永吉希久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リベラル左派の人たちはしばしば「ネット右翼はきっとこんな人間だろう」と語るが、それは多くの場合、色眼鏡を通した思い込みにすぎない。
また、ネット右翼とオンライン排外主義は混同されがちだが、実際には両者の間に微妙な違いがあり、その区別を曖昧にしたままでは現状を正確に把握することはできない。
本書は、平成以降の政治や社会の動きを背景に、ネット右翼がどのように生まれ、どのような人々が共鳴し、どのように影響力を増してきたのかを丁寧にまとめている。
私自身、これまでネット右翼の人々についてぼんやりとした印象しか持っていなかったが、この本を読むことで、彼らがどのような理屈や背景から右翼的な思想へ傾いて -
Posted by ブクログ
日本の移民は、永住する意図を持ってきた人物となっているが実際は流れで居ついているケースがほとんどでこの定義は使えず、単に生まれた国から移り住んできた人とする。
短銃労働者の受け入れのサイドドアは在留者/3世までの日系人、技能実習生である。
日本の移民労働者は、明確に経済に労働者の置換ている様子はなく、日本人がいない、3Kでやりたくない労働力を埋めていると考えている。一方安い労働力は資本投下を遅らせ、競争力のない企業を生き残らせることを示唆するデータもある。
より問題として取り上げているのは、移民の社会への包摂である。それがうまくいかない限り、一時的な労働力の供給にとどまり、日本が選ばれることは -
Posted by ブクログ
複雑な要因が絡む移民問題を、丁寧かつできる限り網羅的に分析しようとした良著だと感じた。
特に、移民の増加による治安や文化への影響については、諸外国のセンセーショナルなニュースを見るうちに、自身も少なからずネガティブなイメージを持ってしまっていたが、客観的なデータを無視した一面的な見方による偏見であったことを痛感した。
少子化やグローバル化が進む日本において、移民・難民の受け入れは避けられないだろう。筆者が言うように、多様化のプロセスで顕在化する問題を「移民問題」にすり替えることなく、我々の社会に潜在していた問題として議論をしていくことが大切である。 -
Posted by ブクログ
移民と受け入れ社会の関係・影響について、国内外の公的データや先行研究をもとに紹介してくれる一冊。
全体として、日本において「移民」について公的なデータが不足しているのだなということを感じました。そもそも政府が「移民政策はとらない」ということなので、「移民」の定義も存在しないため、各省庁等がとっている統計も定義がばらばら、切り口もばらばらなのかなぁと。
きちんと事実に基づいた議論や客観的な国際比較をするためにも、まずは公的統計でさまざまな実態をきちんと掴めるように、定義や統計の取り方を統一したほうが良いのではないかと思いました。
移民にかかわる問題(と思われている問題)は、移民の人たちが来た -
Posted by ブクログ
卒論の参考文献の1つを、4年ぶりに再読。
移民受け入れ推進を肯定的に捉えている著者が、受け入れ推進のメリットを主張するために定量データを用いて論考している。
自身にとって都合の悪いデータを持ってきていないのが気になるが、文章に筋は通っている。
いまは日本でものクルド人や中国人問題がよく取り上げられるようになり、社会問題というより移民問題として認識せざるを得ない状況に思えてくる。
日本人により形成されていたことでバランスが保たれていた社会が、市民統合が進みバランスが崩れつつある。
これを、市民統合を推し進めるという風潮を作り出した社会問題と捉えるか、移民に原因がある移民問題と捉えるか。
社