豊永浩平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ2024年に『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で群像新人賞を受賞した著者の2作目。ファミリー・ヒストリーに沖縄と戦争にかかる歴史を織り合わせていくスタイルは前作と同様だが、ポップカルチャーとストリート文化の援用がより前景化されていることが目を引く。
ストーリーは、戦時下の沖縄でも沖縄語を使い続ける徴として「赤インコ」と呼ばれた少年と、彼の死によって生きることができた修二の縁から始まった時間を縦軸に、その孫世代の少年少女が「高い壁」が立ちはだかる現代の沖縄の「生きづらさ」に取り込まれ、対峙していくかたちで展開する。酷い苛めの被害者だった行生がグラフィティ・アートの担い手として想像力にこの島に「タグ」 -
Posted by ブクログ
自分の苦手なザ・文学だったけど(いわゆる芥川賞ノミネート作品系)、自然と引き込まれていく内容と構成だった。
時代もシチュエーションも目線も時代をジャンプしていったり来たりするなかで、それでもつながる一本の線。その根底というか背景に横たわるのはあの戦争の記憶と惨禍。直接的な被害も間接的な被害も、そこから次世代までつながる哀しみも。
時代は変われど変わらない、変われない、消せないものもある。
僕らにできることは知ることと忘れないこと。ありきたりだけど。
あ、最初にも言ったけど、これ芥川賞ノミネートで良くない?と思うほどの、今年読んだ中でも上位の刺さり度だった。 -
Posted by ブクログ
またものすごい新人登場。
作者がどんな人物なのか知りたくなる
ほどの傑作。
今年読んだ中でNo.1。前回の芥川賞の候補にあがらなかったのはなぜ?少し遅かった?芥川賞はこれでしょう。
章の最後を数珠繋ぎにすることで、世界の連環を示唆し空間と時間を自由に行き来する。
このアイデア!
沖縄が舞台なのが、またいい。
大戦のおそらく最も悲惨な現場であり、現代のおそらく最も困難な現場である沖縄。マジックリアリズムが生き続け、リアリズムが人々を翻弄し続ける沖縄。
矛盾を抱えた沖縄が重層的に語られる。
しかも、この切れ味。
この読みやすさ。
この人はどんな話し方をするのかな。
どんな人生を生きてきたのか