若林美佐知のレビュー一覧
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本書はバスティアン・ハインの著作を原著とする、優れたナチ・ドイツ,シュッツシュタッフェル(親衛隊)及びその武装組織武装親衛隊(ヴァッフェン・シュッツシュタッフェル)の成り立ちと犯した罪と戦後のこれらの扱いについての優れた,今年2024年3月25日中公新書2795,として刊行された日本語のものでは親衛隊や武装親衛隊に関する最新刊の部類の概説書である。
ヒトラー衝撃隊(Stroß truppe Hitler)というのは初めて知った。親衛隊の更に核として最も信用できる、自身の護衛隊としてヒトラーが望んで選りすぐったごく少数の組織だという。いわゆるミュンヘン一揆の失敗後裁かれたこの「ヒトラー衝撃隊」は本書によれば37名とされている。(更なる詳しい感想は後日) -
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1945年2月13日から14日にかけて。
ドイツ東部の街に、爆撃機約800機が向かった。
その夜、3回に分けて行われた襲撃により、古都は壊滅的な被害を受けた。
ドレスデン爆撃。
犠牲者は2万5千人と推定されている。
ドレスデンは歴史ある美しい街で、18世紀の面影を残す建築物が多く並び、文化・芸術の中心地でもあった。
第二次世界大戦終盤、戦況はほぼ決しつつあり、果たしてこの美しい街、軍事的に重要な意味があるわけでもない街を爆撃することに意味があったのか。このあたりは当時から連合国側でも異論もあったようである。
が、いずれにしろ、ことは決まり、爆撃は行われた。
本書は、ドレスデン市立公文書館に保管された、多くの人々の日記・手紙・断章・証言をもとに、爆撃の一夜とその前後を描き出すものである。
医学者・ユダヤ人・学童・年長者、老若男女さまざまな人々が語るその一夜は、万華鏡のように、都市を襲った災厄の姿を立体的に立ち上がらせる。
災厄、いや地獄そのものの姿である。
地上で地獄を体験した人々に加え、攻撃した側、命令した側の視点があるのも本書の特長で、より多面的に捉えることができるようになっている。
一通りの爆撃ならば、防空壕で難を逃れることは可能だったろう。
しかし、この爆撃では、何度にも分け、大量の爆弾が投下され、地上では火災嵐が起こった。片付けのために地上に出た人は炎にまかれ、熱を逃れて水中にいてさえ焼け死んだ。大気中の酸素が減り、逃げることができずに倒れた人、壕の中で窒息した人も多い。
命拾いをしたが、火災のためか、大気中に漂っていた有毒物質のためか、失明してしまった人もいる。
1つ引っかかるのは、3度目の爆撃で、機銃掃射を受けたと証言している人々がいることだ。攻撃してくる兵士の顔まで見えたというのだが、研究者(本書の著者も)によれば、爆撃機が飛ぶ高度と速度を考えれば機銃掃射は現実的ではなく、兵士はガスマスクを着けていたはずなので、顔が見えることもありえない、というのだ。したがって、これは証言者の思い違いであろう、というのだが。
妄想でそうしたものが見えるのだろうか。
事実がどちらであったにせよ、どこかざらりとしたものが残るエピソードである。
当時、捕虜としてドレスデンにいたカート・ボネガット・ジュニアが、後年、この爆撃を題材に、『スローターハウス5』を書いている。彼ら、捕虜たちは爆撃後に生じた大量の遺体の処理にあたるのだ。そのままでは伝染病蔓延につながるからである。遺体の破片を集め、できる限りの身元調査をし、遺体を火葬する。大変な作業だった。
後のハリウッドスター、ジェームズ・ステュアートは、(ドレスデン爆撃に関与しているかどうかはわからないが)爆撃側にいた。多くの米兵同様、アメリカからイギリスへと渡り、フランスやドイツに任務飛行をした。彼自身は生き延びたが、多くの戦友がその間、死亡した。志願兵ではあったが、帰国後、実年齢よりも老熟した外観になったのは、おそらく、戦争のせいと思われる。
