あらすじ
読み書き障害でも読みやすいフォントが生まれるまでのノンフィクション!
UDデジタル教科書体の完成から3年が経った頃、私は仕事の関係で、障害のある子どもの教育や就労を支援している会社を訪れました。
そこでは発達障害、学習障害、ダウン症といったさまざまな困難を抱える子どもたちを支援する学習教室を運営していたのですが、あるベテランの女性スタッフの方が、こんな話をしてくれました。
「うちの教室に、ディスレクシアの小学生の男の子がいるんです。その子は普通の本や教科書では文字がうまく読めなくて、『どうせおれには無理だから』って、いつも途中で読むのを諦めていたんです」
「それで、あるときUDデジタル教科書体のことを知って、試しに教材のフォントを変えてみたんです。そしたら教材を見た瞬間、その子が『これなら読める! おれ、バカじゃなかったんだ!』って。暗かった顔がぱあっと明るくなって、その顔を見たとき、私、思わず涙がこみあげてきてしまって。その場にいたスタッフ皆、今まで男の子が悔しい思いをしてきたのを知っていたから。みんなで男の子の周りに集まって、泣いてしまいました」
(「はじめに」より抜粋)
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Posted by ブクログ
昔からフォントに興味があり、フォント開発に関わるノンフィクションということで純粋に面白そう、と思い購入
著者がフォント開発者になったキッカケから、文字を読んだり理解することが苦手な子供たちのためのフォントの開発過程のお話までが綴られていて、とても興味深い内容でした
日頃何となく目にしている文字、フォントは、想像以上に手間ひまかけてデザインされていることがわかり驚きの連続でした
また、フォント以外にも、子供が抱える文字認識に関わる障がいに関する内容も書かれていてとても勉強になりました
最後に特別章として、著者が文字認識が苦手な子供たちのために8年かけて開発された「UDデジタル教科書体」に関わる、より詳細なコンセプトや、Word、Excelなんかでフォント設定を変えたら行間が勝手にズレたりするメカニズムなんかも書かれていてとても興味深かったです
また、教育とフォントの関係の奥深さについても、その膨大な人と時間をかけて検討の積み重ねで形になっていることも知れました
普段、何気に目にしているフォントですが、もう少し意識して使ったり眺めたりしてみたいと思いました
Posted by ブクログ
個人の情熱と時代の要望がかみ合って、世界が劇的に変わってゆくさまを、当事者の語りで追体験できる本。こういう話は大好物です。それだけでなく、毎日UD教科書体使ってるし。
Posted by ブクログ
・UDデジタル教科書体の開発は素晴らしい仕事だと思った。
・意識したことがなかったが山、しんにょうなどの明朝体は手書きの形とは異なっている。こういう違いにより文字を読むのが困難な人がいる。
・書体の開発がこんなに大変なことだと初めて知った。今まで何気なく見ていた文字の裏側には大変な努力、工夫、職人のプライドが詰まっているのだと知った。
・学生時代に書体デザイナーという仕事を知っていたら目指していたかもしれない。それくらい熱いお仕事だと思った。
Posted by ブクログ
本に書かれている文字が読めない、という障害があることは知っていました。
内容を理解できないのではなく、文字を認識するのが難しいというディスレクシアという障害。
それが、文字のフォントを変えたら読めるようになった人がいるというニュースを見て、興味を持ちました。
以前、構成員の半数以上が60代~70代の組織で事務局の仕事をしていた時に、会議の資料はメイリオというフォントで作るように言われました。
明朝体は横線が細いので、老眼が進むと読みにくい(または読めない)というのがその理由。
UDデジタル教科書体は、年齢や障害や国籍などを問わず、誰もが読みやすい文字というコンセプトで作られています。
