スチュアート・リッチーのレビュー一覧
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あまりのボリュームに斜め読みしてしまったけれど、それでも興味深い内容だった。普段からエビデンスがあるか気をつけるようにはしているつもりだけれど、権威ある科学者が書いた論文や一流の科学誌に査読を経て載っている論文でさえ信用ならないとなると素人にはその学説の正しさは判断できない。一応、判断方法も書かれてはいるけれど実践は難しいかな。
帯にもなっているスタンフォード監獄実験が否定されていることは知っていたけれど、「ファスト&フロー」のプライミング効果やNASAのヒ素生命体が後に訂正されていることを知らなかったし、目新しさや説の面白さだけに飛びついてその後は調べもしていないことは多そうで反省。その他、 -
Posted by ブクログ
傍目から見ると神聖で厳格な科学の世界も、人間の欺瞞に満ちている、ということがあらゆるフェーズで発生していることを示しています。
著者の深い見聞によって、歴史的事実や分析が体系的にまとめられていて、不正やこうやって起こっているんだなと勉強になりましたし理解もできました。
一方で、そうした歴史的背景や事実などを大量に並べて深堀りしているため、とにかく分量が多く、単なる事実と主張だけであれば相当コンパクトになるであろうにも関わらず、なんでこんなに同じ(ような)主張をずっと読み続ければならないのだろう…というのがとにかく大変でした。
本当に事実だけ知りたい、要点だけ知りたい人には全くの不向きで、そも -
Posted by ブクログ
心理学や社会科学では論文の研究結果の再現度はとても低い。
プライミング効果は再現できなかった。
パワーポーズ効果は再現できなかった。
スタンフォード監獄実験は再現できなかった。
社会科学の論文の研究結果は約半分は再現できなかった。
心理学の権威ある学術誌から100件の研究を選んで再現を試みたところ、再現率はわず39%だった。
統計的検定で用いられるp値とは、結果が正しい確率を示すものでも、結果の重要性を示すものではない。「あなたの仮説が正しくない世界で、純粋なノイズがあなたの結果と同じような結果や、それ以上に大きな結果をもたらす可能性はどれくらいか」という問いの答えである。
そのためほ -
Posted by ブクログ
科学者の研究、論文についての歪み。
詐欺やバイアス、誇張などの原因を、わかりやすく説明してくれる。
簡単に言えば、科学者も人の子、間違いもするし、思い込みもあるし、自分だけは、と思うし、お金は欲しいし、認めて欲しいし、負けたくないし、自分の見つけたものは真実だと思ってるし、目的のためには手段を少々歪めたってそれは使命の範囲だと思っちゃうし。
出版する方も結果の出なかった論文なんか載せないし、載せた論文が間違ってるなんて思いたくないし、たくさん引用して欲しいし、お金儲けたいし。
それに加えて、いろんなことを利用したいいろんな勢力もあるわなあ。
それを是正しようとする動きと、著者自身の提 -
Posted by ブクログ
科学において不正が起きる仕組みを解説した本らしい。
日本人がよく知っているのは、理研の「STAP細胞」の件だ。
本書でも取り上げられていたが、この論文発表で不正に至った経緯や理由は述べられていなかった(ガッカリ)。
著者は心理学者で、精神医学・神経科学・科学的心理学という、何を研究しているのか分からない人だった。
日本の研究者は有期雇用が多いので、短い雇用期間内で成果を出さないと職を失うプレッシャーが大きい。
だから、有益な研究をしていることを示す実験結果を成果物として示す必要に迫られる。
本書を読まなくても、私はこれが「科学において不正が起きる仕組み」だと感じている。
本書を読んで、より