端桜了のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
7巻でマージライン一家を見た時は先にオフィーリアの存在が刻みつけられていた事もあって、「やっぱりオフィーリアの家族だなぁ(笑)」なんて思ったもの。けれど、8巻でロザリーの物語が描かれた事でマージライン一家について「あのロザリーの血脈だ…。確かにロザリーの命を引き継いでいる……」と印象が様変わりしてしまったよ
その意味では燈色が大正時代に戻るのは必要な工程で。そして、あの時代に味わった命の痛みと輝きが有るから七椿へ対抗する為の牙は研がれたと言えるのだろうね
大正時代から弾かれて一気に元の時代に戻るかと思いきや、一旦別の時間に飛ばされますか
これ、七椿打倒の布石を更に打つ時間となりつつ、同時に燈色が取り戻しの付かないフラグを幾つも立てちゃう奴じゃないですか……
オフィーリアを始めとしてスノウにも粉かけて、更にレイディともイイ感じになるのは百合の守護者としてアカン奴じゃないですか……
ただ、スノウについては大切な事をしたのは確かな話で。アルスハリヤに仕組まれた邂逅となったけど、彼女の境遇や黎の今後を思えば必要な邂逅で。この辺を読んだ際、思わず1巻を読み返してしまったけど、「三条燈色は生まれ変わりました」という言葉をどれだけ待ち焦がれた想いで口にしたのだろうと感慨深い気持ちになってしまったよ……
現在に戻ってきたら何だか凄い事態になっていたね…。『月からの杖』とか何よ…いきなり規模感の違う兵器が登場してるじゃん…
逆に言えば何をすれば良いか迷わずに対処できる事態とも言える。それぞれがアイディアを出し合って、それぞれの役割に準じて、己の全身全霊を発揮しようという様は燃えるね
けれど、そんな最中に燈色の心を惑わしかねないのがロザリーの遺志とオフィーリアの意思か
燈色は緋路としてロザリーのもとへ帰ろうとしたのに出来なかった。オフィーリアの恋を応援したかったのに好かれていたのは自分だった
事態が急変しているし猶予も無いから考えに耽る時間もない。だからロザリーの遺志に心揺らいでしてしまう時間はどうにか限られる。というか、7年前のカルイザワで見て知った諸々によって知識としてロザリーは「幸福だったのだ」と理解できてはいる。けれど、ふとよぎる感傷が彼を過去に引き戻そうとする
それに抗おうとすれば、これからの未来を生きるオフィーリアと向き合う事に成り…
まさかオフィーリアの立場がロザリーと映し鏡のようになるとは思わなかったな…
オフィーリアと言えば、これまでコメディリリーフとして活躍し、時には貴族令嬢としての逞しさを見せる事もあったけど、存在そのものがギャグみたいな人物だった
けど、その根底に有ったのは7年前に一度会ったきりの婚約者を待ち続け恋する少女の在り方で
それはまるで短い期間に交わした愛を抱いて生涯を過ごしたロザリーに重なるようなものがあり…
オフィーリアから「何故戻ってきたのか?」と問われた瞬間、燈色はヒロのフリをして嘘を重ねる遣り方も有った筈なんだよね。そうすればオフィーリアはこれまで通り幻想の恋に溺れたままで居られるかも知れない。でも、それはロザリーと交わした「恋を教える」という約束を違えてしまうもの
だからオフィーリアが抱いた恋を本物の、実態のあるものに昇華する為に「オフィーリアは男に恋をしてしまった」という最悪の事実を告げる必要があって
けど、結局はその恋を素敵なものに出来るかどうかはオフィーリア次第というのが辛いところか…
7巻で登場した際には相当な実力者と言及されながら、コメディ劇場に巻き込まれた事でどうにも実力の程が見えなかったシャル。過去が描かれた事で彼女がどのようにマージラインの血脈に基づく力を目覚めたかが判るように成っていたね
レイディが最初からマージラインの血脈に準じていたからそのイメージが強かったけど、むしろシャルはマージラインの使命に納得できなくて逆らっていたタイプだったようで。だから授かった力も無法な使い方をしていた
それが弱者でありながら夢を忘れない大切な友人の存在により正義の心に目覚めるというのは善いストーリーラインですよ。マージラインの中では幼いシャルがロザリーと同じく「命のために命を懸ける」矜持に至る背景と納得できる
それでも、『月からの杖』を立った一人で受け止めて打ち返したのは本当に偉業だと思うな。更に七椿戦にも加わるとか実力が常識外れに到達しているね。本当にシャルって強かったんだ……
シャルが命を証明した。なら、続く燈色達も命を輝かせる為に命を懸ける。総力戦の勢いで七椿派閥と戦う様は最終決戦に相応しいものだね
でも、そんな激戦模様は戦う力を持たないオフィーリアには関係ない。むしろ彼女が戦わなければならないのはロザリーが確信しながら子供達に教えきれなかった緋路との恋物語
偽物の神父に107年前の幸福を教えられても、偽物であろうと本人が幸福を感じたならそれが真理となると諭されても、ロザリー自身の手紙を見ても。オフィーリアはロザリーの恋物語が自身の恋物語と繋がってしまう為においそれと受け容れられない。特に自分の婚約者とロザリーが愛した殿方が同一人物ではないかと気付いてしまっては尚の事
オフィーリアの恋心は迷いに迷って破綻しそう。そんな時にこそ恋を守る守護者が燈色と言えて