それは単に線を太くするとか、文字を大きくするということではなく、文字単体として見やすいうえに文章としてみたときに読みやすくなければなりません。
教科書で使われる文字は、書き順、はね、はらいなどもわかりやすく表現されていなければなりません。
画数の多い文字も少ない文字も。
何千もある文字の統一規格を考え、何度も試行錯誤を繰り返して作られたフォントは、会社から開発の中止を言われたこともありました。
それでも著者をはじめとするフォントデザイナーや、教育関係者や障碍者に対するボランティアの人たちの支えがあり、教科書は紙に限らなくてよいという法整備もされ、満を持して世の中にリリースされたのでした。
私は日常的に本をよく読むのですが、縦書きの本はやはり明朝体のほうが馴染むと思っています。
でも、今は国語以外の教科書も横書きですし、公文書も会議の資料もほぼ横書きですから、横書きで読みやすいフォントはもっと作られていいと思います。
教科書体といわれるだけあって、書き順を勉強するのにはとても分かりやすいフォントでした。
横線から書き始めるときは横線の書き始め部分が少し飛び出し、縦線から書き始めるときは縦線が飛び出しているというルールを知っていたら、自然に書き順が覚えられるようになります。
メイリオとUDデジタル教科書体を比べてみたのですが、メイリオは行間が広いのですね。
UDデジタル教科書体の方が、文字の塊として目に飛び込んでくるような気がしました。
ただ、私にとっては、それは些細な差なので、今はどちらでもいいのですが、将来のことを考えると、選択肢は多い方がいいと思いました。
以前仕事で渋谷に行ったとき、フォントの展示会に遭遇したので、一回り見たことがあります。
今ならもっと熱心に見るのになあ。
Posted by ブクログ
職場でこの本を読んでたら後輩がのぞいてきて、「この文字読みやすいですね。教科書の文字が苦手で、受験のときはノートに手書きで写してました。」って言ってて、このフォントの威力を目の当たりにした。フォント好き本好きな自分には読めない人の気持ちは分からないけど、きっと人生を変えるくらい救いのフォントなんだと思う。
Posted by ブクログ
発達障害に興味があり手に取った本。大変面白かった。
フォントを生み出すのに非常に多くの時間と手間がかかること。著者がタイプバンク社に入社し、ロービジョンの人達の苦労を知ったことからユニバーサルデザインフォントを作ろうと思い立ったこと。様々な専門家との出会い。タイプバンク社が経営難に陥り、モリサワの子会社となったこと。UDフォントの頓挫。
著者曰く、「いつもギリギリのところで誰かが助けてくれた」とのことだが、一時はモリサワを辞めようと思い詰めるほどに行き詰まっていたこと。
発達障害やロービジョン(弱視)の人達の見え方の例。ぼやけてたり、二重に見えたり、鏡像に見えたり、亀に例えた例も驚いた。
そして当然だが、フォントが変わるだけで「これなら読める!」と言った子がいたこと。エビデンス。
それからフォントのP付きやK付きのこと(YouTube保存済)。
とにかくフォントの世界にどっぷり浸かることができた一冊。
UDデジタル教科書体というひとつのフォントを生み出すためにどれだけの努力と幸運が必要だったかをつづった本。ほとんど著者のライフワークに近い経緯がつづられていて感動的。
当初この本のデータは固定レイアウトで、本文がUDデジタル教科書体で印字されているものだったのだが、その後データの更新があり普通の明朝になってしまい残念。
Posted by ブクログ
デザイナー必読。ユニバーサルデザインとは何かを、書体・フォントデザインの文脈から問い直す、UDデジタル教科書体を生み出したデザイナーの自伝的な一冊。
構想から完成まで8年を要し、その間に会社が吸収合併したり、担当を外されそうになったり塩漬けプロジェクトになったり、なんども頓挫しかけながらそれでも諦めずに完成にたどり着いた執念と、このフォントが社会にあるべきだという圧倒的な強い信念に打たれます。
そもそも知らなかった。UDの意味とか、教科書体の本来の役割が。読みやすいフォント、くらいに思ってた。
