トラヴィス・バルドリーのレビュー一覧
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ファンタジーの常識を裏手に取る感じの上質のファンタジーでした。ゲームとかでおなじみのファンタジー世界あるあるの世界観で、きちんと地に足をつけて生活しようとする登場人物に好感度しか感じない。でもぶっちゃけ最初、主人公の性別はよくわからなかったんですけどね。
いかつい傭兵だった彼女が心惹かれて就きたいと思った職業がカフェの店主というのも面白いし、仲間たちもこの種族が?という感じの期待を裏切る感じが面白い。町の黒幕も意外な感じだったし。
個人的にはシナモンロールが魅力的過ぎて… 実際カフェが出来たら行って食べたいなぁなんて思いながら読み終えました。 -
Posted by ブクログ
オーク、サキュバス、ホブゴブリン……といった種族たちが暮らすファンタジー世界が舞台。傭兵稼業から珈琲店の主人への転職を成し遂げる女性オークの物語。原題は"Legends & Lattes"。RPGの原点とされる"Dungeons & Dragons"を意識した命名だろう。
「ファンタジー」といっても色々あって、私は作品によって好きだったり苦手だったりの差が激しく、しかも自分の好き嫌いの傾向がいまいち掴めていないので、この本も楽しめるかどうかは賭けだった。が、表紙が気に入ったので思いきって読んでみた。
賭けの結果は、概ね勝ち? ……と歯切れが悪いのは、三百ページほどのメインストーリー「伝説とカフェラテ」はとても楽しく読めて、最後に収められていた四十ページほどの小編「出会い」は、目が滑って頭に入らなかったから。「出会い」は前日譚で、傭兵時代の話。戦闘シーンが苦手なのかな。この先は「伝説とカフェラテ」の感想。
前半は特に、映画「かもめ食堂」みたいだなと思いながら読んだ。知らない街にやってきて、街の人の知らないもの(珈琲、映画だとおにぎりでした)を売る店を作るという点や、淡々と、できることを確実にやって積み上げていく様を見せてくれる点、ちょっと変わった仲間が続々集まってきて関係が深まっていく点など。そして何よりシナモンロールが美味しそうな点!
ラットキンの天才パン職人が、次々と魅力的な新レシピを開発しては仲間たちを唸らせるのだが、この、未知の食べ物と遭遇して一目(一口?)惚れのシーンが、幸福感に満ちていて毎度羨ましくなってしまう。自分にもそういう経験、あったんじゃないかと思うけど思い出せず。
ただのほのぼのカフェ日記ではなく、困難や試練もありながら大事なことに気づく、といった王道ストーリーもじゅうぶん読み応えあり、大満足だった。
主人公ヴィヴは、私たち人間の感覚でいうといくつくらいなんだろう。はじめのうちは若者、せいぜい三十前後くらいのつもりでいたが、もしかしたら意外と四十くらいかもとも思えてきて、どちらもありだなあと。想像力が試される読書だった。 -
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ネタバレシリーズ2作目だが前日譚なので、主役のヴィヴはまだ若い。前作の頃より考え方や行動が若い、というのがうまいこと表現されていたように思う。
傭兵としての戦闘中に自分の若さゆえの判断ミスから大怪我を負い、不本意にも海辺の街で足止めをくらう。療養中暇を持て余しながら街でいろんな人に出会いつつ、ラットキンのファーン(口ぐせはこんちくしょう!)が経営する本屋を手伝い、腕の良いパン屋のドワーフ女性と仲良くなる。全体的にほのぼののんびり話が進む。ホムンクルスや空間転移魔法のような不思議な本の描写はなかなかおもしろかった。
前作と同様、女性同士の恋愛描写が薄いながらもちょっとある。控えめなのでこういうのが苦手な私も大丈夫だった(?)。欧米というかアメリカの作品にありがちだが、なぜ惹かれたのか、恋に落ちたのかの描写があまりされず、肉体的な魅力しか描かれないのは物足りない。説得力をもっとくれ。恋愛に理由は要らない?ならまぁいいです。
本屋さんをテキパキと改装、改善していくさまは楽しいが、何もないところから店を作り上げていく前作のほうがわくわく感があったかな。
前作でも感じたが、この筆者は戦闘シーンの描写が上手いように思う。キャラクターの動きや状況を想像しやすい。いっぽうで、ファンタジーならではの種族については説明が少ないので、詳しくない人のために容姿をそれとなくでも書いた方がいいんじゃないかなぁなどと思うなどした。 -
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いまは町いちばんの珈琲店を営む
オークのヴィヴが冒険者だった頃の話。
とはいえ剣戟ものではなく
大怪我をしたことで仲間に置いて行かれ
リハビリにはげむ町で騒動に巻き込まれる。
前巻に続き、今回もキャラがいい。
極上のパンを焼くドワーフのメイリー
エルフの医者ハイラークに
任務に忠実な蛇人の門衛イリディア
古い本屋を受け継いだ小鼠人のファーン。
そして今回も、お仕事小説でもあります!
