清水洋のレビュー一覧

  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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    イノベーションの負の側面について、わかりやすく語る本。日本とアメリカの解雇のハードルの違いから、リスクを会社がとるor自己責任の違いが生まれているのが興味深い。日本で働く一中堅労働者として、どう自分の仕事をリスキリングするか、考え方のヒントが得られた。自分の今まで積み上げた強み価値を無力化する方向でのリスキリング、頑張ってみようと思う。

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    2025年11月19日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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    新書のお手本みたいな本でした。小難しい話はなく、平易な言葉で説明してくれる。内容も平易になりがちですが、それでもポイントや大きな流れがちゃんと表現されていて、飽きずに読み進めることができました。
    スキルがアップデートされていないシニアが経営判断をすると、組織の時が止まりがち、残念なことになりがち。けど、誰もがシニアになるわけで、自分のスキルを陳腐化させるリスキリングを意識していこうと思いました。今も昔も、常に新鮮な意識で勉強し成長するだけという、何ら新しい話ではないですけどねw
    属性の多様性よりも、知識と経験の多様性の方がイノベーションには重要という話は、私の中では昨今の反DEIの動きと相まって考えさせられました。

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    2025年04月25日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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     イノベーションは、現状をより良くしようという工夫から生まれる。産業革命期のイギリスでは、高騰した労務費を抑えるため自動機械が開発された。高度経済成長期の日本では、高価なエネルギーコストを抑えるため省エネ技術が磨かれた。

     イノベーションには2つのリスクがある。
     1つ目は、イノベーションを実施する人が抱えるリスク。イノベーション技術の開発は、不確定要素が大きく、失敗に終わることが多い。
     2つ目は、イノベーションによって既存技術が陳腐化するリスク。イノベーションは新たな仕事を生むが、その職に就くのは新規参入者であり、従来従事者はただ失業し、不幸になることが多い。

     イノベーション(発明)が最も多く産まれるのはアメリカである。イノベーションが不調に終わった場合、新興企業では投下資本のみが失われる。大企業では新事業の従事者が解雇となる。いずれも経営者のリスクは限定的であり、イノベーションを追求しやすい環境にある。
     イノベーション(改良)が起きやすいのは日本やドイツである。日本の会社は従業員の解雇が難しいので、リスクのある新技術領域への参入は消極的である。しかし既存事業では熟練技術者が改良を加え続け支配的な力を得る。

     アメリカでは単一事業に特化した会社が多い。これは投下資本に対し、事業の効率を最大化した結果である。一企業では業績の変動は激しいが、資本家は投資先を複数分散してリスクヘッジをしている。
     日本は複数事業を持つ会社が多い。これは従業員を解雇できないため、社内で事業のリスクヘッジをした結果である。
     こういった背景のため、会社の成長力はアメリカ型が強く、会社存続の安定性は日本型が強くなる。投資家の目線ではアメリカ型が優れるが、従業員の立場では日本型の方が幸せなのかもしれない。

     イノベーションは良くも悪くも発生し、現在の仕事はいつか必ず陳腐化する。その時、ただ波に飲まれて失職し不幸にならないための努力が必要である。
     努力をするなら、現在の自身の仕事を陳腐化するイノベーションを発明することを考えるのが良いとのこと。そうすると、現職の知見を活かしつつ、新しい技術も身につける環境に身を置けるためである。

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    2025年04月08日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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    創造的破壊という日本語を持つイノベーション、わかっているようでわかっていないこの言葉の持つ意味がするする頭に染み込んで来るような良書でした。とにかく文章がやさしく章立てがスムーズですぐ読めます。なのに視点が新鮮でインパクトも大きかったです。それは書名にあるように創造的破壊を「創造する人」「破壊される人」と因数分解をしているところです。分解だけではなく、それぞれのサイドの「人」に寄り添っているところもやさしく感じる要因なのかもしれません。あとがきにありますが「イノベーションって、幸せにつながるのですか?」という学生からの質問がきっかけで生まれた本だというところがこの読後感の秘密だと思いました。特に第5章 アメリカ型をマネするな 第6章 自己責任化する社会 第7章 創造と破壊のためのリスク・シェアというエンディング三連発は「イノベーションの科学」というより「イノベーションの社会学」と言ってもいいような論旨でした。このインスパイア、なにかに繋がりそうです。

