豊永浩平のレビュー一覧

  • はくしむるち

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    デビュー作にて、新たなる才能の爆誕を感じましたが、今作は更にグレードアップ!!嬉しい。
    タイトルの「むるち」は、やはりあのムルチでいいのかな?

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    2026年07月09日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    これほど文章に圧倒されたのは初めて。
    独特な場面転換に衝撃を受けたが、この小説の魅力は、決してその奇抜さだけではない。
    近現代の沖縄を巡る性と暴力。暗く、激しい。
    しかし、とてつもない「命」のエネルギーを感じさせられた。語り手の生命が宿った、まさに駆け抜ける馬のような勢いとスピードのある文章に必死にしがみつく、そんな読書体験だった。

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    2026年07月07日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    こんな歴史の描き方があるのか。断片がひたすら積み重なっていくのだが、それぞれの語り手の語り口が生々しく、みずみずしくその時を生きている。そして時代や因果が目まぐるしく生き来することで、沖縄を生きた人の歴史の姿が立ち昇ってくるような感覚になる。
    性と暴力、苦しみと閉塞感に彩られた歴史でありながら、月ぬ走いや馬ぬ走い、時間も物語もリズミカルに過ぎていく。そして、最後には純真な子供たちが歴史を引き継いでいく。刺激的な作品でした。

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    2026年06月30日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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     この上ない才能を目の当たりにしたとき、心の底からほとばしるアツい感情がこみあげてくる。それを冷静に語れるほど私には語彙がない(笑)
     沖縄の性と暴力の歴史を時代、ジェンダー、世代を飛び越えこれまでの歴史年表を捉えなおしている。物語は全て途中で閉ざされるが、確かな断片がそこには残る。がれきの山の上に歴史は成り立っている。今の私に通ずる縦糸がルーツをたどろうと思えば、深く潜ろうと思えば思うほど、見えてくるのだろう。
     今年読んだ中で最高の1冊だった。

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    2026年06月13日
  • はくしむるち

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    すごかった。素晴らしかった。

    ユニークで新しい読み口の語りに興奮しながら、ハンガン(少年がくる)、トニ・モリスン(Beloved) 、宮藤官九郎 などが頭に浮かんだ。

    そして何より、小説の声の遠慮や制御のなさに胸がすく思いがあった。当事者が自分の声で、自分たちの目線で、自分たちの語りを全開のパワーで訴えかけてくるところに、そうしていいんだ、そうできるんだ、声を出すべきなんだと何か勇気づけられるような気がした。あまりにも今のニュースや新聞は大きなもの、中心に居座っているものの声だけを主流として流すばかりだから。

    80年前のシーンに読者を引き摺り込む文章はハンガンの「少年がくる」のようである

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    2026年06月09日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    現代小説と時代小説の狭間にいるような、不思議な読み味の本。
    戦後の沖縄から現代の沖縄を、14人の視点を通して覗き見ていく話なのだけど、読者の共感や理解を促したり読み手の快感作るような分かりやすい構成や演出をしない、その剥き出しな感じが個人的にすごく好きでした。
    正直よく分からない部分も沢山あるし、読みづらい。けれど、「その人(登場人物)が見て感じた記憶をそのまま差し出す」というような荒っぽさや(物語としての)違和感、読み手に易しくない描写や展開が、それぞれの記憶の断片をこちらにリアルに感じ取らせてくれたように思う。過去にあった出来事や、歴史として語られる話の奥にあるのは、その時間を生きた人たち

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    2026年06月07日
  • はくしむるち

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    タイトル「はくしむるち」がまったく覚えられないまま読み始めた。

    90才前後のおじーを媒介にした物語だ。むるちとは、この小説内で「大蛇」として使用される。嵐のように圧倒的で、暴力装置そのものだ。紙漉きをしたばかりの白紙のようなまっさらな若者たちが、そのむるちに、いまも巻き込まれ続けている。

    若かりしおじーが戦地としての沖縄で過ごしたころの暴力。現在に生きる主人公の大叔父として、いまの沖縄にこびりついた暴力を観測する視線。土地そのものに、暴力の記憶が染みついている。