彼女の迷いが極限に達した時に再び面前に現れ、彼女の恋路を滅ぼさんとする魔人に相対し。そうして守って貰えていると知れたオフィーリアは自分の手で選び取る必要があって
七椿という強大な存在を前にして、自分の恋を誇る彼女の姿はとても美しいものでしたよ…
てか、その瞬間にマージラインが血脈を懸けて仕掛けた罠が発動するのは最高に気持ちの良い展開でしたね!わざわざハッタリの為にあそこまでやるのか…。でも、そこまでやるのがロザリーの血脈なんだよね……
前巻を読み終わった際に気になっていた要素、これ以上ロザリーを幸せにする道は有るのかという点は今作の内容や作者によってある程度否定というか、「ちゃんと幸福に成れたんですよ」という形で締められたね
勿論、時間跳躍の際にロザリーが叫んでしまったように、無茶を承知で望めば現状以上だって何処かにあるのかもしれない。でも、それは誰かの不幸と結びついてしまって
だとしたら、最後に「誓いますっ!」と叫んだ彼女を不幸だったなんて決め付ける方が不躾なのかも知れないと思えたよ……
ただ、こうなってくると、ロザリーと双子のように似た恋を抱いたオフィーリアをそれこそ燈色の人生を懸けて幸福にしてやらなきゃいけない気もするけど、この百合の守護者はどうするつもりなのかねぇ…… -
購入済み
相変らず百合を成立させようと足掻く部分は質の悪いコメディっぽくて読み飛ばしてしまいますが、ヒロイン達に幸せを掴ませるために死力を尽くす姿は熱く、格好良いです。
ヒロイン達の幸せの為に無私とも言える行動をとるが故に、主人公は逆に百合の破壊者となってしまうのでしょう。
しかし、今回は"マージライン家の女性"に"幸せな恋"を成就させるために"男"として敵と死闘を繰り広げます。
うん、マージライン家の女性は完全に主人公に堕ちたんじゃないかな。
毒舌メイド従者の想いの切っ掛けも明かされましたし、最早主人公は百合の守護者は完全に諦めて王道ハーレム主人公を目指すのが吉でしょう。 -
Posted by ブクログ
これは…随分と勢いのある作品かも。所々に荒っぽさは見えるものの、文体の面白さと登場するヤンデレ娘達の個性が凶暴なまでに主張してくる為に愉快に読み進められる作品と成っているね
主人公の彰はヤンデレを引き寄せ、好かれてしまうタイプのようで。それにしたって開始数ページで全校生徒から愛される優等生・結がヤンデレ行為に勤しむ様子に遭遇してしまうのは最早天運と表現するのも烏滸がましいレベル
てか、彰に正体を目撃されたからって綺麗に切り替えて彼の監禁を目論むのは普通じゃない。……ヤンデレの時点で普通じゃないというのは置いといて、あまりの即断即決思考について行くのは大変
なのに、彰は割とついて行けてるね!というか、折々で結の要求を呑みつつもNGラインは綺麗に躱している。彼はヤンデレを引き寄せるだけでなく、ヤンデレを巧みに利用している様子がその回避力から見て取れるね。ヤンデレ娘達はヤバいけど、彰とてヤバい人間だと見えてくる
けど、そんな彰をしてもヤンデレ娘達は制御しきれないわけだ
結も淑蓮もヤンデレタイプである為に思考がアッチへ振り切ってしまっている。なのに冷静な論理は失っていないのは厄介極まりない。二人共彰への愛情で思考は焼き切れているのに、彰からの愛を確保する為の思考は常にフル回転している。それは油断成らない相手
ただ、彰にとって油断の出来ない結と淑蓮は同時に結と淑蓮の二人にとっても全くの油断を許さない構図と成っているのは面白い。結も淑蓮も彰の愛を独占したがっている。必然的に二人は衝突してしまうわけだ。その冷徹な論理の下に
そうしたヤバい状況なのに、結と淑蓮に加えて更に正体不明のヤンデレが投入される展開はスリリングというかもはやジェットコースターか何か?と問い掛けたくなるね。てか、本作に登場するヤンデレ娘はどの娘も振り切れ度合いが有頂天すぎて凄まじいな……
どの娘も彰への愛情で狂っているのに分析力は正確なまま。だからヤンデレ娘達が交錯する事で始まるのは疑似知能バトル。第二章の衣笠登場から始まる一連の流れは何度も予想を裏切られたよ…
状況的には彰との関係について結と淑蓮がリードしている。ここから由羅が二人を出し抜いて彰を手にする為にはそれなりの仕掛けを打たなければならない。それが偽者のヤンデレとか真っ黒な弁当箱とか、そういった要素からどう発展するかと思いきや…。いやはや、驚かされましたよ……
そして、驚愕と共に明かされていくのは由羅という少女がヤンデレに至る経緯か
結と淑蓮ってこの1巻時点だと舞台装置的な感じで彰を好いているけど、由羅に関しては真っ当に好きになるまでが描かれたね。勿論、彼女が最初は純朴だったかと言うとそうではないのだけど、孤独と自己否定の極地に居た彼女にとって突如眼の前に降臨した彰はそれこそ救世主のようなものだったろうし、彼に対して過大な感情を向けてしまうのもやむを得ないといった印象
興味深いのは由羅は彰と邂逅した事により孤独から抜け出せた筈なのに、自己否定はそのままだった事や彰への依存が深まった事により、自分の心をより追い詰める方へ向かってしまった点か
由羅の代わりに表に出てきた真理亜なる存在、そして彰への失恋が彼女を追い詰めてしまった訳だ。幼い頃の彼女が欲していたものは既に手に入っていたというのにね