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    2025年03月29日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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     イノベーションによる破壊のリスクについての議論は参考になった。日本とアメリカのイノベーションに対する取り組みの違いの説明も参考になった。
     イノベーションは破壊する側と破壊される側があり、破壊される側のダメージは短期的で致命的なのに比べ破壊する側の効果は長期的にゆっくりと社会全体に波及する。その時間的差異が抵抗を生むとしている。イノベーションにはラディカルイノベーションと累積的イノベーションがあり、調整型の国の日本では、リベラル型社会のアメリカなどで起こっているラディカルイノベーションを目指すのは難しく、累積的イノベーションを継続的に行って破壊される側のダメージを分散されるべきだとしている。破壊の責任は破壊される側にあると言った 自己責任という考え方に対しては疑問を呈し、包摂的な社会を志向思考した考えを示しているとともにリスクシェアの仕組みについて様々な提言を行っている。

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    2025年02月17日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    (イノベーション等の)ビジネス史を広く取り扱う著作はある種のロマン的な物語や悲喜劇が散見されるのでエンタメとしても楽しめるものが多いように思うが
    表題や装丁からはかなり学術寄りに見えていたので敬遠気味だった。

    研究対象としての扱いの難しさもあり、銀の弾丸としてのイノベーションの確立には困難を伴うが
    イノベーションの歴史にまつわるストーリーをたどりながら、野生化という主題を追う形で議論が確と進められている。


    新潮選書はほどほどに骨太でありながら読み進めるに苦がない作品が多い印象。

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    2023年04月29日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    【イノベーションとは目指すものというよりも、あくまでも課題解決の結果です。イノベーションを起こすことが目標になるということ自体、本末転倒ぎみです】(文中より引用)

    すっかり巷間に定着した「イノベーション」という言葉。その光と影に焦点を当てつつ、イノベーションの生態について掘り下げた一冊です。著者は、日本人2人目となるシュンペーター賞を受賞した清水洋。

    イノベーションという現象が具体的にどういうことなのかを説明するとともに、どういった影響を与えていくのかが非常にわかりやすく示された作品でした。普段何気なく使ってしまう・目にする言葉だからこそ、その実際のところを知ることは有益だなと再確認。

    コダックと富士フィルムの話は目からウロコでした☆5つ

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    2021年09月28日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    <目次>
    はじめに 野生化するイノベーション
    序章あなたがスレーターだったらなら旅立ちますか
    第1章イノベーションとは何か
    第2章企業家がなぜ必要なのか
    第3章3つの基本ルール
    第4章イノベーションをめぐるトレードオフ
    第5章イノベーションはマネジメントできるか
    第6章成長を停滞させた犯人な誰か
    第7章日本人はイノベーションに不向きなのか
    第8章閉じ込められるイノベーション
    第9章野生化と手近な果実
    第10章格差はイノベーションの結果なのか
    終章野生化にどう向き合うか
    あとがき イノベーションと幸福

    p36イノベーションとは、経済的な価値を生む出す新しい
     モノゴト
    p82知識が、実験や観察によって生みだされるというのは
     18世紀に入るまでは宗教の概念があるためふつうでは
     なかった、それこそイノベーション
    p127トータルエコノミーデーターベース、経済成長の要因を、
     労働の投入量、資本の投入量、全要素生産性(tfp)の
     3つに分けて考える、さらに労働を質と量で分ける、
     (これでイノベーションが起こった状況を把握する)
    p225(この本のまとめは)ヒト、モノ、カネといった
     経営資源の流動性が上がっていくと、イノベーションの
     破壊的な側面が強くなる(野生化)が進む

    破壊したいのか、破壊されたのか、代替えされて
    しまったのか、イノベーションはデジタルな技術革新にしか
    いないのか。。。
    野生化する、破壊するのは、経営資源の流動化にある
    と書いていあるが、それに加えて情報の流動化も
    イノベーションの野生化にかかせないものであろう。
    情報こそ流動化しやすいので、イノベーションはもっと
    野生化しやすくななるのだ。

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    2021年08月12日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    これはビジネス系の本の中では久しぶりに超面白かった。
    さすが、神戸大学の忽那先生の推薦。
    イノベーションの歴史、イノベーションの生まれるメカニズム、イノベーションの及ぼす影響など、短いながらいろいろな角度からイノベーションを論じている。

