■作品紹介・あらすじ
ビジネス書グランプリ2025 ★総合グランプリ受賞★★マネジメント部門1位★
・あなたのマネジメントがうまくいかないのは、無免許運転をしているせい――。
・部下をもってマネジメントを任されるようになり、プレイヤーからマネジャーになり、その仕事の変化に悩む人たちの声をよく耳にしますが、本書がその解決策として提案するのは、「マネジメントは技術。学べば誰もが習得できるもの」ということ。
・そのノウハウ「リードマネジメントのすべて」が詰まった本書は、2万人の研修実績を誇るトップコンサルタントである著者がたどり着いた、心理学をベースにした新しいマネジメントの手法をまとめた一冊。全マネジャーの必読書が登場です。
■おすすめポイント
・会議や1on1で熱心に伝えたはずの指示が、どうもメンバーに響いていない。期待していた成果が出ず、もどかしさと責任感に押しつぶされそうになる。どうやったらメンバーのやる気と能力を引き出せるのか――。そんなふうに悩んでいるマネジャーがいたら、ぜひ本書を手に取ってほしい。
・本書の著者、橋本拓也氏は、アチーブメント株式会社の取締役営業本部長であり、トレーナーでもある。新卒入社3年目からメンバーマネジメントに携わるが、うまくいかず、信頼関係を築けないままメンバーの異動や退職が相次いだそうだ。当時のマネジメントを振り返り、“無免許運転”と表現している。
・そんな橋本氏のマネジメントスタイルが変わり、組織の飛躍的な成長を実現したのは、「リードマネジメント」に取り組んだことがきっかけだった。選択理論心理学を基盤にしたこの手法を通じて、橋本氏は新卒初の執行役員から取締役に就任。現在は1300人以上のメンバーマネジメントを担い、年間1.8万人以上が受講するセミナーのメイン講師として活躍している。
・本書では、橋本氏が取り入れた「リードマネジメント」の5つの技術が、丁寧かつ具体的に明かされている。橋本氏の失敗談を交えた親しみやすい語り口で、マネジャーになりたての人でもスラスラ読める内容だ。
・メンバーと信頼関係を築き、メンバーの力を最大限に引き出してチームで結果を出せるマネジャーになりたいなら、ぜひ熟読を勧めたい。この一冊が、あなたとチームの未来を変えるきっかけになるはずだ。
■本書の要点
・人間は生まれながらにして5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)を持っており、その欲求を満たす「上質世界=願望」を現実世界で手に入れようとして動く。
・リードマネジメントの5つの技術は、リーダーシップの技術、個人の成長支援の技術、水質管理の技術、委任する技術、仕組み化する技術、である。
・5つの基本的欲求は、人それぞれに強弱のバランスが異なる。メンバーと信頼関係を築きたいマネジャーは、メンバーの欲求バランスの傾向を分析し、相手の欲求を満たす関わりを続けなければならない。
■リードマネジメントとは何か
・リードマネジメントが目指すもの
・本書では、「選択理論(選択理論心理学)」をベースにした「リードマネジメント」の手法を伝えていく。
・選択理論の特徴は「すべての行動は自らの選択である」と考えることだ。つまり、何かの行動を“選択できる”のは本人だけであり、他者がその行動を直接“選択させる”ことはできないと考える。
・リードマネジメントが目指すのは「メンバーの成長(個々人の目的・目標達成)を通して組織パフォーマンスを最大化すること」だ。そのためにマネジャーは、人間には生まれながらにして5つの基本的欲求が備わっているということを知っておく必要がある。
・その5つとは、生存、愛・所属、力、自由、楽しみの欲求だ。人はこれらの欲求を満たす「上質世界=願望」を手に入れようとして行動する。メンバーの成長を支援する上では、この仕組みを理解することが不可欠だ。
・リードマネジメントの5つの技術
リードマネジメントには次の5つの技術がある。
(1)リーダーシップの技術
(2)個人の成長支援の技術
(3)水質管理の技術
(4)委任する技術
(5)仕組み化する技術
・要約ではこれらのうち、リーダーシップの技術、個人の成長支援の技術、水質管理の技術を取り上げる。
■【必読ポイント!】 リーダーシップの技術
・メンバーの上質世界に入るには?
