fudarakuのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
壮大なお話でした。。。
確かに2転3転する最初からは想像もつかない展開で驚かされっぱなしでしたが、前を向いて生きるための勇気をもらえたような気がします(•ᵕᴗᵕ•)
彼女にとってとても大切で、お友達になった絶望に挫けそうになっても諦めずに力強く未来を切り開く少女の物語を最後まで見届けられて良かったなと思います。
父が亡くなって突然父の跡を継ぎ、2代目「竜胆」として仕事をすることになった菖子。そこはとても謎に包まれていて、訳も分からないまま放り込まれるにはあまりにも恐ろしくて目を背けたくなるほど残酷で...しかも、そんな光景を見て楽しむ素振りを見せなければいけないような非人道的な場所で、でもそうしなければ命をとられるかもしれない状況に震えました。。。
それでも失敗を繰り返しながら必死に「竜胆」としての役目を果たそうとする様子とそれに反してどんどん悪くなる人ならざる「おかととき」たちの様子にどういう結末になるのか物語の行方を見守っていましたが、本当にどうにもならない状況になり、竜胆が膝をついた時......
物語は全然別のところから新たな方向へ進み始め、驚きつつもそれまで何度か感じていた違和感、竜胆をどこからか見ている「私」の存在の理由が分かって納得でした。
人間は心が強い人も弱い人も色んな人がいるけれど、生きるだけでなく前を向いて進むためにはそれ以上の力が必要で、その力は誰もが心の中に持っている、挫けそうになった時絶望しそうになった時光になって支えてくれるような何か温かくて大切なもので、それが輝き続ける限り人はきっと再び立ち上がり前を向いて歩き続けることができるのだと信じさせてくれるようなお話でした(❁´ω`❁)
彼女にとっては直視することの難しい悲しい事実も生きるのが苦しい現実も、大切な人が彼女のために残してくれた温かな気持ちと思い出が「竜胆」を通して彼女の気持ちと合わさることで彼女らしく変化して新しい形で生まれ変わり、それが彼女なりの受け入れ方であり1つの答えでもあったんだなと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初の菖子の世界観が好きだと思って読んでいたから、途中で急カーブ入ってびっくりしたけど、最後まで一気にのめり込んだ。物語への誠実さで泣いてしまった。どこまで現実が反映されてどこから物語なのか、誰が話しているのか境界があやふやでもあって、それがまたリンクしていて良かった。
ただ、最初の竜胆の乙女の話だけの、怪奇ホラーみたいな世界観の話単体でも、吸ってみたいと思った。このままその空間にいたかったが、現実に引き戻された。
実際には竜胆のみの世界よりも、ラストの展開の方が手が止まらなかった。物語がどう終わるのか見たかった。自分がフィクションに対してずっと期待している感情がすくわれるようだった。
私にとっても菖子のような、大切な概念がどこかに存在するんだろうなと思う。
-
Posted by ブクログ
一章を読み終えて、めっちゃおもしろい!となって、ちょっとでも空いた時間があれば読み進める感じで、没頭して読めました。
家系図が出てくる小説は初めて読んだかもしれません。確かに家系図がないと、理解できないぐらい入り組んだ話ではありました。
でも、そこがおもしろいところでした。
一族の背負った呪いと祝福。
こういう一族に限った話は意外と今まで出会ったことなかったと思うのですが、実はかなり好きだということが分かりました。新しい発見です。
村の因習モノが好きだから、それが更に一族に局所化したと考えれば、根っこは同じなのかもしれません。
あとがきにも述べられているのですが、テーマの一つとして「ことば」というのがありました。
ネタバレしたくないので詳しくは述べませんが、ことばのもつ力や儚さ曖昧さ、などについて改めて実感させられました。
あと、「名前」についての解釈も納得でした。
世界観も面白かったです。
基本、この現実世界がベースになっているのですが、なんだかちょっとだけ異なる常識があるんですよね。
冒頭から登場するので述べますが、ことばが流れる川が出てきます。その川を流れるのは水ではなく言葉なんです。なんじゃそりゃって感じですが、この小説の世界ではそれが普通みたいで学校でも習うそうです。
他にも現実にはない存在が大小あって、他の作品ではあまり見られないような独特の世界観が成立していて、そこも楽しかったです。
ミステリー要素もふんだんに盛り込まれていたので、読む手が止まりませんでした。
ちなみに、呪いが話の軸になっているので、ジャンルとしてはホラーなんだと思うのですが、怖い要素はあまりないです。
ホラー苦手な方にも読んでもらいたいなぁ。世界観が独特なので、普段ホラーを読まない人でもバッチリはまる人もいると思うんですよね。
いろんな人に読んでもらいたい作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルからはどんなお話か想像がつかず、
どんなお話なのだろうかと読み進めると
怪異ホラーだったので少し驚きました。
すごく病弱な妹と、支える兄。
早死にしていく家族たち。
早死にの理由は一体何なのか。
それを突き止めようとする父。
兄妹を冷遇する祖母。
そして明らかにある兄から妹への感情。
笹生たちの家族だけではない。
息子を生かすために、自らの残りの人生を捧げ真相を探る母親。はたまた自らは奪った者だと自覚して生き、娘だけは間に合うかとしれないと望みをかける母親。