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    2021年01月11日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    「野生化するイノベーション」というタイトルは、“もともとイノベーションって野生でしょ?”と考えている向きには何だかピンと来ないタイトルだと思う。そういう意味であまり期待せずに読み始めたのだが、良い意味で予想を裏切る本であった。

    まず著者自身、この企画は「イノベーションの歴史を書いてみませんか?」という新潮編集者の誘いに応じたとあるように、イノベーションの歴史や経済史の近年の知見(例えばジョエル・モキアの仕事など)がふんだんに取り入れられている。これはポイントが高かった。経済史や経営史のゼミなどで輪読するのにはちょうど良い感じである。

    第一部はイノベーションとは何かについての説明が丁寧。とくに第三章の基本的ルールの説明が重要だと思うが、そこのところが丁寧なのは良かった。

    第二部は戦後日本経済のイノベーションの歴史を辿りながら、常識を覆すような知見もふんだんにあり、もっとも興味深かった。

    そして、第三部がラディカルなイノベーションを推進するために流動性を高めること(例えば規制緩和などの自由化政策)は重要だが、そこには大きな陥穽も潜んでいることが的確に指摘されている。最後にポランニーの『大転換』を引用しているのには、おっ!と思った。おっしゃる通り、ポランニーは重要である(笑)。

    やや褒めすぎたかもしれないが、一読をお勧めしたい。

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    2020年11月01日
  • 研究開発の考え方

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    ネタバレ

    書店で見かけて気になり、ソニーの研究所統括の方が書かれたということもあり、手に取った。
    基本的な内容を体系立てて記載している印象で、これまで研究開発に従事していた人が、マネジメントする立場になるにあたって頭に入れておくと良い内容かと思う。基本的な内容が多いので若干の物足りなさはあるかもしれないが、各章にさらに読むべき図書のリストアップもあり有用と感じた。個人的にポートフォリオマネジメントに関連する章が参考になった。

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    2025年12月18日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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    イノベーションには創造と破壊の両面がある。破壊の例はラッダイト運動。
    アメリカは、国防費がイノベーションの下支えをしているが、日本にはこれがない。
    新しいことで、経済的な価値があること、がイノベーションの条件=社会的余剰が増える必要がある。特許だけでは、経済的な価値がわからない。
    新しい製品やサービスだけでなく、生産方法、新たな市場、供給源、産業構造などもイノベーションの対象となる。
    わずかな改良でも、累積的にイノベーションになる=インクリメンタルイノベーション。

    試行錯誤をすると失敗も増える。失敗を共有する仕組みがないと、失敗が活かされない。
    創造の恩恵と破壊のダメージには、時間的な差異があり、これが抵抗を生み出す。リスクを共有する仕組みが必要。

    天才は遺伝的ではないが、子供の頃の知能はおとなになっても差異は生じる。特に、空間認識能力の結果が将来の差異になる。
    イノベーションを企図する人は行動の特性がある。
    スタートアップに移民が多いのは、伝統的な仕事に排除されることが多いから。
    カリスマ性は、イノベーションの創造とは相関がない。

    新規性が高い技術は、結果的には失敗に終わることがほとんど。注目されないので目にすることはない。
    累積的なイノベーションが多数の会社で起きると、社会全体の生産性が上がる=帆船効果。

    賃金の上昇とエネルギー価格の低下は、イノベーションのきっかけになる。

    中国のWTO加盟で、世界中で中国製品の輸入が拡大した。アメリカの製造業が低迷した理由。
    自動化は一時的には雇用を減らした。最終的には、競争力がつくため雇用は増える。しかし同じ人ではない。

    1969年に郵便番号の読み取り区分機の導入を巡って、新宿湯びんきょく前で座り込み運動がおきた。仕分けのスキルが不要になる。

    蒸気機関が生み出されると、水車の性能も向上した。電球の登場でガス燈に進歩があった。ハイブリッド車の登場でガソリン車の燃費がよくなった。=帆船効果。蒸気船の登場で、帆船も進歩したことに由来する。

    イギリスの産業革命は、ギルドの力が弱くなっていたことも原因。機械の打ちこわしは死刑になった。
    既得権益者が政治と結びついた政府を収奪的な政府と呼ぶ。ロビー活動などで、既存利益を維持しようとする。
    戦後の日本は、企業内の配置転換があったため、イノベーションに対する抵抗運動は起きなかった。終身雇用と年功序列は戦間期に生まれた。自分の所得を上げるには会社を成長させることしかない。雇用保護が強く、労働組合は企業別で企業と利害が一致している。
    経済が成長していれば創造的破壊の抵抗が少なくなる。

