あらすじ
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【収録作品】
「国民的未亡人」
国民の誰もが知るスター俳優であった夫を亡くした私は、一般人にして有名「未亡人」となった。
夫との美しい思い出とともに逗子で静かな暮らしを送っていたが、三回忌を迎え、TVの追悼特番に出演するため東京へ向かう。
「ただ君に幸あらんことを」
大学受験期に僕が母から受けてきた酷い仕打ちを、今は六歳下の妹が受けている。
一人暮らしの家に妹を避難させ、母との間に入って守ろうとするが、僕自身の傷がうずき出していた。
【電子版特典】
あとがき
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読みながら、常に頭の中には著者の顔が浮かんでいた。
しかし自分が抱いていた著者のネガティブなイメージからは想像できないような、美しくて優しい物語だった。
とくに2話目は、
タイトルのただ君に幸あらんことをの「ただ」の部分がまさしく描かれていると思った。
Posted by ブクログ
大学4年生ということもあり、お兄ちゃんの気持ちも妹の気持ちも十分にわかってずっしりきた。軽音楽部というところも似ていて、他人事じゃないような感じがした。
Posted by ブクログ
2編目「ただ君に幸あらんことを」 読み終えてから色んな感情が押し寄せて泣いてしまった。 まず文章がただの「説明」ではない、非常に文学的な美しさを伴っていて無駄な言葉がひとつも無かった。 主人公は一人だけれど、登場人物全員に人生があることを思わせる描写がされており、安易に誰かを悪者と決めつけさせない、作者の繊細な優しさのようなものを感じた。
Posted by ブクログ
ラランドが好き、ニシダさんの書く文章が好き
1作目の「不器用で」も読んだけど、
より引き込まれてより心理描写が繊細に描かれてて
凄かった…凄まじかった。読んで良かった。
「国民的未亡人」
もう会えない人に想いを馳せる描写がグッとくる。
自分が体験したことかのように切ない気持ちになった。
「ただ君に幸あらんことを」
いわゆる"ヒステリック"で"毒親"じゃん…
と思ってしまった
人生山あり谷ありだし、今の結果だけ見て教育として「成功した」「失敗した」って浅すぎるよお母さん…
長い目で見たらどう変わるかなんて誰も分からないし、その度に態度をコロコロ変えるの?ありえない。って感じだけど実際にいるんだろうな。
そして私も子育てをしていないから、子ども目線でこう考えてしまうけど親から子に対するある種幸せになってほしいっていう祈りのような感じなのかな。
ありがた迷惑ですけど。
読み終わった後、千世にも晃成にも幸あれと思った。
こんなに感情移入できるなんて
ニシダさんの文章をもっとたくさんこれからも読みたいと切実に思いました。
Posted by ブクログ
ニシダが家族小説を書いているというのが、すでにどんでん返し。
綺麗だけど綺麗なだけではない。
温かいけど冷ややかさもある。
愛があって、愛ゆえに家族というものは非常に歪がみやすい。
Posted by ブクログ
自分で自分の意志、選択を決定する。その姿が人々に勇気を与える。それができるようにそっと見守り、時に声掛けをする。それくらいだ、家族にできることは。逆にそうであれば、円満に進むと思うのだが。
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一編目の国民的未亡人はおもしろくなかった
表題作の二編目はすごくおもしろかった。
教育ママ系の毒親から受験生の妹を守りたい話。
しんどくて、リアルだった。
受験生のかんじもリアルで読んでて受験をおもいだした。
母親に意見するとき、泣きたくないのに泣いてしまうのわかるなぁ
Posted by ブクログ
「国民的未亡人」、「ただ君に幸あらんことを」の二篇収録。
どちらもまったく形が異なるが、家族の物語。救いのない悲しいお話。相変わらず感情表現や情景描写が上手く、好き。
Posted by ブクログ
『国民的未亡人』
世の中にスターと認められる榊恭司の妻となった主人公。彼女は、榊の日頃のスターとしての振る舞いに見合う国民的妻とでもいうべき妻像をずっと描いていた。しかし、榊の死後、彼が本当に彼女に求めていたのは、普通の夫婦としての幸せだったの気づいた。「国民的未亡人」を演じてきた自らの間違いに気付いた時にはもう遅く、空しさを感じた。
『ただ君に幸あらんことを』