読めば読むほどいろんな人の想いが刺さってくる作品でした。
終わりに辿り着くまで、何人もの人が亡くなってしまったので、ハッピーエンドと捉えるかは人によるのかもしれませんが、私は兄妹がこれからも歳を重ねていくことに安堵しました。
伊咲も生き残れてよかったと思います。
そしてもっと忠生と長牛の馴れ初め(?)が読みたかったです! -
Posted by ブクログ
明治も終わりの頃。病死した父が商っていた家業を継ぐため、東京から金沢にやって来た十七歳の菖子。
父は、「竜胆」という名のもとで、夜の訪れとともにやってくる「おかととき」という怪異をもてなしていたようだ。
二代目竜胆を襲名した菖子は、初めての宴の夜を迎える。おかとときを喜ばせるために行われる、悪夢のような「遊び」の数々。
父は、なぜこのような商売を始めたのか……。
応募総数4,467作品の頂点、第30回電撃小説大賞大賞。それとともに、 ネタバレ厳禁の緘口令が敷かれた最大の問題作との煽り文句がつけられた小説。
表紙だけ見ると時代物系キャラ文芸かライトノベルっぽいのですが、内容はざっくりいうと耽美でありながら残酷な幻想文学。
ネタバレ禁止という事ですし、それに倣ってあまりストーリーについては深く語らないよう作風についてをメインで。
独自の世界設定と、その世界設定をきちんと読者に理解させる描写力が素敵です。特に、悪夢のような遊戯や怪異の描写と、華やかな人物や小物、色彩の描写の差異が激しく、幻惑されたような気分で物語に没頭できます。
とても好きな話なんですが、序盤のおかとときをもてなす宴の描写は痛々しく苦手な方も多そうですので好みは別れそう。
本の世界に浸る事が好きな人には特に沁みるのではと感じられる、「物語」の持つ力を感じられる素敵な一冊でした。 -
Posted by ブクログ
何コレ…世界観とイミフさが強烈!人を残虐に傷つけて異形を接待…怪奇な家業を継いた少女 #竜胆の乙女
■物語のはじまり
時代は明治の終わりころ、亡くなった父の家業を継ぐため17歳の少女が実家に戻ってきた。父から譲り受けた家業とは、夜おとずれる「おかととき」という異形をもてなすという不可思議なものであった。しかもそのおもてなしの内容は、人を残虐に傷つけるというな遊びで…
■きっと読みたくなるレビュー
独特の世界観と訳の分からなさが強烈な本作、これは確かに話題になりそうな作品ですね。全体的に若干の青臭さがありつつも、それがまた魅力。その反面パワーと勢いがありありと感じ取れました。
本作とても幻想的な強みに溢れているんですが、物語が混沌としていて、残酷で耽美な描写に優れているからだと思いました。
〇混沌
兎にも角にも、さっぱりワカンナイ。ずっーーーーーと、はてなマークが頭の上についたまま読み進めることになる。何故そんなことするの? この家業は何なの? 彼らは誰なの? おかとときって何モノなの? 【五五分十二秒】って何?
単に謎をいれてるだけでなく、不思議な世界にしっかりと誘ってくれる書きぶりが見事なんですよね。すっかりとストーリーに夢中になってしまいました。
〇残酷で耽美な描写
残忍な描写の数々、強い者から弱い者への厳しい台詞など、不愉快な気分になりまくりですね。ただこの汚らわしさの引力があるおかげで、花や色など細部にこだわった美しさが引き立たされているんです。そして死の世界、永遠の闇に踏み込んでしまったような恐ろしさもゾワゾワと伝わってきました。
そして登場人物では、なにより主人公がいい!圧倒的に推せる。辛い境遇に置かれた主人公なんですが、それでも歩んでいる姿が目に浮かんでくるんです。ラストは主人公を抱きしめたくなってしまいました。
どこにいるのか分からなくなる不思議な物語、先生の今後の作品に期待しちゃいます。
■ぜっさん推しポイント
さて、最大の問題作と名高いこの小説。ここまで何も語ってきませんでしたが少しだけ。
いつも面白い物語を紡いでくれる作家先生の皆さんには、感謝でいっぱいです。ただその物語も、作家先生のアウトプットだけで完成するものではなく、読者も一緒に完成させるものだと思っています。
単に楽しい読書の時間を提供してくれるだけでなく、知らなかったことの学び、新しい価値観の吸収、経験のないことへの挑戦、苦しみや悲しみからの救いなど、様々なことを読者が感じ取って完成となるのです。そして今まで読んできた本、すべてについて何も感じ取れない本などありませんでした。読書って、なんて素晴らしいんだろう…
物語が終盤に入った頃、ずっとこんなことを思いながら読み進めていました。最後の最後まで読んで、あらためて世の中のすべての作家先生に感謝したいと思ったのです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレうーん、この物語をなんと評していいのか悩む。
十七歳の少女が亡くなった父の代わりに"おかととき"と言う妖を持て成す役割を継ぐのだけど、そのもてなしは残虐かつ危険に満ちていた、という始まりはまさに和風ダークファンタジー。
作中、姿を現さない語り手の私は何者なのか?
竜胆の乙女は窮地をどうやって切り抜けるのか?
様々な想いに満たされ読み進めるのだが、物語半ばで明かされる真相に唖然となった。
まさに世界が逆転する感覚。
これは好きな人は好きそうだけどちょっと人を選びそう。
つまりこの物語は一人の少女の救いの物語であり、物語の力を信じる作者自身の物語でもあるのだ。
電撃小説《大賞》受賞作にして確かにこれは問題作と言えるだろう。