シルヴィア・プラスのレビュー一覧

  • ベル・ジャー

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    何の前情報もなく
    装丁の美しさに惹かれてすぐ購入した一冊。

    初めてシルヴィア・プラスの文章を読んだけど
    本当に文章が美しくて
    さすが詩人だなと思った。
    エスターのリアルな心の描写が読んでいて
    苦しくなったり、また正直すぎる表現に時に可笑しく感じたりもした。
    共感できる所が本当に多く、1950年代に書かれたものと知った時はびっくりしました。

    また辛くなったら読み返したくなる一冊かなと思った。

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    2025年08月15日
  • ベル・ジャー

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    30歳という若さで夭折したシルヴィア・プラス唯一の長編小説。
    日本で手に入る作品は詩集と、短編集である『メアリ・ヴェントゥーラと第九王国 シルヴィア・プラス短篇集』くらい。
    長編はこの『ベル・ジャー』一冊だけ。訳者後書きにも記されていたが少女版『ライ麦畑でつかまえて』と言われているとか。確かにそれも頷ける作品だった。

    物語は1953年の夏、ローゼンバーグ夫妻の死刑執行のニュースから始まる。
    マッカーシズム旋風吹き荒れるアメリカ。国民は共産主義の影に怯える集団ヒステリー状態で、友人や家族であっても少しでも共産主義の疑いがあるなら密告し、根拠の有無を問わず告発される。
    更に今以上に女性は、女性と

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    2025年02月07日
  • ベル・ジャー

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    読み終わった後、どうしてこんなにもつらいんだろうと考えていたが、それはやはりエスターの孤独や閉塞感が如実に伝わっていたからだと思う。一つ一つの描写がじんわりと自分の中に溶け込んでいく感覚だった。常に目の前がガラスで囲われていて、さらにそれが不快に曇っており、物事がはっきりと見えない。他者の目に晒されることを分かりながらも、一歩踏み出すエスター。またいつか読み直したい。

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    2024年11月28日
  • ベル・ジャー

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    言葉が詩的で綺麗で、特にスキー場の表現がお気に入り。表現があまりにもリアルで、何度か手に力が入らないくらい怖くなる時があった。
    序盤NYの部分は、友達の容姿、お洋服の質感からレストランのテーブルに置かれたネームカード、身に纏っている香水の匂いまで、とても綺麗に描写されていて読んでいて凄く好きだった。
    NYでの熱い湯船についての話も、自分が言語化できなかった感覚が綺麗に言語化されていて、読んでいてsatisfyingだった、嬉しかった。
    figtreeの部分も、she explains so well like 読むのが苦しかったくらい。訳者のあとがきでの言及も良かった。
    白人主義、精神病外国人

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    2024年10月05日
  • ベル・ジャー

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    読んだ後に、わ、この感じなんだっけ、あ、サリンジャーかと思ったら訳者あとがきにライ麦畑の話があって、ああ、ってなった。

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    2024年09月02日
  • ベル・ジャー

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    ネタバレ

    優秀な奨学生エスター・グリーンウッドは雑誌社のインターンに選ばれ、マンハッタンにやってきた。しかし社会の厳しさや不条理に触れ、純潔に見えたボーイフレンドは実はそうではなくてモヤつき、ライティングコースにも選ばれなくて将来の設計図がぐらつき、自殺を図って精神病院に入れられる。後半は精神病患者の目から見た周囲の人々や病院の様子が、『赤い花』とかそういう作品と重なった。優秀な女子学生の挫折と、死にたくても死にきれない気だるさと、将来への不安と絶望感を感じた。
    訳者あとがきに、この作品の舞台である1953年アメリカは、ソ連のスパイとされた民間人が電気椅子で処刑されることがセンセーショナルに報じられた時