まさに毒親と言われるような母親の元で育った兄・晃成と妹・千世。受験や就職の度、家庭内で2人につけられる順位。大学受験を通して母親に虐げられる千世を助けようと踠く晃成の努力は、結局母親の期待を超えなかった。妹を思い、自らの大企業社員としての地位を投げ捨て、妹より母に嫌われることで妹を救おうとする晃成。自分の現状より、妹を思って彼女の幸せをひたすらに願う晃成の姿に感動した。
Posted by ブクログ
特に、本のタイトルにもなっている、ただ君に幸あらんことをが面白かった。
こういう母は困るけれど、母が一体何に囚われてこういう考えになってるのか、そんなに偉いのかって思ってしまう。そして、こういう時に助けられる周りの存在が本当に大事だと思った。
最後までお兄ちゃんの行動と勇気に元気が出た。
Posted by ブクログ
ニシダがどのような言葉を綴るのか気になり開読。
芸人としてではなくニシダの人間味が詰まった、真っ向から本を書くことに向き合った良作品。メディアに出てるあのニシダがこういう発想を持っているのだと思うとギャップに驚嘆。
心が痛くもなり辛くもなり、思考がぐるぐると巡り余韻が残る。
余韻…残るなぁ。フィクションであるのは間違いないが、垣間見える言い回し、感情の表現がリアルで時折救えない(良い意味で)
Posted by ブクログ
2作品収録してあります。作者のストーリーのレベルが上がっていく感じもして、後半は惹きつけられました。素敵な形容詞がいっぱいで、物語の描写が個性的でした。
Posted by ブクログ
母親から受けたトラウマを分かち合う。
それができるのは同じ親の元で育った兄妹だけだ。
そういう、同志みたいな、戦友みたいな関係がリアルだった。
そういう家で育った妹は、兄の被害を見て学習できるから、退避策が講じられる。
だけど、兄は妹よりも早く成長し、家庭以外の社会に触れることができるから、早く逃げることができる。
兄が逃げている間に母のそばにいるのは、いざるを得ないのは、妹だ。
そうやって、兄と妹それぞれにずるさがあって、お互いそれを引け目に感じている。
兄は大人になって、自分の置かれた状況を客観視できるようになり、それと妹を重ね合わせる。自分の経験に基づいて、何かしてやりたいと思う。逃げた期間の負債を返すように。
兄が先に大人になる。そのことに妹は救われる。
自分より早く家から逃げることができた兄を責める気持ちを抱えながら。
それでも、兄が大人になって、初めて妹は妹になれて、そうやって兄妹の関係が更新されていく。
兄妹は大人になるほどその上下が際立っていくのかもしれないと思った。
Posted by ブクログ
国民的未亡人
あまり好きじゃなかった。よくわからなかった。
ただ君に幸あらんことを
読んでてしんどくなった。
実際、受験や人生の選択で親にこんなに言われたことはないけど、それでも入り込めたし、言葉ひとつひとつが鋭利だった。会話のスピード感や描写の仕方、量が適切な場面に適切に存在していて、飽きなかった。
Posted by ブクログ
私の大好きな2人組コンビ【ラランド】の片割れである西田(著者名はニシダ)が執筆した本である。ニシダは今回で2作目の執筆であり、1作目は5作品収録の2作目は2作品が収録されている。
ニシダの作品の特徴は情景描写や人物描写の際に使用する比喩表現が圧巻である。他の人ではあまりみないような表現を使うのである。1作目で非常に感じていたが、本作品でもしっかり炸裂していた。
タイトルにもなっている「ただ君に幸あらんことを」は家庭内順位をテーマとした作品となっている(これはニシダが言っていました)。
会話が多いためページ数に対してそこまで文字量は多くないので、非常に読みやすい作品となっております。
純粋に読書が好きな人にもおすすめです。
Posted by ブクログ
2つ目の話が面白かった。主人公の母親へ読みながら、イライラしながらもどこか哀れにも感じるような気もした。主人公の口調が全部ニシダの声で脳内再生される、面白さもあった。タイトルが結びつく感じに、言葉にはうまくできないけれど心の深いところでいいなと思った。
Posted by ブクログ
偏差値の高い学校に行くこと、一流の会社に就職することが子供の幸せではないと思う。だけど偏差値の高い学校に行けばそれだけ質の高い教育は受けられるだろうし、将来の選択肢も広がる。偏差値の高い有名な学校を卒業していれさえすれば、簡単に一流の会社に入れることもある。
母の言動全てが毒親だと今は感じるけど、私が母親になって子供のことを考える時が来たら、感じ方は変わる気がする。
母親から解放された兄妹2人とも幸せに、楽しく過ごして欲しい!
Posted by ブクログ
ラランド・ニシダの2冊目!
前作の短編から、今回中編になったことで読み応えが増してて面白かった!
