ボニー・ガルマスのレビュー一覧
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主人公のエリザベスは、生来の資質と生まれ育った環境のせいか、人間関係を構築するのが苦手でがあるけれど、非常に才能ある化学の研究者。
ところが、1960年代のアメリカでは、女性が主体的に何かをする環境は皆無で、勤務先の研究所でも無能な上司や同僚の下働きくらいしかさせてもらえない。
そんな時に出会った運命の恋人キャルヴァン。
彼は、初めて、そのままのエリザベスを評価してくれた人だった。
キャルヴァンも複雑な育ち方をして、人間関係を構築するのが苦手で、エリザベス同様ほぼ独学で化学をものにした天才なのだけど、エリザベスと違って彼は男性なので、きちんと評価されている。
だから、彼が良かれと思って差し伸べる手は、時々エリザベスの思いと食い違う。
この二人の不器用な愛情表現が、切なくもあり可笑しくもあり。
意地の悪い人も出てくるし、少しだけ出てくる彼らの過去は辛いものだけど、今の幸せがずっと続くといいと思った矢先のキャルヴァンの突然の死。
彼の死と共に職を失うエリザベス。(だからなぜワンセット?)
彼の死後に判明する妊娠。
出産後から始まるワンオペ育児。
一度ドン底まで落ちてから、向かいの家に住むハリエットに子育てを手伝ってもらい、成り行きでテレビの料理番組の講師をすることになる。
しかし、可愛らしい洋服にフリルのついたエプロンをして、簡単で見栄えのいい料理の後はカクテルなんか作って…というテレビ局の要望を一切無視して、彼女は白衣を着て化学的に料理を教えるのだった。
食材にどのような栄養が含まれ、どのようにカットしどのように火を入れると効率的に栄養を吸収できるのか。
「料理は化学です」
エリザベスの信念・主張は全く揺るぎない。
人種や性で人を差別するナンセンス。
神にすがるのではなく、まず己の力で何とかする。しようとする。
諦めない。
1960年代のアメリカの、白人男性優位社会に一人ででも切り込んでいくエリザベス。
その姿に影響され、文化的・社会的に押し付けられた女性性(ジェンダー)を振り捨て、女だからとあきらめていたものに、もう一度チャレンジしようとする女性たちも増え…。
エリザベスが博士になれなかったのは、能力がないからではなくて、指導教官に性的暴力を振るわれた上で博士課程から追い出されたから。
そしてそういう経験をしているのは、エリザベスだけではなかったし、エリザベスの経験も一度ではない。
ああ、うんざりするバカ男社会。
ここまで極端ではないけれど、今の日本でまだこういうこと起こり得るもんなあ。
私が働いていたころどころか、娘が昇進した時、年上の男性部下が、相当意地の悪いことを聞こえよがしに言ったらしいし。
ああ、うんざりするバカ男社会。
そういう人は、この本を読むといい。
勧善懲悪でスッキリするから。
『ブリジット・ジョーンズの日記』よりよほど有効。 -
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『立ち上がれ、女性たち』。そんな力強い鼓舞が聞こえるような小説。
原書のほうは洋書版読書アプリGoodreadsでもよく目にしていたが、なかなか読む機会がなく、訳書で初めて読むことができた。
アメリカやイギリスなどの英語圏で大人気だったのも頷ける、楽しくてほろ苦くて元気をもらえるブラウニーのような一冊。
主人公エリザベス・ゾットには数々の困難、それも悪意ある困難が立ち塞がるが、彼女の言葉と行動が作中の登場人物たちにも読者である私たちにも勇気をくれる。そして彼女に背中を押されて行動を起こした人たちも、私たちに勇気をくれる。
男性の描き方に悪意があるのでは?と思う読者がいるかもしれないが、本作には良識ある男性キャラクターが幾人も登場する。
舞台は1960年代のアメリカだが、日本でも同じような困難に直面して闘ってきた女性たちがいた。そんな人たちが切り開いてきた道を、私はありがたいことに歩いているんだと改めて感謝の念がわいた。
次の世代になにを渡すことができるだろうか、という訳者の言葉に強く同意する。私の世代が直面している困難を、次世代の女の子たちが味わわなくてもいいように露払いしていきたいと思う。 -
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ネタバレ昨日ついったで見かけて内容も知らないのになんかビビってきた本。
今日寄ったら見つけたので買うしかないなと購入。犬好きさんにもオススメのようだ(今帯見た)