    おじーがまだ生きているうちの話であるという設定が、これを書かせたのだと思う。いまでなければ嘘になってしまう、虚構になってしまう

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    2026年03月26日
  • はくしむるち

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    「なーら白紙むるちぬわらばー」は琉球方言で「まだ白紙もどきの子ども」という意味。なかなかタイトルが覚えられなかったんだけど、意味がわかったから忘れなくなった。

    最近歌舞伎を見ながら感じた、同じ日本語だから、まったく意味がわからないわけではない、でもすべてを言葉のまま理解することは難しいって感覚が、読んでいる最中に似ていた。

    この若さでこれを書けるの凄い才能すぎる。太字とひらがなの使い方が独特。なんでこの単語をわざわざひらくんだろう?って箇所がままある。

    以前ドラマ「フェンス」を見たときに、沖縄にはいろんな立場の人がいるから、それぞれを尊重するために、各々の環境や考えをわざとぼかして言語化

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    2026年03月07日
  • はくしむるち

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    ネタバレ

    自分は沖縄出身じゃないから、外様の感想しか出てこないけれど、この本を読んだ沖縄に生きる人たちはどんな事を思うのだろうか。

    現代と戦中戦後の時間が交差する手法は前作もやっていたけど本当にこれはすごいと思う。(これは写真表現にも似ているところがあると思っていて、さまざまな時系列の事物を一つの文脈に編んで世に提示する表現だ。写真家によってテーマはそれぞれあれど、この本にも似たものを感じた。)世界が地続きである事が直感的に感じられる。

    そこに今回はぼくらやきみといった人称が混じる事で、一体だれがこの現実を見て語っているのかがわからなくなり、俯瞰的でありながら行生や修二など人物に潜っているような主観

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    2026年03月03日
  • はくしむるち

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    同い年の書き手だった。やばすぎる。勝てなすぎる。もちろん同い年だからこそいろんな要素が刺さった、という側面もあるが。

    ぼくたちの「傷」をめぐる本だった。ぼくたちは生きていくなかで様々なカルチャーや歴史に触れる。それらは単なる好みの問題ではなくて、自分の生き方とか、もっといえば傷によって何に触れるかを選んでいるような気がする。あるいは作り手たちはそうした傷を抱えながら自分の芸術作品をつくって、同時代の人や未来の人々に影響を及ぼしていく。

    『AKIRA』もTHE NORTH FACEもTikTokも屋良朝苗も傷だ。時代の傷だ。僕たちとスレスレのところ確かに彼らは存在していたし、彼らがいる世界で

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    2026年02月25日
  • はくしむるち

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    ネタバレ

     2024年に『月ぬ走いや、馬ぬ走い』で群像新人賞を受賞した著者の2作目。ファミリー・ヒストリーに沖縄と戦争にかかる歴史を織り合わせていくスタイルは前作と同様だが、ポップカルチャーとストリート文化の援用がより前景化されていることが目を引く。

     ストーリーは、戦時下の沖縄でも沖縄語を使い続ける徴として「赤インコ」と呼ばれた少年と、彼の死によって生きることができた修二の縁から始まった時間を縦軸に、その孫世代の少年少女が「高い壁」が立ちはだかる現代の沖縄の「生きづらさ」に取り込まれ、対峙していくかたちで展開する。酷い苛めの被害者だった行生がグラフィティ・アートの担い手として想像力にこの島に「タグ」

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    2026年02月15日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    沖縄生まれの矜持を感じる。この年齢でどんな経験と学びをすれば、こんなアウトプットができるんだ。天才か。

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    2026年07月16日
  • はくしむるち

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    [こんな人におすすめ]
    *沖縄について詳しくない人
     沖縄で暮らしてきた人たち、そして今も暮らしている人たちにはそれぞれの考えがあると思うので、この本を読んだからといって人々の気持ちが理解できるようになるわけではありません。ただ、(ネタバレを避けるため曖昧な表現になりますが)沖縄で当時起こったことや現代の社会問題について、沖縄で暮らしていない私たちは知らないことが多すぎるのだと愕然とします。
     沖縄に行ったことがない人や、修学旅行や平和学習で広島・長崎を訪れたものの、沖縄については詳しく学ぶ機会がなかった人はもちろんですが、メディアやSNSを通じてある程度の知識があると感じている人も、おそらく