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    2025年07月28日
  • ベル・ジャー

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    ネタバレ

    1960年代に書かれ、すでに一度邦訳されているアメリカの小説。昨年(2024年)、この新訳が出版され話題になっていた。
    1950〜60年頃のアメリカ文学には、時代を超えて読まれてきた有名な作品も多いが、個人的には少し苦手意識がある。それは、社会に適応しきれない若者の肥大した自己意識を、どこまでも一人称の自分語りで書き連ねていくようなタイプ。この小説もまさにそんな作品だった。文中(原文)に出てくる「I am, I am, I am...」という象徴的な一節は、この訳書を第一弾とする海外文学シリーズのシリーズ名にもなっている。

    社会の入り口に立って精神のバランスを崩してしまった女子大学生が主人公

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    2025年07月24日
  • ベル・ジャー

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    一節ごと「この感覚はなんだ?」そう思いながら読み進めた。中盤になり何かがぼんやりと輪郭を表してきた。
    普通ってなんだとか、むしろこれが異常と思われることがおかしいのか?、何かに引き込まれていくかのようだった。
    ベルジャーというタイトルも何か調べず読み進めたが、成る程それねと知った。

    読み終えてからこの本の書かれた時代背景を知った。
    理解することは難しい、そんな内容だったけど私まで巻き込まれているかのような不思議な感覚だけがザワザワを残した。

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    2025年06月26日
  • ベル・ジャー

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    明るい未来は、たわわに実ったイチジクの樹から好きなだけその果実を取れるように容易に手に入れられると思っていたエスターは、手に取る前にそれらが落ちていくディストピアの現実社会に気付く。ニューヨークのファッション雑誌でインターンをし、作家になる夢に向かい歩き出したエスターは、1950年代のアメリカの期待される善良で勤勉でいい男と結婚するという「女性」の役割を強制されることに抗い続ける内にベルジャーの中に閉じ込められ精神が壊れ始める。この物語が作者プラスが30歳で自ら命を絶つわずか数週間前、まさに死の淵を彷徨いながら急いで、しかも美しい詩的な表現で執筆し出版された事実を知ると、ベルジャーの中で絶望に

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    2025年02月21日
  • ベル・ジャー

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    1950年代、優秀な主人公エスターは、出版社のインターンに選ばれる。ニューヨークのホテルに滞在し、一緒になった女の子たちと映画を観たり、パーティーに参加したりと華やかな毎日だ。
    彼女は、なんでも選べるし、何にでもなれるはずだったが。
    自分の思い通りにはいかない葛藤と焦りで、精神を病んでゆく…。

    先の見えない不安を抱いて、自己を確立していくのは、どの時代でも難しい。
    エスターの孤独と絶望感が切々と胸に迫る。

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    2025年01月26日
  • ベル・ジャー

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    P361. 〈もしかすると忘れてしまえば、雪のように、なにも感じなくなって覆い隠されてしまうのかもしれない。でも、あれはぜんぶわたしの一部だった。わたしの風景だった〉
     覚えのある痛みの記憶が、読んでいると刺激されてシクリと疼く。歳を取り、少しくらいのことでは傷つかなくなったが、それでも傷は生々しくそこにある。きっと生きている限り癒えることはないだろうとも思う。
    生きることは確かに傷つく事だ。世界と自分との不和に惑い、他者と一つになれない事に気がつき続ける事だ。けど、だからこそどうか生きて、その痛みこそがあなただから、と、祈る。

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    2025年01月02日
  • ベル・ジャー

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    ネタバレ

    書くことで選ばれたのに書けず、恋人へも不信感がつのり友人とも距離を感じ、勉強にもついていけなくなり、という負のスパイラル。お決まりの自殺未遂に精神病院へのコース。読んでいて辛くなるような内面の吐露。この閉塞感がこちらにも伝わってくる。読んでいて嫌な気持ちになるのはそればかりではなく、主人公が他人に対しての容赦ない蔑視が堪らなかった。

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    2024年12月16日
  • ベル・ジャー

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    文章が読みやすく、1行読めばスッと小説の世界に戻っていける気持ちいい本だった。でもやっぱり青春小説の枠は出ていないかな? 大人向けとは言えないかなという印象。でもそれが心地よかった。

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    2024年11月21日
  • ベル・ジャー

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    翻訳者さんもいらした読書会に参加しました。
    皆様ありがとうございました。