衣笠由羅は大事なものが何かを忘れている。なら、忘れている事を思い出させてやる存在が必要。マリアはそこを上手く埋めてやれる存在と成ったね。てか、包丁を向けられても微笑める友人なんて他に居ないよ…
その点は彰も同様だね。彼は一度由良を見捨てはした。けれど、たった千円の借りを返す為だけに彼は戻ってきた。そして由羅が最も忘れていた、というより目を背けていた大切な事実を思い出せた。このような人物も他に居ないと判るもの
逆に言えば、そのような存在が近くに居てくれる由羅はもう幸せ者だと表現しても過言ではない。だからこそ真理亜は己の消滅を選べたのだろうし
まあ、それにより極大級のヤンデレが彰を好きで居続ける状況も肯定されてしまった訳だけども(笑)
4章と5章は一騒動終わった後の日常回っぽさがありながら、今の彰にとって由羅が齎した騒動よりもこちらの方が命の危機を感じさせるものだね。ラブコメモノにおいてデートのダブルやトリプルブッキングは時折見かけるものだけど、流石にヤンデレ娘に対してそれをしてしまうのは本当に命取りだと思うんだ
ただ、今回の場合はそこに至るまでの工程に幾つもの死亡フラグが転がっていた事を思えば、仕方なかったと言えるのかもしれないけど
こうなってくると彰はヒモの未来を選ぶ前に、どうやって死ぬかを選ぶしかなくなる気がするんだけど、彼の人生は果たしてどうなるのだろうねぇ -
Posted by ブクログ
第4巻にてフェアレディの異界に囚われた時もクリスとほぼ二人きりでクリスだけがヒロインみたいな構図が展開されたけど、あの時だって一巻丸々がそうした構図というわけではなかった
でも、こちらは冒頭から大正時代に突入している為にロザリーがメインヒロイン且つオンリーヒロインな構図が徹底されているね
ただし、終わり方が悲恋で在る点がこれまで登場したヒロイン達と一線を画す要素ともなっているんだけど
これまでも魔神退治は容易ならざる難行だったが燈色は無理を通すようにして魔神を踏み潰してきた
けれど今回は色々と事情が異なるね。まず肉体が燈色のものではないし、アルスハリヤの援護も望めない。戦闘面で頼りになる仲間もいないし、手に馴染んだ武器もない
まあ、その程度の壁があるからと止まらないのが燈色なんだけどね
というか、今回の話で第一の驚きとなったのは彼の戦う理由か。これまでは基本的に百合の雰囲気がある女の子を守る為に燈色は戦ってきた。むしろそれ以外の理由で戦う事など珍しいと言うほど。だというのに今回は話した事もなく既に死んでしまっている男の為に命を懸けるとは思わなんだ
書き下ろし短編にて燈色と緋路が親友のように意気投合していく描写があるけれど、この百合世界にて燈色が仲良くなった男性って本当に彼一人じゃないっけ。そう考えると、本編では会話も出来ずに終わった関係だけど、そんなの関係ないと言える程に燈色は緋路に共感できたし、彼の味方をしたいと思えたのだろうなと感じられたよ
そんな緋路が守りたかったロザリーは矢鱈自己主張が強い点が子孫のオフィーリアを思い起こさせるけど、それ以外の様々が異なるね
まず魔力欠乏症により死にかけているという点が異なるなら、その短い命を燃やして他者の為に難事を成そうとしている点はより大きく異なる。「命のために命を懸けましょう」という彼女の信念を表した台詞は、無力な彼女が命という掛け替えのないものを燃やして命を輝かせ多くの命を救おうとしているのだと判る
そのような在り方はきっと燈色が緋路の事を知らなかったとしても、魅せられていただろうと容易に想像できるもの
それだけに彼女が「恋」を望んだ事は意表を突かれるような想いがしたな
宥和派としての活動は他者のため。他方で恋は己のため。いずれ死んでしまう自分を好きにならないけど親切にしてくれる相手として燈色を選んだ点からは彼女なりにこの人になら無理を言っても良いという少しの我が儘が見える
きっとロザリーとしては燈色を通して表面的な恋の一部でも知れれば御の字だった筈。でも、ここで恋愛的な意味でなく本気になった上で「俺のために生きろ」とか「俺だけを見てろ」と言えてしまう燈色はロザリーに対して中途半端なんて許さないんだよなぁ
だからロザリーも知る為という浅い動機によるものではなく、本能的な恋へと本気に成っていけたのだろうね
やっぱり燈色はどんな状況でもどんな時代でも女性を虜にしてしまうんだなぁ(笑)
そのような情景と成っていったからこそ、疑似結婚式の中で燈色が本気よりも本気な誓いを心の中で立てていた点には目を見張るものがある
燈色は百合の守護者として百合が咲き誇りそうな相手を好きになる己を許さない。ロザリーにそうした相手は居ないけれど、過去の人物である以上は添い遂げるなんて出来やしない。そうした覆しようのない運命の下にいても、『ヒイロ』の名で真正の愛を誓うなんてね
燈色って時折背負うには重たすぎる枷を自ら背負ってしまうけれど、今回のは特大だった気がするよ……
ロザリーへの恋愛指導は終わりを迎えた。ならば後は彼女の命を永らえさせる為に世に蔓延る魔神を討ち倒すだけ
その過程の激闘は本当に凄まじいものだったね。そもそもあの時代において超常的な戦闘を行える者が少ないのに魔神は超常的な力を使用する。彼我の戦力は覆せない。けれど、その程度の理由で戦いは止められないのだという点は燈色が戦場での檄文において充分に示してみせたね
誰も彼も守りたいものが有る。その為であれば己の命を懸けられる。ロザリーが示した生き様が戦場の全てへと乗り移ったかのようだったよ…