    リベラル型と調整型の社会=リベラル型では市場メカニズムが資源配分を行う。調整型では組織が役割を果たす。リベラル型は、雇用保護が弱く解雇が行われるが、新しい仕事も見つかる、調整型では配置転換が行われる。

    調整型は、社内に失業者を抱えるため、撤退や新陳代謝が遅れる。停滞からの回復は穏やか。解雇が難しいので専門性を持つ人材の採用はためらう。高い専門性よりも高い潜在能力を求めるため、偏差値の高い大学卒の人材を求める。累積的なイノベーションが起きやすい。
    リベラル型は、整理解雇が容易。撤退も容易。回復が早い。専門性を求める。ラディカルなイノベーションと相性がいい。

    新規性の高いイノベーションは、そのままでは使い物にならない。必ず累積的なイノベーションを伴う。
    人工知能は1956年にはアイデアはあった。自動運転も1978年のABSが始まり。
    T型フォードの時代は、馬車、電気自動車、蒸気機関などの車が競争していた。T型フォードによって、内燃機関がドミナントデザインになったが、永遠には続かない。熟成すると、ラディカルなイノベーションが出現する。

    所得を正確に把握することは難しい。
    社会階層の移動は、ヨーロッパよりもアメリカのほうが難しい。
    アメリカのスタートアップの急成長は、雇用保護の弱さにも一因がある。
    労働組合のちからが低下している。強制仲裁を保証する代わりに、企業に訴訟を起こす権利を放棄させる契約が慣例となっている。企業側が強制仲裁する機関を選べる。
    ドイツでは、労働組合が雇用の保護とリスキリングを求めた。
    歴史的に見ると、戦争は格差を縮小させた。
    アメリカは国防費が研究開発型のスタートアップを支えている。日本では同じことはできない。表面的な模倣は意味がない。
    リスク分散は、投資家のポートフォリオの中で行われ、企業には領域に集中することを求める。これがスタートアップを支える。
    人的資本は分散させることはできない。スキルが破壊するリスクは個人が背負うことになる。日本では、企業が多角化して配置転換のリスクを追っている。賃金が上がりにくいが、保険料を払っているようなもの。グローバル企業との競争では不利。

    責任とは、他者を助ける個人の義務のことだった。今は自分で自律し、それを怠ったときの結果を引き受ける、意味に変わっている。

    経済成長は、幸せに暮らすためには必要。パイが大きくならなければ、困った人に再分配する原資がなくなる。

    ベーシックインカムや負の所得税は格差を是正できるか。
    アメリカのスタートアップは比較的恵まれた家庭に育ち、学歴も高い。およそ70%が既婚だった。配偶者もキャリア志向で共働きの割合が高い。
    付加価値配分計算書を作ったらどうか。
    人手不足はイノベーションのチャンス。

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    2025年03月31日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    イノベーションの負の面まで明確明瞭に解説してくれている。読んだからと言ってイノベーションをポンポン出せるわけではないが、先々の障害や注意点まで気が回りそう。最後半の規制の話がいちばん印象的。良書。

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    2021年11月09日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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    バズワードとなりがちな「イノベーション」に対し、学術的知見を用いながら、その特徴や現状をまとめた一冊。その不確実性故に、つかみどこのない議論となりがちなイノベーションであるが、本書ではイノベーションに以下のような定義を付与している。
    「イノベーションとは、簡単に言えば、「経済的な価値を生み出す新しいモノゴトです。大切なのは、「経済的な価値」と「新しい」という二つの要素です。」(p.36)
    つまり、単に「新しい」だけではなく、そこに「経済的な価値」が生み出されてようやく、イノベーションと言えるのである。
    上記の定義のもと、著者はイノベーションにおける特徴として、「移動する」「飼いならせない」「破壊する」の3つを挙げている。ざっくりまとめると、イノベーションとは「ヒトを介し、機会のある市場に自ら移動する特徴があり、故にマネジメントによって生み出されるようなものではない。また、便益のみをもたらすような代物でもなく、時に労働を代替することにより、失業などの問題を生み出す、破壊的な側面も持ち合わすものである」ということである。
    個人的に本書がよかった点は、2つある。1つ目は、上記のような、感覚的には分かっているけれど言語化されていない点に対し、経営学、経済学、社会学などの知見を用いながら、各概念の説明を明快に行っている点である。そして2つ目は、議論の中で登場する過去の知見が、非常に広範かつ濃密であるという点である。以下、メモ書きとして再読したい部分を記しておく。

