ルル・ミラーのレビュー一覧

  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    装丁が気になっていた本。
    分類学の話なのかと思って読み始めたら、思わぬ方向に話が進んでいって驚いた。
    新種の魚を次々と発見して名前をつけていく作業は、魅力的で、でもその全能感が、人間を過信させるのかもと思ったり。


    以下メモ
    ・分類学者は命名をとても大事にする。種が命名された瞬間に、その標本は特別なビンに入れられた特別な標本として、特別な名を与えられる。
    学名を担う標本を「タイプ」という。
    命名に使用された神聖な標本は「ホロタイプ」


    ・生涯をかけ魚類を収集・分類した科学者デイヴィッド・スター・ジョーダン。たくさんの標本が、地震でばらばらになったときも、それを1つ1つタグと照合させていく気の遠くなる作業を行った。
    そこには、ゆるぎない自信、自己妄想、頑迷さ、運命を決めるのは人の意志という思いがあった。だけど、それが執拗な優生学支援者へとつながっていく。
    「命名」という秩序を築く作業を繰り返す中で、自然界にヒエラルキーの存在を信じてしまった。


    ・「魚」
    私たちが、魚と分類しているものは生活様式での分類。系統分類学(進化の系譜に基づく分け方)では 、魚の中にもハイギョという人間に近いものもいる。それも含めて「魚」を一つのグループにしようとすると、そのグループには人間・鳥・トカゲ・カエルも全員入ってくることになる。系統樹的には「魚」という枝は存在しない

    ・タンポポは見る人によっては、雑草に見える。けれど、別の人にとっては同じ草花がとても大事な価値を持つ。
    人間も私たちも、きっと同じだ。惑星の視点から見れば、永遠という視点から見れば、もしくは優生学的な完全性の夢から見れば、確かに人間一人の命に意味などないだろう。
    けれどそれは無限にある視点のたった一つにすぎない。
    リンチバーグにあるアパートの一室から見るならば、その人間一人に大きな意味がある。


    ・自然界の生命体をランク付けするたった一つの方法など絶対に存在しない。単一のヒエラルキーに固執するともっと大きな図が見えてこない。
    科学の誠実な研究とは、人間が自然界にひく「便宜上」の線の向こう側を覗こうと試みることだ。
    あなたの目に映る生命体の一つ一つに、あなたには決して把握しつくせない複雑さがあると理解することだ。

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    2026年06月13日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    分類学の話だと思ったらそうじゃなくて、デイヴィッド・スター・ジョーダンの伝記、と思ったらそうでもなくて、ジョーダン氏の生き方と著者自身の生き方が添ったり対比されたりしながら生き方を模索する、この本自体が分類の難しい本だった。読んでよかった。

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    2026年02月09日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    とある機会のために読みました。こういうジャンルの作品を読むのが初めてなので、進みにくい〜。それでもアメリカ近代史のごく一部を知ることができてよかったです。ジョーダン氏については本作で初めて知りました。スタンフォード初代学長、ということでアメリカでは福沢諭吉みたいな感じで誰もが知ってる存在なのかな。なかなかのたくましさとバイタリティ、一方でダークサイドに堕ちていくところもあってドラマチックな人生だなあとしみじみ。ジョーダン氏の人生をたどりながら自分の人生を著者が見つけ出していったのでしょう。エピローグには清々しさがありました。

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    2026年02月04日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    ネタバレ

     本作は筆者のルル・ミラー氏が、精神的な救いを求め、生物学者デイヴィッド・スター・ジョーダン氏の生涯から学びを得ようとする物語である。


     ミラー氏は、カオスな世界に絶望し、「生きている意味はあるのか」というテーマに囚われていた。

     そこで出会ったのが、魚の区分に心血を注いだジョーダンである。彼は魚を分類することでカオスな世界に秩序をもたらそうとした。しかし、地震や火災によってコレクションは幾度も破壊。世界は再びカオスに戻る。それでもなお、彼は魚にタグを直接縫い付けるという行為に出た。
     このような一見「意味のない行為」を続けられた彼は、カオス、いわば意味のないことに立ち向かう術を、見出していたのではないかとミラー氏は考え、彼の生涯を追い始めた。


     しかし、調査を進めると、彼はカオス(人生)に立ち向かっていたわけではなく、ただ「自身の信念を正しいことにしたい狂人」であり、自らの保身や地位の確立を絶対とする人物に過ぎないことが判明する。

     そんな中、ミラー氏は「魚という区分自体が科学的に存在しないこと」を知る。ジョーダンが人生を賭けた区分という行為は、人間が勝手に作ったものでしかなかった。

     ならば世界は完全にカオスであり、人生は無意味なのか。と筆者は原点の問題に立ち返ることとなる。

     しかしミラー氏は「魚」という間違った区分を払拭したことで、ミラー氏はそれまで見落としていた、勝手に決めつけていたことに気づく。
     区分はあくまで、人間が作ったものであり、自身の優劣も他人によって作られたものである。そのような評価に縛られず、世界を受け入れ、生きていく事が、人生を満たしていくのだと考える。というのが本誌のテーマであった。