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    2026年06月20日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    戦争を知らない世代が、どのように戦争を語り継ぐのか。戦中から令和の現在に至るまで、祖霊が集まる道巡礼を起点として紡がれる物語たち。時空を超えて、視点人物を切り替えながら、沖縄という地の記憶を立体的に掘り起こしていく。継起的な性と暴力。島における負の連鎖。多くの死。それら亡霊を受け入れ、過去を受け継ぎ、未来へと繫ぐ。愛の力を信じて。

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    2026年06月08日
  • はくしむるち

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    開いた瞬間めちゃくちゃ読みにくそうな文章だと身構えましたが、沖縄の言い回しも多いのであまりじっくり読み込むよりはサラサラっと全体的に読んでいこうと思ったら2日で読めてしまいました。

    最初は誰のことを言ってるのか、そして誰目線なのか?なんとなく分かりづらかったのですがそれも気にせず読んでいくとなんとなく全体像をキャッチできて、話の流れが読めました。

    沖縄での戦争での話は本当に辛いし、読んでいて苦しくなる。現代での話は沖縄だけでなく別に東京でも起こりうることだけどね。

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    2026年05月29日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    いやぁ、よく分からないけど凄かった。
    何が凄いのか自分でもよく分からないけど、心にズンズン響くものがあった。

    沖縄が抱えていた暴力と歴史の澱が呪いのようにつづく14人のモノローグ。誰が語っているのかも分からず、戦時下と現代が交互に巡り、土着の無数の人々の叫びが世代を越えて濁流のように押し寄せてくる。現代を生きる若者のリアルな息苦しさがとにかく刺さる。

    特に、ガマへ肝試しへ行った際の出来事はまさに呪い。手に持っていたあの短刀は「そんなの持ってきたら絶対ダメなやつじゃん!」と背筋がゾクッとした。『呪術廻戦』の「両面宿儺の指」と同じ特級呪物。あれを手にしたのは偶然なのか、選ばれてしまったのか……

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    2026年05月23日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    すごいものを読んだなー。

    語り手や時代がコロコロと変わるし、改行や鉤括弧が無いために主語を見失いがちになり、沖縄の言葉や軍人の古い言葉も読み難く、、、でも途中からは一気に読まされた。

    全ての時代を通してそこにある差別と暴力。
    そして沖縄が負わされているものの大きさを繰り返し突きつけられて胸が苦しくなった。

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    2026年04月26日
  • はくしむるち

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    『月ぬ走いや、馬ぬはい』がすごくよかったので読んでみた。中盤くらいまで難しくて入り込めず。読むのやめたいなーと何度か思いながら読み進めてるふと世界に入り込めてするする読めていた。沖縄の過去と現在が絡み合い、そして未来は「はくしむるち」。また前作を読み返したくなった。

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    2026年04月13日
  • はくしむるち

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    小説。最初は何が何だかわからなかった。
    構わず読み進めると、やっと沖縄の中学生が主人公であることがわかる。
    暴力とセックスに明け暮れるヤンキーたちが描かれている。
    しかし、突然終戦直前の沖縄が出てくる。ここにも暴力。ひめゆりにつながる。
    さらに、ニュースになった、警棒で若者を失明させた、その場面が登場。

    なんだか怒りにあふれている。消化しきれなかった

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    2026年03月14日
  • はくしむるち

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    戦争や男性性といった圧倒的な暴力によって蹂躙されてきた/されている沖縄に堆積した声が語る少年少女たちの青春が痛みを伴って胸に重く響きました。と同時に、この物語は沖縄という限定的な土地だけで完結するものではなく、あらゆる場所に現在進行形で生きている未完と完成の狭間の子供たち=はくしむるち(白紙擬き)の傷と抵抗の物語でもあると私は思うのです。《対等じゃないのに、勝手に守るとか、守れないとかいって都合よく扱うのは、サギの言葉でしょ!?》。解放してくれた者が隠していた打算や傲慢さをあらわし新たな暴力として留まり支配しようとする苦しみの連鎖に、真のヒーローなどいないのだと絶望の中で絶望しながら、それでも

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    2026年02月26日