時が滲む朝

時が滲む朝

小説・文芸
468円 (税込)

2pt

中国の小さな村に生まれた梁浩遠(リャン・ハウユェン)と謝志強(シェー・ツェーチャン)。大きな志を抱いて大学に進学した2人を、1989年の天安門事件が待ち受ける──。“我愛中国”を合言葉に中国を民主化しようと努力する貧しい学生たちの苦悩と挫折、そしてその後の人生。北京五輪前夜までの等身大の中国人を描ききった瑞々しい傑作。日本語を母語としない作家として、初めて芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)の代表作!

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春文庫
  • タイトル
    :
    時が滲む朝
  • タイトルID
    :
    152237
  • ページ数
    :
    166ページ
  • 電子版発売日
    :
    2012年04月13日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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時が滲む朝 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    外から見る中国、ニュースで知る中国、観光で来日している中国人の方、そういった面からしか知らなかったけど、この本を読んで、中国内部で一般の中国人たちがどんなことを考えどのように行動していたのか初めて知りました。
    そして、遠い存在だった中国が、近く親しみを感じる存在になりました。
    東欧諸国のようにうまくいけば良かったのに、中国での民主化はいくら頑張っても果たせぬ夢だったのですね。さぞ無念だったでしょうね、、
    しかし、甘先生に届いた息子さんからの手紙に表れているように、家族を二の次にしてまで取り組むことではない、、主人公、浩遠はそこまでしなくて良かった。
    「あとがき」に記された著者の思いに触れ、さらに感動が深まりました。

    0
    2026年07月05日

    Posted by ブクログ

    読書開始日:2021年10月5日
    読書終了日:2021年10月7日
    所感
    読みやすく、かつ面白く、好きな作品。
    大学生活とその後の生活で大きく2つに分かれる。
    学生運動や中国の政治について無知な自分にとって、勉強になることばかりであった。
    学生時代を思い返すと、「血より濃いもので、まるで火を噴く油」のような想いが湧き上がる経験はなんどかしたことがある。
    危うい野生の感情。
    そこに大義が交わることで、自分の思想を過信し大きな事件を引き起こした。
    自分も熱中したことが収まる範疇だっただけで、主人公と同じ大義をもったらおなじ行動をしていたかもしれない。
    主人公が日本に移ってからも面白い。
    主人公も、主人公のまわりにもずっとつきまとうのはいつだって、国への愛か、手に届く範囲への愛か、その是非。
    このバランスをうまく取れる人はおよそいないと思う。
    ラストシーンに、主人公のこれまでことへの折り合いがこれでもかと詰め込まれている。
    かなり好きな作品。
    たまの表現がかなりかっこいい。
    好きな文をひとつ。
    この拝観社会に生きる人間には理解できない狼の孤独


    根拠地
    苦労によって刻まれた目尻の皺一本一本に、洗い落とせないほど黒ずんで溜まった時の色
    怒髪天を衝く
    有人が増えるとまた新しい世界もひとつ増えていく
    労働改造
    愛やら何やらの、腐敗した資本主義の情調に危うく腐食される
    胸に沸いているのが、血より濃いもので、まるで火を噴く油
    でも好きになる権利くらいあるよ
    目には野生が光った
    秒を数え、狭い窓から漏れる光で時間を憶測してすごす日々である。
    刃物の様な隙間風をつまみに
    苦渋ばかり舐めてきた浩遠は、初めて心の底からほんのりとした甘みを味わうことができた
    梅はなんにも言わずにっこりとかよわそうにわらった
    餃子をお腹にいれたければ、まずその不満を出さないことには爆発してしまう。
    ビザ日本優遇
    革命家は孤独
    お腹いっぱいに食べさせるってことは大変なことだ
    土地を失って支援金や寄付金などで生きる詩人には閃きも、何も生まれない
    この拝観社会に生きる人間には理解できない狼の孤独
    妻と息子も顧みることができない、そんな人が国を愛せるだろうか。
    じゃ、たっくんのふるさとは日本だね
    もう帰りましょうか。

    0
    2021年10月07日

    Posted by ブクログ

    第139回芥川賞受賞作品(2008年)。
    1988年の中国民主化運動に参加した主人公・浩遠と相棒の志強が辿った高揚と挫折と再生の物語。
    学生として参加した民主化運動と結果としての天安門事件。そして、全てが無に帰してもなおこだわり続ける民主化への想いに反して、経済大国化への道へ舵を切った中国。見切りをつけて生活に商売にいそしむ人々が増える中、家族と生活を維持していかなければならなくなった主人公・浩遠の葛藤もここにはじまる。