    ・イノベーションに伴い、既存のモノの生産性が向上する「帆船効果」(p.46)
    ・EO(Entrepreneurship Orientation)の問題点。もともと個人が有していた性質なのか、イノベーションを起こすプロセスの中で育まれたそれなのか、判別がつかない(p.61)
    ・なぜ産業革命がイギリスで起きたのか(p.82)
    ・知識の反証可能性に関して(p.85)
    ・生産性のジレンマに関して(p.95)
    ・ポランニー「大転換」について(p.222)

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    2020年02月23日
  • 研究開発の考え方

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    かなり丁寧に書いてある。言い換えればもっとはしょれて読みやすくなったかも。内容的には同意できる部分が多い。研究と言ってもその対象は企業でのお話。大学では無い。しかし考え方はどちらにも当てはまると思えた。

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    2026年06月17日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

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     このように、まだ実証的に完全には明らかになっていませんが、これまでの結果は概ね、新規性が高い試みにとっては、経済的に合理的な計算に基づく意思決定よりも、ある信念や自信、あるいは楽観的な期待に基づいて意思決定するアニマル・スピリッツが重要だということを示唆しています。皆さんの周りにも、なんだかよく分からないけれど、ある信念や自信(時には過信かもしれません)を強く持っている人や大きな社会的意義を(勝手に)感じている人がいるかもしれません。そういう人をマネジメントするのはなかなか難しいのですが、そういう人(の一部) こそがイノベーションの担い手なのです。

    イノベーションを生み出すための3つの基本ルール
    ・私有財産制度
    ・科学的な合理主義
    ・資本のコストの低下

    短いサイクルの報告・評価
     イノベーターを評価するときに、もう一つ重要なポイントがあります。短期的な評価を繰り返していては、イノベーションはあまり期待できないということです。評価だけでなく、報告ですら、あまり短期的なものだと駄目なのです。
     なぜ、短期的だと駄目なのでしょう。これまで、ホウレンソウ(報告、連絡、相談)と呼ばれるように、上司としっかり連絡を取り合っていくことは大切だと言われてきました。最近ではカクレンボウ(確認、連絡、報告)だと言われることもあるようです。いずれにしても、これを上司や同僚と短いサイクルで行っていくことが大切だと言われてきました。確かに、短いサイクルでの報告がないと上司も不安になるでしょう。状況を共有していれば、もし部下が失敗した時でも軌道修正がすぐにできそうです。
     しかし、短いサイクルでの報告や連絡は、新規性の高いチャレンジを回避させてしまうのです。 新しいチャレンジには失敗はつきものです。新規性の高いものであれば、一〇〇回チャレンジして一回しか上手くいかないものもあるでしょう。
     短いサイクルで報告することを義務付けたらどうなるでしょう。毎日、「今日も上手くいきませんでした」という報告をするのは、だれしも嫌なものです。上司が、「新しいチャレンジには失敗がつきものだから」と理解を示したとしても、上手くいかなかった報告を何度もするのは回避したいのです。
     そのため、短いサイクルで報告や連絡、確認などを求められると、人は不確実性の高いものを避けて、リスクの低いものに取り組むようになってしまいます。「上手くいきました」という報告をしたいのです。これでは、新しいチャレンジは段々少なくなってきてしまいます。一見すると新しいチャレンジに見えるけれど、実はそうでもないことばかりになってしまうのです。
     新しい試みを社内で増やそうと思ったら、社員を信頼して少し長い目で見てあげることが必要です。長期的なインセンティブを用意する必要があります。それには、働く人の待遇をしっかりと良いものにして、組織の長期的なパフォーマンスへの関心を高めることが重要です。オーストラリアのモナシュ大学のチェン・チェンらは、研究開発のパフォーマンスを調べ、長期的な視点で済価を行っている企業の方が、そこで働く人のパフォーマンスが高いことを発見しています。


    ・日本のイノベーションを阻害しているのは、日本人の特性として創造性がなかったり、集団的だったりするわけではなく、日本企業の雇用制度。


     こうして見てみると、日本での格差の広がりは、イノベーションの結果として仕事の二極化が進んだというよりも、「日本的経営」と言われるこれまでのやり方を守ろうとするために、非正規雇用を導入してきた結果だと言えそうです。


