豊永浩平のレビュー一覧

  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    「月ぬ走いや、馬ぬ走い」(豊永浩平)を読んだ。

    〈ちちぬはいや、うんまぬはい〉

    かつての沖縄から現在の沖縄までのリアルな痛み苦しみ悲しみを突きつけられる胸が潰れそうな読書体験なのである。
    だけど豊永浩平さんのこの先の沖縄への想いがこもったラストが素晴らしいな。

    二○○三年生まれって、マジか。

    私の中の圧倒的な沖縄小説といえば
    「首里の馬」(高山羽根子)
    「宝島」(真藤順丈)
    であったが新たにもう一冊この作品が加わった。

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    2025年07月19日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    自分の苦手なザ・文学だったけど(いわゆる芥川賞ノミネート作品系)、自然と引き込まれていく内容と構成だった。
    時代もシチュエーションも目線も時代をジャンプしていったり来たりするなかで、それでもつながる一本の線。その根底というか背景に横たわるのはあの戦争の記憶と惨禍。直接的な被害も間接的な被害も、そこから次世代までつながる哀しみも。
    時代は変われど変わらない、変われない、消せないものもある。
    僕らにできることは知ることと忘れないこと。ありきたりだけど。

    あ、最初にも言ったけど、これ芥川賞ノミネートで良くない?と思うほどの、今年読んだ中でも上位の刺さり度だった。

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    2025年06月09日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    時代を超えた14人が物語る、それぞれの沖縄の物語。形式(文体)が内容を形作るのか、内容が形式を形作るのか、議論されて久しいが、この本はそうした議論を一蹴する力強さをもっている。21歳かつデビュー作でこれだけの文体を使い分けることに戦慄を覚えるし、沖縄という土地に根ざした様々な問題が文学として描かれている。これからの作者の紡ぐ物語に期待せざるを得ない。

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    2025年03月22日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    圧倒された。その実験的手法が本作のテーマにがっちりはまっている。沖縄に対する自分の無知も突きつけられた。

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    2025年02月15日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    めちゃくちゃよかった。最初の方は難しい本なのかなと思ってたけど、それぞれ語られた言葉がすっと心に入っていく。沖縄の戦中、戦後、そして現在へ。生きてきた者たちのありのままの言葉。

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    2025年02月14日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    話が進むに連れて登場人物が徐々に繋がっていくのが面白くて、途中から読む手が止まりませんでした。一度読んだだけでは登場人物たちの関係をしっかり把握することは出来なかったので、また読み返してみたいと思います。
    「月ぬ走いや、馬ぬ走い」の言葉を忘れずに、これから先の人生を生きていきたいと思いました。

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    2024年10月20日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    恐ろしいほどの才能を読んでしまった

    著者わずか21歳、沖縄での大戦とZ世代を往来するパラレルワールド

    ウイリアムバロウズのカットアップ手法を彷彿とさせるぶっ飛んだ文体

    それは、ドアーズからカートコバーン、AWITCHまでを飲み込む圧倒的なバースのセンスと、有無を言わさぬレペゼンうちなーぐちの完璧なるマッシュアップ

    そして鮮やかなまでの鎮魂詩のラスト

    何から何までやられました

    アナーキー・イン・ザ・OKINAWA

    この才能は未来を変えると思いました

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    2024年09月30日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    またものすごい新人登場。
    作者がどんな人物なのか知りたくなる
    ほどの傑作。
    今年読んだ中でNo.1。前回の芥川賞の候補にあがらなかったのはなぜ?少し遅かった?芥川賞はこれでしょう。

    章の最後を数珠繋ぎにすることで、世界の連環を示唆し空間と時間を自由に行き来する。
    このアイデア!
    沖縄が舞台なのが、またいい。
    大戦のおそらく最も悲惨な現場であり、現代のおそらく最も困難な現場である沖縄。マジックリアリズムが生き続け、リアリズムが人々を翻弄し続ける沖縄。
    矛盾を抱えた沖縄が重層的に語られる。

    しかも、この切れ味。
    この読みやすさ。

    この人はどんな話し方をするのかな。
    どんな人生を生きてきたのか

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    2024年09月20日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    ネタバレ

    人が入れ替わり立ち替わり語る、語る、語る。
    黄金言葉「月ぬ走いや、馬ぬ走い」…時間を大切にしなさい、けれど苦悩は結局なくなってしまうものだから投げ捨ててしまいなさい!その力強さ、しなやかさが凛と立って背骨になり、人の支えになっていく。
    死んでしまった人たちもかつては生きていて、私たちもその流れの中にある。月ぬ走いや、には朝の紅顔夕べの白骨というような無常さも漂っている。私もいつかは死んでしまう。でも今は生きているのだから、今を大切に、生きている人死んだ人みな大切にしようと、この本を閉じた時に思いました。

