清水洋のレビュー一覧
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新書のお手本みたいな本でした。小難しい話はなく、平易な言葉で説明してくれる。内容も平易になりがちですが、それでもポイントや大きな流れがちゃんと表現されていて、飽きずに読み進めることができました。
スキルがアップデートされていないシニアが経営判断をすると、組織の時が止まりがち、残念なことになりがち。けど、誰もがシニアになるわけで、自分のスキルを陳腐化させるリスキリングを意識していこうと思いました。今も昔も、常に新鮮な意識で勉強し成長するだけという、何ら新しい話ではないですけどねw
属性の多様性よりも、知識と経験の多様性の方がイノベーションには重要という話は、私の中では昨今の反DEIの動きと相まっ -
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イノベーションは、現状をより良くしようという工夫から生まれる。産業革命期のイギリスでは、高騰した労務費を抑えるため自動機械が開発された。高度経済成長期の日本では、高価なエネルギーコストを抑えるため省エネ技術が磨かれた。
イノベーションには2つのリスクがある。
1つ目は、イノベーションを実施する人が抱えるリスク。イノベーション技術の開発は、不確定要素が大きく、失敗に終わることが多い。
2つ目は、イノベーションによって既存技術が陳腐化するリスク。イノベーションは新たな仕事を生むが、その職に就くのは新規参入者であり、従来従事者はただ失業し、不幸になることが多い。
イノベーション(発明) -
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創造的破壊という日本語を持つイノベーション、わかっているようでわかっていないこの言葉の持つ意味がするする頭に染み込んで来るような良書でした。とにかく文章がやさしく章立てがスムーズですぐ読めます。なのに視点が新鮮でインパクトも大きかったです。それは書名にあるように創造的破壊を「創造する人」「破壊される人」と因数分解をしているところです。分解だけではなく、それぞれのサイドの「人」に寄り添っているところもやさしく感じる要因なのかもしれません。あとがきにありますが「イノベーションって、幸せにつながるのですか?」という学生からの質問がきっかけで生まれた本だというところがこの読後感の秘密だと思いました。特
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イノベーションによる破壊のリスクについての議論は参考になった。日本とアメリカのイノベーションに対する取り組みの違いの説明も参考になった。
イノベーションは破壊する側と破壊される側があり、破壊される側のダメージは短期的で致命的なのに比べ破壊する側の効果は長期的にゆっくりと社会全体に波及する。その時間的差異が抵抗を生むとしている。イノベーションにはラディカルイノベーションと累積的イノベーションがあり、調整型の国の日本では、リベラル型社会のアメリカなどで起こっているラディカルイノベーションを目指すのは難しく、累積的イノベーションを継続的に行って破壊される側のダメージを分散されるべきだとしている。 -
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【イノベーションとは目指すものというよりも、あくまでも課題解決の結果です。イノベーションを起こすことが目標になるということ自体、本末転倒ぎみです】(文中より引用)
すっかり巷間に定着した「イノベーション」という言葉。その光と影に焦点を当てつつ、イノベーションの生態について掘り下げた一冊です。著者は、日本人2人目となるシュンペーター賞を受賞した清水洋。
イノベーションという現象が具体的にどういうことなのかを説明するとともに、どういった影響を与えていくのかが非常にわかりやすく示された作品でした。普段何気なく使ってしまう・目にする言葉だからこそ、その実際のところを知ることは有益だなと再確認。
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<目次>
はじめに 野生化するイノベーション
序章あなたがスレーターだったらなら旅立ちますか
第1章イノベーションとは何か
第2章企業家がなぜ必要なのか
第3章3つの基本ルール
第4章イノベーションをめぐるトレードオフ
第5章イノベーションはマネジメントできるか
第6章成長を停滞させた犯人な誰か
第7章日本人はイノベーションに不向きなのか
第8章閉じ込められるイノベーション
第9章野生化と手近な果実
第10章格差はイノベーションの結果なのか
終章野生化にどう向き合うか
あとがき イノベーションと幸福
p36イノベーションとは、経済的な価値を生む出す新しい
モノゴト
p82 -
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「野生化するイノベーション」というタイトルは、“もともとイノベーションって野生でしょ?”と考えている向きには何だかピンと来ないタイトルだと思う。そういう意味であまり期待せずに読み始めたのだが、良い意味で予想を裏切る本であった。