     これまで本書では、経営資源の流動性を高めていくと、日本でもラディカルなイノベーションが起きやすくなっていくということを論じてきました。しかし、第三部で見てきたように、流動性が高まると、いろいろな副作用があることが明らかになっています。その中でも重要なポイントの一つは、格差やその固定化です。


     この本のメッセージを煎じ詰めて一文で言うとすれば(なかなか一文で言うのは難しいのですが、 あえて言えば)、「ヒト・モノ・カネといった経営資源の流動性が上がっていくと、イノベーションの破壊的な側面が強くなる(野生化が進む)」です。
     これからの人の働き方や、お金や情報の流れ、そして技術革新の進歩を考えると、いくら日本人がこれらの経営資源の流動化を止めようと思っても、もはや止めることはできないでしょう。 望むと望まざるとにかかわらず、イノベーションはますます野生化していくことを覚悟しなければなりません。イノベーションを社内で飼いならそうとすることは、もっと難しくなっていきます。イノベーションに伴う社会的なコストも増えていくでしょう。
     本書の最後に、われわれは野生化が進むイノベーションとどのように向き合っていけば良いのかを考えてみましょう。

     一つ目は、イノベーションのタネづくりです。経営資源の流動性を高めていけば、イノベーションは活性化していくはずです。しかし同時に、人々は手近な果実をもぎ始めるようになるでしょう。それを放置していたら、いずれたくさんの果実をつける幹の太い基盤技術が生まれなくなってしまいます。アメリカが経営資源の流動性を高めてもやってこられたのは、莫大な国防予算によって基礎研究を支えてきたからであることを忘れてはいけません。日本ではこのような予算がほぼありません。それはある意味で幸せなことかもしれませんが、代わりにどこかが基礎研究を支える必要があります。企業が引き受けにくいような不確実性が高い研究開発を担う機能があるのは大学です。しかし、日本では、その頼みの綱である大学は、基礎研究の割合をどんどん減らしています。このような状況下で経営資源の流動性が高まると、イノベーションのタネが何もない国になってしまいます。サセックス大学のマッツカートが『企業家としての国家」で指摘しているように、政府にしかできない基盤的な投資を積極的にしていく舵取りが必要でしょう。
     二つ目は、イノベーションによって代替されてしまったタスクに従事していた人々へのケアです。ラディカルなイノベーションが多くなると、当然、破壊される側も出てきます。破壊され 、 職業を失った人のセーフティー・ネットを考える必要があります。これまでの日本では、これを企業が負担して来ました。だからこそ、日本の失業率は、先進国と比べても低い水準で推移していたのです。しかし、解雇などによる雇用調整をできるだけ避けてきたため、企業は余剰人員を抱えがちになり、そのために収益性も下がっていきました。これは、本来は国が負担するべきコストを、企業に肩代わりさせてきたとも言えます。この負担をいつまでも企業任せにしていては、 日本企業の競争力は落ちていく一方でしょう。ただ、国によるセーフティー・ネットの水準を高めすぎると、モラル・ハザードの問題が起こることには注意が必要です。制度設計の方向性は、 人々をイノベーションに代替された古いタスクにしがみつかせるのではなく、新しいタスクへ向かわせるものでなくてはなりません。難しい舵取りですが、この点こそが、野生化するイノベーションに国が向かい合う時の大切なポイントになるはずです。
     三つ目は、イノベーションとの関係が補完的なタスクに従事できる人をいかに増やしていくかを考えることです。イノベーションとの関係が代替的になるであろうタスクにつく人を増やしてしまうと、社会的な負担が大きくなってしまいます。その点から言えば、大学改革が「職業実践力」の育成という名目のもとに、ある会計ソフトの使い方を学んだり、現在、企業で導入されている生産設備の使い方を学んだりという方向に進んでいることに危惧を覚えます。そのような教育のやり方では、その会計ソフトや生産設備がイノベーションによって陳腐化したときにつぶしが効きません。これでは、イノベーションにすぐに代替されてしまう人材を国ぐるみで創り出すようなものです。「補完的なタスクに従事できる人」とはどのようなスキルをもった人なのか、どうすればそのような人材を増やすことができるのか、真剣に考え直す必要があります。