UDで、デジタルで、教科書体であることが、どんな意味を持ちそれを開発するのがどんなに困難を極めるか・・・。
まず「UD」は、ユニバーサルデザインの略なのだけれど、どんな人にも等しく機能するデザインが求められる。特に文字は単に読みやすさというレベルではないところにも課題がある。文字を読むことに困難を抱える人のことを「ディスクレシア」と呼ぶことがあるが、この性質を持った人はひとクラスに2,3人はいる(人口の約7%)と言われるほど実は身近な存在だ。
自分も、文字を読むのがすこぶる遅くて、音で聞くほうが楽なのだけどディスクレシアの性質がわずかにあるような気がしている。
性質と言っても様々で、文字がぼんやりかすんでしまう、文字の尖った部分に恐怖感がありストレスを感じる、文字を絵として認識してしまい、うまく読めない。などなど。例としてカタカナの「シ」がどうしてもスイカの絵に見えてしまうというのが出てくるのだけど、なるほどなと思った。いちいち別のモチーフが先に見えてしまったら文章を読むのは困難だろう。
そして、こうした文字を読むのに困難を抱える人達はどうしても学校教育の中で遅れていってしまう。勉強のできない子というレッテルを貼られてしまうのだけど、多くの場合、文字が読めないだけで基本的な知能に差はなかったりする。学習機会さえあれば(音声読み上げによる学習など)問題なく学んで成長していくことができるのだ。筆記よりもPCによるタイピングの方がうまくできるという子もいる。
そこで、彼らにとっても、誰にとっても、読みやすい書体を開発するためUDデジタル教科書体のプロジェクトは立ち上がった。実際に障害を持つ方々に見てもらい、読みやすさの確証(エビデンス)が得られるまで手直ししていく。明朝体の横線が細かったり、先が尖っている特徴をなくし、視認性を高めたり、少しでも大きく見せるために、文字の中の空間を広く取る工夫をすることで、既存の書体よりも明確に読みやすいという揺るぎない成果を獲得する。すごい。
次に「教科書体」ということなんだけど、これが思いのほか、難易度が高いものだった。まず教科書というだけあって、教育の現場で使われることを前提とした書体ということになる。子供に文字を教える時、書き順や筆の動きが説明できる形をしていなければならない。一般的に、汎用的な書体は実は文字の形状を省略したり、止めはね等の細かい部分が再現されていなかったりする。(いまあなたが見ている文字もきっとそうだ)小さなサイズでも潰れないようにするためだが、これは子供に文字を教える際には適さない。ちゃんとそういうことを検査する機関があり、はじかれてしまう。
UDとして読みやすく、さらに教育に適した形状を持ち、さらにデジタルという、スクリーン上のドットで表されても潰れないことを兼ね備えた奇跡の書体。それがUDデジタル教科書体なのである。そりゃ開発に8年もかかるわ。第一水準の漢字、2,965字もあるんだぞ。
そんな膨大な作業の上で書体デザインがほぼ完成に近づいた時、現場の教育者の集まりに見せに行くと、「木辺のはらい、我々はこう教えてない・・・」という一言をうけ、そこから木辺のある漢字全てを直すことになる。とか。気の遠くなるような手間をかけて、情熱をかけて、ついに完成するUDデジタル教科書体。なんかもうちょっと、泣けてきちゃって。こういう本では珍しいと思うんだけど。泣いちゃうやつこれ。
とある、障害を持つ子たちのいる教育・就労支援施設で、ディスクレシアの小学生が使う教科書をUDデジタル教科書体にかえてみたところ、一人の少年が「これなら読める、おれ、バカじゃなかったんだ」って言うんです。そこにいるスタッフみんなが胸を突かれて。泣いて喜び合うんですよ。
そうだよ!君は文字が読みにくいだけでバカじゃないんだ!ちょっと苦手なことがあるだけで、素晴らしい可能性を持った、価値ある人間なんだよ!って、言ってあげられること。それが、この書体が実現させたことだ。
