F・W・ニーチェのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
★感想/考察
・私が思うに本書には「神は死んだ」の深掘りというか、その言葉の意味が集約されているように思える。そして、界隈でオススメされた鋭いニーチェ本ということもあり、やはり適菜氏の訳は読んでいて爽快だ。まるでニーチェと対話しているような感じであっという間に読破した。ニーチェの話しかけるような訳の仕方は読んでいて、楽しかった。
そもそも、「神が死んだ」はこうじゃないか
・物事に絶対的な価値観はない
・常に自分の頭で考えろ
・キリスト教は弱者を演じ、人々を先導するフリをしてあらゆる決め事で人類をがんじがらめにする。だから邪教なのであり、アンチクリストでいるべきだ。
私の弱い頭で少し考えた。世の -
Posted by ブクログ
天才ニーチェによるキリスト教への挑戦。その名もまんまの『反キリスト教(Der Antichrist)』。
キリスト教の誕生まで歴史を遡り、仏教やイスラム教と比較し、数々の哲学者の言を引き…、徹底的に新約聖書の世界をこき下ろす!「キリスト教が世界をダメにする」「敵はキリスト教なり」が、最大の要点である。
敬虔なクリスチャンがこの本を読むとどんな反応を示すのだろうか。日本におけるキリスト教は「欧米で広まっているなんとなくいいもの」との認識が一般的だろう。そんな日本人に対して、「中身も見ないで『いいもの』なんて思うべきでない」、ニーチェはそう語りかけてくれている。
こんな本を翻訳したかった(笑)。 -
Posted by ブクログ
ニーチェの晩年の著作「アンチクリスト」を現代語にしたもの。
難しい哲学書かと思いきや、とても分かりやすく、また非常に引き込まれるスリリングな文体であった。
いわゆるニーチェの「キリスト教」批判であり、その矢は西洋の文明を作ってきた現実世界にはない「イデア」や「物自体」という概念を立てたプラトンやカントにも及ぶ。
キリスト教というのは弱者が復讐のためについた嘘によって成り立っている。
逆にニーチェは「マヌ法典」や仏教を高く評価する。
ニーチェが一貫して主張するのは「高貴に生きること」である。
意志の力を持つ自己を敬うことなのである。
ただしニーチェが批判したのは、イエス・キリストそのもの -
Posted by ブクログ
ニーチェが狂人となる前の最後の著作で、ある意味集大成ともいえる『アンチクリスト』の現代語訳版。「現代語訳」という発想もさることながら、その訳のクオリティも素晴らしい。ニーチェを新書感覚で読めるなんて時代も変わった。ニーチェのアフォリズムをここまで噛み砕き、(おそらくではあるが)原文と意味を違えないというのは本当にすごい。もはやあの文体による圧力は感じず、ニーチェが近所の口うるさいオッサンに思えてきて親近感が沸き、言ってる事のとんでもなさもわかりやすい。ニーチェはキリスト教を、ルサンチマンから生まれた卑屈な宗教で人間を駄目な方に導く、としてさらに、キリスト教は真理と逆のこと(ウソ)しか言わない、
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ネタバレ私は盲信への警告と受け取った。信仰の対象は宗教に限らないからだ。さて、本書のテーマは、どうすればより価値の高い人生を送ることができるか、であり、自分を肯定し物事をしっかり捉え誇りを持って実践せよ、が主張だろう。そして、今を精一杯生きるための力を削いでいる元凶としてキリスト教が徹底的に批判されている。現実を認められず逃げるために、様々な話や概念をでっち上げては現実の生を貶めたと。ここで、ニーチェはイエスとキリスト教を切り離して考えている。キリスト教は弟子(特にパウロ)が自分達の都合で書き換えたものであり、イエスが実践して示したことは何も残っていないと。この章が一番興味深かった。ちなみに比較的にま
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ぎるてぃ!。痛快なキリスト教批評。たぶん訳語調により読みやすい流れがあるためそう思う。世界3大宗教、一神教、という側面をもつ反面、イスラム教徒の違いは報復をしないこと、万人に対するアイデアルと教えられてきた。しかし、実際には、愛のためにか他教の攻撃には、反撃を行うことは証明された(本書の表紙の絵から暗示される)。そして、宗教を信ずる人たちは、一部の人の考え(司祭)の考えにより、すべてを左右されると言うこと。(正義・道徳・愛)これは宗教教義が信仰の基ではなく、為政者の塩飽により、動かされると言うことである。神とは何か?私は仏教徒であると主張はしないが、一神教、神がすべての基本になっていると言うこ
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Posted by ブクログ
ネタバレ「神は死んだ」という言葉で有名なドイツの哲学者、ニーチェの「アンチクリスト」の現代語訳。解説にあるとおり、終始知識人が難解な思想を大衆に開陳するという印象はなく、フランクな口語体で読者に迫って語りかけてくるような印象だった。キリスト教世界=精神病院、僧侶=寄生虫だとか。
個人的にはキリスト教と仏教の対比している箇所に感銘を受けた。キリスト教は最下層民が弾圧を受ける中で形成していった、常に敵を求める、人を堕落させる宗教で、仏教は温和な気候の土地で生まれ、中庸の立場や良い意味でのエゴイズム(問題を自分に引き寄せて考える)を説く、成熟された現実的な宗教だという。
そういえばローマ帝国が滅ん -
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ニーチェの「アンチクリスト」の現代語訳というか超訳ということである。ただこの新書を語るときには、まず、原作よりも翻訳のあり方について語らねばならないだろう。
所詮、「日本語訳」を読むのだから意訳はどうしても必要と思う。原書に忠実?に直訳されても、おそらく自分ら一般人には理解が難しい。ただ、この書のような超訳はどうかという話である。
試しに近くにあった白水社「ニーチェ全集」(西尾幹二訳)の「アンチクリスト」のページをめくると、荘厳で詩的な調べのおそらく忠実に翻訳されたニーチェの言葉として記されている。また、そうであるが故に散文調の哲学的言い回しで(アフォリズム)、日本語文としては・・・という状態