ニシダのレビュー一覧
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ネタバレ『国民的未亡人』
世の中にスターと認められる榊恭司の妻となった主人公。彼女は、榊の日頃のスターとしての振る舞いに見合う国民的妻とでもいうべき妻像をずっと描いていた。しかし、榊の死後、彼が本当に彼女に求めていたのは、普通の夫婦としての幸せだったの気づいた。「国民的未亡人」を演じてきた自らの間違いに気付いた時にはもう遅く、空しさを感じた。
『ただ君に幸あらんことを』
まさに毒親と言われるような母親の元で育った兄・晃成と妹・千世。受験や就職の度、家庭内で2人につけられる順位。大学受験を通して母親に虐げられる千世を助けようと踠く晃成の努力は、結局母親の期待を超えなかった。妹を思い、自らの大企業社 -
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母親から受けたトラウマを分かち合う。
それができるのは同じ親の元で育った兄妹だけだ。
そういう、同志みたいな、戦友みたいな関係がリアルだった。
そういう家で育った妹は、兄の被害を見て学習できるから、退避策が講じられる。
だけど、兄は妹よりも早く成長し、家庭以外の社会に触れることができるから、早く逃げることができる。
兄が逃げている間に母のそばにいるのは、いざるを得ないのは、妹だ。
そうやって、兄と妹それぞれにずるさがあって、お互いそれを引け目に感じている。
兄は大人になって、自分の置かれた状況を客観視できるようになり、それと妹を重ね合わせる。自分の経験に基づいて、何かしてやりたいと思う。逃 -
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私の大好きな2人組コンビ【ラランド】の片割れである西田(著者名はニシダ)が執筆した本である。ニシダは今回で2作目の執筆であり、1作目は5作品収録の2作目は2作品が収録されている。
ニシダの作品の特徴は情景描写や人物描写の際に使用する比喩表現が圧巻である。他の人ではあまりみないような表現を使うのである。1作目で非常に感じていたが、本作品でもしっかり炸裂していた。
タイトルにもなっている「ただ君に幸あらんことを」は家庭内順位をテーマとした作品となっている(これはニシダが言っていました)。
会話が多いためページ数に対してそこまで文字量は多くないので、非常に読みやすい作品となっております。
純粋に読書 -
Posted by ブクログ
シンプルに読みやすく、面白かった。千原さんのいうとおり、いい意味で芸人っぽさがなく、語彙力と表現力に富んだ作品だった。お気に入りはテトロドトキシンと濡れ鼠。テトロドトキシンで登場する男性の、どこにでもいる社会で存在価値を見出せないからラフな女性関係に横着してしまう不器用さ。また、濡れ鼠で登場する男性の、年齢が離れているからと言って自分に正直になれない、上下を感じて交際する不器用さが面白いと思った。
批評をするとしたら、まず比喩表現や例えが多すぎること。二重に繰り返されていたりしてくどい印象。あとは場面や場所切り替えにかかる過程が長く細かいのがくどいと感じた。読む人からしたら映像っぽく脳に流れる -
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ネタバレリアルな日常をベースに展開されていく短編集。
他人とフラットに、対等に接すること。
これがリアルに描かれていると感じた。
自分の中に持っている本当の気持ちとか、感情とかに向き合っていく物語だと感じた。
なぜ自分がそんな行動を取っているのか、最後の最後に突き動かしてくる感情を描いていて面白いと思った。
最後の「濡れ鼠」では、自分の中でどこか恋人と上下関係を敷いてしまっていたが、本当の自分の中に持っていた気持ちに気付いたことで、対等な関係になれたという描写がある。
これは自分と重ね合わせられるというか改めて再認識させられるもので、やはり取り繕ったり相手に対してフラットに接せれていない時は最終的 -
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久しぶりに読書の楽しさを感じさせてくれた本。
最近、読書の優先度が下がっていた。そんな時にラランドにハマり出し、ニシダのことを知った。
とにかく読書が好きで知識もある。それが芸の中に活かせていると言う感じで、クズなのに魅力を感じる人だった。更生プログラムも面白かったなぁ。
ニシダが小説を書いていたと知り、たまには読んでみるかと思って手にした。
所謂「純文学」と言われるカテゴリらしく、私がこれまで一切足を踏み入れなかった分野である。そもそも、「何だよ、”純”って。お高く止まりやがって」である。
そうは思いつつも読んでみた訳だが、純文学が何か分からんが、こう言った手の小説も読んでみても面白いな