なんて価値のある仕事なんだろう。それこそ、一生をかけて打ち込むのにふさわしい。筆者を中心に、開発に協力した研究者や、教育者や、障害を持った方たち、多くの人間が魂を込めた、素晴らしい仕事が、ついに完成する。
そういう物語としても読めるし、ユニバーサルデザインの勉強にもなる、とても良い本でした。
デザイナーだったら心臓撃ち抜かれるかもしれない。こういう仕事、ひとつでも残せたらいいよな。
Posted by ブクログ
普段から毎日読んでいる文字なのに、気づいていないことが多過ぎて文字を読めてないんじゃないかと思うくらいフォントは奥が深い。ディスレクシアの方は一律で文字が読みにくいというわけでもなくフォントによっては読める、というのも初めて知った。奇跡とタイトルにあるが本書からひしひしと伝わる開発者の意志を汲み取るに、奇跡ではなく必然だと思ったし、その意志がフォントに魔法を加えたかのように思える。
Posted by ブクログ
UDデジタル教科書体
最近会社で使う人が多いフォントなので気になって読んでみた。
なぜ「UDデジタル教科書」という名前なのか考えもしなかったけれど、
UDはユニバーサルデザイン
デジタルはデジタル化した際に画面上でも見やすい
教科書体は、子どもたちがその文字を見るだけで、とめはねはらい、書き順がイメージできる
と、意味が込められたフォントだったことを知った。
余談だけれど、この本が書かれた2023年時点の設定だと、文字を強調したいときは太字にするのではなく、書体で「B」を選ぶ。行間が開いて体裁が崩れるときには、行間の設定を「固定値」にし、フォント×1.25~2くらいが目安。とのこと。
この本は、UDデジタル教科書体を開発した女性の、フォントに込めた想いが詰まった本なのだけれど、でも、誰にとっても完璧なフォントはないという話も載っていて、ユニバーサルデザインの難しさを感じたり。
以下引用。
書体の見やすさや好みには必ず個人差があるので、どんなに小さな意見も大切にすることが、ユニバーサルデザインを実現するためには必要なことです。それぞれの人にとって見やすかったり、好ましかったりする書体を、それぞれが選択できることこそが、ユニバーサルデザインの本質です。この点は決して忘れてほしくないと思います。
以下メモ
ユニバーサルデザイン:すべての人を対象としたデザイン概念。
一般的な明朝体は、縦が太く横が細い。高齢者やロービジョン(何らかの原因により視覚に障害があり、日常生活に困難や支障が生じている状態)の方には読みずらい。また、はね、はらいの先がとがっていることで、視覚過敏の人にとっては、自分に刺さるように感じてしまう。
ゴシック体は読みやすいが、「山」の場合左の縦線の下にもゲタ(飛び出し)があるので、4画の漢字に見えてしまう。
「返」のようなしんにょうも、明朝体とゴシック体で計多角的なり、漢字学習者にとっては混乱のもと。
ディスクレシア(発達性読書障害)
学習障害に含まれるもので、視機能ではなく、脳の機能障害が原因。
文字を読む速度と、字形や音の正確さに問題がある。半面、知的能力には問題はない。読み書きが苦手なことで勉強全般が苦手に見えてしまう。結果が出ず勉強嫌いになってしまう。
多角的な評価軸をもって判断する。読み書きができなくても問題なく学べる「環境づくり」が必要。
平等:全員に同じ配慮をする
公平:一人一人にあわせた配慮をする
Posted by ブクログ
UDデジタル教科書体というフォントを作った人の物語。
フォント業界という、今までに触れたことのない職業の話は面白かった。
この本のフォント自体もUDデジタル教科書体になっており、小さい字でもよく安く感じた。
ディスクレシアやロービジョンについても理解が深まり、「合理的配慮」の重要性を学んだ。
Posted by ブクログ
著者のフォントへの熱意がすごい!
UDデジタル教科書体が世に出るまでの物語。
フォントデザインの歴史、ひとつのデザインを作ることの大変さ。
だけどものづくりへの情熱や人を巻き込む力、繋がっていく喜びはどんな仕事も共通だなと読んでて胸熱でした。オススメです!
