遅塚忠躬のレビュー一覧
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ネタバレルフェーブルの複合革命論
民衆、農民、ブルジョワ、貴族
特にブルジョワは資本主義社会の実現のため右へ左へ揺れる
過激化と反動を繰り返した結果、最終的には資本主義の発展に適合した社会になる
1787年の名士会議が革命の始まり
それ以前の英仏通商条約がブルジョワ層には脅威に
民衆は所有権などの点からはブルジョワと対立
貴族と大衆の徹底的な対立、ロペスピエールによる一般的利害論、大衆による議会の機能不全により劇薬の使用が必然になる
イギリスは貴族のブルジョワ化(フランスはブルジョワの貴族化)のため、三者の対立が見られず大衆が革命に影響を与えない
日本はそもそも明治維新の時代にはブルジョワがおらず、武士による上からの革命に
『レ・ミゼラブル』
『社会契約論』
『三酔人経綸問答』 -
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めちゃくちゃ良書!!
この前に、平野啓一郎さんの『葬送』、フローベールの『感情教育』を読む。
どちらも1848年二月革命を背景にして物語が描かれていて、さまざまな思想を持った登場人物が出てきます。
上の2作品をより深く理解したくて、学生時代から曖昧なままのフランス革命について、ちゃんと勉強しないといけないと思って読んだのですが、ただ知識を得るだけでなく、それを越えるものがたくさん詰まった一冊でした。
著者さん独自のフランス革命の捉え方が展開されていて、著者さんの熱量が伝わって来ます!!
幕末の日本や、自由民権運動などとの比較も面白い!
昔は、自由や思想のために、命を賭けて闘った人が、貴賤関係無く、古今東西にたくさんいたんだなと感動しました。 -
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革命の功罪
小谷野敦が名著といってゐたので。
冒頭に、岩倉具視と明治天皇の絵画、そしてユゴーの『ラ・マルセイエーズ』内の会話が引かれてゐて目頭が熱くなった。
フランス革命は、真に人間の尊厳を恢復するリベラルな価値観のもと、行なはれたのだと再認識した。しかし、同時にそれは多大な犧牲をもたらした。コインのやうに表裏一体の……
これを読めば、大江健三郎が『フランス ルネサンス断章』を読んで衝撃を受け、渡辺一夫に師事して戦後民主主義者を名乗った理由が理解できる。大江は左翼といってもマルクス主義者ではなく、リベラルな価値観に根ざした人間愛を持っていたのだ。 -
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ネタバレフランス革命は「劇薬」だったという主張の一冊
▼身分制(革命の前提)
1790年前後のフランス当時は身分性が敷かれていた。
「聖職者>貴族>市民」
聖職者&貴族は合わせて全体の2%程度。かなりの割合が市民
一方で実は市民のなかにも2つの立場がある。
ブルジョワといわれる高級市民たちは地主として農民に土地を貸したり、親方として職人を従えたりしていた。当時の制度ではお金さえ払えば貴族にもなれる。
一方で市民の中でも下層にいる「大衆」とも言われるような市民たちはかなりの貧困の状態。
▼フランス革命が起こった背景
①vsイギリスでの劣勢
ヨーロッパの覇権を争っていた英仏。戦争なども行って植民地を取り合ったり。
一方でイギリスで産業革命が起こり英仏の経済力で明暗がはっきりしだしてくると、フランス国内では現体制(貴族を中心にした王政)に限界があるのではという不満が高まっていた。
②ブルジョワが求める資本主義
ビジネスで経済的に成長してきたブルジョワ層。彼らにとっては貴族は税金免除で自分たち市民にだけは税金が課されることなどには不満であり、より自由主義な資本主義的な体制がつくられていくことを求められていった。
一方でブルジョワは「貴族になりたい」という想いを持った階層でもあった。お金を払って実際に貴族になっていく者たちも多かった。なので貴族たちの現体制に反抗するモチベーションももちつつ、その体制に取り込まれるモチベーションも持ち合わせていたのがブルジョワの立場。
③大衆の貧困