・1つ目の技術は、リーダーシップの技術だ。選択理論では、人は生まれながらに5つの基本的欲求(生存、愛・所属、力、自由、楽しみ)を持っていると考える。そして、5つの欲求を満たすイメージ写真が蓄積されたアルバムのようなものを「上質世界」と呼ぶ。
・マネジャーがすべきことは、チームのメンバーの上質世界にあるものを「知り」、その上で「自分を上質世界に入れてもらう」ためのアプローチを行い、最後は「仕事や会社が上質世界に入るように拡張する」ことだ。この状態が実現できれば、メンバーは自ら主体的に仕事に取り組むようになる。
・なお、メンバーの上質世界に入るためには、相手との信頼関係が欠かせない。担当業務で成果を上げて「尊敬」されることと、傾聴する、支援する、励ます、尊敬する、信頼する、受容する、違いを交渉する、の7つの習慣を実践することで、メンバーとの信頼関係を醸成しよう。
・メンバーの欲求バランスを分析する
5つの基本的欲求に関しては、人それぞれに欲求の強弱がある。この欲求バランス(それぞれの強弱)の違いが個々人の発言や言動、物事をこなすときの優先順位として表れる。
・マネジャーの仕事は、メンバーの欲求バランスの傾向を分析し、相手の欲求を満たす関わりを続けることだ。そうすれば、相手の上質世界に入りやすくなり、指示をスムーズに受け入れてもらえるようになる。
・エピソードを1つ紹介しよう。著者は以前ある営業メンバーに対して「もう少しでランキング上位になるぞ」「1位も見えてきたぞ」などとコミュニケーションを取っていたが、彼にはあまり響いていない様子だった。そこでそのメンバーを観察してみたところ、彼は「力の欲求の中でも貢献が強い」「上質世界は、お客様に喜んでもらうこと。もっとお客様に役に立てる担当者になること」であることがわかってきた。そのメンバーにとって「ランキング」や「1位になること」は動機づけにならなかったのだ。
・この気づきを得て以降、著者はそのメンバーに対するアプローチを切り替えた。具体的には「お客様に貢献するために、どのような支援が自分にできるか?」「より多くのお客様にありがとうと言っていただくために必要な専門性としてこのようなものがある」「お客様の立場に立つと担当者が優績であることは誇らしいものだ」といった方向性で支援したところ、彼の行動が変わり始め、ランキング1位に輝いた。
■個人の成長支援の技術
・メンバーの「左手と右手」を一致させる
・リードマネジメント実践のための2つ目の技術は、個人の成長支援の技術だ。これは、メンバーが自ら考え、行動し、自立して成長していく「達成型組織」に導く技術である。
・達成型組織にするためには、メンバーの人生と仕事における目的・目標を明確にし、それを達成に導く必要がある。リードマネジメントではこれらを「左手と右手」を使って表現する。左手が「目的・目標」、右手が「行動」だ。
・右手の「行動」はさらに2つに分けられる。1つは「時間の使い方」、もう1つは「お金の使い方」である。メンバーが自らまず左手「目的・目標」を明確にし、続いて達成に効果的な右手「行動」(時間とお金の使い方)を選択できるように関わることが、「個人の成長支援技術」だ。左手と右手を合わせて「パチン!」と音が鳴る状態こそが、目的・目標に向かって行動できている、すなわち目標達成を表す。
・「成長を支援する」とは、左手と右手を一致させるメンバーを育成することだ。したがってマネジャーは、メンバーに対して自分がやってほしいことを指示するのではなく、「このままでは目的・目標を達成できないから、こう考えよう、こういうふうに行動しよう」と導く必要がある。
■メンバーの「目的」を引き出す方法
・メンバーに目的を考えてもらうために、マネジャーは何をすればいいのか。「君の働く目的は何か?」「君は将来どうなりたいのか?」と質問しても、はっきりした答えは返ってこないだろう。
・本書では、メンバーに目的を考えてもらう際におすすめの関わり方が6つ示される。要約ではそのうち2つを取り上げる。
・1つ目は、マネジャー自身の目的を自己開示することだ。「マネジャー自身はどんな目的を持って働いているのか」「この仕事にどんな意味を感じているのか」「なぜこの会社に入り、何を成し遂げたいと思ったのか」といったことを自分から開示すれば、メンバーも開示しやすくなる。
・2つ目は、目的や願望を明確にする質問のレパートリーを持つことだ。「これまでの人生で一番充実していたものは何だったか?」「なぜそれは充実していたと思うのか?」「それが職場でも得られるとしたらどうか?」のように、過去の自己実現の体験や、お客様・仲間・会社に対してのスタンスを問い、メンバーの隠れた思いを引き出そう。メンバーが願望を話してくれたら、その理想を実現するために「メンバー自身がどのような成長や挑戦ができると良いか」にまで話を落とし込むとよい。これにより、メンバーが自発的に動くようになる。
■「期待」を伝える
