岡野大嗣のレビュー一覧

  • 時の辞典 365日の短歌

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    note主催の読書感想コンテストでライツ社の推薦図書に指定されていて読みました。感想文はnoteに書いたので、ここでは特に好きな歌を月ごとに選んでみます。

    1月7日
    爪を切る音に安心できるから伸びる時間をまた生きました

    2月8日
    かごの影きれいで自転車をとめる春より春な冬のまひるに

    3月26日
    ながいさよならになるなら春服をハンガーラックに吊るす軽さで

    4月26日
    ちょうどいい気温にふれてごきげんな七分の袖をはみだした腕

    5月5日
    青空とブルーシートにはさまれてサンドイッチのたねだねぼくら

    6月23日
    降ってない中を差してた傘とじてミュージカルなら踊り出すとこ

    7月22日
    体育館

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    2025年10月29日
  • うたたねの地図

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    文章と絵をしみじみと味わえる一冊。

    感想とはちょっとちがうけど、この本を手に取った時に、かなり行き詰まっていて、救われた一冊。

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    2025年09月09日
  • 時の辞典 365日の短歌

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    人気歌人、岡野大嗣さんの今までの歌集から短歌をチョイスしたベストアルバム的な歌集。
    1ページ一首を1年365日に配してあるのが楽しい。
    12ヶ月分、12枚の色の紙を使って、目に賑やか。
    私は、岡野さんのサイン本を持っているのですが、岡野さんのサインは書いていくうちに色が変わるマーブル色の色鉛筆で書かれていて、今回の本も、それを意識したのではないかな。

    岡野さんの短歌は私にとっては(生活のそこここのシーンを切り取ってるにも関わらず)生活感の薄い短歌。
    まるで、透明なビニールでラッピングしてあるかのように、見えてるんだけれど、直接触れないもの。そんなイメージ。←どんなイメージだ。

    それが切なさ

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    2025年02月09日
  • うたたねの地図

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    全然わからない。
    何が書いてあるのか。
    何を詠んでいるのか。
    岡野大嗣さんって、もっとわかりやすい歌を詠まれていた気がするのだけど。
    とても不思議な世界観の本。
    既定の型にはまらない作品集。
    タイトルからして不思議です。
    「うたたねの地図」~百年の夏休み
    散文も、詩でもないし、エッセイでもないし、小説でもない。
    何なんだろう、これは…。

    一番初めに載っていた歌だけはキャッチコピーのようにわかりやすいのですが、あとは全然わかりません。
    一番最初の歌と、わからないけどいいと思ったものをいくつか載せます。



    <夏という季節がかつてありまして終わりをさびしがるものでした>

    <すこし寝たらすっき

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    2024年09月14日
  • うれしい近況

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    #岡野大嗣 #短歌
    生活のちょっとした場面がドラマのワンシーンのように蘇る。平易な言葉で優しい眼差しが伝わる。
    バンド活動もされているから音楽に関する歌は特に好き。外来語カタカナや身近な店名が効果的、一コマ空ける効果も活かされていてじんわり沁みとおる。
    装丁は名久井直子さん、写真は岡野さん自身で閉じこみが幾つかあるのも楽しめる。

    特に気になった歌を抜粋

    うしろから3曲目?のやつよかったね お互いおぼろげを泳ぎつつ

    いま買ったレコードを見る 出てすぐの階段の夕日の踊り場で

    あなたとは次の90年代を巡ってもいいラジカセ掲げて

    注文に声を張れない3人で2回に1回は通らない

    隠しごとを打ち

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    2024年04月20日
  • うれしい近況

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    とてもやわらかい感覚をお持ちの方だと思う。
    ともだちのお師匠さんの本。
    虹色えんぴつの直筆短歌、サイン入りのものを買いました。
    そんなことをされてしまってはたくさん買いたくなってしまう。みんなそれぞれ違う色で違う短歌が書かれている遊び紙。
    短歌の歌集というものはとてもすてきなものなのだな、と一層思った。
    とてもすき。大事にする。