Posted by ブクログ
小学校で特別支援教育に関わっている私にとって、ど真ん中の内容。
子どもと学習するときに、ディスレクシアの視点を頭に置いておきたい。
それから、どんなフォントにもデザインした人がいるんだと感じられて、まだまだすごくて知らない世界があるんだなぁと思った。
こんな風にフォントを開発した人がいるという事実だけで、心があたたかくなる。
・専門家による調査では、日本語話者の5〜8%がディスレクシアであるという報告がなされています。これが正しければ、1クラス(35人)のうち2〜3人の子どもは、読み書きに何かしらの困難を感じていることになります。
・そして普段の会話や理解力には問題がないだけに、ディスレクシアの子どもは「(やればできるのに)勉強のやる気がない子」「漢字が苦手な子」「読書が嫌いな子」といったレッテルを貼られがちです。
・障害は、人ではなく、社会にある。
・それぞれの人にとって見やすかったり、好ましかったりする書体を、それぞれが選択できることこそがユニバーサルデザインの本質です。
・ディスレクシアの子は、授業態度と回答に”違和感”があることが多い。例えば、授業は真面目に聞いていて発表もよくするのにプリントは空欄が多い。あるいは、口頭で質問すれば答えられるのにテストの点数が低い。こうした部分にできるだけ 目を向けて、多角的な評価軸を持って判断してもらいたいと思います。
Posted by ブクログ
これは気づきの多い本。素晴らしい。
真の意味でユニバーサルデザインを目指した「UDデジタル教科書体」フォントの開発物語。
文字が揺らいだり捻れたりして見えてしまうディスレクシア(発達性読み書き障害)の方が結構な割合でいるそうで、そういった方には既存のゴシック体や明朝体の視認が難しく、例えば「4」と「6」は見分けづらいとのこと。
冒頭で示されるこの事実に早くもハッとさせられる。
この本そのものがUDデジタル教科書体で書かれていて、率直に文字が読みやすいと感じた。
文字の読みやすさを感じた理由が示されていて、ただ大きくすればいいとか均一にすればいいということではなくて、太さ、止めや払い、手書きに近い自然な形、これらを構成する非常に微細な拘りなど、開発者の方の根気と執念と職人芸の一端が感じられて熱い。
また、ユニバーサルデザインをうたっているだけあって、デザイナーさんの独りよがりに陥らず、障がい者団体や学校の先生など、フォントを使う人の意見に真摯に耳を傾けてやり直しも厭わない姿勢に頭が下がる。
ふだんは何の意識もせずに使い分けているフォントにも開発者さんたちのいろんな想いが詰まっているんだなと感じた。
Posted by ブクログ
中心は著者の高田さんがフォント制作の世界に出会うところから、社会人人生をかけてUDデジタル教科書体を世に出すまでのお話。
UDはユニバーサルデザインの略。高齢者や障害のある方だけでなく、その他の方々含めた全員にとって使いやすいデザインを指し、バリアフリーとは明確に異なるということ今まであまり意識していなかったのではっとしました。
UDデジタル教科書誕生までの、奇跡のような人と人の出会い、そしてなによりその出会いを引き寄せた髙田さんの熱い思いには読んでいて心動かされました。
フォントはこれまでなんとなく選んでいましたが、細部まで様々な意図をもってデザインされていることを知って「すごい!面白い!」と感激する場面も多々ありました。これからフォントへの見方が変わりそうです。
Posted by ブクログ
興味深く読んだ。
どっぷりとフォントの話
最後はノウハウたっぷり
UDデジ教の欧文シリーズでは、4線を引けるというのが驚きの一番。
やってみたい!と思ったが、マイPCに欧文シリーズは入っていなかった、残念。
もちろんフォントの奥深さや、作成までの大変さ、筆者の熱い想いも詰まっていて、読んで良かった。
ちょっとズレた感想かもしれないけれど、一つのことを究め、携わり続け、こんなに語れる筆者が羨ましい。
Posted by ブクログ
著者がフォントデザイナーになるところからUDデジタル教科書体を開発しWindows OSに標準搭載されるまでの軌跡が描かれている。
自分の勤める会社ではしょっちゅう流行りの書体が変わり、なんなんだろうくらいしか思っていなかったが、本書を一気読みしてすっかりフォントデザインに興味を持ち、あらゆる文字を読むことが更に楽しくなった。
教育現場の文字に関することは特に目から鱗のことばかりだった。
ゴシック体と教科書体の違い(学校で習う画数)や、つきだしやうろこ、ハネの尖った部分がストレスになる子が居たり、色んな見え方をしてしまう子がいること。
そして特別支援学校では教科書の字がその子たちのために字を大きく写し直していたこと。
