ガブリエル・ブレアのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
望まない妊娠や中絶の議論をするとき、その中に男性がまったく入っていないのはなぜなのか。議論の出発点を再定義する。
個人的にずっと疑問に思っていたことがある。時々トイレやコインロッカーに生まれてすぐの嬰児が遺棄される事件、大抵は亡くなってしまい、殺人死体遺棄事件になるけれども、その時に罪に問われるのはなぜか女性だけだということだ。だって普通は子どもは一人では作れないから、関係者がもう一人いるってことでしょう?その人はなぜ何のお咎めもなく済むのかしら?
望まない妊娠や中絶問題の延長上にあるこの疑問の答えのようなものが見つかるかな、と思って読みました。
著者がこの本を書いた動機は、中絶の禁止は違憲であるとされた判断、いわゆるロー対ウェイド判決が2023年にアメリカ最高裁で見直しとなったことだそうです。やはり長らく男性が議論の中に全く含まれないことを疑問視しており、その原因については家父長制をあげています。なるほど、つまり、徹頭徹尾、男性に有利な社会制度、法制度で組み立てられてきた社会構造の問題で、妊娠や子育てに関するあらゆることが女性に責任を押し付けられている、ということなのです。そしてロー対ウェイド判決見直しでわかるように、その現状は未だ進行中です。この本はアメリカ国内のことについて言及された本ですが、追随する日本もほとんど変わりないように見えます。
こうした不均衡に対して、望まない妊娠や中絶を避け得る立場にいるのは圧倒的に男性であり、議論は男性の射精段階から始めねばならない、と提言しているのが本書の要点でした。細かい部分は異論もあれど、概ね全くその通りで、こうした議論が無いからこそ、日本でもコインロッカーベイビーは母親の責任になってしまうのでしょうね。射精の責任をすっかり無かったことにしてほっかむりしてる男性諸君には耳が痛いかもしれません。でも、この本は、本当はそうした男性諸君が全員読まねばならない性教育の教科書でもあると思いました。巻末の齋藤圭介さんの解説も、本編の隙間を埋める良い内容でした。
こうした議論の出発点に男性も同席することを強く望みます。そして、男性の無責任な射精のせいでどこにも相談できずに悩みに悩んで追い詰められて、駅のトイレなどで一人で出産せざるを得なくて、挙げ句の果てに犯罪に問われる女性がいなくなりますように。 -
Posted by ブクログ
なんというジャンルにすればよいんだ?
友人に勧められて。思っていたより、途中でくすくす笑うような感じで、随所でそれな笑となることも。(なんで女性側がコンドームを用意しないといけないんですか?男性の家に生理用品はあるんですか?とか)
基本的にはアグリーというか、しっかりここまで考えていない男性諸兄に関しては是非読んでいただきたい、と思いつつ、ここに書かれていることに全て同意ということではなかった。自分がピル飲んでいるからもあってか、ノーストレスで避妊をせずに行為をすることもあるので、それがほんの1ミリでも嫌だったらダメだし、それが1ミリでも言いづらいならこの本の通りになるべきだと思うが、ここまで悪悪悪って書かれると、こちら側まで責められているような気持ちになる。オーバーオール面白かったです。 -
Posted by ブクログ
なかなかインパクトのあるタイトル。
読んでみると、フェミニズムの真骨頂の様相。
つまり、女性しかできない妊娠について、男性も責任を負うべきである、という主張。
これだけで脊髄反射で批判する人はいるだろう。
しかし本書の中身は至極真っ当な「批判」と「提言」。
どの提言も簡潔にまとまっており、わかりやすい。
アメリカと日本の違いはあれど、背景は残念ながらほぼ同じだ。
なぜ女性だけが避妊と中絶について大きな責任を負うのか。
そのことに男性は納得できる答えを女性に示したことはない。
普段から女性は痛くて苦しい思いをすることが多い。
月経も妊娠も病気じゃない(だから「いつも通り働け、気合いで何とかなる」って?そんな考えの諸氏には学び直しをお薦めしたい)から、対症療法しかできない。
女は〇〇だからという決めつけや暴言を吐く人々の背景にはビビりがあるのではないか?
知らないもの、わからないものに対する恐怖、地位を脅かされることによる不安など。
性教育とは、雄しべと雌しべが…だけではない。
知っているだろうか?
女性の排卵時期は予測できないし、コンドームを使っても使わなくても快感に大した違いはないこと。
衝撃だったのはアメリカの交通事故死亡者数より、殉職警察官より、妊娠による死亡者数の方が多いということ。
なぜ目を背ける?なぜ見ないようにする?
