高田裕美のレビュー一覧
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めちゃくちゃ面白かった……。最近読んだ本の中で一番よかった。わたしはもともとフォントというものが好きなので興味津々で読んだし、著者の方(高田さん)の半生も波瀾万丈ですごかった。実写映画化してもいいのではとすら思えた。
当たり前なんだけど、木という文字の右払いを直さなきゃいけなくなったら木偏がつく他の漢字だけじゃなく右払いがある漢字全部直さなきゃいけなくなると知って気が遠くなったし、そこまでこだわってフォントを作っているのを知ってますます興味が湧いた。日本語のフォントだけでなくアルファベットのフォントにも書かれていて、bとd、pとqを間違えないために、言われなければ気づかないような差異があると知って驚いた。
本文もUDデジタル教科書体が使われていて、個人的にはとても読みやすかった。 -
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UDデジタル教科書体というフォントが作られたことは何年か前から知っていました。中心になって作ったのが女性であることも、UDがユニバーサルデザインを意味することも。
関心は強くあったのに触れる機会がありませんでした。近ごろ福祉問題で議員さんにお願いすることがあり、名刺を作ることにしたとき浮かんだのがこのフォントでした。肩書よりも何よりもUDデジタル教科書体で作りたかったので、いくつかの業者に電話して見つけた所に依頼しました。
本書では、書体作りの仕事のあれこれも興味深く読みましたが、何よりも「バリアフリー」と「ユニバーサルデザイン」への優しい眼差しに感激です。 -
Posted by ブクログ
昔からフォントに興味があり、フォント開発に関わるノンフィクションということで純粋に面白そう、と思い購入
著者がフォント開発者になったキッカケから、文字を読んだり理解することが苦手な子供たちのためのフォントの開発過程のお話までが綴られていて、とても興味深い内容でした
日頃何となく目にしている文字、フォントは、想像以上に手間ひまかけてデザインされていることがわかり驚きの連続でした
また、フォント以外にも、子供が抱える文字認識に関わる障がいに関する内容も書かれていてとても勉強になりました
最後に特別章として、著者が文字認識が苦手な子供たちのために8年かけて開発された「UDデジタル教科書体」に関わる、より詳細なコンセプトや、Word、Excelなんかでフォント設定を変えたら行間が勝手にズレたりするメカニズムなんかも書かれていてとても興味深かったです
また、教育とフォントの関係の奥深さについても、その膨大な人と時間をかけて検討の積み重ねで形になっていることも知れました
普段、何気に目にしているフォントですが、もう少し意識して使ったり眺めたりしてみたいと思いました -
Posted by ブクログ
ネタバレ本に書かれている文字が読めない、という障害があることは知っていました。
内容を理解できないのではなく、文字を認識するのが難しいというディスレクシアという障害。
それが、文字のフォントを変えたら読めるようになった人がいるというニュースを見て、興味を持ちました。
以前、構成員の半数以上が60代~70代の組織で事務局の仕事をしていた時に、会議の資料はメイリオというフォントで作るように言われました。
明朝体は横線が細いので、老眼が進むと読みにくい(または読めない)というのがその理由。
UDデジタル教科書体は、年齢や障害や国籍などを問わず、誰もが読みやすい文字というコンセプトで作られています。
それは単に線を太くするとか、文字を大きくするということではなく、文字単体として見やすいうえに文章としてみたときに読みやすくなければなりません。
教科書で使われる文字は、書き順、はね、はらいなどもわかりやすく表現されていなければなりません。
画数の多い文字も少ない文字も。
何千もある文字の統一規格を考え、何度も試行錯誤を繰り返して作られたフォントは、会社から開発の中止を言われたこともありました。
それでも著者をはじめとするフォントデザイナーや、教育関係者や障碍者に対するボランティアの人たちの支えがあり、教科書は紙に限らなくてよいという法整備もされ、満を持して世の中にリリースされたのでした。
私は日常的に本をよく読むのですが、縦書きの本はやはり明朝体のほうが馴染むと思っています。
でも、今は国語以外の教科書も横書きですし、公文書も会議の資料もほぼ横書きですから、横書きで読みやすいフォントはもっと作られていいと思います。
教科書体といわれるだけあって、書き順を勉強するのにはとても分かりやすいフォントでした。
横線から書き始めるときは横線の書き始め部分が少し飛び出し、縦線から書き始めるときは縦線が飛び出しているというルールを知っていたら、自然に書き順が覚えられるようになります。