    タイトルの魚が存在しない理由
    「魚」は「絶対的な意味や価値」のメタファーである
    と個人的に考える


    【総括】
    ◯装丁がカッコイイ
    ◯物語序盤は冷静に淡白に進む感じがあるが
     筆者に彼女が出来てから文体がふわふわし
     形容が増え出すため好みが分かれる。

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    2026年09月24日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

    Posted by ブクログ

    難しかった。
    魚好きの私にとっては、まじか、と思うところもあったけど、そもそも魚類という分類を信じ切って、疑ったことがなかったわけであって、言われてみれば確かに定義なんて考えたこともなかったので、そんなこともあるか、みたいな感じ
    当たり前のことに疑ってかかることで、きっと世界は解明されていくのだろう、解明されていくものが間違いだとしても
    優生学、こえー

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    2026年09月06日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

    Posted by ブクログ

    魚類というものやその学術的な歴史に関心をもったことが無かったので、未知のものを知っていく面白さがあった。タイトルと内容にはずれがあると思う。純粋な「魚が存在しない理由」についての本ではなく、ジョーダンの記録を通して作者が自身や世界を見つめ直すエッセイ的な要素が強い。私にとってはそれが物語的な読み易さを与えてくれて良かった

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    2026年07月19日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    世界の見えかたが、変わるかもしれない。単純すぎるかな。影響を、受けすぎかな。でも、信じたい。そのほうが、面白そうだから。世界が変わるかもしれないと思ったから。こんな、クソったれな世界が!

    見かたを変えてみる、そんな意図した目的がなくても、ずっと僕は、そんな感じだったかもしれない。周囲の人々と同じ方向を向くことの違和感。目標があるなら、その過程は自由でいいと思っている。プロセスの煩雑さに価値を見出すことなんて、僕には、ばかばかしくて、なぜ周囲の人々は、そんなものに価値を、悦びを付与するのか。僕にはまったく理解できない。もっと理解できないのは、皆で同じ方向を向くことへの強制。“ルール”を、やたらと有り難がること。まったく合理性がないことへの強制。従っていればいい、そんな自己放棄。生きているのか?あなた方は。

    著者から読者への挑戦のような読後感。“魚が存在しない”なんて。著者自身の見解だけでなく“裏付け”があるという説得力。僕は、受け入れてみたい。

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    2026年06月13日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

    Posted by ブクログ

    装丁が綺麗すぎて読んでみた。
    哲学っぽいというか私にとっては少し難しめに感じたけど、最後まで読めた。
    一度名前をつけてしまうと本当の姿を見ようとしなくなる、というのはわかる気がする。
    たしかに魚ってめっちゃ複雑だ、、と実感した
    ダーヴィンの「種の起源」が読みたくなった!

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    2026年03月10日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    生涯をかけて魚類を分類した科学者デイヴィッドスタージョーダンの半生を描きながら著者の人生について語られている。約2500種以上の魚に彼の名前が冠されておりその影響力は計り知れない。火災や地震で世界各地から集めた魚の標本が砕けても心折れずに収集活動を継続するのは科学者として立派だなと思う反面、スタンフォード大学で独裁政権のごとく権力を振り撒いり優生学に傾倒することで人として劣っていると判断した者への去勢推奨したりと負の面も描かれている。
    最後魚って存在せず彼の行動もある意味無駄だっのではと書かれているが直感的にはやはり理解しづらい。魚という分類だけだと説明つかないことはまあ理解できるんだけどでも魚じゃんってなる。分類学難しい。人間の直感なんて当てにならないのかな、そもそも線引きすること自体がナンセンスなのかも。

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    2026年03月09日
  • 魚が存在しない理由 世界一空恐ろしい生物分類の話

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    生物学者、デイビッド・スター・ジョーダンの人生史を紐解きながら、作者の人生、そして「分類」というものの危うさについて叙情的に綴る一本。

    変な本ーー!(素直な感想)
    ポピュラーサイエンスと思って読み始めたら結構肩透かしを食らう。中心的に語られるのはジョーダンのヒストリーであり、生物学者から優生思想が強まっていき、さらにスタンフォード大学の初期の政治的なゴタゴタした内容まで、サイエンスというよりもどこか事実は小説より奇なり、みたいな話がメインだった。
    「魚が存在しない理由」については最終章に軽く触れるのみであるものの、「魚が存在しないこと」から遡って、ジョーダンの功罪を鑑み、そして我々の視点までも揺さぶってくるパワーはあったと思う。

    思ってたのとは違うものの、美しい文体のいい読み物でした。表紙が大変美しいしね!

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    2026年02月11日