爆撃側も危険な任務であり、敵側に撃ち落される機、あるいは燃料不足などで帰還できず途中で墜落する機も多かった。
多くの人々の証言から、怖ろしい地獄が浮かびあがる。
一方で、ここに収録されているのが、「生き延びた人」の言葉であることにもふと思い当たる。さらに多くの人が言葉を残さぬまま、残せぬまま、命を落とした。
そのことに慄然とする。
ドレスデンは壊滅的に破壊された後、奇跡のような復興を遂げる。多くの建物が再建され、街はいま、昔を思わせる美しい姿を見せる。
だが、ところどころに、残骸が残る。
18世紀バロック様式の聖母教会もその1つである。美しく復元された教会には、粉々になった礎石が遺されている。
惨事の記憶を留めるように。 -
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ネタバレナチ親衛隊(SS)についていくつかのテーマを持って歴史的に概説した本。少し人名が多すぎて分かりずらいが、もともとはドイツで出ている本のようなので、多分、単に日本人にはあまり馴染みがないだけなのかも知れない。もっとも興味を引いたのが、最終章の戦後に親衛隊がどう扱われたかと言う部分。最近まで(正確には今でも)元親衛隊員が追及され裁判にかけられているとは知らなかった。確かに、戦争時における犯行(蛮行)というのは、果たして機能(歯車)としての兵士の受動的なものなのか、それとも個人としての能動的なものなのかと言うのは測りがたい。ドイツが全体主義的になった時代に親衛隊にだけ全責任を負わせて、他の国民は犠牲者だという考え方(「国民のアリバイ」というらしい)には違和感があるが、全国民に罪を被せるのも現実的には難しいだろうとは思う。これは日本にも当てはまるのだろう。
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SSの前身組織からドイツの降伏、さらに戦後の裁判や評価などについて、コンパクトにまとめている。入門書ではあるが、最新の研究動向もしっかりと包括しているようで、読み応えもある。
全体主義、ホロコーストへの関心から関連する本をある程度読んではいるものの、自分のSSへのイメージはかなりステレオタイプだったと思う。
例えば、暴力的な突撃隊に対して、エリート的なSSというのは、この本によると有意な差はない。ヒットラーの親衛隊ということで、ナチズム的な人種主義思想の体現者たちということがポイントかな?ということで、SSへの採用にあたっては、北方系アーリア人的であることが特に重視されたようだ。だが、戦争の進行に伴って、占領地下の「ユダヤ人問題」を解決するため、戦況の悪化に伴い多くの動員、リクルートする必要が生じて、だんだんその要件は緩んでいったようだ。
SSの主要なメンバーの名前がたくさん出てくるが、ほとんどは知らない人々。つまり、戦争中に亡くなったり、影響が低下したりしているので、ユダヤ人問題の最終解決を中心に本を読んでいるとあまり出てこない人がたくさんいたということか。
そして、ヒムラーをはじめ主要なSS幹部は、敗戦時に自殺しているため、結局のところ、何が全体で起きていたのかは藪の中的な状態になる。
そうしたよくわからない中での戦後の裁判やさまざまな研究の紹介の部分がとても有意義だった。
この本の記述を読んでいくと、必ずしもヒトラーが明確な指示しているわけではなく、幹部が指示を解釈して、冷酷な暴力を指示し、それを受けて下部メンバーが組織への忠実さを示すことを競争するかのように過激化していく、というグループ・ダイナミクスが生じているように思った。
戦後、ホロコーストの責任を親衛隊におしつけて、あるいは究極ヒトラー一人におしつけて、ドイツのほとんどの人はやむなかったという安全圏に引きこもり、経済的な復興に邁進したということか。
冷戦という時代もあり、元親衛隊の社会復帰も比較的スムースに進み、人によっては、戦後にも社会的に高い地位、経済的にも成功した人も多かったようだ。
