな人たちと一緒に働けるのは幸せだな。
朝未と八宵の阿吽の呼吸による連携。有明さんと入相さんの絶妙なサポート。東雲くんの優しさ。
傷を抱えながらも、それぞれが折り合いをつけて、穏やかに生きていけるといいな。
語彙力がなくて、この感動をうまく残せないのが残念。
とてもいい小説に出会えた。著者の他の作品を読むのが楽しみだな。 -
Posted by ブクログ
小説家としては初執筆、初応募の作品となる朝宮夕さんの『アフターブルー』。
初めてとは思えないほどの、リアルさと深みのある作品でした。
私自身、葬儀の仕事をしていて同じ現場に立つこともありますが、納棺師という職の重さを改めて感じることができました。
作中の登場人物の名前には、それぞれ“空の時”が刻まれていて、生きていく上で切り離すことのできない、時間の残酷さを彷彿とさせました。
私の仕事場でも、この物語でもそうですが、葬儀の場など日常とはかけ離れていて、存在すらしないで欲しい出来事が、自分の身に降りかかった時の人間は、やはり本性がでやすいです。
良くも悪くも、葬儀の場はその -
購入済み
納棺師達を主人公とした小説です。
小説だけでなく、テレビドラマや映画等で、葬祭に関わる人達を主人公とした作品が多く出ていますので、どうしてもその中の一つで時代の流れに乗った作品の様に思えますが、主人公の納棺師達自身が色々と抱えている人達で、その心の襞が現れた作品です。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ5人の納棺師たちは全力を尽くす。
遺された人々が、最後に顔を見てお別れを言えるように。
「どんなに考えても、探しても、人が死んだ理由なんて絶対に見つからないんだよ」
納棺師、遺品整理士、生花装飾技能士……葬儀関係のプロ集団「株式会社C・F・C」。
とりわけ損傷の激しい遺体を専門に扱う「二課」は、無残な状態から生前の面影を復元するのがミッション。
事故、事件、自殺ーー二課には毎日のように遺体が運ばれてくる。
入学式を明後日に控え線路に正座していた少年、ゴミ屋敷で餓死した男性、幼い我が子を残して事故に遭った母親、飛び降りる瞬間を動画配信していた少女ーー
二課の納棺師たちはその手で、失われた生前のお -
Posted by ブクログ
鈴木保奈美さんのあの本読みましたで紹介されていた。
なぎらゆう、塩田武士、薬丸岳推薦
納棺師の話。
登場人物がやけに凝った苗字だなと読み始めに気になった。それぞれにドラマがあった。
息子を不慮の事故で亡くした有明。人に恋愛感情を抱いたことがなく、化粧をすることの楽しさを祖母から教わり、性的マイノリティを疑った両親から祖母を引き離されたまま、祖母を孤独に死なせてしまった朝未。行方不明者の妻を探し続けている、また、八宵の夫の遺体を担当していた入相。
ちょうど一年前、知人が亡くなった。去年はまだ桜が咲いていなかった。一年たって桜を見るとその人を思い出して胸が苦しくなる。きっと毎年少しずつ苦しさ -
Posted by ブクログ
著者が納棺師だったと。ものすごく納得。見てやってきた人でないと、ここまでのリアルは描けないよね…次作ネタだいじょうぶ?ってくらい、惜しみなくがっつり出してるカンジ。
死んだりいなくなった人には理由も聞けないし、事故にあった理由とかない。誰かに責任をなすりつけたり、何か原因を見つけ出したいけど。残された人はどうにか折り合いつけて、いくしかない。辛いしやるせないけど。
…そうだよね、って改めて思う。
どうしても死んだ理由とか考えちゃうし、何か答えがほしくなるけど。それは死んだ相手のことだけではなく、自分の気持ち、どう生きるか、の葛藤とも似てる。
結局自分で受け入れたり踏ん切りつけていくしかない。自