清水良典のレビュー一覧
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ネタバレ解説によると、新しい思想、文化の出現、私生活での千代夫人をめぐるトラブルなど、谷崎にとって大正期(関東大震災まで)は試行錯誤の時期だった。
理想の芸術の実現を目指す「金色の死」、撮った覚えのない映画にまつわる「人面疽」、学級を支配する生徒についての政治的な「小さな王国」、6ページに及ぶ足の描写にあっけにとられる美脚賛歌「富美子の足」、探偵との会話によって次第に真相が明らかになる「途上」など、いろいろなタイプの作品が収録されているが、どれも後の作品に通じる要素を含んでいる。(一見まじめに思える人物が、急に変貌する(正体を現す)というのもそのひとつ) -
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・書くことは、「新しい自分をつくる」こと。
→自分という人間を見つけなおし、言葉によってつくりなおすこと。
・活字まみれの時代の「自分づくり」。
→他人の書いた文章にたえまなく侵食されていて、「自分の」境界が保ちにくい。自分が何をどう感じ、何を考えているのかが、はっきりしなってくる。そんなとき「自分」を確かめる一番の方法が、文章を書くこと。書くことによって、一個の考えを持った「自分」がはじめて生まれる。
・読んだ本や文章からお気に入りの部分を抜き出して、ノートに書き写す
→見本にしたい文章のモデルを集める。自分の感性に忠実に。書き写す分量は、1-10行程度で充分。感動しただけでなく、わからない -
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7篇収録の短篇集。
「金色の死」は江戸川乱歩の「パノラマ島綺譚」に似ているなと思った。実は逆で、江戸川乱歩が「金色の死」に影響を受けて「パノラマ島綺譚」を書いたとのこと。理想の美を具現化すると気味が悪い。私はディズニ―ランドにも同様の気味の悪さを感じていて自分がおかしいのかと思っていたが、解説ではずばりその点について指摘されていて安心した。ディズニ―ランド大好きな人が多いのであまり大きな声では言えないけれど。
「富美子の足」の足フェチぶりはおもしろい。富美子の足の素晴らしさについて滔々と語られる。そんなに良いのか、足が。
「小さな王国」は世にも奇妙な物語的で印象に残る。謎の転校生が学校内 -
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Posted by ブクログ
分かりやすく、押し付けがましくない。
実際、著者のゼミで講義を受けているような気分になりながら充実した時間を過ごせた。
書き続ける事、ブレない小説観を持つ事等、小説を書く上で重要なエッセンスが書いてあった。
個人的には『自分のあるべき小説観が定まっていない人は目先の利潤追求に陥りやすい』という所から、書きたい、自分の書いたものを人に読んで貰いたいという当初の純粋な欲求を忘れがちになるんだという事を感じた。
小説を書く以上、対象となる読者がいて勿論、書き手はある程度対象を意識せざるをえないけれど、完全にのまれてしまっては本末転倒なのだとか、自分がその時はイケてる!と思って使った言い回しや文句なん -