ブルジョワたちだけでは「貴族への反発」「貴族への羨望」の矛盾の中で革命に踏み出せない。そこに大衆の革命意欲が重なったことでフランス革命は起こった。
思い重税の中で身分制のしわ寄せにあっていた大衆層たちは反発する理由を持っていた。
一方で革命の最初の時点で大衆層から見るとブルジョワも貴族も一緒。
「貴族↔ブルジョワ、ブルジョワ↔大衆」だったのが「貴族↔(ブルジョワ↔大衆)」という対立はしながらも貴族を共通の敵として変えていこうという動きをとった。
▼フランス革命の変革
本当のきっかけは自由主義貴族たちの王族への反抗。
当時イギリスとの覇権争いに破れかけていたフランスは財政的にも苦しく、それまで特権階級だった貴族にも課税をしようとしていた。これに反抗したのが貴族。彼らは3つの身分の代表を集めて三部会という議会を開いた。
一方で思惑と外れたのはブルジョワ層あっちが想像以上に貴族層に反発するようになった。
思惑が外れた貴族たちが武力で制圧しに来るだろうという空気が流れる中でブルジョワ以下の大衆も立ち上がりバスティーユ牢獄の襲撃などが起こり始める。その流れが大衆層の反乱にも繋がっていく
・91年体制:
最初は大衆とブルジョワで手を組んで革命を開始するも、大衆の反乱が大きすぎることからブルジョワは一度大衆と手を切って貴族と手を組む。あまりにも大衆の勢いが大きすぎるとブルジョワが持っている所有の権利も侵されてしまう。
・93年体制:
一方で保守的貴族たちがオーストリア・プロイセンと手を組んで革命を抑え込もうとしたため、「革命が失敗したら自分たちの目指すことも実現できない」と、再度揺り戻しが起こり、再びブルジョワと大衆が手を組むように。92年に王政が倒れてフランスが共和国になる。徹底革命路線に。
ロベスピエールなどジャコバン派は革命を断行するためには大衆と手を組んでいくことが必要だと特定しており、そのためにブルジョワの権利を守りつつ、大衆にも一定の情報をしていくバランスをとっていった。
例えば91年体制で完全でパンの価格は自由化をされていたが実際には談合が行われてパンの値段が釣り上げられるようなことが起こっていた。これにたいして談合を徹底的に禁止するなど。
一方で議会も複数の意見に分かれていく。もっとブルジョワ側に寄ろうとする一派や、もっと大衆側に寄ろうとする一派などを。それをロベスピエール中心に粛清していったのが恐怖政治時代。
・94年体制:
しかし大衆側は反資本主義。あまりもこちらに揺れ戻りすぎることもブルジョワにとってはマイナス。その流れから1794年のテルミドールのクーデーターが起こり、最終的にはブルジョワが求める資本主義的な共和国家に近いところで革命は終着する。
実際の民主主義的な選挙などはナポレオンの王政などを経て1850年近くになってから、生存権的な「誰しもが生きることができる最低ラインを確保して、その上で所有権を認める」というような主張などは近代の福祉国家的な思想に繋がっていっている。
▼なぜ恐怖政治、独裁は起こったのか
①議論では解決しない
そもそもにおいてブルジョワは資本主義を実現したいが、大衆は資本主義になるとより一層貧富の差が生まれるので反対。一方で大衆の力がなければ革命は断行できない。
つまり会話でこの議論を収束させることができない。それゆえに解決策としての独裁・粛清は魅力的だった。
②自分たちが「正義」と信じられる論理を持っていた。
ロベスピエールは自分たちを「一般的利益」、大商人とのつながりが強いジロンド派を「個別的利益」を追求していると定義していた。
相手は自分たちの利益を追求しているだけで、自分たちが正義なのだと。
③大衆の扇動
ロベスピエールは大衆を煽って、あいつらは個別的利益を追求しているのだから議論に攻め込んで改革しようと。
大衆の反乱で議会が成立していなかったがその勢いをも取り込んで革命を起こした背景があった。
▼日本とイギリス
イギリスでは貴族がブルジョワ化していき彼らを中心に革命が起こっていた。フランスでは革命の中心になった大衆が、イギリスでは脇役。
フランスでは平等が求められたのに対して、イギリスでは「自由」が中心になった。もともと貴族だった方々がブルジョワ的に経済面でも力を持ち、彼らにとって望ましい国家に作り変えられていった。
