チャールズオズボーンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ招かれざる客
クリスティの戯曲を小説化した作品。クリスティ作品ふ戯曲も面白いのだが、戯曲だと読み難い為、全作品小説化して欲しいと願う。
クリスティの作品から派生していく作品(ソフィ・ハナのポアロシリーズ等)は、クリスティの余韻を感じる事が出来るし、キャラクターの世界観を壊さなければとても楽しむ事が出来るが、戯曲を小説にするこによって、まるでクリスティが蘇った気持ちになるし、女史の未読作品が殆ど無くなってしまった今となっては単純に個人的に楽しんでいる。
現代だと突飛押しもないスタートから始まる今作だが、余りにも変わった導入は唯一だしクリスティらしいスタート。スタークウェッダーという若者が霧の中で車を溝に落としてしまい、近くの屋敷に助けを求めると玄関が開いていて、リビングで中年男性の死体と銃を握りしめた女性が立っているという導入。スタークウェッダーは女性に好意を持ち銃を握りしめる女性に事の顛末を確認していく。
冒頭では余りにも突飛な物語の導入ね驚き、どうやってこの事件の結末を結ぶのか、スタークウェッダーとローラ・ウォリックの出会いがどの様に発展していくのか全く想像だに出来なかった。スタークウェッダーのキャラクターも不気味であるが人間味があり、中盤からは本当に一目惚れで無茶したのだなぁと笑ってしまう。中盤以降、登場人物が出揃い、物語の真相がわかってくるが、中盤から怒涛の展開が始まっていき、流石はクリスティと息を呑む構成だった。元々演劇用だと考えれば、起承転結がはっきりしていてわかりやすいわけだが、ミステリー、ロマンスを交え、どんでん返しに次ぐどんでん返しは最終的にとてもよく作用していたと思う。
終盤のとある出来事、それに付随するウォリック家の面々の行動の意味と結末、悲劇は本の厚さからは想像出来ない様なボリュームのあるドラマを与えてくれるが、一方で警察官が余りにも魅力がない事が残念であり、癖のある警官が実は切れ者パターンも盛り込んで山盛りな仕様でも今作は楽しかっただろう。そして事件の全貌が見えて来ると、冒頭からの解釈が一変してしまい、今作の本当の悲劇が見えて来る。とある重要人物が名前だけで作中に登場しない理由に深い意味があり、衝撃的だった。
◯ネタバレになるが、看護婦が登場しているとある人物の偽装があっという間に明るみに出てしまう。
やはりクリスティは面白い。戯曲は数冊読んでいるがどれも魅力的な物語なので、是非小説に焼き直してほしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ蜘蛛の巣[小説版]
クリスティの戯曲、蜘蛛の巣の小説版。クライム・コメディ。小説になっているが構成は演劇風。
クリスティの戯曲は面白いものが多く、小説化される事は嬉しい限り。戯曲は読み物としては読みにくいので、全てシリーズを小説化して欲しい。
いつも冗談ばかり言って周りの人達を振り回すクラリッサ。かなりの嘘を重ねているが、夫や知人からは呆れられながらも愛されている。
夫の連れ子のビッパも継母であるクラリッサに懐いており、とても幸せな家庭状態に見える。
ある日、知人達と別れた後、夫の元妻、ミランダの現在の夫であるコステロがクラリッサの屋敷を訪れ、その後帰ったはずの彼がクラリッサの屋敷で死体として転がっている事に気づく。彼女は知人たちを呼び戻し、死体の処理を相談する。
面白いところは、クラリッサは娘のビッパがコステロを殺してしまったと思い死体を隠そうとする。
三人の男性達もとても地位がある人達だが、それぞれの理由から死体を隠す事に協力する。
しかし、何故か警察に通報があり、死体を隠し切る前に警察官が屋敷にやってきてしまう。
そして結局死体が見つかってしまうが、数分後、警察達がいるにも関わらず死体が消滅してしまう。
と二転三転と物語が進んでいく所であり、取り調べではクラリッサが都度、嘘の供述をしながら、警官は当然それを疑いながら、やりとりが発展していく。
最後どの様に終幕になるかと期待したが、クリスティ作品らしく犯人は驚きの展開で明かされ、きちんと序盤の伏線も回収して見事に着地する。
エピローグで何も知らない夫とクラリッサのやりとりが思わずくすりと笑ってしまう。全ての登場人物に役割があり、演劇的ではあるが物語としてもとても面白かった。当時の生活や世界感も素敵で、現代ではまず冗談にならない部分も面白い。