メイリオとUDデジタル教科書体を比べてみたのですが、メイリオは行間が広いのですね。
UDデジタル教科書体の方が、文字の塊として目に飛び込んでくるような気がしました。
ただ、私にとっては、それは些細な差なので、今はどちらでもいいのですが、将来のことを考えると、選択肢は多い方がいいと思いました。
以前仕事で渋谷に行ったとき、フォントの展示会に遭遇したので、一回り見たことがあります。
今ならもっと熱心に見るのになあ。 -
Posted by ブクログ
発達障害に興味があり手に取った本。大変面白かった。
フォントを生み出すのに非常に多くの時間と手間がかかること。著者がタイプバンク社に入社し、ロービジョンの人達の苦労を知ったことからユニバーサルデザインフォントを作ろうと思い立ったこと。様々な専門家との出会い。タイプバンク社が経営難に陥り、モリサワの子会社となったこと。UDフォントの頓挫。
著者曰く、「いつもギリギリのところで誰かが助けてくれた」とのことだが、一時はモリサワを辞めようと思い詰めるほどに行き詰まっていたこと。
発達障害やロービジョン(弱視)の人達の見え方の例。ぼやけてたり、二重に見えたり、鏡像に見えたり、亀に例えた例も驚いた。
そして当然だが、フォントが変わるだけで「これなら読める!」と言った子がいたこと。エビデンス。
それからフォントのP付きやK付きのこと(YouTube保存済)。
とにかくフォントの世界にどっぷり浸かることができた一冊。 -
Posted by ブクログ
フォント1つに こんな情熱を持って動いてくれている方々がいるなんて。
うちの子は、文字もですが、教科書の白さが眩しく感じるらしく、教科書を読む際は 小学校低学年の間 魔法の下じきを使っていました。文字にも留意できていたら、もっとよかったかもしれません。
仕事で 指導する場合 その方が視覚優位なのか聴覚優位なのか 気にしたり。
視覚優位でも 文書なのか動画のようなもなか 文書でも 短文か 図や表みたいなのが良いか 気にしながら 後輩指導します。理解してほしいし、できるだけ エラーは減らしたいですしね。
フォントにも 配慮できるようにします!
学びになりました。 -
Posted by ブクログ
デザイナー必読。ユニバーサルデザインとは何かを、書体・フォントデザインの文脈から問い直す、UDデジタル教科書体を生み出したデザイナーの自伝的な一冊。
構想から完成まで8年を要し、その間に会社が吸収合併したり、担当を外されそうになったり塩漬けプロジェクトになったり、なんども頓挫しかけながらそれでも諦めずに完成にたどり着いた執念と、このフォントが社会にあるべきだという圧倒的な強い信念に打たれます。
そもそも知らなかった。UDの意味とか、教科書体の本来の役割が。読みやすいフォント、くらいに思ってた。
UDで、デジタルで、教科書体であることが、どんな意味を持ちそれを開発するのがどんなに困難を極めるか・・・。
まず「UD」は、ユニバーサルデザインの略なのだけれど、どんな人にも等しく機能するデザインが求められる。特に文字は単に読みやすさというレベルではないところにも課題がある。文字を読むことに困難を抱える人のことを「ディスクレシア」と呼ぶことがあるが、この性質を持った人はひとクラスに2,3人はいる(人口の約7%)と言われるほど実は身近な存在だ。
自分も、文字を読むのがすこぶる遅くて、音で聞くほうが楽なのだけどディスクレシアの性質がわずかにあるような気がしている。
性質と言っても様々で、文字がぼんやりかすんでしまう、文字の尖った部分に恐怖感がありストレスを感じる、文字を絵として認識してしまい、うまく読めない。などなど。例としてカタカナの「シ」がどうしてもスイカの絵に見えてしまうというのが出てくるのだけど、なるほどなと思った。いちいち別のモチーフが先に見えてしまったら文章を読むのは困難だろう。
そして、こうした文字を読むのに困難を抱える人達はどうしても学校教育の中で遅れていってしまう。勉強のできない子というレッテルを貼られてしまうのだけど、多くの場合、文字が読めないだけで基本的な知能に差はなかったりする。学習機会さえあれば(音声読み上げによる学習など)問題なく学んで成長していくことができるのだ。筆記よりもPCによるタイピングの方がうまくできるという子もいる。
そこで、彼らにとっても、誰にとっても、読みやすい書体を開発するためUDデジタル教科書体のプロジェクトは立ち上がった。実際に障害を持つ方々に見てもらい、読みやすさの確証(エビデンス)が得られるまで手直ししていく。明朝体の横線が細かったり、先が尖っている特徴をなくし、視認性を高めたり、少しでも大きく見せるために、文字の中の空間を広く取る工夫をすることで、既存の書体よりも明確に読みやすいという揺るぎない成果を獲得する。すごい。