日本でもブルジョワに当たる大商人たちは江戸末期に発達していたが、まだ革命を起こすだけの力を持っていなかった。
そのなかで黒船がやってきて外圧により強制的に革命を起こさざるを得ない状況に。結果的に起こったのは身分制における「武士」の層を中心に革命が起こったこと。
結果的にフランスなどは下の身分の人が自分たちで権利を勝ち取っていった(回復の民権)が、日本の場合は武士が自分たちで回していた体制を革命で壊し、市民たちに上から権利を与えるという形をとっていた(恩賜の民権)
▼議会ではなく反乱
・大衆層は議会に対して代表を出していない。92年体制以降の議会でも実は議会で革命を起こそうとしていたのはブルジョワ層。
対して大衆層は議会ではなく反乱で世論を動かそうと。法や制度を帰るのではなく暴力を通じて議会に圧力をかけて、ブルジョワ中心の議会を動かそうとするということをやっていた。 -
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自由や平等といった高い理想を掲げながら、同時に多くの人をギロチンにかけ、多大な犠牲を払ったフランス革命。フランス革命とは何だったのか。著者は、極めて有効でありながら危険な副作用も持つ「劇薬」のようなものだった、という自説を展開しながら、読者にも自分で考えてみるように促している。
中高生の若い読者を想定しているので、とても読みやすい。17世紀のイギリス革命、19世紀の明治維新との比較もあり、その時代を生きた人々の「偉大と悲惨」に思いを馳せる。「○○年に××が起こった」というような教科書的な記述ではなく、歴史を学ぶ意義や楽しみを感じられる良い本だ。フランス革命についても、もっと読みたくなった。 -
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文句なしで名著。フランス革命について、高校生くらいを想定して著述されている。概説書だが、ポイントを絞って史料を掲載し、当時の人々のナマの声を載せていてくれているのは非常にありがたい。
ロダンの青銅時代という像に始まり、それで終わる。彼の言葉も興味深い。レ・ミゼラブルも面白そう。フランス革命は歴史における劇薬という表現を使っている。偉大と悲惨。この言葉はパスカルに由来する。劇薬とは情熱のこと。人々の熱情。
ロベスピエールは、正義を実行をしようとした。恐怖のない徳は無力だと語り恐怖政治にとりつかれてしまった。重要なのは自らが正義だと確信した人ほど過酷な暴力を行使してしまうと言うこと。ナチス後の女性引き回しの写真などから指摘される。
事件と言うより傾向が歴史を作ることもあり得る。 -
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ジュニア新書であり言葉遣いは平易ながら、非常に高度な内容で、歴史を学ぶとはどういうことなのか立ち返らせてくれる名著。ある程度、基礎的な知識を得た大人の読者の方がより深く学ぶことができる気がする。
本書はフランス革命を時系列に並べたような、ありふれた概説書ではない。歴史学者である著者がフランス革命の意味をどう捉えているかを解説するものである。著者はフランス革命を「劇薬」と評する。すなわち、自由・平等・友愛という人類史に輝かしい前進をもたらしたことも、断頭台に代表される血生臭い恐怖政治をもたらしたことも、ともにその効果だというのだ。そして、それらは別々のものではなく、切り離して考えることはできないと説く。劇薬たる所以である。
フランス革命を検証するにあたり、本書は他国との比較という、歴史学では極めてオーソドックスな方法をとる。対象はライバル英国の名誉革命、我が日本の明治維新である。そして、偶然や個人の意思とは別のところにある、歴史の「傾向」がフランス革命の火をつけたと考察していく。
壮大な歴史の流れをうかがわせるが、一方でフランス革命といえば、貴族、ブルジョワ、大衆それぞれの階級の個人が大量に残した手記についても思わずにはいられない。そこには数々のドラマがあり、私などは歴史のうねりに抗う個人の思いにこそ惹かれてしまう。フランス革命は一国の歴史的事象にとどまらず、マクロな視点からもミクロな視点からも深掘りができる、人類史的なトピックだと思う。