あらすじ
愛国的・排外的な思考をもち、差別的な言説を流布させるネット右翼。その書き込みを目にするのは日常生活の一部になった。しかし、ネット右翼の実態はわかっておらず、断片的な情報やイメージに基づく議論も多い。
ネット右翼とは何か、誰がネット右翼的な活動家を支持しているのか――80,000人規模の世論調査、「Facebook」、botの仕組みなどを実証的に分析し、インターネット文化の変容と右翼的言説の関係もあぶり出す。
ネット右翼の実態を多角的に解明して、手触り感があるネット右翼像を浮かび上がらせる。
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Posted by ブクログ
リベラル左派の人たちはしばしば「ネット右翼はきっとこんな人間だろう」と語るが、それは多くの場合、色眼鏡を通した思い込みにすぎない。
また、ネット右翼とオンライン排外主義は混同されがちだが、実際には両者の間に微妙な違いがあり、その区別を曖昧にしたままでは現状を正確に把握することはできない。
本書は、平成以降の政治や社会の動きを背景に、ネット右翼がどのように生まれ、どのような人々が共鳴し、どのように影響力を増してきたのかを丁寧にまとめている。
私自身、これまでネット右翼の人々についてぼんやりとした印象しか持っていなかったが、この本を読むことで、彼らがどのような理屈や背景から右翼的な思想へ傾いていくのかを知ることができた。
日頃から偏見で人を判断しないように意識している者として、この本は読む価値のある一冊だったと思う。
ネット右翼の主張に賛同するわけではないし、立場としては相容れないものも多い。
それでも、彼らを少しでも理解しようとすることで、以前よりもフラットな視点を持てるようになったと感じている。
なお、本書は2019年に刊行されたものである。
それから6年が経った2025年の現在、世界各地で極右的な動きが強まり、日本でも参政党がTikTokを活用し、排外主義的な言説を入り口として幅広い世代を取り込みつつある。
もはや、2019年当時とは状況が大きく変化していると言ってよい。
だからこそ今、TikTokと参政党の登場が世論形成にどのような影響を及ぼしたのかを、改めて1冊の本としてまとめてほしいと感じる。
Posted by ブクログ
ほとんど新しい発見はなかった。ただ、この本に書かれている結果だけを先にネットや何かで知らせてもらっていたからだと思う。このような地道な調査をしてくださる方がいて、その結果を教えていただけることはありがたいことだと思う。