chapter.9まで読んだんだけどしんどい。辛くて泣きたくなった。そんな中で見つけた喜びにちょっと持ち直し、でもまたその裏側とで再びしんどくなってる。
だからこそ、2人が共に感じてる〝直感〟までしっかり読み切りたいと思わせてくれる。
chapter.22まで読んだ。まさかあの後あんな事になるなんてと愕然とし、そしてそれからのリジーになんかもう、確かに眩しい憧れを感じ始めて、今で半分くらいなんだけど胸がいっぱいなってきてる。面白い。いやそう言うのは違う気がするな、なんだろ頑張れ負けるなって応援の気持ちがどんどん増えていく
chapter.31まで終わり。
あの瞬間の高揚感!私も一緒に盛大に拍手してた。
女性としてだけじゃなくひとりの人間として生きることがこんなに難しくて辛いということは幸いここまで私にはなかったけれど、それでも小なりとも同じ抑圧や虚しさを感じてきてたのは確かで、そういう救われてこなかった気持ちがこれ読んでいて救われていくというか、解放されていくというか。なんだろ、未来に花束をとかメアリーの総てを見た時の感覚に近いかもしれない。長い長い間、先人が少しずつ切り拓き、断ち切ろうとしてきてくれた呪いと今こそ大手を振ってさよならしたいね……
買ってよかった。読んでよかった。
良かったからこそ、自分のために誰かのために、頑張ってる人が不条理に潰されず報われる世界であって欲しいとまた更に強く思うね……
性別関係なく読んで欲しい本だった。 -
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1960年台のアメリカ カリフォルニアで女性化学者でシングルマザーのエリザベス・ゾットが、料理番組に出演する。彼女の科学的な料理の説明、そしてその時代にそぐわない姿勢が視聴者の心をつかんでいく。
主人公のエリザベス・ゾットは非常に魅力的なキャラクターである。すべての人間がその生まれによる役割にとらわれず、自由に選択し認めれるべきという、1960年代にはまず受け入れられない在り方を押し通す姿勢はカッコいい。これは60年以上たった現在でも成し遂げらえていないので、非常に刺さってくる。
また主人公の周りにいる娘(マッド)、犬(シックス・サーティー)、ご近所さん(ハリエット)なども魅力的である。エリザベスのマッド、シックス・サーティーに対する接し方は対等であるという姿勢もよい。マッドは、幼少ながらディケンズを読み、科学的に考える子供になっているので将来が楽しみである。
料理番組では、料理を化学として説明し、その中で視聴者の悩みにも率直に答えていく。そして番組の最後にはシングルマザーとして、母親としてのアドバイスする。「子供たちテーブルの用意をして下さい、お母さんにちょっとひと息つかせてあげましょう」と。 -
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エリザベス・ゾットの強すぎる信念に惹かれてしまう。
1950年代のアメリカを舞台とする1人の女性化学者の物語。女性差別や偏った社会通念のおかげで多くの女性は社会進出が果たせず、結婚して子どもを産み育てることが望ましいとされる中、信念を持って子どもを育て仕事をし研究を進める。そんな「強い」エリザベス・ゾットの前に立ちはだかる障壁は偏見に満ちていて汚く読んでるだけで心が荒む。一方、少しずつ増えてくる彼女の支援者たちは心が温かくチームエリザベスとなっていく。
たぶんひとりで信念は貫けない。それを支えてくれる人や理解してくれる人がかならず必要だと思う。自分の人生が豊かになるためにはそんな人たちとどれだけたくさん出会えるかにかかっているんじゃないかと思う。 -
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すごく読みごたえのある本だった。ひさしぶりに、やらないといけないことを差し置いて読み続けてしまった。
主人公のエリザベスは、すごく優秀な化学者だが、女性だという理由で理不尽な扱いを受ける。対等に1人の化学者として接してくれるキャルヴィンに出会うが、後に悲しい出来事が起こる…
エリザベスにこれでもかというぐらい、困難が降り注ぐのだが、彼女の自分に正直な真っ直ぐさや、強さ、とても大きな熱量を持って立ち向かい、そして周りを変えていく。
私も、登場人物と同じように、普通に縛られず自分の本当にやりたいことをやるために努力を惜しまない彼女の真っ直ぐな姿勢に勇気をもらえた。