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    2026年01月10日
  • イノベーションの科学 創造する人・破壊される人

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    イノベーションについて、人の観点から検討。想像のみならず破壊される側についてもちゃんとフォーカスした本とのこと。創造する人、破壊される人の特徴とは。抵抗と格差を縮小するには

    メモ
    ・創造する人と破壊される人にはそれぞれ特徴がある
    ・創造の恩恵は浸透に時間がかかり、破壊のダメージは短期間に局所的に出る
    ・リスクシェアの仕組みをアップデートする
    ・経済学的に、需給曲線の変化でイノベーションを説明可能。プロダクトイノベーションによる需要曲線の変化、プロセスイノベーションによる供給曲線の変化
    ・創造性が高い人のパーソナリティ
     開放性、外向性、協調性、誠実性、神経性
    ・ポーターの参入障壁7つ
      規模の経済、差別化程度、巨額投資、スイッチコスト、チャネル確保、希少資源、政府政策
    ・最もイノベーションに代替されにくいのは
     芸術性、独創性、交渉力、説得力、社会的知覚力、他者への援助と気遣いなどが重要になるもの
    ・イノベーションが破壊するものが人のスキル、人体資本だったりすることもあり、人は反対する
    ・イノベーションのリスク
      資源を投じて何も生まれないリスク
      これまでの物が代替されるリスク
    ・日本企業の多角化、高い保険料、雇用固定がある故に色々社内で内生
    ・パートナーがフルタイムで安定収入の場合、新しいビジネスへの投資や挑戦がしやすくなる

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    2025年04月21日
  • イノベーションの考え方

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     本書は、イノベーションの考え方の基本を考えるために書かれたものとのことであり、初歩的な知識は得られたと思う。

    ・プロダクト・イノベーション:製品やサービスそのものを革新するもの
    ・プロセス・イノベーション:製品やサービスを生産する工程の革新
    ・初期はプロダクトイノベが多く生み出されるが、ドミナント・デザイン(同じような製品が増えてくる中で、支配的な製品やサービスの設計が現れること)が成立すると、プロセスイノベが増える。
    ・PPMで考える(負け犬、問題児、、カネのなる木、花形)。
    ・アンゾフの成長マトリックス(市場浸透、新市場開拓、製品開発、多角化)
    ・イノベーションを生み出す人は、アントレプレナーと呼ばれる。
    ・アントレプレナーシップ:現在コントロールできる経営資源にとらわれることなく、ビジネス機会を追求する程度

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    2024年09月13日
  • イノベーションの考え方

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    累積型と新規性の高いイノベーションはマネジメントスタイルが異なる。そして、後者の組織は多様な集団。小さなチームで早い検証からピポット。

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    2023年03月20日
  • 野生化するイノベーション―日本経済「失われた20年」を超える―(新潮選書)

    Posted by ブクログ

    日本では失われた20年といわれ、経済的に停滞する一方で、米国、中国では主にデジタル技術を活用したイノベーションにより飛躍的に成長する企業が生まれてきた。経済成長が全てではないかも知れないが、少なくともプライマリーバランスの赤字を上回るくらいのGDP成長は必要だろう。低成長からの脱却のため、あるいは社会課題の解決のため、国も企業も個人も渇望するのがイノベーションである。

    本書は三部構成。第一部は基礎知識として、イノベーションの歴史、社会制度的な背景、イノベーションを仕組み化するための最近の研究を説明する。第二部では、日本のイノベーションに関する研究。世間一般に言われるように、日本人は改善型イノベーションが得意なのか、横並び主義が斬新なイノベーションを阻害しているのか。著者は終身雇用と年功序列がその原因だと主張する。

    …と、ここまでは割と普通の内容で、日本でも米国のようにベンチャー投資を推進し、人材流動性を高め、次々と起業できる社会にすれば、イノベーションが活性化して万事オーケー、という陳腐な内容かと思いきや、本書の要諦は第三部にあった。

    第三部では、人や資金の流動性を高めることが、逆に大きなイノベーションを妨げる可能性や、イノベーションによる格差、その反動の保護主義化のリスクにつながるという研究を紹介。ただ米国や中国を真似ても、他のさまざまな制度や文化が違えば、結果は違うことを示唆する。

    現時点で分かっていないことは主張せず、控えめな態度は学問的に正しいだろうが、どうすれば良いのか、迷いは消えない。

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    2021年05月31日