あらすじ
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【歌人・岡野大嗣、10周年記念ベスト作品集!】
365日、その日その季節にぴったりの短歌を並べてみたら、大切な記憶のとびらを開いてくれる「時の辞典」ができました。
短歌とは、五七五七七の三十一音にことばを映して、時を掬(すく)い上げうるもの。
(3月27日)あとがきにかえて、みたいに咲いている桜 そういう気持ちの夜に
あの日、見上げた空を思い出したり。
(5月18日)方言をほころびあっていくふたり五月の川を並び歩いて
出会えた喜びに、目を細めたり。
(9月14日)沿道のコスモスざかりに押し歩く自転車 長く生きてきたよな
現在地を知って、ふと立ち止まったり。
(10月24日)ひさしぶりに食べるとおいしいねと話すあなたはひさしぶりが同じひと
かけがえのなかった瞬間に、気づかされたり。
(12月27日)ファミレスは小さな足湯 近況をどこまでさかのぼって話そうか
いつか見たい景色を、思い浮かべたり。
365日並べた短歌は、わたしたちが生きてきた「時間」そのものでした。
時の流れが止まることはありません。
けれど、忙しい日々の中で、1日1つだけでも短歌を読んでもらうことができたなら。
こぼれ落ちていった記憶を少しでも掬い上げてもらえるかもしれない。
まるで、見つからないことばの在り処を教えてくれる「辞典」のように。
そんなことを思って、この本をつくらせていただきました。
今日の日付でも、誕生日でも、たまたま開いた日でも、お好きなページからお楽しみください。
1年に始まりのカレンダー代わりに、あるいは、大切な人へのプレゼントにもぴったりの本です。
【こだわりの仕様】
・短歌は1日1ページ、1つずつ。初めて短歌の本を読む方にも気軽に読んでいただけるよう、できるだけ文字も大きくしています。
・四六版を少し細くしたサイズはT188mm × Y120mm。かわいくて、持ちやすく、読みやすいサイズです。
・カバーデザインにある鍵のフチは、キラキラのホログラム箔加工です。
・本文用紙は12色の色紙になっています。1ヶ月ごとに色が変わる、季節感ある読書体験をお楽しみください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
note主催の読書感想コンテストでライツ社の推薦図書に指定されていて読みました。感想文はnoteに書いたので、ここでは特に好きな歌を月ごとに選んでみます。
1月7日
爪を切る音に安心できるから伸びる時間をまた生きました
2月8日
かごの影きれいで自転車をとめる春より春な冬のまひるに
3月26日
ながいさよならになるなら春服をハンガーラックに吊るす軽さで
4月26日
ちょうどいい気温にふれてごきげんな七分の袖をはみだした腕
5月5日
青空とブルーシートにはさまれてサンドイッチのたねだねぼくら
6月23日
降ってない中を差してた傘とじてミュージカルなら踊り出すとこ
7月22日
体育館の窓が切り取る青空は外で見るより夏だったこと
8月17日
トラフィックニュースは告げるこの夜を確かに生きる僕らのことを
9月30日
ほとんどは持って歩いた日の帰路にジャケットをハグみたいに羽織る
10月9日
暗い顔してどうしたんアメリカンドッグをたいまつみたいに渡す
11月18日
建物は骨から先に表れて生き返るみたいにできていく
12月25日
倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使
Posted by ブクログ
人気歌人、岡野大嗣さんの今までの歌集から短歌をチョイスしたベストアルバム的な歌集。
1ページ一首を1年365日に配してあるのが楽しい。
12ヶ月分、12枚の色の紙を使って、目に賑やか。
私は、岡野さんのサイン本を持っているのですが、岡野さんのサインは書いていくうちに色が変わるマーブル色の色鉛筆で書かれていて、今回の本も、それを意識したのではないかな。
岡野さんの短歌は私にとっては(生活のそこここのシーンを切り取ってるにも関わらず)生活感の薄い短歌。
まるで、透明なビニールでラッピングしてあるかのように、見えてるんだけれど、直接触れないもの。そんなイメージ。←どんなイメージだ。
それが切なさを増幅させているような気がする。
Posted by ブクログ
短歌にハマってから本棚に一つ短歌集を
そう思っていたらこんな素敵な本と出会いました
こういう365日のシリーズ大好きです
気が向くままに開いてもいいし、今日を見てもいいし、誕生日でもいい
今日も素敵な短歌に巡りあいたい
Posted by ブクログ
365日、一日一首形式で編まれた岡野大嗣さんのベスト作品集。今日の日付や誕生日のページを徐ろに読むのも楽しいし、季節を感じられる一冊。五月に収められている短歌が好きなものが多かった。
たやすみ、は自分のためのおやすみで「たやすく眠れますように」の意
にんげんがひとり にんげんがふたり 五月の草に眠れるひつじ
たった今うれしい夢をみていたようれしかったのだけがわかるよ
写メでしか見てないけれどきみの犬はきみを残して死なないでほしい
さよならは少しずつした方がいい脱水症に気をつけながら
四季が死期にきこえて音が昔にみえて今日は誰にも愛されたかった
倒れないようにケーキを持ち運ぶとき人間はわずかに天使