まず著者自身、この企画は「イノベーションの歴史を書いてみませんか?」という新潮編集者の誘いに応じたとあるように、イノベーションの歴史や経済史の近年の知見(例えばジョエル・モキアの仕事など)がふんだんに取り入れられている。これはポイントが高かった。経済史や経営史のゼミなどで輪読するのにはちょうど良い感じである。
第一部はイノベーションとは何かについての説明が丁寧。とく -
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ネタバレイノベーションには創造と破壊の両面がある。破壊の例はラッダイト運動。
アメリカは、国防費がイノベーションの下支えをしているが、日本にはこれがない。
新しいことで、経済的な価値があること、がイノベーションの条件=社会的余剰が増える必要がある。特許だけでは、経済的な価値がわからない。
新しい製品やサービスだけでなく、生産方法、新たな市場、供給源、産業構造などもイノベーションの対象となる。
わずかな改良でも、累積的にイノベーションになる=インクリメンタルイノベーション。
試行錯誤をすると失敗も増える。失敗を共有する仕組みがないと、失敗が活かされない。
創造の恩恵と破壊のダメージには、時間的な差異が -
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ネタバレバズワードとなりがちな「イノベーション」に対し、学術的知見を用いながら、その特徴や現状をまとめた一冊。その不確実性故に、つかみどこのない議論となりがちなイノベーションであるが、本書ではイノベーションに以下のような定義を付与している。
「イノベーションとは、簡単に言えば、「経済的な価値を生み出す新しいモノゴトです。大切なのは、「経済的な価値」と「新しい」という二つの要素です。」(p.36)
つまり、単に「新しい」だけではなく、そこに「経済的な価値」が生み出されてようやく、イノベーションと言えるのである。
上記の定義のもと、著者はイノベーションにおける特徴として、「移動する」「飼いならせない」「破 -
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ネタバレイノベーションについて、人の観点から検討。想像のみならず破壊される側についてもちゃんとフォーカスした本とのこと。創造する人、破壊される人の特徴とは。抵抗と格差を縮小するには
メモ
・創造する人と破壊される人にはそれぞれ特徴がある
・創造の恩恵は浸透に時間がかかり、破壊のダメージは短期間に局所的に出る
・リスクシェアの仕組みをアップデートする
・経済学的に、需給曲線の変化でイノベーションを説明可能。プロダクトイノベーションによる需要曲線の変化、プロセスイノベーションによる供給曲線の変化
・創造性が高い人のパーソナリティ
開放性、外向性、協調性、誠実性、神経性
・ポーターの参入障壁7つ
規 -
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本書は、イノベーションの考え方の基本を考えるために書かれたものとのことであり、初歩的な知識は得られたと思う。
・プロダクト・イノベーション:製品やサービスそのものを革新するもの
・プロセス・イノベーション:製品やサービスを生産する工程の革新
・初期はプロダクトイノベが多く生み出されるが、ドミナント・デザイン(同じような製品が増えてくる中で、支配的な製品やサービスの設計が現れること)が成立すると、プロセスイノベが増える。
・PPMで考える(負け犬、問題児、、カネのなる木、花形)。
・アンゾフの成長マトリックス(市場浸透、新市場開拓、製品開発、多角化)
・イノベーションを生み出す人は、アントレ -
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日本では失われた20年といわれ、経済的に停滞する一方で、米国、中国では主にデジタル技術を活用したイノベーションにより飛躍的に成長する企業が生まれてきた。経済成長が全てではないかも知れないが、少なくともプライマリーバランスの赤字を上回るくらいのGDP成長は必要だろう。低成長からの脱却のため、あるいは社会課題の解決のため、国も企業も個人も渇望するのがイノベーションである。
本書は三部構成。第一部は基礎知識として、イノベーションの歴史、社会制度的な背景、イノベーションを仕組み化するための最近の研究を説明する。第二部では、日本のイノベーションに関する研究。世間一般に言われるように、日本人は改善型イノ -
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これからの日本のイノベーションを考える上で、踏まえるべきことは何か?
経営資源(ヒト・モノ・カネ)の流動性という観点からイノベーションの歩みを検証し、向き合い方を考えた書籍。
産業革命は、個人の発明家や企業家が牽引した。つまり、イノベーションは組織的に生み出されてきたわけではなく、元来イノベーションは極めて野生的なものであった。
20世紀に入ると、米国の大企業は研究開発機能などを内部化し、自社でイノベーションを管理し始めた。だが、本来は野性的であるイノベーションを「飼いならす」のは難しい。
そのため近年、企業はベンチャー・キャピタルを設立するなど、イノベーションが生まれやすい環境を整える方