上杉勇司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ示唆に富んだ内容が非常にわかりやすく書いてあって、大人の自分にとっても良書だった。
・平和のためには暴力が必要であり、国家の暴力によってわれわれは守られている。だがそれは、国家が正当にその力を使っている、と国民が納得している状況に限られる。
・「テロによる暴力は正しくないが、テロ撲滅のための暴力は正しい」が現代のルール。しかしテロリスト側にも、まともに話を聞いてもらえなかったから暴力に頼るしかなかった、という言い分がある。このことから、太陽と北風で言えば「太陽」、つまり交渉が功を奏する可能性がある。
・国際社会には憲法のようなものはないが、国連が制裁することができる。ただし、この集団安全保障の考え方はアメリカのイラク攻撃によって地に落ちた。
同盟を組むことは戦争の抑止になるが、抑止に失敗したときは戦線を拡大させることになる。
・「勝負に勝つ」ことではなく「満足する」ことを目指す。 -
Posted by ブクログ
世界各地の紛争地を訪れた著者が、紛争の原因と経緯、そして和解の「処方箋」について解説した本。
「和解」という言葉に対して、「当事者同士が仲直りし、ともに手を取り合って平和で安定した社会を築いていく」という抽象的かつ狭義的なイメージを勝手に抱いていたが、実際には様々な形があり、正義の追求、差別的・不平等な制度の撤廃や改革、法の支配の確立、経済的不満の解消(経済成長・戦後復興優先)などが当然ある一方で、棲み分けのような「和解」という言葉とは乖離したイメージのものも選択肢の一つとして含まれるというのが意外であった。
「和解」の目的は、安定した状態(和平)を保つこと。そのため、当事者が関係改善に消極的であったり、絶対に妥協をしない場合においては、むやみに共生・共存を進めるのではなく、適度な距離感を保つこと=現状維持もある意味での「和解」となる。当事者間の憎悪が解消されることが、将来の紛争の火種をなくすためには理想ではあるが、状況によっては、それが必ずしもベストな選択肢とは限らないということである。「処方箋」と比喩されているように、その時々の状況に応じて、最適なステップを踏むことが重要なのだと理解した。
また、どのようなアプローチにしても、当事者同士が積極的に取り組むことが真の和解には必要不可欠だが、「WHY(若者・変人・よそ者)」が新しい視点を与え、和解のキーとなるという話には納得した。人間関係と同じで、互いに落としどころを見つけ、周りの助けを借りながら、時間をかけて地道に関係修復していくのしかないのだと思う。 -
Posted by ブクログ
クーデターとは非合法に政権をうばう行為であり、一撃で行われるものと定義し、それを詳細に分析する。似たものに革命、内戦、暴動、テロがある。
クーデターの分析、成功条件、最近の特徴、抑止策、奪取後などいろいろな面からの記述は興味深い。
尤も、どれもそうだらうねと納得できるが、意外性や驚きはなかった。
クーデター=悪ではない、独裁や暴政を倒すクーデター、民政移管につながるものも挙げられているが、合法的なプーチン政権や北朝鮮を見ていれば、合法性が善に繋がるわけではないことは明らかだ。
つまり、クーデターは軍という危険な刃物が持ち主に危害を加え、取って代わるものであり、それ自体で善悪を言えるものではないのだろう。
幸い近代日本ではクーデターが成功した例はなく、日本人は欧米同様にクーデターにいい印象を持っていないが、開戦前に東条政権にクーデターが起こり、対米戦を避けていれば戦死者にとって善であったであろう。
結局、政治は結果責任であり、クーデターも政治の手段として結果次第ではないのか。