シーナ・アイエンガーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この「選択」について書かれた本が、他の作品と大きく異なるところは、著者の出自だろう。
アメリカのシーク教徒移民の居住地に生まれ、インドの習慣の中で育った彼女が語る「選択」、そして後天的に盲目になった彼女が語る「選択」は、(偏見を露呈したような書き方になってしまうが)自由の国アメリカの文化の中で生まれ育った白人の語る「選択」とは、まったく趣の違うものに感じられる。
いや、僕は別に、何が普通かとか、何が良く何が悪いかという議論をしたいわけでも、もちろんアメリカを否定しているわけでも無い。
ただ、異なる文化を行き来し、異なる文化に生きる人々を愛す彼女だからこそ、そして、見えない世界とかつて見てきた世界を俯瞰し、それらを『言語によって』架橋してきた知性だからこそ、このような作品が書けるのだろうと思うのだ。
作品中に出てきた名言を書き連ねると長くなってしまうので、巻末の解説から養老先生の言葉を抜粋したい。
「目の見えない人は論理に優れていることがある。百聞は一見に如かず、と俗にいうくらいで、目で見るとアッというまに結論が見えてしまう。いわば目は論理を飛び越す。(略)これが著者の最初の本なのに、筋が通ってわかりやすく、よく書けているのは、全盲のせいもあるのかもしれない。」
訳者の仕事も見事で、ほんとうに読みやすく仕上がっていると思う。英語で書かれた論説文を訳したことがある多くの人には、同意してもらえるのではないだろうか。