    ===
    ファッション誌の小説コンクールで優秀賞を得た女子大生のエスターは、雑誌社のインターンとしてNYに滞在していた。雑誌社の用意した女性専用ホテルには他に11人の女性たちがいて、研修やパーティが行われる。ここで認められればNYで執筆しながら華々しく暮らせるだろう。
    しかしエスターの心は晴れない。
    女性ホテルにいる他の女性は都会育ちで華やかなパーティにも慣れている。エスターは田舎町の出身で父親もいない。デートした男性はいるけれどそれ以上の関係を持つことはない。
    彼女たちに馴染みづらい。なかでも賑やかなドリーンとは一緒に

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    2024年09月27日
  • ベル・ジャー

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    イチジクの木の枝のように拡がるたくさんの未来の可能性が枯れていくのは、自身の努力不足か現実か。

    少しずつ真っ白な死に惹かれていくのは彼女だけではないでしょう。〝性〟は〝生〟かもしれないが、そこにノルウェイの森のような空気はない。

    題名の「ベルジャー」とは釣鐘形の実験用のガラス容器で、真空を作り出す実験に使用するものらしい。彼女の容器はいつかまた何かで満たされることを願う一方、著者がその後、自死を遂げていることが脳裏をよぎる。

    人は何度、自分の手首が脈打っているのを視ることだろう。

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    2024年09月10日
  • ベル・ジャー

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    ネタバレ

    感想
    すべて受け入れると言ってくれた人。包んでくれたはずの人。あの人たちはもういない。だけどせめて感謝だけは忘れずに。前を見て。

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    2024年07月29日
  • ベル・ジャー

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    シルヴィア・プラスの筆力はすごい。読んでいるうちにどんどん引き込まれていく感じ。主人公の悩みや考え、経験していることが自分のそれと重なる部分もあって、読んでいてめちゃくちゃエネルギーを持って行かれた。それだけプラスの筆力はすごかった。

    すごく暗くて閉塞感がある内容なのに、なぜか描写が美しくて瑞々しく感じるところが多かったのも印象的だった。
    一番有名なイチジクの木の一節は、自分の経験そのままで辛かった…

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    2025年06月28日
  • ベル・ジャー

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    地元では成績優秀で自信に満ち、そつなく暮らしていた19歳の女の子が都会に出てみたら自分には何もないということがわかってしまい、そこからどんどんと落ちていく人生と壊れていく心の描写が丁寧に描かれていて苦しい。何かを選び取ろうとすると他の何かを全部失ってしまう気がして迷っているうちに結局全部失ってしまうという感覚はすごくよくわかる。重い内容なのに不思議と文章が瑞々しく、描写が美しいので惹き込まれてしまった。
    映画『17歳のカルテ』に似ているなと感じた。
    17歳のカルテが刺さる人にはすごく刺さると思う

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    2025年06月05日
  • ベル・ジャー

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    主人公であるエスターが自殺未遂に至るまで消耗する過程は割りかし丁寧に描かれていたと思う。優秀な奨学生から病院のボランティアへと、自分のやりたかったことから大きくかけ離れていき、最後まで自分の仕事の価値を認められず絶望していく主人公の心情は、見ていて苦しかった。

    当時のアメリカであれば、上手く良い男を捕まえて結婚すればそれでOKでもあったのだが、それも主人公のプライドが許さない。このように考えられる幸せの可能性(イチジク)をどれも選べずに腐らせてしまうことが、主人公の破滅に繋がっていく。なまじ優秀な人間の悲劇をよく描いている。

    星5でないのは、この本を書いてそれほど経たないうちに、著者がオー

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    2025年04月30日
  • ベル・ジャー

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    ネタバレ

    詩人プラスの最初で最後の長編小説。後半、主人公が感じていた息苦しさや痛みに共感できたとは言えないけど、彼女が死に引き寄せられていく様子は、読んでいて辛くなった。若い頃に読んでいたら、受け取り方がかなり違ったのかもしれない。
    フィクションとノンフィクションの間、、、

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    2025年03月11日