妹の感情の揺らぎが見えないことが不気味だった…
ほんまにニシダが書いた?って雰囲気だったけど、電子特典のあとがきがしっかりニシダしてて安心した
Posted by ブクログ
初めてニシダの小説を読んだ。
情景や心理描写が細かすぎて、最初は鬱陶しく感じた。ただ、ただ君に幸あらんことをの方では慣れなのか感じなくなり、受験期の母親独特の嫌な気持ちを存分に味わえた。
Posted by ブクログ
前作の方が好み。
あまり話の世界に溶け込めず、、、
未婚だし、人を「愛する」ほど好きになったこともないし、
受験やこれほどの家族間でのいざこざも未経験だし、、、
本を読むことは自分が感じたことない気持ちを味わえることが魅力だらけど、
今作においては「国民的未亡人」も「ただ君に幸あらんことを」も、
自分と離れすぎていたからかもしれない。
読解力が足りなかったのかも。悔しい。
時間をおいて読み直したいなー
ただ、「ただ君に幸あらんことを」は、
いたためれなくて、でサササッと読み終えてしまった笑
Posted by ブクログ
話が前向きなのかそうでないのか、そういう運び方をみると、どうしても、経験の中に何かを終わらせた、区切りをつけた経験と照らし合わせる
そういう意味では、このお話を受け取るのが難しい
ラランドが好きだとなおのこと難しい
2025/2/3
Posted by ブクログ
2025/03/11予約 26
2作品とも辛い読後感。
国民的未亡人
信頼していた人から言われたことで揺れ動く美紘が切ない。自分の見たまま感じたままを信用する強さが欲しい。
ただ君に幸あらんことを
毒親と思われる母親に似ている自分を認識したうえで冷静に対処できる、このお兄ちゃんは賢い人だと思う。体調を崩しながら受験する妹の盾になり最後はやっと自分のしたいことを告げる。この兄妹が幸せだと感じる生き方ができるといいな。
Posted by ブクログ
良い作品だと思うけどnot for meだったかも、、、
2本目、兄もアプローチは違えど母の血が通ってるなと思った。良くも悪くも人の人生に介入してしまう感じが、、、
Posted by ブクログ
聞いてはいたが思ってた以上に純文学(本筋とあまり関係ない風景描写がやけに入り込むこととか)で、その割には読みやすい。
ただ、表題作だったら主人公が妹に肩入れする内面とかのように、登場人物の行動理由についてもう少し深掘りしてくれてもよかったかな、と思いました。そこを曖昧にぼやかすのが純文学っぽさなのかもしれないけど
Posted by ブクログ
短編集2篇
国民的俳優の年若い妻、夫の死後3年経って思い知るその本当の姿を描いた「国民的未亡人」.毒親の母からの親離れ自立を描いた表題作。どちらも揺れ動く心情がよくわかって胸に響いてきた。
Posted by ブクログ
①国民的未亡人
国民的スターである俳優の夫を亡くした妻にフォーカスを当てた話。
夫の年齢は不詳、妻は33歳。歳の差婚を想像させるが、夫についての情報を与えず読者に想像させる構成だった。
不倫疑惑についての明確な答えは無し。
ただ妻がすでに亡き夫に向き合い続けた結果、決してそんな人物ではない、自分の信じた夫を信じるという結末。
夫を取り囲む人たちから、自分の知らなかった夫本来の姿だったり人間性を解いていく。
正直あまり印象的な場面はなかった。
②ただ君に幸あらんことを
本のタイトルにもなっている話。
教育熱心が生きすぎた母と、長男長女の物語。
これは結構面白かった。
「千世の好きなようにやらせてやってくれ」
というフレーズが多かった。
これは本当に大事なことだと思う。
親として、子供に苦労させたくないがゆえに行きすぎた教育になってしまい、結果的には親である自分自身が恥をかきたくないからという、子どもへの本来の愛情を忘れてしまっている結構あるあるなパターン。
強制しすぎると、後から取り返しのつかないことになる。
最後はまさにそういったシーンを描いていたが、ここの、「強制と自由」の塩梅は本当に難しいなと思った。
自由にすること即ち放置ではなく、なぜそれをやりたいと思うのか、自分はどうしたいのか、そういったことを話しながらコミュニケーションを取っていくことで、好きなことをさせる という結果を得られるのじゃないかと思う。
支配下に置いたり、怒りに任せたり感情的になったり、そんなことは逆効果でしかなくて、理論と感情の両面から対話することが大事なのだと思わされた話だった。
Posted by ブクログ
繊細な感情を表現した作品
これがお笑いコンビのニシダの作品と
読み終わってから知った
大俳優の未亡人となって
過去の思い出を語らされるインタビューやテレビ
日常でも完璧な俳優だった夫
他者から浮気を匂わされても
何も見つける事は出来ない
母親の受験や進学に関する圧力に
苦しんだ長男 進学は希望通りにいかず しかし就職は一流企業に決める事ができた
同じ状況の妹の事を知り
母親に束縛されて来た時代にフラッシュバック
妹をフォローしながら自分も束縛から逃れようと行動する
こんな親何処にでもいるよ
でも人口減少の時代にはこの価値感
どう変化するんだろうか