まったく客足のない本屋だけど
ファーンの知識とおすすめ本を選ぶ願力は確か。
ヴィヴは自分に読書という楽しみを
教えてくれた本屋をどうやってたてなおすか?
一方、ヴィヴに怪我を負わせた敵の手下が
この町に紛れ込ませていった「宝」が
思わぬ形で顕現してしまい(骸骨クンだった)
敵から町を守らなければならないはめに。
こちらもハラハラするけど
最後はしっかり大団円で安心して楽しめます。 -
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冒険者だったオークのヴィヴは
とある町で珈琲店を開くため
一から店作りに取りかかる。
改装を手伝ってくれるホブゴブリンのカル。
店員第一号のサキュバス、タンドリ。
美味しいパンを焼く小鼠人のシンブル。
仲間が増えるに従って繁盛しだす店を
狙う勢力が現れて…。
舞台こそファンタジー設定ですが
内容はお仕事小説で楽しかった!
どうやったら開店をPRできるかとか
新しいお菓子の開発とか。
もちろん、異世界ならではの要素もあって
それがヴィヴの持つ
スカルヴァートの石という宝物。
これを持っていることで葛藤するヴィヴが
どういう決断をするのか?
お店はちゃんと続けられるのか!?
仲間になる他のキャラたちも好き。
特に小声でパンに使う最良級の材料を要求する
シンブルが可愛いったらありゃしません♪ -
Posted by ブクログ
決してつまらなかったわけじゃないけど、いろんな種族が出てくる系のハイ・ファンタジーはちょっと苦手なのもあり、期待したほどではなかったかな…。
珈琲と出会って生き方を変える決心をしたというわりに、扱いが雑というか…結局マシンまかせなの?っていう。
手作業でドリップすれば世界観を壊すこともないのに。どうしてもエスプレッソにしたかったのだろうか。
いまいち珈琲への情熱が伝わってこなかったのは残念。
そのかわりシナモンロールやビスコッティはすごく美味しそう。
いい仲間と出会い、彼らやお客様からのアイデアで店をよりよくしていく過程はワクワクした。
ただ恋愛は必要なかったと思う。普通に友情を描いてほしかった。 -
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ネタバレ伝説の傭兵が珈琲屋をはじめるお話・・・と聞いていたんですが、思ってたのと違ったな。現代戦争を生き抜いた渋いおっさんが・・かと思ったらファンタジーだった。凄腕の女オークということですが、文章だけだと女性って結構わからずにずっとピンとこなかった。
まあ周りに助けられほのぼのとした感じが大半なのでのんびりと読めたのはいいですね。ただ、なんだろう?コーヒーのおいしさみたいなものはそんなに雰囲気として伝わってこなかったな・・・なんかほとんど(文章のボリューム割いていたのも)スイーツなものが多くなかったですかね?シナモンロールとかめっちゃ食べたくなったし、そういう感想は散見されますが、コーヒー飲みたくなったは比べると少数なような。 -
Posted by ブクログ
・トラヴィス・バルドリー「伝説とカフェラテ 傭兵、珈琲店を開く」(創元推理文庫)を読んだ。主人公を ヴィヴといふ。これが傭兵で珈 琲店を開くのである。それだけの物語と言へば確かにそれだけである。傭兵と珈琲店が似つか はしくないと思へたのだが、それも読んでいるうちに変はつていく。似つかはしくないといふのには理由がある。普通、かういふ小説の傭兵はヨーロッパ中世あたりがモデルだと思ふのだ が、そんな時代に傭兵が喫茶店を開くのかといふことが一つ、 今一つはヴィヴがオークであるといふこと、つまり、この物語世界は他にノーム、エルフ、ドワーフといつた妖精譚にお決まりの登場人物(?)がゐるのみならず、それ以外にサキュバスとかも出てくる、言はば見事な 妖精譚の世界なのである。しかもオークとは何かと言ふと、分かり易く言へば、「指輪物語」 の敵役であつた。別名ゴブリンである。本作中にゴブリンが出てこないのはオーク=ゴブリン だからであらうが、もしかした らゴブリンでは直ちにその悪役面を見抜かれてしまふからでもあらうか。珈琲店主がゴブリンではイメージが違ふと言はれさうである。そんなわけで私は最後まで楽しく読んだ。基本的に物語は開店準備から開店、そして新装開店となつて終はるだけである。ただし途中で邪魔が入る。傭兵仲間が幸運の石を、珈琲店に繁栄をもたらした石を盗 りに来るのである。ここだけはつまづくが、他につまづきはない。実にスムーズに店は繁盛する。
