本書の内容(自分なりの理解)
『コンサル時代に教わった 仕事ができる人の当たり前』は、外資系コンサル出身の著者が、「仕事ができない新人」だった自分の失敗と、そこで叩き込まれた基本動作を、57の「当たり前」として整理した仕事術の本だと感じた。章立ては「考え方」「コミュニケーション」「チームワーク」「TODO管理」「会議」「ノート・議事録」「インプット・礼儀」などで構成されており、それぞれの場面での“ふるまい方の基準”が短い格言のように示されている。中でも、「わかったふりは完全な悪」「悪い知らせほど先に出す」「事実と自分の解釈を分けて話す」「相手の期待を言語化し、その少し上を取りにいく」といったフレーズが、本書の核になっているように思う。
べからず集として見えたこと
読み始めてすぐに、「これは“できる人のHow to集”というより、“べからず集の裏返し”だな」という印象を持った。わかったふり、悪い知らせ隠し、期待値のすり合わせ不足など、「やらかすと信頼を一気に失う行動」を一つずつ裏返し、「こういう当たり前を守れば信頼は積める」と言い直している本だと感じた。その意味で、この本に書かれているのは「天才の秘訣」ではなく、「凡人が失敗から学び、なんとか信頼される側に回るための最低ライン」を言語化したものだと解釈している。自分や周囲の痛い経験が積み上がった結果としての言葉なので、ところどころにある「○○は完全な悪だ」といった強い言い切りにも、生々しい現場の重みを感じた。
自分の仕事との重なり
驚いたのは、自分が別ルートでたどってきた仕事観と、本書の格言がかなり重なっていたことだ。本業では、ITIL4的に顧客が多数に分かれ、システムは一体でも契約と担当組織がサイロ化したレガシー案件に関わっている。ここでは、定義が揃っていない言葉で会話すればするほど混乱が増し、悪い知らせを後ろに回せば回すほど炎上が大きくなる。「まず定義を合わせる」「わかったふりをしない」「悪いニュースを先に出す」という本書の当たり前は、そのまま現場の実感と接続している。また、副業のエグゼクティブ・コーチングやグラフィックレコーディング、零細企業のDX支援でも、「相手の期待を言語化し、その少し上を返す」「事実と解釈を分けて可視化する」という姿勢が、リピートや紹介につながってきた感覚がある。だからこそ、「ああ、自分が現場で育ててきた“当たり前”は、おおむねこの本と同じ方向を向いていたのだな」と確認する感覚で読んだ。
本書の強みと限界
本書の一番の強みは、「信頼される人のふるまい方」を、誰でもわかる言葉と粒度で並べているところだと思う。とくに、会議や報連相、チームワークに関する章は、若手や異動したばかりの人にとって、すぐに試せるチェックリストとして機能しやすい。一方で、内容そのものは目新しいわけではなく、ビジネス書を読み慣れた人にとっては「すでに知っていること」「自分なりに実践してきたこと」が多いかもしれない。自分にとっても、「なるほど」と膝を打つ瞬間よりも、「そうそう、やっぱりここだよね」と頷く場面の方が多かった。だからこれは、未知の秘訣を教わるための本というより、「自分の仕事観を再確認し、他人にも説明しやすい言葉をいくつか借りるための本」という位置づけになる。
自分にとっての収穫
この本から自分が持ち帰った一番大きなものは、「仕事ができる人=信頼される人」という、シンプルだが腹落ちする定義だった。エグゼクティブ・コーチング、グラレコ、DX支援と複数の副業を進めつつ、本業の大きな案件にも関わっている今の自分にとって、「相手の期待を言語化し、それを少し上回る」「悪い情報ほど先に出す」「事実と解釈を丁寧に分ける」といった当たり前は、どの文脈でも変わらない共通原理だとあらためて確認できた。すでに持っている感覚ではあるが、それを“当たり前”という名前で棚に並べて見直すことで、自分の働き方全体に一本筋が通ったように感じている。