ジェイソン・ヒッケルのレビュー一覧

  • 資本主義の次に来る世界

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    私たちは経済成長をいいものだと思っているが、必ずしもそうではないのかもしれない。
    この本は今まで当たり前に思ってきた価値観が、資本主義によるものであり、それが環境問題や労働の搾取にもつながるもので、あらためて考え直してみる機会をくれた。

    資本主義は、限りなく成長を求めさせ続けるもので、財やサービスの生産は、それがどのように役にたつかという使用価値でなく、より利益になるようにと交換価値に重きをおくものになっている。
    そして、人為的に希少性をつくることで、あふれるほどの富がありながら、満たされることなく、より成長を求めて、自然や労働が搾取されていくような状況をつくっている。
    資本主義は、いい面も

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    2024年04月26日
  • 資本主義の次に来る世界

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    資本主義が略奪、搾取を繰り返し、一部の富裕層の懐を過剰に満たす結果となった歴史を丁寧に解説し、これから目指していく世界の在り方を提起している。成長し続けることが必ずしも人間の性質ではなく、資本主義の成長も自然界や弱者から奪わなければ為し得なかったとわかった。成長を目指し続けることが当然の様な現代社会の実態は、過剰な利潤追求であり、本当の幸せを掴めていない。人間は地球上の生命体の一つに過ぎず、他の全てと互いに手を繋ぎ生きていきたいと思った。これまで当然とされていた資本主義や常識に対して本書のような意見を述べる研究者が最近増えており、地球上の全てと共存していける世界に変わっていくといいなと思う。自

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    2024年03月22日
  • 資本主義の次に来る世界

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    人間のそもそもの本性が利己的でも暴力的でもない。自然や植民地を搾取しても良いと捉えた二分論が(GDPの増大という意味の)成長し続けることを強いる資本主義を成立させた。
    なので、経営者が強欲なのではなく、投資家、融資先からの成長圧力で必要以上に成長を求めさせられる。
    しかし、ケインズが100年ほど前に予想したように、人間の労働時間を下げ、ワークシェアし、健康と生態系に配慮した生活をすればより幸せになる。

    GDPが一定以上成長せずとも、公共福祉に投資すれば、収入をあげなくても幸せに暮らせる。

    そういったことをネイチャーネガティブと気候変動リスクという背景や、歴史的経緯と合わせて解説してくれる本

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    2024年02月08日
  • 資本主義の次に来る世界

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    うんうん、納得。
    ・・・で、読み終わった今日から、私は何をしたらよい?
    今、朝の9時。寒い。
    今日も洗濯物乾きそうにないな、最初から乾燥機にかけようか、、、という思考は、OK?
    (世界の上位数パーセントの富裕層以外は、今のままの生活を続けてOK?)

    ・・・具体的に、どうしたら、未来を変えて、豊かな世界を取り戻せるのだろう?

    ・・・そこは、それぞれが考えて実行することで、本が教えてくれるわけじゃないのね、そりゃそうですね。

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    2024年01月13日
  • 資本主義の次に来る世界

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    永遠に終わらない成長が資本主義の本質とすると、脱成長こそがポスト資本主義になりえる。成長しないことは豊かさを失うこととは同義ではなく、成長という思い込みからの解放である。
    必要なものを必要なだけ、適切に配分する、本当の豊かさがこれからの希望になる。

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    2023年12月23日
  • 資本主義の次に来る世界

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    大量生産、大量消費。そうした世界にちょっとしんどさを感じていた今日この頃。資本主義のあり方について問う本書はなるほどなと思わされるところがいくつも。戦略会議で右肩上がりのグラフを見るたびに、本当にそうでないといけないんだろうかと疑問視していたので、脱成長が謳われているところに共感。はたして自分の仕事は使用価値を生み出しているのか、交換価値を助長しているのか、考えさせられる。自然回帰な暮らし。不便を楽しむくらいの暮らしが今こそ求められているのかもしれない。

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    2023年11月26日
  • 資本主義の次に来る世界

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    自分がしっかりと資本主義社会に浸透されていることを改めて自覚した。
    今は時代の流れに沿って頑張るけど、今の暮らしにも互恵関係を取り入れつつ生きてきたいな。
    自然や世の中から何かをもらい続けることがつまらなくなってきたっていうのもある。消費者なんよな常に。
    あと、将来海や緑の近くで古民家暮らしがしたいという思いがもっと強くなったな。

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    2023年10月28日
  • 資本主義の次に来る世界

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    資本主義とは何か
    格差拡大、気候変動を背景にポスト資本主義が注目されており、多くの議論がなされている。
    多くは、資源や環境を維持しながらどうやって成長するかが課題であり、いわゆる脱成長は異端的な扱いだろう。

    本書の序盤では、資本主義を長期の時間軸でふりかえり、資本主義の本質的な暴力性を主張する、なかなか過激な内容である。資本主義による成長は、資源化、希少化による交換価値の蓄積であり、必ず貧困や格差を生み出す、国も投資家も企業も、そのような資本主義を推進する指標、GDPや資本コストで動いている限り、ジャガーノートのように破壊し尽くすしかない、という。確かに一面ではそう思うが、特に日本は欧米とは

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    2024年04月28日
  • 資本主義の次に来る世界

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    ネタバレ

    気候変動や生態系壊滅の理由は、資本主義に欠かせなくなっている成長主義、富裕層(先進国国民もふくむ)による過剰消費なわけで。なぜこうなったのか、の歴史が丁寧にひもとかれていてわかりやすかった。GDPを指標にしたのがダメ押しだったかー。背景となるデカルトの思想と、反発したスピノザの思想の話とか初めて知って、面白かった。

    後半、資本主義と民主主義はセットではない、全体主義にならず民主主義のままでも脱成長主義は目指せる、とい書かれていて。本当にそうだといいのだが。

    別の本でもあったけど、テクノロジーで解決できるというのは幻想だそうで。残念。省エネ化しても大型化したりして、結局エネルギー消費量は増え

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    2024年04月20日
  • 資本主義の次に来る世界

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    ネタバレ

    自分、資本主義の世で産湯に浸かり、
    アメリカの豊かな生活に憧れる少年時代を
    過ごしましたんで、
    この本のように「資本主義にブレーキをかけなければ」
    と主張されましてもなかなか目が覚めません。

    でも一方では、
    長時間勤務、勤勉な勤務、自己啓発、周囲の雰囲気をこわさないために職場で文句は言わない、有給休暇をとらない等々、よいとされている働き方をしていては育児との両立が非常に困難な生活実態について、
    こんな社会は変だ、こんな社会を次世代に残すのはかわいそうだという気持ちは強いです。

    著者が一刀両断、「GDP成長率を追求し続ける資本主義はあかんねん、地球がもたないからな(意訳です)」
    「富の蓄積を

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    2023年12月01日