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    2024年02月03日
  • うれしい近況

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    きらりと光る、日常が蘇る、そんな短歌が散りばめられた歌集だった。
    短歌なんて興味はなかったし、少し敬遠していた存在だったように思う。でも、短歌とはこんなにも日常に近いのかと、文字数という制限のある短歌だからこそ、さらに凝縮された「原風景」が込められていると思った。

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    2024年01月26日
  • うれしい近況

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    心の友に教えてもらった岡野大嗣さん。
    以前別の著書で、夜にそれぞれの家から漏れるオレンジ色の光を、いろんな国のはちみつのビンと表現されている歌があって、なぜだかずっと忘れられずにいた。
    今回また同じような表現があって、大事にしていたものにまた出会えたようで嬉しくなった。

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    2024年01月22日
  • うたたねの地図

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    どこでもない街と、誰でもないひと。
    過去も現在も未来も同列につながり、夏というループの中に100年ぶん閉じ込められる。
    そこでは、わたしたちを隔てている身体も、意識も関係なく自由に飛び回り、小学生にも、ポメラニアンにも、猫にもなれるし、「あなた」も思うことができる。

    この本に一人称は、ない。

    不思議な読み心地の本でした。
    短歌と日記のような詩のような散文が交互にやってきて、ときおりイラストが挟まれ、夏のワンシーンをことばとイラストで彩る。

    もしも、「街」が生きていて、ひとびとの記憶を見られるのだとしたら、こんな感じかな、と思った。

    散文は「うたたね」=「歌(の)タネ」にもなっているよう

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    2025年09月26日
  • うたたねの地図

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    散文と短歌が交互に現れ、短歌が生まれるきっかけや流れが感じられるような構成が素敵です。
    広がりゆく情景、深まる想い。短歌集を読むことに慣れていない身には、気負いをするりと解き放してくれるようで、とても助かりました。

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    2025年04月02日
  • 時の辞典 365日の短歌

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    短歌にハマってから本棚に一つ短歌集を

    そう思っていたらこんな素敵な本と出会いました
    こういう365日のシリーズ大好きです
    気が向くままに開いてもいいし、今日を見てもいいし、誕生日でもいい

    今日も素敵な短歌に巡りあいたい

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    2025年02月25日
  • 時の辞典 365日の短歌

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    365日、一日一首形式で編まれた岡野大嗣さんのベスト作品集。今日の日付や誕生日のページを徐ろに読むのも楽しいし、季節を感じられる一冊。五月に収められている短歌が好きなものが多かった。


    たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意

    にんげんがひとり にんげんがふたり 五月の草に眠れるひつじ

    たった今うれしい夢をみていたようれしかったのだけがわかるよ

    写メでしか見てないけれどきみの犬はきみを残して死なないでほしい

    さよならは少しずつした方がいい脱水症に気をつけながら

    四季が死期にきこえて音が昔にみえて今日は誰にも愛されたかった

    倒れないようにケーキを持ち運ぶ

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    2025年02月07日
  • うれしい近況

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    日記を部分的に読ませてもらっているような感覚になれる歌集。他人の近況だけど自分と重なる部分が時折あったりするので短歌は面白い。好きだったのは下記六首。

    誰だろう毛布をかけてくれたのは わからないからしあわせだった

    あなたとはハウ・アー・ユーで始めたい 百年ぶりに会ったとしても

    ひどいこと言ってしまって夢のなかとはいえ言われるよりこたえてる

    人が嫌いで人が好きだな降る雪に手を差し伸べてしまう感じに

    へたに連絡はできない ゲームでもして生き延びてくれていたらな

    Disc1 さみしいことがうれしいに変わりはじめるころ Disc2

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    2025年01月27日
  • うたたねの地図

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    なんとなくフィーリングで手に取って、フィーリングで鑑賞。短歌と、短歌っぽいけどなんか違う不思議なレイアウトの文章と、エッセイと詩の中間みたいな文章。
    読んだ後に確認したら、短歌と、短歌のネタと、散文という扱いだったみたい。

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    2024年10月19日
  • うれしい近況

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    ネタバレ

    ・公演日までが遠くてこの遠さがコンサートってかんじでいいな

    ・あらすじにふれずに話してくれている大切だった絵本のことを

    ・夜だからさびしいなんて嘘じゃない?さびしいだからさびしいじゃない?