多くの犠牲が出た。それでも守れたものは有った。特にルミナティが生存した事は大きい
それだけに緋路としても燈色としても生き残れなかった点は哀しいな…。ロザリーを好いた緋路も、ロザリーが好いた燈色も命を燃やし尽くしてしまった
けれど、それでも緋路がロザリーの傍へと帰り着き、ロザリーが彼を受け止められたのはせめてもの幸福だったのではないかと、そう願わずにいられないラストでしたよ……
物語としては悲恋ながらも綺麗に終わった。それだけに気になってしまうのはこの過去での遣り取りがどう現代へと繋がっていくのかという点か
歴史の大筋は変わらなかったようだから七椿討伐は問題なく遂行できそうな気がするのは安心要素か。
他方で緋路という存在が登場した事により、オフィーリアが婚約者の名前を「ヒロ」と呼んだ点に意味深なものを感じてしまう
また、過去世界での遣り取りとはいえ、ロザリーに愛を誓った燈色が今後ヒロイン達とどう接していくのかも少し気になる
あと、こんな事を気にするのは無粋だとは判っているんだけど、流石にロザリーが何かしらの形で現代にやってきて燈色に対して改めて愛を誓うとかそういう展開は無いという認識で良いんだよね…?流石に天寿を全うした人物が未来にやって来るなんて有り得ないよね…
常識では有り得ないと判っているんだけど、あらゆるハッピーエンドを目指そうとする本作って時折とんでもない予想外を放ってくるからなぁ…… -
Posted by ブクログ
三寮戦にて披露されたミュールの素晴らしい奮闘を表彰するかのようなエピローグから始まるこの巻、選挙を行った上で彼女が寮長に選ばれる展開はとても良いものでしたよ。改めて彼女が報われた瞬間だと思えたね
とミュールに関してそのような好印象を持ったのだけど、それ以上に燈色の境遇が凄まじい事に。あの死神・劉がダダ甘お姉ちゃんになるなんて誰が想像できたろうか?前巻までの姿とあまりにギャップが有り過ぎて未だに同一人物と思えないよ…
また劉だけでなく、アイズベルト一家から燈色は大変な好印象を持たれる結果となったね。あのソフィアですら燈色への対応が甘くなっているのはどういう事なのかと。まあ、それだけ無くしかけていた家族の絆を取り戻せた事への恩義が強いのだろうけど
燈色って別に女性が嫌いという訳ではないから状況が整えば相手と添い遂げる事に反発は無いのだろうけど、燈色は百合が芽吹くかもしれない相手とそう簡単にラブコメ展開になるのを良しとしない
だというのにこの巻では遂に逃げ場を封じられるような出来事が
フェアレディの世界で色々してしまったクリスと結婚するというのは彼としてはそこまで可怪しな発想では無いのだけれど、それは周りの者からすれば燈色が特定の誰かに取られると同義。だからこそ急進的な行動に出る必要があったのだろうけど、あの連続キスは凄まじいものだったね。もう燈色に逃げ場など無いと刻みつけているように思えたよ。まあそれでも彼は百合への絶望的な希望を抱き続けるんだけどさ
この巻はお嬢ことオフィーリアの別荘滞在がメインエピソードとなっているね。その意味では本来は箸休め的な話になったって可怪しくないだろうに、オフィーリアを中心として魔人との戦いへと導かれていく流れには驚かされたよ
オフィーリアって前巻こそ活躍の場面が有ったけど、基本的に賑やかし役というかコメディ部分を担当する人物だったからシリアスパートに関わる事はなかった。けれど、彼女が恋い焦がれる相手が判明した事で彼女の物語が一気に動き始めたね
彼女の恋愛相手に関してはまあ普通にそうだろうなという予想は有ったものの、女装した燈色を見て「ヒロ様」と呼び慕う展開はちょっと予想外。これ、オフィーリア的に自分が男性に恋をする筈がないという思い込みによる誤認?だったら、これから「ヒロ様」の正体が燈色であると知って彼に恋する展開へと繋がるのか、それとも燈色は彼女の幻想的な恋心を守れるのか?はたしてどちらだろうね
また、この巻では新章開幕という事もあってか、濃い一面を持つキャラが何人も登場したね
特に揃ってコメディ劇場からやって来たのかと言いたくなるマージライン一家は強烈
自分を格好良く見せる為に登場シーンを派手に盛り上げるキャラクターは時折居るけれど、自室に招き入れた時にそれをやっていたレイディは人間性がぶっ飛んでいると一目で判るというもの
その妹のシャルは属性や性格だけなら普通に強者枠として分類されるべきなのに、行動の端々から香るポンコツ感が全てを台無しにしているね
その上で極めつけとなった彼女らの父(女性)は最早どういう人物かすら理解できなかったよ…。何なの、あの毛むくじゃら……
ただし、そうした強烈な個性を持つ彼女らもこの巻から登場したエイデルガルトの足元にも及ばなかった印象
だって忍者なのに堂々と尾行して、忍者なのに思いっきり秘密を漏らして、頭脳が残念方面に極振りしているとか、これでどうして人間をしていられるの…?と心配したくなるくらいに破天荒。それでいてお色気方面にも強みが有るとか狡いね
既に本シリーズにおいて屈指のギャグキャラの地位を手に入れたのではないかと思える程に彼女の言動には笑わせて貰いましたよ
特にお気に入りのギャグシーンは『服部半蔵+服部半蔵=服部全蔵』だろうか。その発想は無かっただけに見た瞬間に吹き出してしまいましたよ!