こうしたことはどのようにナチズムを意味づけるかということであるとともに、私たちがそこから何を学ぶか、日本における「戦犯」についてどう考えるのか、倫理的な問いがあると思う。 -
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戦争に優しい戦争・酷い戦争の区別があるのだろうか?戦闘員ならミサイルで粉々に吹っ飛ばしても良く、民間人は丁重に殺すのか?秩序ある戦争遂行など歴史上あったのか?程度の差はあれど惨たらしいものではないか?惨殺・掠奪・強姦などいつの時代でも何処にでもある。第二次世界大戦後のドイツ・日本が裁かれた軍事裁判は戦争という悪の中で行われた悪を裁くという一種の茶番だったと思う。
本書で問われているのはSSによる『ドイツ人の敵』ユダヤ人に対する苛烈な対処である。歴史的・宗教的・経済的に様々な要因でヨーロッパには反ユダヤ主義が古くからあるが、絶滅を図るほどの憎悪はどこから来るのだろう。しかもユダヤ人は戦闘の相手ですらなかった。
ミルグラム実験で明らかになった、権威者への盲従の最悪の事例だが、だからこそ全体主義は危険なのであり、民主的な政治指導者が次善の策だとしても必要なのだ。 -
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侵略戦争と並行して行われた民族浄化とホロコースト。
その組織形態と実態の概説書として、割と簡潔にまとまっていると思う。
戦争による領土拡大についてはヒトラーの意思が反映されていたのは間違いないが、対ユダヤ人に対する一連の行為についてはどこまで把握していたのだろうかという疑問が湧いてくる。
アーレントのいう「運動」が慣性力を得て、無限に展開したという印象をもっている。
詳細にわたる全てがヒトラーの指示なのか。ヒムラーの独断で動いていた部分はないのか。SS隊そのものが、最終的解決という方針に向かって組織的に暴走したのか。この辺りを今後テーマとして個人的に深めていきたい。 -
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『アンネの日記』や『夜と霧』は読んたことかあった。しかし、ナチス親衛隊そのものについて詳しくは知らない。
そこでナチス親衛隊の続きについてまとめられている本書を手にした。
ヒトラーの護衛チームでしかなかった親衛隊。ナチ党が政権を取ると第三帝国の警察機関を併呑。悪名高いゲシュタポやアインザックグルッペン、強制収容所を運用し、敵勢力を弾圧する。
第三帝国の勃興から終焉までは親衛隊の歴史と言っても過言ではないかもしれない。
本書は、ヨーロッパの人名や地名などの固有名詞がよくでてくるため、日本人の我々には読み進みるのが少し大変かもしれない。しか親衛隊の概要、歴史を知るのにはとても良い一冊であるといえる。 -
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ホロコーストを主導したナチ親衛隊(SS)の歴史と犯罪を伝説的な伝聞を排除して再検証した良書
とにかく名前がたくさん出てきます
それだけ多くの人間が主体的な役割を担っていたってことなんだろうね
特に一般の親衛隊員をどこまで罪に問うかってところも非常に難しいんだけど、そこに自らの意思がどの程度あったかって最終的には本人しかわからんもんな〜って思ったり(強制されて断ると自分の生命が危なかったという主張)
かと言って全員厳罰に処す!ってなるとやってること同じになってきそうな危険もはらんでてマジムズい
とは言えこのようにきちんと検証し続けるってのは大事だと思うんよ
そして警鐘を鳴らし続けるんが大事なんよ
だってさ、この人類史上最大の悪行を肯定してる人たちも存在していてさ
恐いったらありゃしないよ
とにかく鳴らそう!警鐘を!
みんなで鳴らしまくろう!警鐘を!
カランコロンカランって昔の喫茶店か!
めっきり少なくなった純喫茶か!( ゚д゚ )クワッ!!