LD(学習障害)の一つであるディスレクシア(発達性読み書き障がい)は日本語話者の5-8%(35人のクラスなら2~3人程度)いるといわれていて、彼らは「読み書きが出来ない子」「やる気のない子」と思われることも多いが、UDデジタル教科書体の導入により、読めるようになった子も増えている。
学校の先生や教育関係者、行政の人にも本書はぜひ読んでほしい。
UDデジタル教科書体は結果的に高齢者や日本語学習者にも読みやすいと言われている。
高齢化、障害者差別解消法の施行などにより、UDゴシック体が広がってきているが、書体だけでなく、文字の並びや文字を表示させる技術などでもディスレクシアの子たちが文字を読みやすくなる可能性があるので、今後も研究していきたいとのこと。
新しいものを作り上げ認められるには、使用者の意見と検証に基づくエビデンスが重要であり、そこに辿り着くには人脈、熱意が不可欠ということも学べて、総じて勉強になった。
Posted by ブクログ
『奇跡のフォント』本題のUDデジタル教科書体の話の前に思い出話の章っぽいのが結構あるな、と目次を見て思ったら、この人の職歴がほぼそのまま国内デジタルフォント史を表しUDフォント史も表すものすごい作者で成立までも波瀾万丈で、想像以上に物に歴史ありのパワーを浴びました。感謝して使おう。
Posted by ブクログ
フォントも沼であると思いました
当然誰かがデザインされていて、商品として展開されてるわけですから、当たり前っちゃ当たり前なんですけど、解像度があがりました
学生の頃、フォントを変えられる機能に気づき、その効果については身を持って体験しています
フォント変えるだけで、助かった人はさぞ嬉しかっただろうなと思います
やはりテクノロジーは、人の活動の幅を拡げてくれますね
チャット等テキストベースのコミュニケーションに問題がある人には、一度おすすめしようと
思いました
Posted by ブクログ
近視や乱視は今でこそメガネで矯正できるが大昔は障害として分類されており大きなハンデや迫害対象だったはず。障害は広く認知+対策されて一般化されて社会に受け入れられる。前半は文字が視認できない障害をフォント変更で解決した良著。後半は自伝なので流し読み。
Posted by ブクログ
◾️ページ数 p237
◾️あらすじ
*ディスクレシア
文字を素早く正しく読むのが困難な障害
*ロビーション
ぼやけたり一部が欠けて見えたりする障害
書体デザイナーが教科書の読めない子ども達のために教科書体の開発をする物語。
↓↓↓
これからお話するのは、UDデジタル教科書体が誕生し、社会に広がっていくまでの軌跡の物語です。
「うちの教室にディスクレシアの小学生の男の子がいるんです。この子は上手く読めなくて「どうせおれには無理だから」っていつも途中で読むのを諦めていたんです。
ある時UDデジタル教科書体のことを知って教材のフォントを変えてみたんです。そしたら教材を見た瞬間その子が「これなら読める!おれバカじゃなかったんだ!」って。暗かった顔がぱあっと明るくなってその顔を見た時思わず涙がこみあげてきてしまって、スタッフみんなで男の子の周りに集まって泣いてしまいました」
男の子の話をきいたとき、私の心にさまざまな感情がどっとあふれ出てきて、思わず涙がこぼれそうになりました。障害は人ではなく社会にある。
どうか、ロビーションやディスクレシアの子どもたちが置かれている書体環境や困りごとにもっと目を向けてほしい。
社会には男の子と同じように文字が読めずに苦しんでいる子どもがまだまだたくさんいます。
思わぬきっかけからアイデアが生まれ、試行錯誤し、何度も形を変え、世に放たれ、一人の男の子に届けられたUDデジタル教科書体。
そんな奇跡的な出会いが一人でも多くの子どもたちに訪れることを願いながらこの物語のお話を始めたいと思います。
◾️この本を読んで抱いた感情
感動、けっこう大変そう
◾️感想
技術職だからもちろん色々大変で、フォントを作るにあたって色々な試行錯誤の上で世の中に出てきているんだろうとは思うけど、フォントにこんなにも情熱が注がれてたんだと改めて実感させられた。
文字が読めない障害(ディスクレシア)があることは知っていたけれど教科書が読めない子供がいる事を改めて知って、そういう子供たちが読める文字がUDデジタル教科書体だという事にすごく感動した。
このフォントがそういう子供たちの役に立つ字体だと言うことを世の中にもっと広まるといいなと思った。
Posted by ブクログ
教員という仕事柄、フォントについては気をつけて使用しています。UDデジタル教科書体を使うことが多いので、たいへん興味深く読み始めました。
