楊逸のレビュー一覧

  • 時が滲む朝

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    読書開始日:2021年10月5日
    読書終了日:2021年10月7日
    所感
    読みやすく、かつ面白く、好きな作品。
    大学生活とその後の生活で大きく2つに分かれる。
    学生運動や中国の政治について無知な自分にとって、勉強になることばかりであった。
    学生時代を思い返すと、「血より濃いもので、まるで火を噴く油」のような想いが湧き上がる経験はなんどかしたことがある。
    危うい野生の感情。
    そこに大義が交わることで、自分の思想を過信し大きな事件を引き起こした。
    自分も熱中したことが収まる範疇だっただけで、主人公と同じ大義をもったらおなじ行動をしていたかもしれない。
    主人公が日本に移ってからも面白い。
    主人公も、

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    2021年10月07日
  • 中国の暴虐

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    南モンゴル出身の楊海英教授、ハルビン出身で芥川賞作家の楊逸、櫻井よしこの中国の覇権主義に関する鼎談。
    モンゴル、チベット、ウィグルでの残虐なジェノサイド、オーストラリアでのサイレントインヴェジョン(中国人富豪の政治家、大学への多額な資金提供による親中国派拡大策)
    中国政府は大学関係者を、自由で解放的な学問研究と戦う戦争従軍者と認識しているとの指摘もある。
    日本でも2500人の中国人留学生が在籍する早大では中国政府にそぐわない発言をした教授を反動教授と弾劾した例も語られる。読み進む内に中国の地球規模での侵略はコロナ同様に既に各国の肺に浸潤しているのではと不安に襲われる。

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    2021年09月18日
  • わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない

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    前半、ソースがよくわからない「だそうです」という話が多かったのが難点。
    しかし
    「だそうです」な話も、おそらく事実なのだろうな…と思わせる記述が続いていく。
    隣国がこんななのに…
    ただただ怖い。

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    2021年08月19日
  • 時が滲む朝

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    第139回芥川賞受賞作品(2008年)。
    1988年の中国民主化運動に参加した主人公・浩遠と相棒の志強が辿った高揚と挫折と再生の物語。
    学生として参加した民主化運動と結果としての天安門事件。そして、全てが無に帰してもなおこだわり続ける民主化への想いに反して、経済大国化への道へ舵を切った中国。見切りをつけて生活に商売にいそしむ人々が増える中、家族と生活を維持していかなければならなくなった主人公・浩遠の葛藤もここにはじまる。

    表現の技巧には多少のぎこちなさを感じるが、広大な大地と清々しい朝の景色の描写は読者にリアルな自然美を感じさせてくれる。
    主人公たちの転機となった場面にはもう少し膨らみが欲し

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    2014年10月13日
  • 時が滲む朝

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    天安門事件から二十数年が、経過。マスコミに取り上げられた革命家たちは、海外に亡命。しかし、そうではない名もなき革命家、民主化運動に参加した学生たちは、今、どうしているのか・・・。また、彼らが今のロシア、民主化された東欧諸国をどのように見つめているのか・・・。考えさせられる1冊。

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    2014年05月15日
  • 陽だまり幻想曲

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    楊逸さん、読むほどにすきになる。もうゾッコン!
    この本には二編の小説があり、どちらもコメディタッチ。
    私は本のタイトルでない方の「ピラミッドの憂鬱」の方が
    すきかな。中国人留学生の暮らしぶりっていうのが興味深くて。
    事物以外にも感覚的に「へ〜え」っていうのが多くて。
    登場人物もみな人間味あって。(コレ、楊逸さんの特徴かな)
    一方、「陽だまり幻想曲」の方はですます調。でもコメディっぽい
    ので面白おかしく読んでいたら最後の展開に驚いた。
    本の装幀がすごく効いてる!