次に「教科書体」ということなんだけど、これが思いのほか、難易度が高いものだった。まず教科書というだけあって、教育の現場で使われることを前提とした書体ということになる。子供に文字を教える時、書き順や筆の動きが説明できる形をしていなければならない。一般的に、汎用的な書体は実は文字の形状を省略したり、止めはね等の細かい部分が再現されていなかったりする。(いまあなたが見ている文字もきっとそうだ)小さなサイズでも潰れないようにするためだが、これは子供に文字を教える際には適さない。ちゃんとそういうことを検査する機関があり、はじかれてしまう。
UDとして読みやすく、さらに教育に適した形状を持ち、さらにデジタルという、スクリーン上のドットで表されても潰れないことを兼ね備えた奇跡の書体。それがUDデジタル教科書体なのである。そりゃ開発に8年もかかるわ。第一水準の漢字、2,965字もあるんだぞ。
そんな膨大な作業の上で書体デザインがほぼ完成に近づいた時、現場の教育者の集まりに見せに行くと、「木辺のはらい、我々はこう教えてない・・・」という一言をうけ、そこから木辺のある漢字全てを直すことになる。とか。気の遠くなるような手間をかけて、情熱をかけて、ついに完成するUDデジタル教科書体。なんかもうちょっと、泣けてきちゃって。こういう本では珍しいと思うんだけど。泣いちゃうやつこれ。
とある、障害を持つ子たちのいる教育・就労支援施設で、ディスクレシアの小学生が使う教科書をUDデジタル教科書体にかえてみたところ、一人の少年が「これなら読める、おれ、バカじゃなかったんだ」って言うんです。そこにいるスタッフみんなが胸を突かれて。泣いて喜び合うんですよ。
そうだよ!君は文字が読みにくいだけでバカじゃないんだ!ちょっと苦手なことがあるだけで、素晴らしい可能性を持った、価値ある人間なんだよ!って、言ってあげられること。それが、この書体が実現させたことだ。
なんて価値のある仕事なんだろう。それこそ、一生をかけて打ち込むのにふさわしい。筆者を中心に、開発に協力した研究者や、教育者や、障害を持った方たち、多くの人間が魂を込めた、素晴らしい仕事が、ついに完成する。
そういう物語としても読めるし、ユニバーサルデザインの勉強にもなる、とても良い本でした。
デザイナーだったら心臓撃ち抜かれるかもしれない。こういう仕事、ひとつでも残せたらいいよな。 -
Posted by ブクログ
UDデジタル教科書体
最近会社で使う人が多いフォントなので気になって読んでみた。
なぜ「UDデジタル教科書」という名前なのか考えもしなかったけれど、
UDはユニバーサルデザイン
デジタルはデジタル化した際に画面上でも見やすい
教科書体は、子どもたちがその文字を見るだけで、とめはねはらい、書き順がイメージできる
と、意味が込められたフォントだったことを知った。
余談だけれど、この本が書かれた2023年時点の設定だと、文字を強調したいときは太字にするのではなく、書体で「B」を選ぶ。行間が開いて体裁が崩れるときには、行間の設定を「固定値」にし、フォント×1.25~2くらいが目安。とのこと。
この本は、UDデジタル教科書体を開発した女性の、フォントに込めた想いが詰まった本なのだけれど、でも、誰にとっても完璧なフォントはないという話も載っていて、ユニバーサルデザインの難しさを感じたり。
以下引用。
書体の見やすさや好みには必ず個人差があるので、どんなに小さな意見も大切にすることが、ユニバーサルデザインを実現するためには必要なことです。それぞれの人にとって見やすかったり、好ましかったりする書体を、それぞれが選択できることこそが、ユニバーサルデザインの本質です。この点は決して忘れてほしくないと思います。
以下メモ
ユニバーサルデザイン:すべての人を対象としたデザイン概念。
一般的な明朝体は、縦が太く横が細い。高齢者やロービジョン(何らかの原因により視覚に障害があり、日常生活に困難や支障が生じている状態)の方には読みずらい。また、はね、はらいの先がとがっていることで、視覚過敏の人にとっては、自分に刺さるように感じてしまう。
ゴシック体は読みやすいが、「山」の場合左の縦線の下にもゲタ(飛び出し)があるので、4画の漢字に見えてしまう。
「返」のようなしんにょうも、明朝体とゴシック体で計多角的なり、漢字学習者にとっては混乱のもと。
ディスクレシア(発達性読書障害)
学習障害に含まれるもので、視機能ではなく、脳の機能障害が原因。
文字を読む速度と、字形や音の正確さに問題がある。半面、知的能力には問題はない。読み書きが苦手なことで勉強全般が苦手に見えてしまう。結果が出ず勉強嫌いになってしまう。
多角的な評価軸をもって判断する。読み書きができなくても問題なく学べる「環境づくり」が必要。
平等:全員に同じ配慮をする
公平:一人一人にあわせた配慮をする