現在では考えられないような、緻密で継続的に行わなければならない作業。ニッチな業界のため、なかなか新しいことがうまく進まない仕事。血の滲むような努力をされてきたことがよくわかりました。
ただ、興味を持っている私ですら後半の方はお腹がいっぱいになりましたし、私だけかもしれませんが本書のフォントが非常に読みづらかったです。
Posted by ブクログ
一つのフォントが出来上がるには、かなりの労力と情熱が必要なのだと興味深く読んだ。
例文をたくさん掲載してくれているので、少し線が太いとか、フォントの高さが不揃いの場合、文章がチラチラして読み難いのが視覚的に分かりやすかった。
ユニバーサルデザインとは…と考えさせられる内容。
Posted by ブクログ
諦念興味深く読みました。フォントがこんなふうに苦労の上開発されているということも驚き!とくに学校で使われるものは、字形にしても筆順にしてもよく考えられてるのですねぇ。
Posted by ブクログ
ただ、フォントを変えるだけで
教科書が読めなかった子が読めるようになる
その事実はまだまだ認知されていない。
5年ほど前、NPO法人EDGEの藤堂栄子さんの講演会で、ディスレクシアについて学んだことがある。
ディスレクシアの人達はフォントや背景の色などによって読めなかった文書が読めるようになる。
教育現場で早く認知されれば、学習障害だと思われてしまっている子ども達の未来が変わる…と思った。
今、ワープロで文書作成していたころには想像できないほど多くのフォントが使えるようになり、ICT教育も加速度的に進んだ。ようやくUDデジタル教科書体も一般的になってきたように思う。
この本は、フォントデザイナーの様々な苦労が記されている。
日本語のフォント作りがこんなに大変なことだとは想像していなかった。
美大の卒展などで、タイポグラフィの研究をしている作品を見かけることはあったけれど、アルファベットが多かったように思う。
ひらがな・カタカナだけでなく、漢字という気の遠くなる量のフォントを制作するのだから、当然だろう。
奇跡ともいえるUDデジタル教科書体の開発。
そこに想像を絶する多くの苦労があったことを知る。
ほんとに感謝だ。
私の職場では、見えにくくなった高齢者に拡大コピーをした文書を用意することがある。
ただ拡大しただけの明朝体やゴシック体では見えないと言われることがある。
でも、フォントをUDデジタル教科書体に変更することで、拡大しなくても見えると言われることがある。
教育現場だけでなく高齢者にとっても、UDデジタル教科書体は奇跡のフォントだ。
けれども、著者の高田裕美さんが書かれているように、書体を変えるだけではユニバーサルデザインにはならない。
文字サイズや行間、行の長さなど様々な要素を適切配慮すること。
つまり「届けたい人への思いやり」が大切なのだ
そんな思いやりにあふれたこの本。
やっぱり学校の先生に読んで欲しいな…
Posted by ブクログ
高齢者にも読みやすいユニバーサルデザイン(UD)のフォントを作ったのをきっかけに、視覚にハンデがある子供達も読みやすい教科書用のフォントを開発していく話。某YouTube チャンネルで紹介されていたのを見て購入。
開発者自身が、自分の来歴と共に開発秘話を語っているのだけど、著者の情熱が伝わってきて良き。UDフォントの存在は知っていたのだけど、教科書フォントというのがあるのは知らなかった。(まあ、考えてみれば、正しい形や書き順を学ぶために教科書があるのだから、読めれば字体が省略されていてもいいや、とはならないな。)
また、単に読みやすいと健常者サイドが考えるだけではなく、視覚障害者児童をサポートしている人たちの意見を聞いたり、本当に読みやすいのか、児童たちを集めて検証して、効果を確かめているのも良い。
自分の知らない世界で、情熱を持って仕事をしている人がいるというのを肌で感じられる本でした。
Posted by ブクログ
書体を変えるだけで、文章が読みやすくなるなんて全く考えたこともなかった。
自分のクラスにどれぐらい読むことに困難がある子がいるのか思いつかなかったが、35人学級で2〜3人の子がなっていると言われているディスレクシア。
読みにくい子の気持ちにもなって、プリントを作成するときにはUDデジタル教科書体を使おうと思う。
Posted by ブクログ
ユニバーサルデザインを意識した、誰にでも読みやすいフォントを追い求めた著者の話。著者のキャリアなどにはあまり興味が持てなかったが、一つのフォントを作るための調整や努力の話は興味深かった。この本の文章全体にUDデジタル教科書体が使われており、確かに手描き文字に近く読みやすいと感じた。
特に読字障害の子にも読みやすいのは子供の可能性を広げることに直結するため、このフォントが世に出て良かったと思った。