上杉勇司のレビュー一覧
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世界各地の紛争地を訪れた著者が、紛争の原因と経緯、そして和解の「処方箋」について解説した本。
「和解」という言葉に対して、「当事者同士が仲直りし、ともに手を取り合って平和で安定した社会を築いていく」という抽象的かつ狭義的なイメージを勝手に抱いていたが、実際には様々な形があり、正義の追求、差別的・不平等な制度の撤廃や改革、法の支配の確立、経済的不満の解消(経済成長・戦後復興優先)などが当然ある一方で、棲み分けのような「和解」という言葉とは乖離したイメージのものも選択肢の一つとして含まれるというのが意外であった。
「和解」の目的は、安定した状態(和平)を保つこと。そのため、当事者が関係改善に消 -
Posted by ブクログ
クーデターとは非合法に政権をうばう行為であり、一撃で行われるものと定義し、それを詳細に分析する。似たものに革命、内戦、暴動、テロがある。
クーデターの分析、成功条件、最近の特徴、抑止策、奪取後などいろいろな面からの記述は興味深い。
尤も、どれもそうだらうねと納得できるが、意外性や驚きはなかった。
クーデター=悪ではない、独裁や暴政を倒すクーデター、民政移管につながるものも挙げられているが、合法的なプーチン政権や北朝鮮を見ていれば、合法性が善に繋がるわけではないことは明らかだ。
つまり、クーデターは軍という危険な刃物が持ち主に危害を加え、取って代わるものであり、それ自体で善悪を言えるものではない