シェハン・カルナティラカのレビュー一覧

  • マーリ・アルメイダの七つの月 下

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    ネタバレ

    二人称の語りや、マーリのキャラから繰り出される軽いノリに騙られてはいけない。つまり人間はこんなもんだよねという諦めと、それでもやらなければならないことがあるという頑固さの二つが並んでテーブルの上に載せられる。まるでカジノのポーカー台のように。
    ひさびさのスリランカもの、オンダーチェの『アニルの亡霊』を思い出した。

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    2025年04月18日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 下

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    下巻は第3の月の続きから始まる。現在と過去が交錯し、マーリのこれまでにしてきたことが明らかになる。そして彼が大切に思う人達に危険が迫る。彼のやり残したことは叶えられても世界はなにも変わらなかった。ついに明かされる彼の死の真相は苦いものだったが、1990年という時代を考えればやむなしか。
    時間制限のあるゴーストストーリーに歴史や政治を盛り込み、さらには宗教や愛をトッピングしたなんとも豪勢なごった煮小説である。満足感は高い。
    2022年ブッカー賞受賞作。

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    2024年03月09日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 上

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    マーリ・アルメイダ。
    戦場カメラマンにして、ギャンブラー、そしてヤリチン。
    物語の舞台は、1990年のスリランカ、内戦真っ只中のコロンボだが、その様子は全て死者であるマーリの目線から語られる。
    マーリは、気づくと冥界のカウンターにいた。周りは死者で渋滞。戦争の被害者である彼らは、死者になってもくだらない手続きのために列に並んでいた。そして42階で〈耳の検査〉を受けて〈光〉に行くよう案内される、、、
    しかし、途中不思議な雰囲気の若者の霊と会い、生者の世界に干渉するための力があることを告げられる。残された時間は月が7回昇るまで。腐敗した政府の闇を暴き内戦を終わらせようと、スクープ写真を残してきた友

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    2024年02月17日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 下

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    ネタバレ

    2022年 ブッカー賞受賞作
    スリランカ出身の著者が描く、1990年当時のスリランカ内戦の惨状、
    そして戦場を駆け抜けた主人公"マーリ アルメイダ"がさまよう死後の世界。

    現実と想像が激しく入れ乱れる中で主人公は現世で成し遂げることのできなかった、
    スリランカの平和への願いを叶えることができるのか。

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    エンタメを詰め込んだ海外文学、しかしそれはどれもパーフェクト・テン。

    作品が評価されている理由には、その豊富なエンタメ要素にある。
    まずは皮肉と比喩。
    特に洋楽や洋画に関するジョークも多く、知っ

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    2025年08月03日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 上

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    全く知らなかったスリランカの厳しい内情を知ることができた。
    民族や思想による複雑な紛争が物語の背景だ。作者の意図も設定も素晴らしいのだが、なじみのない名称が多く、イメージを持ち続けて物語を進むのが私には難しかった。
    下巻まであることを思うと、辛くなり上巻7割のところで本を閉じた。

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    2024年07月07日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 上

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    内戦下のスリランカで、戦場カメラマンのマーリ・アルメイダに起きた奇想天外な物語。
    冒頭、彼は冥界の受付にいる。そこで告げられたのは「7つの月が与えられる」だった。死者に残された時間は月が7回上るまで、つまり7日間。その間にマーリは自分の死の真相を突き止め、やり残した使命を完了させることを決意する。
    第1章はマーリ及び読者に死後の世界のルールやら時代背景やらを説明するため長く読みにくい。スリランカなんてまったく未知の国で、なんの知識もないから尚更だ。
    第2章からいよいよ物語が動き出し面白くなってくる。

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    2024年03月09日
  • マーリ・アルメイダの七つの月 下

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    スリランカと言えば、マイケル・オンダーチェ『アニルの亡霊』を思い浮かべるが、アプローチとしてはまるで真逆のようでありながら、これもありだなーと面白い。

    ヴォネガットを連想したけれど、作者はやはりヴォネガット好きのようだ。

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    2024年03月02日