    表現の技巧には多少のぎこちなさを感じるが、広大な大地と清々しい朝の景色の描写は読者にリアルな自然美を感じさせてくれる。
    主人公たちの転機となった場面にはもう少し膨らみが欲しいところだが、逆に中編ならではの物語進行のテンポの良さがあって、時が経つにつれての主人公・浩遠の言いようのない桎梏がストレートに伝わってくる感覚はなかなか良かった。
    また、「音」の感覚が十二分に取り入れられていて、早朝に湖へ向けての叫びや、宿舎でこっそり聴いたテレサ・テンの歌など、学生ならではの雰囲気を思い出させてくれるような感覚にも魅せられた。それに、効果的に挿入される中国詩などもぐっと心に迫ってくるが、なによりも中盤以降に繰り返されるBGMであり、主人公再生のキーワードでもあった尾崎豊の「I LOVE YOU」は作品全体のテーマ曲としてとても似合っていたのではないか。
    ともすればベタな青春物語になりがちなのを、中国の「あの時代」に生き、そして挫折していった「一般の人」をテーマにしたことで、とっくに現代日本人が忘れ去った(物語中の日本人課長のスタンスでもある)政治の理想と現実生活の狭間でもがき苦しむ有り様を、逆に新鮮な空気感で届けてくれたといえるだろう。

    折しも香港では民主的選挙制度導入を要求した学生デモが続いているが、中国政府の力の発動が繰り返されないよう祈るばかりである。

    0
    2014年10月13日

    Posted by ブクログ

    天安門事件から二十数年が、経過。マスコミに取り上げられた革命家たちは、海外に亡命。しかし、そうではない名もなき革命家、民主化運動に参加した学生たちは、今、どうしているのか・・・。また、彼らが今のロシア、民主化された東欧諸国をどのように見つめているのか・・・。考えさせられる1冊。

    0
    2014年05月15日

    Posted by ブクログ

    一日で読んでしまいました。久しぶりに、心に感じ入るものがある小説でした。作者の気持ちが籠もった渾身の一作です。

    0
    2012年08月02日

    Posted by ブクログ

    中国人の視点による天安門事件。
    若い時しか出来ないことがあるんだなぁ・・・ジーっとそれだけを見つめることが出来る年齢というのは、愛おしい。

    0
    2012年07月24日

    Posted by ブクログ

    スポットライトの当たらない灰色の若者たちの話。大学受験に成功したところから、天安門事件を中心とした失意の出来事の数々。それからそれぞれが自らの人生を歩み、10年を隔て日本で時が滲む朝を迎える。

    0
    2026年03月28日

    Posted by ブクログ

    いつの世も時代に振り回されるのは、名も無き一般人。権力者や著名人は名前が残っても、最大の被害者達は歴史の表舞台に立つことは無い。それでも、一人一人が時代を生きている。

    学食の料理番や飲み屋の店主やタクシー運転手は日々を生きてゆかねばならない。家族を食べさせなければならない。学生達のエネルギーに熱くなる何かを感じ、運動を応援することはあっても運動が下火になれば日々の生活に戻る。

    まだ何者でもない、何者にもなれる可能性を秘める学生達は、学生であること自体をエネルギーの源として運動に参加する。しかし、正しいと思う"何か"や理想的な"何か"は流動的で現実味が無い。掲げる"何か"の主語が大きければ大きいほど、訳が分からなくなる。

    そうした熱を持った学生だった主人公が、家族を持って祖国を離れて生きるようになり、日々食っていけること、家族を食わしていけることが最も大事なことであると気付くことで、浮かされた熱が引いていき、"何か"とは、この今生きる自分と家族が無事に生活を営めるということにおさまり穏やかな幕引き。

    尾崎豊は世代ではないが、読みながらI LOVE YOUを聞いた時、比喩ではなく涙が出た。名作や名曲は時代に関係なく人の心の"何か"を打つ。

    0
    2024年07月17日

    Posted by ブクログ

    日本に亡命、在住し芥川賞を獲得した中国生まれの著者による1989年の天安門事件を背景とした青春物語。地方都市の大学1年で主人公の梁浩遠と親友・謝志強は若手のキラキラ輝く甘凌洲教授の指導のもと、愛国心に燃えて民主化運動に参加した。白英露という積極的な女子学生にも出会う。しかし、民主化の期待は裏切られ、予想外に弾圧され、失意のうちに大学を去る。そして主人公は日本へ。中国に残る家族や友人志強と離れ、甘教授や英露は消息不明に。しかし海外亡命した人たちの行き先が分かるというネットワークの凄さに驚き。亡命先のフランスから日本を訪れる甘教授や英露との再会、そして中国へ向かう飛行機を見送るラストは爽やか!テレサテンや尾崎豊の音楽に衝撃的に出会う浩遠と志強たちは当時の中国の若者たちの姿そのものだと思った。

    0
    2023年06月01日

    Posted by ブクログ

    天安門事件前後のお話。自分も生きていた時代の歴史なので、登場人物や時代背景を自らの若いころと照らし合わせながら読むことができた。作者の母語が日本語ではないということだが、不自然さはなく、情景を思い浮かべることができた。中国の歴史に興味がないと読みにくいかも。

    0
    2022年03月16日

時が滲む朝 の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    文藝春秋
  • 掲載誌・レーベル
    :
    文春文庫
  • タイトル
    :
    時が滲む朝
  • タイトルID
    :
    152237
  • ページ数
    :
    166ページ
  • 電子版発売日
    :
    2012年04月13日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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  • 【閲覧できる環境】
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