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Apple TV+のドラマ『レッスンinケミストリー』の原作。ドラマは未鑑賞。
1960年代、女性である研究所を不当解雇された科学者の主人公は夕方の料理番組の司会者に抜擢される。料理を科学的に説明する風変わりな料理番組は国民的人気番組になっていく。
今よりも更に分厚いガラスの天井がある時代に、自分の才能を信じ、意思を曲げなかった強い女性科学者の話。
設定・キャラ・ストーリー・テーマ、全てがピカイチ。今年読んだ本の中で一番好きかも。ドラマも絶対面白いと思う。
ラストがうまくいき過ぎてちょっと引っかかったけど、現実では起こり得なかった女性へ救済と考えたらアリ。 -
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性別に関する偏見とか差別に屈しない女性のお話。というか、恋人に出会う前も、恋人に死なれてからも、シングルマザーになってからも、偏見・差別・無意味な「常識」や規範・ときには宗教などに屈しそうになるけど、一人娘や飼い犬や周囲の支えを得て悲しみを乗り越えて前向きに生き抜く女性のお話。真面目に向き合うべきテーマではあるけど、アメリカンジョークたっぷりでテンポよく、ある意味痛快なストーリーで、楽しく読みました。
私は男性ですが、性差別に限らず無意味な偏見や悪習とかにとらわれずに自分がやりたいことに真剣に取り組む人生を送ろうよ、というメッセージに多いに勇気を貰える。自分の人生を「常識」とかのせいにして曲げたりせず自分の責任で生きることって、潔くて謙虚で尊敬すべき生き方だよな、と思った。
また、性差別についても考えさせられる。私はセクハラ(おふざけ程度のつもり)をしてしまったこともあるし、親父の時代の男は楽そうで羨ましいなとか思ったりするし、何より自分は男という性の人が持つ既得権益の上にいるなぁと思った。
娘たちが大人になって生きる社会が、不要なディスアドバンテージのためにやりたいことがやれないはめにならないように、他者も含めてみんな公正に活躍できる世の中にしていかないとならない、よくない現状は大人がちゃんと改善していかないとな、と思った。 -
Posted by ブクログ
料理は化学であり、化学は変化である。女性が作る料理は生活であり、作る価値があるもの、注目に値するもの。1960年代のアメリカで、主人公のエリザベスは女性科学者としてさまざまな苦難に立ち向かう。時代と国は違えど、私自身理学部に進学したかったが、諦めて無難な薬学部に進学した背景があり、共感する部分があった。幾つもの時代を経た女性への偏見や不平等は、進学や仕事だけでなく日常の細部にも蔓延っているのだろう。特に研究者という道でエリザベスが不当な扱いを受ける様子は胸が痛くなるとともに複雑な怒りがこみ上げた。だから、物語の後半でエリザベスが料理番組を受け持つこととなり、視聴者である主婦に向けて堂々と真っすぐに語り掛ける場面は不思議な高揚感を覚えた。料理は私たちを形作っている。日々、料理という化学変化を扱う女性は、無力などではなく何かを変えることができる力を持っている。終始、エリザベスは不平等に屈しない強い女性であるが、あなたもその力を持っているのだと諭されたような心地になった。印象深い物語だった。
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購入済み
自分で自分の人生を選ぶ
1960年代のまだ性差別がノルムの時代に自分らしく生きた人の話と私は読みました。
エリザベスが私の心に響いたのは,自分らしくあること,自分に素直に生きたという点です。
自分で自分の人生を選ぶと,闘争が起きます。それは時代によると思います。現在でも,「あなたはそうすべき」という人の自分らしさを削ってくる人たちに従う道もあります。それはある意味闘争しなくていいので楽ではあります。しかしそうすれば自分の人生を他人の考えに渡してしまい,自分の人生は生きられなくなります。
会社がつらくとも3年は我慢すべき,結婚すべき,安定した職業につくべき,などとという「すべき」の多い世界です。そこで,自分とは何か,自分はどう生きるのか,自分の人生を取り戻すにはどうするのか?その部分は時代によらないんだと感じました。私たちの人生は限られています。その中,毎日我慢して生きるのも自分の選択です。そういう人生を選ぶのかどうかです。そして自分で責任を取るように選ぶのか,自分で責任を取らないが自分の人生を嫌な人生にするのか,考えさせられる本でした。面白かったです。