7巻がギャグ要素多めに感じられたのはそれこそシリアスパートが少なかったからと言えて。だとしたら、魔人・七椿の登場に拠って大正時代に戻されてからが本編開始と言えるかもしれなくて
これまでに提示された情報を整理すると燈色が過去の世界でやる事に関しておおよそのヒントが出されているけど、その通りであるならば燈色ってば過去世界でロザリー相手にかなり罪深い事してたりするの…?また、百合の花を咲かせようとしてハーレム築いちゃう感じなの……? -
Posted by ブクログ
何となく予想していたけど、やっぱりクリスは記憶を保ったままだったかぁ(笑)
なのに燈色からは記憶が綺麗さっぱり消えているものだから彼にとっては理解不能、アルスハリヤと読者だけがニヤニヤ出来てしまう状況
というか、お洒落しているだけに留まらず燈色が誘えば『そういう』ホテルに連れ込めそうな感触になっているあたり、恋愛ゲームに例えればもう攻略完了しているくらいの好感度っぽいのが尚更に笑えてくる
これは今後のクリスの反応が何もかも楽しみになってくる変化となったのかも
また、別方面にてヒロイン力を増しているのが緋墨だね
当初こそ敵として登場しながら燈色によって救われた事で人生が一変した彼女。今では言葉の端々から好意が溢れ出ている
それでも、燈色の為に彼女のフリをするなんて提案をしてくるとは思わなかったな。燈色とは距離感を保った付き合いを続けるものかと思っていたけど
今回はスノウの介入によって有耶無耶になったけど、割と危ういくらいに感情ダダ漏れになってるような…
本編は三寮戦を前にした牽制が数多く描かれたね。特に目を引くのは朱の寮も蒼の寮も燈色を狙っている点か
以前なら男である彼に価値を見出す者なんて居なかったろうけど、魔人と戦い生き残った彼は貴重な人材。また、フェアレディという大物を討伐してもスコアが微動だにしないと証明してしまった彼はあの世界において特異点そのもの
だからって三条燈色争奪戦が始まる程とは思わなかったけど。彼の立場、益々ややこしいものになってない……?
ただ、争奪戦そのものは燈色が重視していなかったようにちょっとしたレクリエーション程度の戦いに。本場は彼女が現れてからか
3巻での初登場時は何かしらの過去を抱えた家庭教師という程度の扱いだった劉、いざ戦いの場面が描かれてみれば普通に最強格なのでは?っていうくらい強い…。強者に分類される筈のフーリィが初撃で勝ちを諦めるレベルって相当ですよ
そのような存在に対応できるアステミルって本当に強かったんだと再認識。いや、ちょくちょく彼女の強さについては言及されていたし、見返すと初登場シーンでも「エスコ世界の最強」とまで評されているくらいなんだからそりゃ強い筈なのだけど、最近はコメディリリーフ的な登場が殆どだったからなぁ
純粋に強いアステミルの姿には本当に驚かされたよ
でも、それは視点を変えれば劉は最強のアステミル並に強いとも言えるわけだ
そんな劉が狙うはミュール。これまではお飯事のような黄の寮長を許されているだけだった彼女に死神の姿で訪れた終わりの時間。正真正銘の無能でしかないミュールに抗える筈もない
なのにミュールが未来で輝けると知っているが為に無条件で彼女を信じる燈色は力強いね
そのように無条件でどこまでも信じてくれる燈色が居ればミュールも自分の在り方を変える努力を始められる。騙された形とは言え、アステミルから教えを請うなんてね
殺す気で育てるアステミルの修行に付いて行けるようになれば心持ちも変わり始める。フレア相手に啖呵を切ったシーンには彼女の成長を見てしまったよ
それでもミュールが手にした変化は小手先のようなもの。彼女にとって本物の抑圧である母親が現れれば一溜まりもない
それでも燈色は彼女を信じる姿勢を1ミリも崩さないんだもんなぁ
これまでのミュールにとって自身を成り立たせる価値観・言葉はアイズベルトという家名しか無かった。けれど、どのような状況でもミュールを信じる燈色によって彼女を成り立たせる価値観・言葉はただのミュールでも生じるように成った
此処が底だと思っていた場所よりも低いどん底にまで落ち込んで、ようやく彼女は自分の力を信じて上を向けるようになったわけだ
そこからの変化には本当に驚かされたと云うか何と云うか…
これまで目を向けてこなかった寮生の傾向を知り、かつて放り出した先輩に謝罪し、更には寮内の雰囲気向上まで
母の言葉に縛られ他人に心を開けなかった以前の彼女からは考えられないような変化は心に染み入るものがあるね…
母の呪いから逃れどん底から這い上がり始めた彼女だから、今更別の失望が訪れても大きな問題にならない。なぜなら彼女を信じる者は燈色だけではないのだから
各寮の死神が判明し更にはルール説明もされた事で三寮戦に向けた下準備は全て整った印象。ここからミュールがどれだけ己という存在を証明できるの楽しみだよ
後、同じ陣営と成った事でクリスが燈色にするだろうアタックがどのようなものかちょい楽しみだったり -
Posted by ブクログ
前巻にてロザリーが燈色にとっての永遠の花嫁・特別な1人という認識が強まった状態で読み始めたため、この巻で6人も花嫁が増えるのはまさかまさかという印象でしたよ…。あと、なんかハーレムも築かれているし
燈色って百合カップルを守護したくて、百合カップルが生まれるように全力を賭しているのだけど、同時に女性を守る事にも全力なものだから、少し行動するだけで彼に想いを寄せる者が何人も爆誕するんだもんなぁ。本当に燈色のフラグ建築能力には笑いながら驚かされるものですよ
前巻にて燈色への愛情を認めたオフィーリア。男を恋愛相手なんて捉えていない以前の態度や燈色との関係性を考えるならもう一悶着あるのかな?なんて思っていた
でもいつだって猪突猛進な彼女は留まるところを知らなかったね。燈色と再会してすぐ閨に誘うとは…
また、いつもの面々に加えて更にマージライン家の姉妹達も燈色への好意を隠さなくなったね。てか父親のヨルン的には全員燈色と結婚させるのはアリなんだ…。燈色も指摘してるけど婚姻届3枚セットは本当におかしいと思うよ?
どこもかしこも燈色への恋愛光線に満ちていて彼を満たす百合カップルは見当たらない。だからヒロイン達から逃げるため合宿へ参加するというのは理解できなくもないのだけど、アルスハリヤの助言という時点で燈色はもっと疑おうよ?