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    2013年09月07日
  • 時が滲む朝

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    一日で読んでしまいました。久しぶりに、心に感じ入るものがある小説でした。作者の気持ちが籠もった渾身の一作です。

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    2012年08月02日
  • 時が滲む朝

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    中国人の視点による天安門事件。
    若い時しか出来ないことがあるんだなぁ・・・ジーっとそれだけを見つめることが出来る年齢というのは、愛おしい。

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    2012年07月24日
  • 時が滲む朝

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    いい小説に出会った。主人公の浩遠がどうにもせつない。何事にも屈託なく飛び込んでいける友に対する引け目のようなもの、好意を抱いた相手がその友と仲を深めていくのを見ていなければいけないこと、何かを求めながらちっぽけな毎日で精一杯なこと……。そうでいながらも、学業に対して、国に対して、これほど熱い思いを抱けることがとても羨ましい。離れ離れになってもずっとつながっている人々がいることが羨ましい。誰か……というのは妻子なのだけど、彼らのためにささやかな日々に甘んじることが羨ましい。でも、物事はこんなふうに落ち着いていくのだろう。夢破れた末の今かもしれないけど、それは幸せと呼んでいいものだと思う。
    大学に

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    2011年02月16日
  • わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない

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    元中国人で日本に帰化したとは思えない素晴らしい日本語能力です。読みやすい文章で中国の負の部分がよく見えました。中国人と仕事での付き合いはあるけれど、個人個人はとても良い人たちです。しかし、ビジネスを行う上で、どうしても中国政府の動きを考えなければなりません。著者は過去にとても辛い経験をしたので、もう中国には戻りたくないと言う気持ちがにじみ出ていました。今は日本と緊張が高まっています。この先中国との関係がどのようになるのかとても不安です。

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    2025年12月09日
  • 時が滲む朝

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    いつの世も時代に振り回されるのは、名も無き一般人。権力者や著名人は名前が残っても、最大の被害者達は歴史の表舞台に立つことは無い。それでも、一人一人が時代を生きている。

    学食の料理番や飲み屋の店主やタクシー運転手は日々を生きてゆかねばならない。家族を食べさせなければならない。学生達のエネルギーに熱くなる何かを感じ、運動を応援することはあっても運動が下火になれば日々の生活に戻る。

    まだ何者でもない、何者にもなれる可能性を秘める学生達は、学生であること自体をエネルギーの源として運動に参加する。しかし、正しいと思う"何か"や理想的な"何か"は流動的で現実味が

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    2024年07月17日
  • 暴虐国家 習近平の中国

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    第一章冒頭の櫻井氏の「中国は世界で最も罪深い"悪逆国家"のひとつ。二十一世紀のいま、どこから見ても許されざる異民族の弾圧や虐殺を続けている。チベット人にもモンゴル人にもおぞましい弾圧を加えてきた。いま、とりわけ国際社会の避難が集中しているのがウィグル人への弾圧だ」との発言で始まる本書は「悪逆国家」たる中国の姿とそれに立ち向かうべき心構えを伝えている。

    本書に記された他民族に対する民族浄化、虐待の実態はまさにおぞましい。
    櫻井氏ら著者たちは、それが共産党支配の故ではなく、漢民族の特性によるものだと説く。

    漢民族は優越感が強く、排他的、差別的で支配欲も強い。執着のあまり、事

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    2024年04月17日
  • 時が滲む朝

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    日本に亡命、在住し芥川賞を獲得した中国生まれの著者による1989年の天安門事件を背景とした青春物語。地方都市の大学1年で主人公の梁浩遠と親友・謝志強は若手のキラキラ輝く甘凌洲教授の指導のもと、愛国心に燃えて民主化運動に参加した。白英露という積極的な女子学生にも出会う。しかし、民主化の期待は裏切られ、予想外に弾圧され、失意のうちに大学を去る。そして主人公は日本へ。中国に残る家族や友人志強と離れ、甘教授や英露は消息不明に。しかし海外亡命した人たちの行き先が分かるというネットワークの凄さに驚き。亡命先のフランスから日本を訪れる甘教授や英露との再会、そして中国へ向かう飛行機を見送るラストは爽やか!テレ

