鈴木二郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
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「ごめんなさい、正直言って、わたしが考えているのは、会社が作っている家のPRを、決められた予算のなかでどうやっていくか、てだけで……」
「だいたいのクライアントさんが、そんな感じですよ。」
「みんな忙しくて、みんな何かに追われていて、みんながストレスを抱えている。自分が担当している商品が、人に何をもたらすかなんて、考えて暇はないんだと思います」
(引用:P151)
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そういうことではなくて、もっとシンプルに自分たちの商品を届けたい相手にメッセージをしっかり届ける。仕事は愉快に上機嫌にやった方がいい、という天津の言葉は独立した当時の自分たちにも通じるものがあります。
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Posted by ブクログ
さらさらと読みやすく、楽しめる作品だった。
就職して1年3ヶ月で会社が倒産、デザイナーの職探しをするが、なかなか経っても決まらない主人公の遠山健一。
健一は、小さな広告で出会った変わり者の男 天津功明と、新しくフリーでの仕事を始めるのだが…
指示待ちで仕事をするどこにでもいる平凡な若者の健一が、天津にテスト的な仕事の出来から「優秀なデザイナー」と言われるのが何だか不思議な感じ。
どんどん、健一が成長していくし、力になってくれる仲間が現れるし、軽くてハッピーな物語なんだなと思いつつ、それだけではない良さを感じます。
健一のような若者は、結構リアルだと思うし、会社が倒産しなければ与えられた仕 -
Posted by ブクログ
ネタバレ流れに流されフリーランスのデザイナーになった健一と、彼を雇うではなく、相棒として迎えた天津の物語。
健一は会社員になって守ってもらいたかった。が、それは守ってもらうのではなく、ただ流されて、思考を放棄していただけだったのかもしれない。
自分の仕事がどこに流れ着くのか。そこにどんな思いを乗せて、欲しいと思ってる人にどう届くのか、そこが見えてきた時に、人として仕事への取り組む姿勢が物凄く変貌を遂げた。
責任が〜とか、こうやれって言われたから〜とか、こうしなきゃ〜とか、そんな事に縛られて、苦しかったり、ストレスを感じる人が多い。そんな中で、その仕事のゴールが見えていたら、もっと楽になれる。ただた -
Posted by ブクログ
ネタバレ爽やか系お仕事小説、嫌みなところがなく、小さいものが大きいものを倒すというテンプレ的なストーリーではありますが、天津の「仕事は愉快に、上機嫌に」というポリシーや気負いのないキャラにつられてのめりこんで読んでしまいました。
脇を固める天津の同級生の長谷川もナイスキャラですし、水島の抱える憂鬱も物語のなかではちょっとしたアクセントになっていて、さらには主人公である遠山が勤めていたが倒産してしまった会社の社長の後押しもあってプレゼンの成功へとつづく流れなど、おもしろポイントがそこかしこにちりばめられています。
池井戸潤氏の半沢直樹シリーズのようにドロドロした人間の憎悪を主人公の正義と対比させて読