燈色を歓迎しない魔法合宿の筈なのに、当然のように燈色に想いを寄せる少女達が集まってくる構図は本当に何なんだ(笑)
そういや、七椿編前のエピソードだったから少し忘れていたけど、燈色って三寮戦で大々的な大活躍をしてたんだっけ。燈色がアルスハリヤの介入により本人の思惑以上に目立つなんてぶっちゃけ通常営業なものだから意識していなかったが、あの活躍って言ってみれば学内における燈色のヒエラルキーを変えるものに成り得るのか
多数の女生徒ですら燈色を見る目が変わっているのだから、前々から彼と接している女生徒の目が変わらないわけもなく
今回は特に委員長・クロエの態度変化が目立っていたね。彼女って、先祖が仕掛けた100年超えのトリックを燈色が活かし因縁あった七椿を討伐してくれた。クロエにとって既に燈色は唯の男子生徒として扱うなんて出来やしない相手と成っていたわけだ
あと黒砂の好感度も上がってるっぽい?ただ、黒砂は感情がどう態度に反映されているかが見え難いから何とも言えないが。彼女までアルスハリヤを天使呼びするとか、この巻の内容を思うと嫌な予感しかしないなぁ(笑)
ヒロイン達と離れての魔法合宿は結局いつも通りのハーレム展開に成るかと思いきや、まさかの燈色を付け狙う勢力の発生ですか
燈色って多くの場合において無警戒に等しい扱いをされていただけに、燈色をピンポイントに狙う陰謀は珍しいような。これも様々な活躍により燈色の知名度が上がった弊害か
てか、本当にピンポイントに燈色を狙った呪法だったね
燈色しか狙わない。なのに燈色が対抗したらダメージを受ける。おまけに魔法合宿そのものが燈色を嵌める為の巨大な罠。そのような状況なら燈色の採れる手段は限られる。というより、燈色以外の活躍が自然と望まれる局面へと変じていく
燈色に並々ならぬ感情を向けるクロエや黒砂との接触が増えるわけだ。おまけに燈色と人生を共にする覚悟を決めている緋墨までこの局面に関わるのだから余計にラブコメ度合いは高まってくるね
…燈色的には姿の見えない敵に狙われてピンチの筈なのに、ラブコメ度合いは高まるってどういう事なんだろうね……
あと、ヒロイン枠というわけではないんだけど、新登場したアシュリィは結構な面白キャラでしたね。二重スパイみたいな事やってるのに保身に躊躇いが無い超ビビりさんとか属性が面白すぎるわ。敵への対抗手段が土下座って何だ(笑)
さておき、燈色への協力体制が構築されたとしても、これまでなら彼に協力しようと思う女子が限られていたから、創られる体制は限定的なサイズ感だった。それだけにアルスハリヤの謀略に拠って生み出されたあの集団は燈色の周辺環境を激変させかねないものと成ったね…
これも学内において燈色の注目度が上がった影響か。百合を目指したい燈色にとっては迷惑千万な話だろうけど、世間からの注目が上がり今後は更に狙われるだろう彼を守護する又は彼の手足と成って働く勢力が形成されたと考えてみれば案外悪くない話なんじゃなかろうか
こうした燈色に味方する勢力や個人が増える展開は言ってみれば、彼が何処まで誰まで護りたいかを定義させるもの
思わせ振りに登場した霧雨は燈色に注目する人間。けど、同時に燈色以外の人間を軽視する。燈色さえ無事なら問題ないと考え、他の者を平然と害しようとする
それは燈色のスタンスと異なると明確化されたのがこの巻か。燈色は前々から少女達が百合を咲かせる可能性があるなら誰であろうと守ろうとしてきた。時には緋墨が心配するくらいに自身を蔑ろにして
これまでは燈色を咎める者の中に燈色の行動を止められるだけの実力者が滅多に居なかった。霧雨はそうした存在に成り得る障害
だからこそ、今回の騒動は燈色の覚悟とスタンスを改めて示すものと成り得るんだよね。彼は自分をターゲットにした呪法が相手だろうと一歩も引かずに戦った、彼を慕う者達が居れば纏めて守ってみせた。それこそが彼のスタンスであり、彼が口にする“百合”という言葉の意味が広がった瞬間であるように思えるよ
そうした強烈なスタンスは彼を知っているつもりの者達にとことん刺さるなら、彼をきちんと知っている者には究極的なまでに刺さるわけで
嫁入り前だからとキスを拒んでいた彼女が燈色にキスをした。その行為に籠められた想いの深さにクロエという少女が遂げた変化が見え、そして燈色の逃げ場がまた一つ減ったなと笑ってしまったのでした -
購入済み
死んだ
死にました。するべきことは死ぬことでした。
過去回想から遺物を託されそれを活用して大勝利。のち死亡。次巻が気になる引きでした。ただ過去回想がイマイチ冗長というか読みにくく感じたのでこの評価です。 -
購入済み
難しい
話自体は結構単純。百合ゲーに転生して、主人公とヒロインをくっつけようと悪役が頑張る話。
まあ案の定ゲーム展開を捻じ曲げ悪役主人公くんがヒロインから惚れられるわけですが。
話のテンポが良く面白いですが、作品独自の魔法?デバイス?などのオリジナル専門用語がまあ多くてちょっとよくわからない部分があります。これは人を選ぶかも。
あと地の文も一人称小説で結構読むのがキッツイと思う瞬間もありました。良い点、悪い点がそっちにある感じの作品です。気になる方はご一読を。 -
Posted by ブクログ
この巻は丸々ぎっしりと三寮戦を詰め込んでいる事も有り、かなり迫力ある内容となっているね
各寮の力関係を比べる一大イベントだからこそ寮長であるミュールの真価が問われている
前巻の中盤頃までは実力どころか人望すら無く、また家の支援すら望めないとなれば彼女に期待する者なんて皆無の筈。けれど燈色やクリスが彼女の頑張りを肯定し後押しする事で少しずつ変わっていく様子には感極まるものを覚えたり
この巻でもその傾向は継続。序盤は尊大な態度に終止して笑われていた彼女が畳に額を擦り付けてお願いし、寮生達がその姿に心震わせて戦意を高めるなんて、あの頃には考えられない光景
ミュールはそれだけ大きくなった
ただ、その程度で覆すなんて難しいのが三寮の実力差
だから燈色もクリスも全力以上の実力を行使しなければならない。特にレールガンに対する燈色とクリスそれぞれの超カウンターには興奮させられたよ
それだけに燈色の無理に限界があると告げられたのはどこか予想できた話では有ったけど
以前から限界があると通告されてきた燈色の払暁叙事の限界の意味合いが全く異なるものであったというのは驚かされたし、それを知っても燈色が行動方針を変えなかった点には納得と衝撃が有ったよ…
誰かの為なら簡単に自分を捨てられる燈色が、あと少しでミュールの願いが叶うという段で自分を甘やかす筈がないんだよね…
そのような燈色に推されているからミュールもきっと諦めずに居られるんだろうね
燈色やクリス、そしてミュールによる奮闘は認められつつも劣勢も認めざるを得ない重苦しい状況だっただけに、黄の寮に味方したお嬢はマジ清涼剤でしたよ……!