・メンバーの未来のために一人ひとりの成長をデザインし、その内容を「期待」として伝えるのもマネジャーの仕事だ。
・ここで重要なのは、実務的な仕事のコミュニケーションに加え、普段のコミュニケーションで「成長」にフォーカスしたやり取りを行うことだ。例えば「今日は4月15日で月の半分が経ったけれど、今月はどんな成長をしようと思って取り組んでいるのか?」「今はどんな目標を目指しているのか?」と尋ねてみる。あわせて、チームとしてメンバーに期待している成果=数字にも触れよう。
・ただし、数字を伝えるとき、マネジャーが描いた目標をトップダウンで下ろして「期待しているよ」とだけ伝えるのはNGである。目標設定を伝える際には「目標はこれ。でも大事なのはあなたがそこを目指しながら考え方や知識、仕事のスキルなどの面で成長することである。その成長を私は期待している」という伝え方をしよう。あくまで成長が先で、それを実現するための数字やタスクなのだ。
■「自己評価」を問う
・メンバーの成長を支援する上では「自己評価」と「フィードバック」が不可欠だ。ここではそのうち「自己評価」について述べる。
・人間は外発的な刺激では変わらない。変わるには、内発的動機が求められる。
・内発的動機のために必要なのは、メンバー自身に評価を行ってもらうことだ。自分の左手=目的・目標と右手=行動を評価し、ギャップがあることに気づければ、自然とそのギャップを埋めたくなるためだ。
・マネジャーは面談において「あなたとしては何を目指しているのか?」という左手確認のプロセスと、「それに対して今はどんな状況なのか?」という右手確認のプロセスを必ず行うべきである。そして、今の状態を継続して左手と右手がぴったりと合わさるかを質問し、現状に気づかせる。情報提供を行う際にも、「左手と右手をもっと合わせるためにアドバイスが欲しかったり、相談したいことはあるか?」という尋ね方をするとよい。
・左手と右手のギャップを埋めるためには成長が欠かせないが、成長の主体はあくまでメンバー本人だ。すぐにアドバイスをしたくなる衝動を抑えて「あなたはどうなりたいのか? 何が理想なのか?」と問いかけ、気づかせる姿勢を大切にしよう。明確な答えが返ってこない場合には「私はこれを期待している」と、自分の期待を伝える。
■水質管理の技術
・組織における「水質」とは?
・3つ目は、水質管理の技術だ。組織の水質、つまり文化や風土、当たり前の基準をコントロールする技術である。
・適正な水質でなければ魚が死んでしまうように、適正な組織文化でなければメンバーも不調を起こす。メンバーが健全に働き、チームや組織全体の効率と成果を向上させるためには、適正な水質を保つ必要がある。水質の管理もマネジャーの仕事だ。
・組織の水質を振り返り、改善する。組織文化とは、「その組織に滞留している目に見えない『当たり前の基準』」だ。ミーティングをする場合、時間前に全員が揃っているのが当たり前の組織もあれば、遅刻が当たり前の組織もある。
・マネジャーにはまず「自分のチーム・組織・企業の文化=水質が一体どのようなものであるか」を振り返り、把握する作業に取り組んでほしい。これにより、改善すべき点や維持すべき点が見えてくる。
■水質を良くする2つの方法
・マネジャーは、組織の水質を良いものにすることで、最終的には「人が育つ文化」を生み出すことを目指すべきだ。
・人が育つ文化のある組織の水質は「感謝、応援、チャレンジなどの肯定的な発言や態度がたくさん出ている状態の水質」だ。所属する人々は前向きで協力的で、互いを尊重し、感謝し合う関係が築かれている。さらに、チャレンジを応援する姿勢が根づいているため、前向きな行動を起こしやすい。
・水質を良くする方法は2つある。
・1つ目は、 1匹1匹の魚を「強い魚」、つまり「目的・目標が明確で、主体的で、人の影響を受けずに達成できる人」にする方法だ。採用段階で「強い魚」を選んだり、時間をかけて人材を育成したりする。
・2つ目は、「共通目的」「協働意欲」「コミュニケーション」を重視することで水槽の水を少しずつ入れ替えていく方法だ。会議や面談の場で、「共通目的」「協働意欲」「コミュニケーション」の促進を働きかけて、組織風土を変える。
■一読のすすめ
・要約では、5つの技術のうち、リーダーシップの技術、個人の成長支援の技術、水質管理の技術の3つの概要を解説した。それぞれの技術の詳細と、残り2つの技術についても、ぜひ本書で確認してほしい。特に、リーダーシップの技術の章における「7つの致命的習慣+α」・「7つの致命的習慣」・「5つの基本的欲求」の詳細と、メンバーの欲求バランスの分析に役立つ「メンバーカルテ」は必読である。
・本書を読むと、自分がこれまで、リードマネジメントとは真逆のマネジメントスタイルのまま突っ走ってしまっていたことに気づくかもしれない。気づきを得たら、まず「リーダーシップの技術」から、毎日のマネジメントに取り入れてみてはどうだろう。きっとメンバーの反応が変わり始めるはずだ。