    ・裾がいい服を着ていく今日たぶん俯きがちなわたしのために

    ・電車まだ大丈夫です?遠回りになるけどおすすめの帰り道

    ・絵に描いたようなピクニック日和にはほんとうに行ってみるピクニック

    ・ほんとうに?置いてけぼりに思うときそこは先頭かもしれないよ

    ・人間でいえば何歳、ってあれさ 知ったところで、って話じゃない?

    ・人が嫌いで人が好きだな降る雪に手を差し伸べてしまう感じに

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    2024年08月17日
  • うたたねの地図

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    表紙やイラストが夏らしくてとてもかわいい。
    今回は短歌だけでなく、短歌のタネと散文も収録されていて、岡野さんの感性に新しい形で触れられるのがよかった。
    特に短歌のタネは、レイアウトも工夫されていて、見てよしよんでよしでした!

    去年に引き続き、今年の夏も暑すぎるくらいに暑くて殺人的だけれど、短歌にうたわれている夏は、どことなく懐かしくて優しい色合いの夏だなぁと思いながらよんだ。
    夏休みというイベントがもうずっと過去のできごとだからかもしれない。あの夏の記憶をなぞるような短歌が好きになりました。

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    2024年08月10日
  • うたたねの地図

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    感想
    昨日も見たけど何か違う。一昨日もその前も同じだったのに。1日として同じ気持ちの日はない。だから今日の景色も違う。明日はどうなるのかな。

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    2024年08月03日
  • うれしい近況

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    『NHK短歌』の2023年度の選者のお一人でもある岡野大嗣さんの第四歌集です。

    岡野さんの歌集は初読みです。
    音楽のお好きな方でやっていらしたのかもしれないと思いました。

    軽~く詠まれているような感じがしました。
    わざとやっていらっしゃるのかもしれないですけど。
    ちょっと素人っぽい感じがして、プロっぽくないところがいいと思いました。


    <あげるのにもらった気分 巣みたいにラッピングしてもらった陶磁器>

    <春といえば鳴らしていない自転車のベルがほのかに鳴ってくる道>

    <おかわりを最初とおなじにしてみせるおひつごはんのおいしいお店>

    <一生って早いよね、ってどこにでも見られる花をよろこ

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    2023年11月13日
  • うれしい近況

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    かわいい装丁に素敵なタイトル。
    岡野さんの作品は日常を切り取った歌や、音楽に関する歌が多くて、私は特に日常の歌が好き。それからたまにグサっと刺さる短歌もあって、それも好き。
    ふとしたときに思い出して、ふふってひとり微笑みたくなるような、そんな短歌たちだ。

    裾がいい服を着ていく今日たぶん俯きがちなわたしのために(90ページ)

    今回いちばん好きだなぁと思ったのはこの短歌。やらなきゃいけないことだとか、悪い結果がみえているときだとか、落ち込むことはあるけれど、自分にしかわからない、小さな好きや希望をこっそり携えて出かける。そういう時ってあるよなぁ、と思った。
    これからうつむきがちになりそうな日は

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    2023年10月16日
  • うたたねの地図

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    いいなと思った歌

    精肉と鮮魚のあいだ姓と名を
    区切る空白みたいな通路
    →見慣れた違うもの同士を関連づける視点がおもしろい。

    燃え殻を浮かべたままのプラバケツ
    ゆうべの声を水にとかして
    →散文がなくても手持ち花火のことだとわかったと思う。余韻がある。

    大型の天使のような白い犬
    小型のころの面影のまま
    →子犬のころだったら普通で読み流してしまうところ、小型と表現することでズレが生まれている。

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    2025年09月01日