てか、お嬢の大言壮語は今に始まった話ではないけど、「たとえ、仲間たちに糾弾されようとも、わたくしはわたくしの正義を貫きますわ」と言い切ったシーンには痺れてしまったね
けれど、実力は無いものだからお笑い草な扱いになるのだろうと思ったら一応役に立っているし、おまけに大逆転に繋がる重要情報まで届けてくれるし
この巻における主役はミュールだけど、MVPはお嬢だったんじゃなかろうか、マジで
正道でやったのでは勝ち目が薄い三寮戦。それでもミュールの価値を示すには真っ向勝負で勝ちに行くのか…?と思っていたら普通に卑怯な手段を燈色だけじゃなくミュールまで使ったのが驚きだったり
勿論、そこに辿り着くまでに血を吐くような思いを経由しているのだけど
どのような方法であろうとアレはミュールが皆の力を借りながら一人で立ち上がる事でしか到れないチャンスであり、そこに到ってしまえば後はミュールが全ての頑張りを背負うしか無いというのはかなりドギツい展開と感じられたよ…
ミュールがそのように自分の限界に押し潰されそうになりつつ自分にも他の寮長にも親の加護にも勝とうというなら、彼女を見守る燈色も限界を超えなければならない
そのような背景が有るからって、まさかここで燈色がフェアレディ世界での記憶を取り戻す段取りになるとは思わなかったが。てっきり、クリスとの睦み合いを知らないままクリスの好意に気圧されていくものかと思っていたが
ただ、ミュールの為に戦うという理由付けが有る事で、そしてクリスが純心から燈色を好いていると理解したからか、クリスに好かれている状況にある程度の吹っ切れを見たのは大きな変化であるように思えたよ
ミュールも燈色も自分の限界を超えなければならない
その代表格が人としての在り方か。ミュールの願いを叶える為に人間である事実をあっさり捨ててしまった点には瞠目せざるを得ない
自分より圧倒的強者の劉に勝つにはその手段しか無かったわけだ
ならば、ミュールとて勝利の為に人である自分にこだわるなんて愚行。自分を貶める弱い自分を捨てて、皆が誇れる寮長に成ろうと絶叫する
あの瞬間のミュールには本当に驚かされた。弱さに甘んじていたあの頃の彼女からは本当に考えられない姿だったから
どのような方法であろうと不可能を可能に変えた彼女の価値には賞賛を送るしか無いね
ただ、この状況って燈色もミュールもボロボロを通り越して生きてるのが不思議なレベルだけど次巻どうなるの……? -
Posted by ブクログ
本作は百合ゲーの世界を舞台にしていたり、燈色も百合を信奉する者として恋愛に積極的ではなかったりするけれど、燈色の周囲は普通に異性愛ハーレム状態でフラグが立っている娘もかなり多い
その意味ではラブコメ作品と言えるのだけど、何分に燈色自身にヒロインと進展したい等の欲求が希薄なせいで、一対一の状態で特定のヒロインと絆を育む描写は多くなかった。それだけにこの巻で行われたクリスとの逢瀬はかなり意外だったかも
フェアレディが作り出した幻想の精神世界から抜け出す為には燈色とクリスは協力しなければならない。それが二人を大きく変えるものとなったね
というか、ハーレムものだからこそ他のヒロインがあまり絡まない形でクリスとの仲が進展する描写が集中的に描かれるなんて予想外だったよ
そもそも前巻の時点では敵対し命を削るような戦いを演じた間柄。最終的にクリスの心変わりはさせられたものの、燈色への印象が良くなったわけでは決してない
また、クリス自身もミュールへの印象が変わったと言っても、これを期に積極的に接し方を変えられる程ではなかった。あの教会に助けに来たシーンだって前の彼女からは想像できない言葉を発しているとはいえ、全ての過去を無かった事にできる程の変化を手にしたわけじゃない。どうしたって妹に辛く当たった時間を経たクリスという人間性から逃げられない
それ故にフェアレディが作り出した外界と隔絶された空間はクリスに大きな影響を与えたようで
本来ならば、あの精神世界に囚われた段階で燈色やクリスを心配する他の人物達の動向が描かれたっておかしくない。けれど他の人物が描かれるとは裏を返せば燈色とクリスだけの空間が中断される意味にも繋がって
だからこそ、他ヒロイン達の様子は書き下ろし短編までお預けされるわけだ。あの場には燈色とクリスしかいない。2人だけの想いの醸成がフェアレディ打倒の鍵となるわけだ
それにしても燈色はフェアレディを倒す為とはいえ、よくもまあクリスと恋仲になろうと思えたものだね
百合が大好きで百合の可能性がある娘に手を出すなんてまるっきり考えられないタイプ。なのにクリスには手を出した。それは回り回ってはクリスとミュール、アステミルとラピスの仲を守る為なんだろうけど
でも、容易に崩せない程のフラグを立てている時点で彼の望みは果たせない気しかしないなぁ(笑)
クリスも燈色もフェアレディを倒す為だけの協定と割り切っていた筈。だというのに1カ月程度の時間が毒牙のようにクリスを蝕んでいたというのは何とも言えない話