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    2024年09月04日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    新人賞の作品とは思えなかった。すごい作品だ。沖縄という土地の血と汗と光が溢れている。そして、私の先祖が沖縄にあることも相俟って、非常にこう、没入して読んでしまった。これからの作品もとても楽しみ

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    2024年08月31日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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     古川日出男の小説を思わせるドライブ感で沖縄の近現代を生きた名も無き人々の声を召喚してみせた作品。一つのエピソードの脇役が別のエピソードの主役になっていく展開など構成上の工夫も見事だが、本作が切り出してきた「現場」のアクチュアリティには感心させられた。沖縄戦の時代から始まり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、「本土復帰」、1990年代の沖縄がそれぞれ経験してきた出来事を背景に、懸命に、しかし決して仕合わせには生きられなかった人々の声が畳みかけるように、折り重なるように積み上げられていく(逆に言えば、それだけ沖縄の近現代史は惨酷な記憶が累々と積み重なっている、ということだ)。リサーチ力も筆力も卓越していて

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    2024年08月30日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    噂通り凄い作品だった...。
    歴史が地続きの『今』の連続であることをこれ程強く感じられたことはない。めくるめく時の流れと人々の生き様に胸が苦しくなったり、希望を感じたりしながら読みました。

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    2024年07月26日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    同じ場所を生きるいろんな時代の人をフラットに書いていて、一気にこれだけのチャンネルが開けるのがすごいなあ、と。琉球大の大学生なんだ。芥川賞候補って噂されてたのも分かる。

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    2025年05月10日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    現在と過去、死者と生者が順番に独白していく形式で、それぞれ親子だったり親族だったりして、ゆるく繋がっていく。タイトルどおりに、走馬灯のような展開。
    名前でつながりがわかるんだけど、戻って確かめるのも面倒でそのまま読んだ。それがはっきりした像を結ばず、いい感じの残像になり、面白かった。
    沖縄の虐げられた悲しみとそれでも繋がる命の輝きのようなものの影が見えたような気がする。
    過去の語りと現在の語りの差も面白く、現代の場面ではさすがの若さを感じた。

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    2025年04月16日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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     語り手が目まぐるしく変わり、時系列も都度変化するので、読み続けるのに難儀した。しかし、沖縄は本土とは異なる歴史を刻んできたことを、改めて認識させられる記述が多々あった。米兵による性加害も、明らかになっている事例よりもはるかに多くあったことがわかる。沖縄が体験した第二次世界大戦の惨状の中には、初めて聞く内容もあった。崩壊した家庭、在日米軍の置き土産など、現在に連なる不幸の連鎖と、それによって身心ともに傷つけられる若く柔らかい感受性。多くのことが詰め込まれた、中身の濃い小説だった。

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    2025年01月16日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    沖縄の多要素性を描きながら150pを疾走していく
    仕掛けが多いしテーマとしても面白い
    読み返したくなる

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    2024年12月29日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    大学生がこんなの書けちゃうんだ、と素直に驚く。いろいろな主題をとりあえず放り込んで、それぞれに設定した文体に従って展開してみた、というところか。この作品を苗床にして、これからいくつもの作品が生み出されていくのだろうなと思う。これからが楽しみ。

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    2024年12月01日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    月ぬ走いや、馬ぬ走い。
    その苦悩とは、沖縄の大きな悲しみのような気がしましたが、、、なにかとても深い海のなかにいる気分になりました。。。

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    2024年11月22日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

    cnm

    購入済み

    群像新人賞受賞作品でセンスの良いタイトルに引かれて購入。特徴的な語り手の切り替え方とキャラクターの書き分けが素晴らしくて、久しぶりにわくわくしながら読んだ。最近の若者言葉小説はわたしには読みにくく興味が待てなかったので、こういう小説らしい小説が出てきてくれて嬉しい。

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    2024年10月31日
  • 月ぬ走いや、馬ぬ走い

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    お盆に集う様々な魂たちの独白が重なり合い、現在に至る沖縄の残酷な歴史が幽玄に浮かび上がる。構成が見事で、舞台を観ている感覚に陥った。沖縄の見方が完全に変わった。

    21歳が書いたとは思えない作品。反面、真摯さに新世代を見たように思う。

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    2024年10月30日