高田裕美のレビュー一覧
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昔からフォントに興味があり、フォント開発に関わるノンフィクションということで純粋に面白そう、と思い購入
著者がフォント開発者になったキッカケから、文字を読んだり理解することが苦手な子供たちのためのフォントの開発過程のお話までが綴られていて、とても興味深い内容でした
日頃何となく目にしている文字、フォントは、想像以上に手間ひまかけてデザインされていることがわかり驚きの連続でした
また、フォント以外にも、子供が抱える文字認識に関わる障がいに関する内容も書かれていてとても勉強になりました
最後に特別章として、著者が文字認識が苦手な子供たちのために8年かけて開発された「UDデジタル教科書体」に -
Posted by ブクログ
ネタバレ本に書かれている文字が読めない、という障害があることは知っていました。
内容を理解できないのではなく、文字を認識するのが難しいというディスレクシアという障害。
それが、文字のフォントを変えたら読めるようになった人がいるというニュースを見て、興味を持ちました。
以前、構成員の半数以上が60代~70代の組織で事務局の仕事をしていた時に、会議の資料はメイリオというフォントで作るように言われました。
明朝体は横線が細いので、老眼が進むと読みにくい(または読めない)というのがその理由。
UDデジタル教科書体は、年齢や障害や国籍などを問わず、誰もが読みやすい文字というコンセプトで作られています。
それ -
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発達障害に興味があり手に取った本。大変面白かった。
フォントを生み出すのに非常に多くの時間と手間がかかること。著者がタイプバンク社に入社し、ロービジョンの人達の苦労を知ったことからユニバーサルデザインフォントを作ろうと思い立ったこと。様々な専門家との出会い。タイプバンク社が経営難に陥り、モリサワの子会社となったこと。UDフォントの頓挫。
著者曰く、「いつもギリギリのところで誰かが助けてくれた」とのことだが、一時はモリサワを辞めようと思い詰めるほどに行き詰まっていたこと。
発達障害やロービジョン(弱視)の人達の見え方の例。ぼやけてたり、二重に見えたり、鏡像に見えたり、亀に例えた例も驚いた。 -
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デザイナー必読。ユニバーサルデザインとは何かを、書体・フォントデザインの文脈から問い直す、UDデジタル教科書体を生み出したデザイナーの自伝的な一冊。
構想から完成まで8年を要し、その間に会社が吸収合併したり、担当を外されそうになったり塩漬けプロジェクトになったり、なんども頓挫しかけながらそれでも諦めずに完成にたどり着いた執念と、このフォントが社会にあるべきだという圧倒的な強い信念に打たれます。
そもそも知らなかった。UDの意味とか、教科書体の本来の役割が。読みやすいフォント、くらいに思ってた。
UDで、デジタルで、教科書体であることが、どんな意味を持ちそれを開発するのがどんなに困難を極め -
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UDデジタル教科書体
最近会社で使う人が多いフォントなので気になって読んでみた。
なぜ「UDデジタル教科書」という名前なのか考えもしなかったけれど、
UDはユニバーサルデザイン
デジタルはデジタル化した際に画面上でも見やすい
教科書体は、子どもたちがその文字を見るだけで、とめはねはらい、書き順がイメージできる
と、意味が込められたフォントだったことを知った。
余談だけれど、この本が書かれた2023年時点の設定だと、文字を強調したいときは太字にするのではなく、書体で「B」を選ぶ。行間が開いて体裁が崩れるときには、行間の設定を「固定値」にし、フォント×1.25~2くらいが目安。とのこと。
この -
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ネタバレ小学校で特別支援教育に関わっている私にとって、ど真ん中の内容。
子どもと学習するときに、ディスレクシアの視点を頭に置いておきたい。
それから、どんなフォントにもデザインした人がいるんだと感じられて、まだまだすごくて知らない世界があるんだなぁと思った。
こんな風にフォントを開発した人がいるという事実だけで、心があたたかくなる。
・専門家による調査では、日本語話者の5〜8%がディスレクシアであるという報告がなされています。これが正しければ、1クラス(35人)のうち2〜3人の子どもは、読み書きに何かしらの困難を感じていることになります。
・そして普段の会話や理解力には問題がないだけに、ディスレクシ -
Posted by ブクログ
これは気づきの多い本。素晴らしい。
真の意味でユニバーサルデザインを目指した「UDデジタル教科書体」フォントの開発物語。
文字が揺らいだり捻れたりして見えてしまうディスレクシア(発達性読み書き障害)の方が結構な割合でいるそうで、そういった方には既存のゴシック体や明朝体の視認が難しく、例えば「4」と「6」は見分けづらいとのこと。
冒頭で示されるこの事実に早くもハッとさせられる。
この本そのものがUDデジタル教科書体で書かれていて、率直に文字が読みやすいと感じた。
文字の読みやすさを感じた理由が示されていて、ただ大きくすればいいとか均一にすればいいということではなくて、太さ、止めや払い、手書き -
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中心は著者の高田さんがフォント制作の世界に出会うところから、社会人人生をかけてUDデジタル教科書体を世に出すまでのお話。
UDはユニバーサルデザインの略。高齢者や障害のある方だけでなく、その他の方々含めた全員にとって使いやすいデザインを指し、バリアフリーとは明確に異なるということ今まであまり意識していなかったのではっとしました。
UDデジタル教科書誕生までの、奇跡のような人と人の出会い、そしてなによりその出会いを引き寄せた髙田さんの熱い思いには読んでいて心動かされました。
フォントはこれまでなんとなく選んでいましたが、細部まで様々な意図をもってデザインされていることを知って「すごい!面白い -
Posted by ブクログ
著者がフォントデザイナーになるところからUDデジタル教科書体を開発しWindows OSに標準搭載されるまでの軌跡が描かれている。
自分の勤める会社ではしょっちゅう流行りの書体が変わり、なんなんだろうくらいしか思っていなかったが、本書を一気読みしてすっかりフォントデザインに興味を持ち、あらゆる文字を読むことが更に楽しくなった。
教育現場の文字に関することは特に目から鱗のことばかりだった。
ゴシック体と教科書体の違い(学校で習う画数)や、つきだしやうろこ、ハネの尖った部分がストレスになる子が居たり、色んな見え方をしてしまう子がいること。
そして特別支援学校では教科書の字がその子たちのために