・読み終はつたところで「訳者 あとがき」を読む。すると1行目から「おなじみの種族がごく 普通に暮らしている世界。女 オークのヴィヴは」(391 頁)とあるではないか。正直なところ驚いた。えつ、ヴィヴは女だつたの? である。この頁 の最後にも「珈琲と本を愛する オークの女性のヴィヴ」(同前)とある。女性のエルフは結 構ゐると思ふのだが、女性の オーク、ゴブリンとなるとどう なのであらう。しかも、訳文の せゐか、私はヴィヴが女性であ ると気づくことはなかつた。ここまでずつと男性だと思つてゐ た。サキュバスのタンドリはいづれ恋人といふ関係になる女性 だと思つてゐた。敢へて言へば、タンドリと同衾する場面 (271頁)も、女同士であるとは思ひもしなかつた。男女でこそ意味があると思つてゐた。 ところがさうではないのであつた。女同士だからこそ同衾できたのであるらしい。作者としてはこのあたりをはつきりさせないでおくことで、私のやうな勘違ひを誘発させたかつたのかも しれない。訳者もその意図を汲んで言葉遣ひを女性的にせずに男性とも思へるやうにしたのかもしれない。傭兵仲間のガリー ナは女性的な話し方(15頁他)である。間違へることはない。これもまたひつかける訳であつたのかもしれない。結局、この物語の主人公ヴィヴが女性であること(を隠してゐること)はオークと関係あるらし い。作者が「意図的に定型をもじっていることに気づくのではないだろうか。」(391 頁)、つまり「指輪物語」の オークがここでは「珈琲と本を愛する」女性となり、それゆゑに珈琲店の店主となつてゐるのである。こんなゴブリン見たことない、正にかういふことである。これなら人間でも良いとい うのは野暮といふものであら う。さういふ妖精世界だからこそ、こんなオークを悪者としない設定も生きるのである。本書には最後に短編「出会い」がついてゐる。これを読んでもヴィ ヴは女性的ではない。しかし最後の、初めてヴィヴが喫茶店に入つた時に言はれた言葉、「ご注文は、ご婦人?」(385 頁)でやつと分かつたのである。いはば、本書は妖精譚の冒 険世界のパロディーといふところであらうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ202408/表紙とあらすじにひかれ購入。ラットキンとかストーンフェイとか種族等の説明なく当たり前のものとして物語が進み、直近文章中での同一人物の描写も「●●(名前)は~」「▲▲(種族名)は~」と混在しているので、ちょっとわかりにくいかもしれない。
中盤あたりで訳者あとがきの一ページ目が見えてしまい、ここで初めて主人公が女性だと知った笑!話す口調や種族(オーク)的に男性キャラだと思いこんでた先入観。
読み返すと、序盤(P24店契約の会話)に「仕事人の女」ってあったけど、意味わかってなかった笑。どうせなら最後(P385)の「ご注文は、ご婦人?」まで伏せてたほうが、インパクトあったのでは。
主人公が男性だと思ってた時も女性だと知ってからも、タンドリとの関係は好みじゃなくて。ラブい描写もいらないし、そこは友情のままがよかったな~。
それと、タイトルは何故「伝説とコーヒー」ではないんだろう?偏見かもだがコーヒーにこだわる人は、カフェラテなどは多少邪道に思ってる節がありそうなんだけど。原題「Legends & Lattes」でLで韻ってこと?
気になったとこもあれど、仲間が増えていくRPG感も楽しめたり、主人公の心境描写にグッときたり、火事のところはこちらもつらくなったり、とにかくフードがおいしそうだし、面白く読めた一冊だった。本当にお店があったら通いたい!