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    2023年06月01日
  • ワンちゃん

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    『ワンちゃん』『老処女』の2作品。両方とも、日本に来た中国人女性の話。
    『老処女』の主人公が1961年生まれなので今から10年くらい前の話でしょうか。
    『ワンちゃん』は、中国では洋服屋を営んだりデザイナーの仕事をするが稼ぎは元夫に持っていかれてしまう。一念発起し日本へ来て日本人男性と結婚し中国人女性と日本人男性のお見合い業を始める。
    『老処女』は日本で児童心理学の博士課程に身おくが上手くいかず中国語講師となる。どちらも実らない恋の話。もう少しうまく立ち回れないものかと。宗教や文化的なものもあるのかな 

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    2022年06月19日
  • 時が滲む朝

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    天安門事件前後のお話。自分も生きていた時代の歴史なので、登場人物や時代背景を自らの若いころと照らし合わせながら読むことができた。作者の母語が日本語ではないということだが、不自然さはなく、情景を思い浮かべることができた。中国の歴史に興味がないと読みにくいかも。

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    2022年03月16日
  • わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない

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    芥川賞受賞の中国人作家、楊逸が自分の経験と調査から記した中国の実情。
    中国で生まれ、日本に帰化するまで生活をしていた作家だけに信憑性はあるのだろう。
    「なんでもありなんだ」と暗い気持ちになる。
    実際、今行われているオリンピックでも、政府要人派遣を避けた国には意味不明なペナルティを出している。BGYがここでも活かされてるのか?

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    2022年02月12日
  • わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない

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    現実レベルでこの作家はいつ共産党に囚われられても不思議はない。そんな危険を冒しても書き綴った作家の共産党への怨みと同胞への愛情を感じる一冊。

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    2021年11月17日
  • 時が滲む朝

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    浩遠と親友の志強は、希望に満ち学問に打ち込んでいた大学生活から民主化運動にのめり込んでいき、傷害罪で退学処分となる。
    夢見ていた未来とは違う道を模索しながら生きていく日々が描かれている。
    エネルギーを持て余した若者が熱に浮かされて突っ走ってしまったようで、せつない。
    彼らを突き動かした「祖国への愛」に危ういものを感じてしまう。
    民主化運動からうまく抜け出した者もいる中で、挫折を引きずり、民主化運動の夢を持ち続けて生きる浩遠の苦悩が伝わる。
    浩遠が家庭を持ち守るべきものができた時と、学生時代の熱に浮かされていた時との対比が、大人になっていく重さとして伝わってくる。
    その時々の心情を朝の情景の美し

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    2021年08月30日
  • 中国の暴虐

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    中国によるウイグル、モンゴル問題などを櫻井よしこさん、楊逸さん、楊海英さんの3名が対談形式で語った一冊。清水ともみさんの「命がけの証言」を読んだことで中国ウイグル問題について理解を深めたく購入したが、かなり濃い内容で満足。中国共産党の内部事情とか、早稲田大学が日本の中国人留学生に乗っ取られるとか、結構衝撃の内容が多かった。楊逸さんと楊海英さんは、中国批判をして中国との親族と接触できない状況ということらしい・・・。今の中国に多大な影響を与えていると思われる「毛沢東語録」は読んでみようと思った。

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    2021年07月01日
  • わが敵「習近平」 中国共産党の「大罪」を許さない

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    中国出身の芥川賞作家による習近平、というよりは文化大革命以来の腐敗まみれ・権力闘争第一の中国共産党の大ディスリ本。まあ少し妄想の部分もあるが、さもありなんという意味で読む価値のある本。故国を想う気持ちと、民主国家への体制変革を望むが到底無理だろうという諦念の気持ちヒシヒシと伝わってくる。実力がある分、北朝鮮より質の悪い、中国共産党独裁政権(習近平独裁政権)を壊滅させて、民主主義国家に移行させていかなければいけないと強く思う。

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    2020年08月25日