前巻で敵対していた時や今回の序盤におけるクリスの態度からして、氷の如く誰にも心の温かみを見せる事の無い人物に見えていた。だからこそ燈色もクリスに対して期間限定の精神世界から逃げられれば終わる恋人関係を提案できた
だというのに1ヵ月経ってクリスに起こったのは愛に縋る少女への変化。愛は彼女を強くするのではなく弱くしてしまった。
孤独に生きてきた彼女がようやく手にした不変の世界での恋人。それはミュールとの仲を辛うじての形でしか修復できなかったからこそ陥ってしまった心の罠
ああまで弱ってしまったクリスを見れば燈色とて揺らいでしまうと思いきや、ここで己を「百合を護る者」として定義し続け精神を喰われなかったのは流石。いや、ちょっとは手を出したっぽいからこっちもこっちで辛うじてという感じなんだろうけど
それでも燈色がクリスに対し信じ続けたのは彼女のヒーロー性か。というよりもミュールが信じたクリスという姉の姿か
クリスにもかつて妹から信じられていた記憶が有る。それを燈色によって刺激されたなら心が弱ってしまった状態だろうと戦場に立てる。燈色の隣に並び立てる
ラスト、彼女にとって幸福な世界が壊れると、幸福な記憶が消えてしまうと判っていても世界の崩壊を望んだ彼女の美しさには尊さを感じてしまったよ……
と、ここで燈色には拒否感の強い経験が消えるなら彼にとってめでたしめでたしとなる筈だけど、精神世界からの脱出にあのアルスハリヤが関わっている時点で嫌な(もしくは愉快な)予感しかしないなぁ(笑) -
Posted by ブクログ
まるでラップバトルをしているかのように軽妙洒脱に繰り広げられる会話回しは面白さに満ちていて読んでいる最中は笑いを堪えるのが大変だったよ
一体どういうセンスをしていたらあれだけの大笑トークを思いつけるのか……
さておき、燈色の中にアルスハリヤという燈色と主義が全く異なる存在が入り込んだ事で、燈色の行動がより無茶苦茶感が増すようになったね
燈色は百合を敬愛する者として命を懸けてヒロイン達の好感度を上げたくない。けれどもう充分高い好感度はちょっとやそっとじゃ下がらない。これまでの燈色は策を弄しては失敗を繰り返してきた
今巻では権謀術数に長けたアルスハリヤに頼り局面を変えようとしたわけだけど、いやはや上手く行かない。というよりむしろアルスハリヤこそ百合の間に男を挟みたがるものだから燈色を騙して失意のどん底に叩き落としてくる
特にラピスの一件は本当に酷いというか燈色の性質が上手く利用された形となったね
燈色は百合の為なら命を懸けられる男であり、自分がヒロイン達に好かれる状況は望んでいない。けれど百合に発展するかもしれない女の子の為なら後先考えず命懸けになれる
これは矛盾した考え方の筈が燈色の場合はそれが綺麗に嵌っているものだから、ヒロイン達に好かれる原因となるし、アルスハリヤに付け入れられる隙になる
最早月檻桜が百合ルートに入る余地はなさそうだし、今巻では燈色に想いを寄せる少女が更に増えてしまった事を考えるとそろそろ燈色も覚悟を決めなきゃならない時が来ているような気がするんだけどなぁ(笑)
今巻にてメインヒロインとなったのはミュールだね
燈色に積極的に絡んだわけでもなし、物語上重要な役目を負っているわけでも無さそうな彼女、これまでは言葉通りお飾りの存在といった印象が強かった
けれどクリスというミュールを押さえ付ける強者が登場した事で彼女の悲惨な境遇が露わになったね
無能と蔑まれ唯一与えられた居場所も檻そのもの。何も望まれず何も叶えられない彼女の有り様は虚無に近く、彼女の未来を信じてくれる者なんて誰も居ない
けれど燈色は元となったゲームをプレイしているが為に彼女が掴む栄光を知っているんだよね
それは何にも負けない優位性。燈色がミュールの味方をする当然の理由となる
ここで面白い点はミュール自身は一度も「助けて」と言わないどころか燈色を求めても居ない
その意味ではミュールに助けは不要で歓迎会開催という最低限の補助をするだけで良かったわけだ
助けを欲していたのはむしろミュールを虐める姉のクリスかな
昔こそミュールの良い庇護者で在ろうとした彼女は母の圧力に負けて心の有り様を間違えてしまった。間違えたならその状態は正しくないと言えるわけで
燈色の役目は声なき悲鳴を上げ続けるクリスを正しいミュールの姉に戻してやること。その為に弱者と侮られた燈色がその身一つで勝つ必要があったわけか
最終的に燈色は悪人としてミュールに敵対する構図となった。それはクリスに勝った燈色であってもミュールは怯まず立ち向かうことの出来る人間だという証左で
それでこそ、クリスが見失っていた妹の輝きを思い出せたと言えるのだろうね
一応、構図としてはミュールに嫌われるようなことしたわけだから、ここから彼女の好感度が上がったりとかしないよね……。戦後の反応が描かれず終わったものだからこの決闘の余波がどうなるのかイマイチ読めない
まさか、これで燈色に想いを寄せる少女が新たに誕生したりとか、流石にない筈だけど(笑)