目の前にいる女性は征服すべき対象でもないし、性技を試すための人形でもない。
現実にいる人間なのだ。
私たちは息子に教えないといけない。
あなたは男として生まれた。
だからこそ、パートナーを慈しみ、共に責任ある生き方をすべきと。
それができる男性だってたくさんいるのだ。
女性も忘れてはならない。
男だからできないんじゃない。
男性もまた敵ではなく、共に助け合って生きることのできる人なのだと。 -
Posted by ブクログ
女性の妊娠から出産に至るまでのリスクについて。性行為について「危機回避する」には男性の方が低リスクで高リターンなのに、社会的にも女性側にそのリスクがより高く背負わされていたり、ケアが蔑ろにされている現状を鋭く批判する。
堕胎の話では、女性に責任があるような論調が繰り広げられがちで男性は不在になりがちである。
前述の通り、より避妊が低コストで容易な男性側の責任について「射精責任」という言葉で迫る。
一個一個はうっすらと理解しているつもりでも、このように対比され整理されると、性行為のリスクについての負荷、リスクヘッジのアンバランスさについて考えさせられる。
書籍にのつくりについては、キャッチーさ、インパクトさが強く出てしまっていて、もう少し「射精責任」という言葉の示すところが発散していってしまう気がするのが少し勿体無いか。 -
Posted by ブクログ
『射精責任』
赤の表紙にデカデカと書かれたゴシック体に、男性はビビリ、女性は我が意を得たり、と、大きく頷くのではないだろうか。
私は、このまるで古来からあるような説得力ある四文字熟語をはじめて見たとき、いろいろ腑に落ちた。
もちろん、この言葉は古来からあるわけではない。
今までは、望まない妊娠の責任は妊娠させられた女性のほうが負ってきた。今までは。
アメリカでは妊娠中絶に反対するプロライフ派と、女性の妊娠中絶に賛成するプロチョイス派が激しい舌戦を繰り広げている。
そこに、そもそも論を持ってきたのがこの本の著者ガブリエル・ブレアである。
‘’そもそも、妊娠の始まりって男性の膣内射精ではないか‘’
だったら、コンドームを正しく着ければ、望まぬ妊娠の先の中絶も大幅に減らせるのではないか。
エビデンスを元に、コンドームをなかなか着けたがらない(家父長制も関係あるそう)男性に『射精責任』を自覚させていく。
彼女いわく「望まない妊娠の責任は100%男性にある」
ガブリエル・ブレアは6人の子を持つ敬虔なモルモン教徒でプロチョイス派なのだそうだ。
説得力のある言葉を男性に向けて口を酸っぱくして繰り返している。
読んでる内に、本書は‘“女性による男性のしつけ本”に思えてきた。
私がもし、本書を読んだ、最近彼女ができたばかりのジェームス・フランクリン君(仮名・14歳)だったらこう言うだろう。←どっから出てきたジェームス
“オッケー、ガビー、ぼくは絶対セックスするときはコンドームつけるよ”
内容もだけれど、本のレイアウトもインパクト大。
翻訳は村井理子さん。
解説は社会学者の齋藤圭介さん。
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Posted by ブクログ
短く纏まっている各章の内容は、非常に基本的で当たり前のことが書かれており、正直なところ「何を今さら」という思いを持ちながら読んでいました。この本を手に取る様な女性の権利問題についてアンテナを高く張っている男性にとっては、尚のことそう思われるのではないかと思います。ただし、日本でそういった問題が全く無いということは決してないと思います。実際、中絶は日々行われていますし、中絶を取り巻く数々の負担は、経済的・精神的・肉体的負担のいずれも女性に偏っていると思います。そういう文脈で、「大事な当たり前のことが書かれているけれど、結局、届くべきところには届かない本なのかな…」と悔しい思いも生まれてきます。
そんな訳で、少々退屈な気持ちで読み進めていましたが、最後の巻末の解説は非常に興味深かったです(個人的に一番面白かったのがココでした)。
中絶を取り巻く状況が、本書が刊行されたアメリカと日本ではかなり違っているのですね。巻末にある解説では、アメリカにおける中絶の歴史と政治との関連について書かれており、本書の行間を補うような内容となっているだけでなく、教養としても非常に興味深い内容でした。
望まぬ妊娠と中絶の問題について考える時、なぜ女性がその責任を一身に受けなければならないのかーー今の世の中の仕組みは未熟で、一番大事なところで男性の存在は透明化されており、日本もアメリカの置かれている状況と同様の問題が残されていると思います。中絶問題の根本的な解消のため、性教育の整備の必要性を改めて強く感じます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ望まない妊娠は全て男性のせい。
これをなぜか女性にも責任を負わせる社会が存在している。
そこに斬り込んでいく本。
読みやすいというか、読者が強い意識を持っていなくても読めるような作りになっていて、イヤイヤ読む男性も読者像として想定しているのかな。
コンドームは女性用避妊具、避妊薬に比べて手に入れるのも使うのも簡単だし、全く知らなかったけど、精管結紮術、いわゆるパイプカットは高い確率で元にも戻せるそうだし、男性側で出来ることの方が簡単。
なのにそこらへんも含めて女性に責任を持たせるのはいけないよね。と頭ではわかっていても、いざ、という時に我慢できないのが男。だから、そのいざ、より前に色々準備しておかないといけないのだ。